「もろこし」を「とうもろこし」の略称だと思っている方は多いのではないでしょうか。実は「もろこし」という植物も存在します。本記事では「とうもろこし」と「もろこし」の違いを詳しく解説します。
「とうもろこし」と「もろこし」は属性が異なる別の植物です。
とうもろこしはイネ科トウモロコシ属、もろこしはイネ科モロコシ属に分類され、それぞれ異なる特徴を持ちます。
とうもろこしの実はみずみずしくシャキシャキとしていて、甘みがあるのが特徴です。一方もろこしは、茎の先にできた穂がもろこしの可食部になります。色は赤っぽく、形は丸いです。もちもちした食感が特徴で、野菜や果物に近いとうもろこしと比較すると、もろこしのほうが穀物感が強いといえます。
しかし、とうもろこしは様々な呼び方があり、地域によっては「もろこし」と呼ばれることもあります。そのため、一般的に「もろこし」は「とうもろこし」の略称として認識されていることが多いです。
とうもろこしは、イネ科トウモロコシ属の植物です。野菜の一種と思われがちですが、穀物に分類されます。
とうもろこしは、黄色い種子が可食部・飼料になります。とうもろこしを英語でいうと「コーン(corn)」です。日本では「コーン缶」のように、実を芯から外しバラバラにしたものを「コーン」と呼ぶことが多いです。
また、「とうきび」や「もろこし」など地域によって様々な呼び方があります。
もろこしは、イネ科モロコシ属の植物であり、とうもろこしと同じく穀物に分類されます。
背丈が約3メートルにもなるため、「高黍(たかきび)」という別名があります。英語では「ソルガム」、中国語では「コーリャン」と呼ばれます。
とうもろこしは、長くて細い茎に緑色の葉が付いており、その上には黄色や白色の花を咲かせます。その後、円錐形をした穂が育ち、皮を剥くと中には多数の小さな実がぎっしりと詰まっています。
この小さな実は「果粒」と呼ばれ、とうもろこしの可食部となります。一般的に販売されているとうもろこしの実は黄色いですが、品種改良が進んでおり、白色や紫、赤、黒、青、緑と様々な色があります。
とうもろこしの実はみずみずしくシャキシャキとしていて、甘みがあるのが特徴です。
もろこしは、とうもろこしとは大きく異なり、茎の先に黍(きび)や稗(ひえ)のような穂を実らせます。実はとうもろこしのように皮に包まれていません。
茎の先にできた穂がもろこしの可食部になります。色は赤っぽく、形は丸いです。もちもちした食感が特徴で、とうもろこしとは見た目、食感、味が全く異なります。
とうもろこしともろこしは別の植物なので、栄養素の含有量やカロリーにも違いがあります。
とうもろこし100gあたりに含まれる栄養素は下記の通りです。
たんぱく質…3.6g
脂質…1.7g
炭水化物…16.8g
ナトリウム…0mg
カリウム…290mg
カルシウム…3mg
マグネシウム…37mg
リン…100mg
鉄…0.8mg
亜鉛…1mg
銅…0.1mg
マンガン…0.32mg
ビタミンB1…0.15mg
ビタミンB2…0.1mg
ビタミンB6…0.14mg
葉酸…95μg
食物繊維…3g
とうもろこし100gあたりのカロリーは89kcalです。
もろこし100gあたりに含まれる栄養素は下記の通りです。
たんぱく質…10.3g
脂質…4.7g
炭水化物…71.1g
ナトリウム…2mg
カリウム…590mg
カルシウム…16mg
マグネシウム…160mg
リン…430mg
鉄…3.3mg
亜鉛…2.7mg
銅…0.44mg
マンガン…1.63mg
ビタミンB1…0.35mg
ビタミンB2…0.1mg
ビタミンB6…0.31mg
葉酸…54μg
食物繊維…9.7g
もろこし100gあたりのカロリーは344kcalです。
たんぱく質はとうもろこしの約3倍、マグネシウムや亜鉛、鉄分などのミネラル類の含有量もとうもろこしよりも多く、栄養価が高いことがわかります。
出典:日本食品標準成分表2020年版 八訂(文部科学省)
とうもろこしともろこしは、どちらもグルテンは含まれていません。
グルテンとは主に小麦に含まれている成分で、弾力に富むが伸びにくいグルテニンと、弾力は弱いが伸びやすいグリアジンの2種類のたんぱく質が、水分によって結びついたものです。例えば、パンなどの「ふわふわ、モチモチ」という食感はこのグルテンによってもたらされます。
グルテンはアレルギーの原因となる他、消化されにくいという性質があり、むくみの原因となったり、疲れやすくなるなどの症状が身体に出ることもあります。近年グルテンを摂取しないグルテンフリーの生活を実践する人も多くいます。
とうもろこしともろこしは、どちらもグルテンは含まれていません。
しかし、とうもろこしはプロラミンというたんぱく質が含まれています。プロラミンはグルテンと非常に良くにたたんぱく質で、グルテンにアレルギー反応が出る場合、プロラミンでもアレルギー反応が出ることがあります。
一方、もろこしにはプロラミンも含まれていません。そのため、グルテンにアレルギー反応が出てしまう方も食べることができます。
とうもろこしは生でも食べられますが、焼く・茹でる・蒸すなど加熱して食べことが多いです。
網やフライパンで丸ごと焼くと香ばしい風味を楽しむことができますし、茹でたり蒸して食べるとみずみずしくパリっとした食感を楽しむことができます。レンジで加熱することも可能です。
また、芯から実を外して炒め物にしたりピラフの具にしても美味しく食べられます。コーンスープなどの汁物にすることも多いです。
さらに、とうもろこしは粉末状にしてコーンフラワーやコーングリッツ、コーンミールとして使われることもあります。とうもろこし粉はトルティーヤやコーンブレッドの原料として使われることが多いです。
もろこしは、色が赤いため縁起物としてお祝いごとなどで食べる団子の原料として使われていました。桃太郎が持ち歩いていたことで知られている「きびだんご」ももろこしが原料だったといわれています。
近年では、栄養価がとても高いことから雑穀米の一つとして使われ、白米のように炊いて食べることが多いです。また、朝食に食べられることが多いグラノーラに含まれていたり、スナック菓子の原料に使われていることもあります。
さらに、「畑のビーフ」と言われるほどたんぱく質が豊富に含まれているため、ひき肉の代用品としてハンバーグなどの肉料理を作るときに使われることもあります。
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