オクラはカットすると独特のぬめり・粘りが出てくるのが特徴の野菜です。オクラのぬめりの正体は一体何なのか気になったことがある方も多いのではないでしょうか。本記事ではオクラのぬめりについて詳しく解説します。
オクラといえばカットしたときに独特のネバネバとしたぬめりがあるのが特徴で、舌触りと食感を楽しむことができる野菜です。オクラのぬめりは一体何なのか、詳しく解説します。
オクラのぬめりとなっている成分は、ペクチンです。その他、アラバン、ガラクタンなどの多糖類が粘質物を構成しています。
ペクチンは水溶性の食物繊維の一種で、植物細胞をつなぎ合わせる働きをしている天然の多糖類です。含有量には違いがありますが、様々な野菜や果物に含まれている成分です。
アラバンは、りんごや落花生、テンサイなどにも含まれている多糖類です。
ガラクタンはガラクトースが重合した多糖の総称で、水溶性食物繊維の一種です。里芋のぬめりになっているのもガラクタンと言われています。
新鮮なオクラはカットをするとぬめりが出てきますが、表面にぬめりはありません。カットしていないのに表面にすでにぬめりが出てしまっている場合は、腐敗している可能性が高いです。
オクラに限らず、食材は腐敗が進むと全体的にぬめりが出てきたり糸を引くほどネバネバすることがあります。これは、雑菌が増殖していることが原因であるといわれています。
腐敗が進みぬめりが出ている場合は、酸っぱい臭いがするなど異臭がしたり溶け出している部分があるなど腐敗のサインが見られることが多いです。この場合は、残念ながら食べることはできませんので破棄しましょう。
腐敗しているオクラの特徴については後述しますので、そちらを参考にしてください。
オクラのぬめりには身体に嬉しい効果があります。
オクラのぬめりには胃壁を保護する効果があります。また、たんぱく質の消化・吸収を助ける働きがあるため、肉や魚と一緒に食べると胃の負担を軽減することができるといわれています。
また、ペクチンなどの水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性(ねんちゅうせい)を高めます。粘稠性とは粘り気のことです。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあるといわれています。
ペクチンにはコレステロール値を下げる効果があると言われており、体内で胆汁酸やコレステロールが吸収されるのを防ぐ効果が期待できます。コレステロール値が下がることは動脈硬化や高血圧の予防に繋がります。
オクラは他の食材と一緒に調理をしても、ぬめりのおかげで他の食材とよく馴染みます。また、調味料ともよく絡むので、山形だしのような食べ方にも適しています。
山形だしとは、夏野菜を刻んでだしで味付けした山形県の郷土料理で、ご飯の上に乗せて食べたり冷奴にして食べられることが多いです。
オクラのぬめりには様々な効果があることがおわかりいただけたかと思います。せっかくオクラを食べるのであれば、オクラのぬめりを活かした食べ方をしたいですよね。オクラのぬめりを活かした食べ方を紹介します。
オクラはカットせずに食べられることもありますが、ぬめりを活かすのであれば、細かく刻んだりたたいて食べるのがおすすめです。細かく刻んだり叩くことで、オクラの細胞が壊されるとぬめりが引き出されて、オクラ特有のネバネバを出すことができます。
上記で紹介した山形だしは、オクラのぬめりを活かしたおすすめの食べ方です。
オクラは茹でてから食べることが多いですが、生食することができる野菜です。
オクラのぬめりの主成分は水溶性の食物繊維であるため、生食したほうがぬめり成分を無駄にすることなく摂取することができます。また、茹でることで流出してしまうビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素の流出も防げます。
オクラは生食することで、ぬめりだけではなくシャキシャキとした食感を楽しむことができます。
オクラがぬるぬる・ねばねばしていているのが気になってしまう方も多いと思いますが、上記で紹介したようにオクラのぬめりはオクラがもつ成分によるもので腐敗が原因ではありません。
様々な効能があり、むしろぬるぬる・ねばねばしているほうが栄養価が高いといえるので防ぐ必要はないといえます。
オクラのぬるぬるは取る必要なしといっても、中にはオクラのぬるぬるが苦手という方もいるでしょう。オクラのぬるぬるが苦手な方は、カットせずに調理して使うのが良いです。
オクラをカットせずに使えば、細胞が壊されないのでぬめりが出にくいです。カットせずに肉巻きにして焼いて食べたり、フライにして食べるのがおすすめです。
肉巻きやフライにして食べることで油溶性であるβーカロテンの吸収率を上げることができるので、栄養面的にもメリットがありますよ。
オクラを調理したときについてしまったぬめりが気になる場合は、酢が有効です。酢はぬめりを中和してくれます。
お酢を水で薄めたものを使って洗い、その後水やお湯で洗い流すと良いです。一度で落ちない場合は何度か繰り返すことで綺麗に手についてしまったぬめりを落とすことができます。
お酢を使って手を洗った後は、手荒れ防止のためしっかりと保湿しましょう。
オクラをカットしたときのぬめりは、オクラがもつ成分によるものなので腐敗しているわけではありませんが、下記のような特徴があるオクラは腐敗しているので食べることはできません。
腐ったオクラの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
溶け出している
茶色い液体が出ている
中身まで茶色く変色している
表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。じゃがいもなどの固い野菜の場合は表面にカビが生えていても中まで侵食していなければカビが生えている部分を取り除けば食べることができるといわれていますが、カビはカビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。オクラの場合は目に見えない部分までカビの胞子が入り込んでいることもあるため、破棄しましょう。
また、見るからに溶け出している部分があったり茶色っぽい液体が出てきてしまっているようであれば腐敗している可能性が高いです。表面だけではなく中身まで全体的に茶色く変色している場合も腐敗が進んでいる状態なので破棄してください。
腐ったオクラの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミ臭
カビ臭い
酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
オクラに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったオクラの触感の特徴は下記の通りです。
ぶにょぶにょしていて柔らかい
表面にぬめりがある
オクラは乾燥などが原因で水分が抜けるとしなしなになってしまうことがあります。水分が抜けてしなしなになっているだけであれば腐敗しているわけではありませんが、完全に水分が抜けている状態や触っただけで指の後が残るぐらい柔らかくなってしまっている場合は腐敗しています。
また、オクラは元々ぬめりがある野菜ですが、上述したようにカットしてもいないのに表面にまでぬめりが出てしまっている場合は腐敗しているので破棄しましょう。
オクラは腐敗が原因で表面にぬめりが出てきてしまうこともあります。腐敗してしまうと当たり前ですが食べることはできないので、オクラを購入したら腐敗しないように正しく保存しましょう。正しく保存することで鮮度を保つことができるので、より長く美味しく食べることができます。
それではオクラの正しい保存方法を紹介します。
オクラは常温保存はおすすめしません。すぐに食べる場合は冷蔵で保存しましょう。ただしオクラは傷みやすいため、冷蔵で保存した場合はできるだけ早く食べるようにしましょう。
オクラを生のまま丸ごと冷蔵保存する場合は、オクラが乾燥しないように、数本まとめてキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存します。
下処理として産毛を取っておくと、料理する時にすぐ使えて便利です。
なお生のまま丸ごと冷蔵庫で保存する場合は、3〜4日程度しか日持ちしませんのですぐに使い切る必要があります。
水に浸けて保存すると、オクラの乾燥を防ぎながら保存することができます。
ビンに少量の水(オクラの先が浸かるくらい)を入れ、下処理(上記参照)をしたオクラを下向き(ヘタの部分が下になるように)入れます。ビニールもしくはラップをかけ輪ゴムで止め、冷蔵室で保存します。
この方法で冷蔵保存した場合、1週間ほど日持ちします。保存中は2日に1回ほど水を入れ替えます。ですがなるべく早めに食べ切ることを推奨します。
実はオクラは冷凍保存するのが◎。保存期間が1ヶ月と長くなるだけでなく、冷凍しても食感と味が生のオクラとそこまで変わらないので、美味しく食べることができます。
冷凍保存には直接冷凍する(ダイレクトフリージング)と、茹でてから冷凍する(ブランチング)の2つの方法があります。家庭用冷凍庫では急速凍結(瞬間冷凍)ができないため、直接冷凍すると、味や食感が悪くなり、変色もします。茹でることでそれらを防ぐことができます。ただし茹でることでオクラに含まれる水溶性成分が流出するというデメリットもあります。茹でる場合はさっと固めに茹でるのがポイントです。
下処理(上記参照)をして産毛を取り除きます。その後水洗いをして、水けを拭いてから冷凍用チャック付きビニール袋に入れて冷凍します。オクラが重ならないように一列に並べて保存すると、使いたい分だけ取り出せるので便利です。
生のまま丸ごと冷凍したオクラは、自然解凍もしくは電子レンジを使って解凍します。1〜2分ほど室温で解凍すれば、包丁で簡単に切ることができます。オクラは半解凍状態だとヌメリが出にくいため、ベタつくことなく包丁で切ることができます。解凍しカットしたオクラは加熱料理に使用しましょう。
下処理をしてかためにさっと茹でます。その後冷まして水けを拭き、冷凍用チャック付きビニール袋に入れて冷凍します。
茹でたオクラがしっかりと冷めることを確認してから冷凍しましょう。また、水けが残っていると味や栄養が落ちる原因となるため、キッチンペーパーでしっかりと拭き取ってから保存しましょう。
茹でて丸ごと冷凍したオクラは、自然解凍して和え物などとして食べると美味しく召し上がれます。
下処理をしたオクラをさっと茹でます。その後冷まし、水気を拭いてから小口切りをしてチャック付きビニール袋に入れて冷凍します。オクラを薄く広げるのがポイントです。使いたい分だけ取り出すことができるので便利です。
茹でてカットし冷凍したオクラは、凍ったまま汁物に加えたり、炒め物の具材として使うとよいです。また、そのまま納豆やそうめんなどのトッピングや和え物にするのもおすすめです。
オクラは冷蔵保存や冷凍保存の他にも、天日干しやオーブンで加熱して水分を飛ばして乾燥保存したり、酢や醤油に漬けて保存することも可能です。オクラの保存方法についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。
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