ロシア発祥の強いお酒「ウォッカ」と、ほろ苦い甘さを持つグレープフルーツジュースを使ったカクテルについて解説します。
ウォッカは、大麦、小麦、ライ麦、ジャガイモといった穀物などの原料を加工して造られる、ロシア発祥の蒸留酒(スピリッツ)の一種です。蒸留酒はアルコール度数が高く、火をつければ燃えることから、「火酒(かしゅ)」と呼ばれることもあります。ウォッカはアルコール度数が40度と高く、氷点下でも凍らないため、超低温地域で重宝されてきた歴史があります。
ウォッカは製造過程において、白樺の木炭などのフィルターで濾過する工程があり、これによって雑味が取り除かれるため、無味無臭ですっきりとした味わい、まろやかな爽快感が特徴的で、世界4大スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ)の中では最も癖のない風味と言われています。
なお、クリアさが特徴的なウォッカですが、香りや味を加えた「フレーバードウォッカ」もあり、世界中で様々な味のウォッカが流通しています。
これらの特徴から、カクテルベースとして使われることが多いものの、ストレートやロックなど、様々な飲み方で嗜まれています。
蒸留酒は高温で熱して造る「火の酒」であり、火の酒は人間の魂にはたらきかけ、肉体を目覚めさせ、また活力を与えることから、蒸留酒はスピリッツ(spirits)と呼ばれるようになったようです。
ウォッカ以外にもブランデー、ウイスキー、焼酎、ジン、ラム、テキーラも蒸留酒であり、広い意味ではこれら全て「スピリッツ」と呼べますが、日本において「スピリッツ」とはウォッカ、ジン、ラム、テキーラを指すことが多く、この4種類のお酒は「世界4大スピリッツ」とも呼ばれています。
日本における狭い意味での「スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ)」という呼称は、1953年に制定された酒税法における分類によって形作られたようです。
1953年当時、蒸留酒のうち、既に日本である程度の知名度があった「ブランデー」、「ウイスキー」、「焼酎」は個別の分類とし、それ以外(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ等)が「スピリッツ」に分類されました。
ちなみに、日本の酒税法における分類としての「スピリッツ」は、やや複雑な定義にはなりますが、「焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール以外の蒸留酒類で、エキス分が2度(2%)未満のもの」とされています。
なお、海外では蒸留酒は専ら「liquor(リカー)」と呼ばれています。
アルコール感が強いクリアなテイストのウォッカと、ほろ苦いフルーティーな甘みのグレープフルーツジュースはとても相性が良く、ウォッカとグレープフルーツジュースを使ったカクテルで一番有名かつ人気なのが「ソルティ・ドック」です。割り方にもよりますが、アルコール度数は大体10~15%です。
「ソルティ・ドッグ」は、「甲板員」を意味するイギリスのスラングと、甲板員が甲板の上で汗だらけ塩だらけになって働く様子から連想されて名付けられたと言われています。また、航海する船上で酒を飲んでいる時に、波しぶきが跳ねて海水がグラスに入ったことが始まりとする説もあります。
1940年代にイギリスで生まれたカクテルで、当初はジン、グレープフルーツジュース、食塩をシェーカーに入れてシェイクし、カクテルグラスに注ぐレシピでさほど人気のないカクテルでしたが、アメリカでベースをウォッカに替え、食塩をスノースタイルにし、ステアで作るように改良されたことで世界的な人気カクテルとなりました。
なお、当初のレシピ通りジンをベースにして塩を直接投入したカクテルは「クラシック・ソルティ・ドッグ」と呼ばれることもあります。
「ソルティ・ドッグ」は、塩をグラスのフチにまぶす「スノースタイル」の代表的なカクテルで、フルーティーでさっぱりとした口当たりが特徴的です。ただし、スノースタイルを作る手間があることから、バー以外の居酒屋などでは塩を使わない「ブル・ドック」の方が見かける機会が多いでしょう。
飲み方は、口を付けた部分を少しずつ移動させて飲んだり、ふちについた塩をカクテルの中に落としながら飲んだりすることで、グレープフルーツの酸味と塩のしょっぱさを様々なバランスで味わうのが正しい飲み方とされています。
ウォッカ …45ml
グレープフルーツジュース …適量(90~120ml程度)
レモン(ハーフカット) …1個
塩 …適量
ウォッカやグレープフルーツジュースの銘柄を替えてみると味にも変化があります。例えば、ウォッカなら通常のピュアウォッカから、スパイスやフルーツなどで風味付けされているフレーバードウォッカに変えることで違った風味のソルティ・ドックを楽しむことができます。
グレープフルーツジュースならば、通常のグレープフルーツよりも苦味や酸味が少なく、甘みが強いと言われるピンクグレープフルーツジュースを使ってみたり、果肉入りの製品などを使ってみると違った味わいや触感が楽しめますよ。
グラスのフチに塩がまぶさないカクテルは「ブル・ドッグ」と呼ばれており、こちらも有名なカクテルですよね。クランベリージュースを混ぜれば「シー・ブリーズ」というカクテルにもなります。この2つのカクテルは後の項目でそれぞれ詳しく紹介します。
ウォッカとグレープフルーツジュースを使った他のカクテルを紹介します。
「シー・ブリース」は、上記のケープ・コッダーにグレープ・フルーツジュースを加えたカクテルで、「海のそよ風」の名を冠する、1980年代にアメリカ西海岸で流行したカクテルです。ケープ・コッダーよりも酸味があり、女性に人気のカクテルです。
ウォッカ …45ml
グレープフルーツ・ジュース …60ml
クランベリー・ドリンク…60ml
人気の「ソルティ・ドッグ」の塩なし版である「ブル・ドック」は、グレープフルーツジュースの甘くほろ苦い味わいが楽しめ、簡単に作れることから人気のあるカクテルです。
ウォッカ …45ml
グレープフルーツジュース …適量(90~120ml程度)
「ソルト・リック」は、有名な「ソルティ・ドッグ」の材料のグレープフルーツジュースを半分トニックウォーターに置き換えたアレンジレシピです。柑橘類の豊かな味わいと、炭酸のすっきりと爽やかな喉越しが楽しめます。
ウォッカ…30ml
グレープフルーツジュース…45ml
トニックウォーター…45ml
レモン(ハーフカット)…1個
塩…適量
「マネキネコ」は1995年に日本で生み出された創作カクテルで、英語では「Lucky Charm」といい、幸福を呼ぶカクテルです。トロピカルなフレーバーで南国にいるような気分を味わえるカクテルですよ。
ウォッカ …20ml
ココナッツ・パッション…10ml
バナナ・リキュール…10ml
グレープフルーツ・ジュース…20ml
ブルー・キュラソー…1tsp(小さじ1)
マラスキーノ・チェリー…1個
レッド・チェリー…1個
「メモリアル・グリーン」は、ライムやメロンといった緑色のフルーツをフィーチャーしたカクテルで、メロン・シロップの鮮やかな緑が美しいカクテルです。甘酸っぱく、アルコール度数も低めでとても飲みやすいカクテルです。
ウォッカ …1/4
コーディアル・ライム …1/4
メロン・シロップ…1/4
グレープフルーツ・ジュース…1/4
「ガルフ・ストリーム」は、北大西洋の狭く強い海流「メキシコ湾流」を意味するカクテルで、ブルー・キュラソーによる爽やかな水色の見た目と、トロピカルな風味が楽しめる甘口のカクテルです。
ウォッカ …15ml
ピーチ・リキュール…15ml
ブルー・キュラソー…5ml
フレッシュ・グレープフルーツ・ジュース…20ml
パイナップル・ジュース…5ml
レシピのピーチ・リキュールをマスカット・リキュールの「ミスティア」に置き換えると、「ミスティア・ストリーム」というカクテルにもなりますよ。
ヨーロッパ原産のドライなテイストのジンをグレープフルーツジュースで割れば「ジン・グレープフルーツ」というカクテルになります。最近人気が出ているカクテルで、フルーティーで甘みの中にグレープフルーツの苦みも感じられる、飲みやすいカクテルです。
★割合は、ジン:グレープフルーツジュース=1:2または3
カリブ海地域原産のラム酒で作る「ソル・クバーノ」は、グレープフルーツとトニックウォーターのさわやかな味わいが楽しめるカクテルです。トロピカル系が多いラム酒のカクテルの中でもさっぱりと飲むことができ、夏の暑い時期にぴったりです。
★割合は、ホワイトラム:グレープフルーツジュース:トニックウォーター=1:1:1(30mlずつで作られることが多いです)
メキシコ原産のテキーラで作る「パロマ」は、フルーティーで爽やかな味わいでテキーラの生産国メキシコでも人気のカクテルです。塩をグラスにまぶすスノースタイルのレシピもあります。
★割合は、テキーラ:グレープフルーツジュース:トニックウォーター=4:2:3(40ml、20ml、30mlで作られることが多いです)
スッキリとした味わいで飲みやすいものから強い度数のものまで様々なカクテルがあります。
トニックウォーターは炭酸水に柑橘類の皮から抽出されたエキスや糖分を加えたもので、ウォッカと割ることで「ウォッカ・トニック」となります。炭酸水で割るよりも味や香りがあるので、アルコールが苦手だけどさわやかにお酒を楽しみたい方におすすめです。お好みでレモンやライムなどを絞ると更にさわやかさが増しますよ。
ウォッカ …45ml
トニックウォーター...適量(120ml)
ウォッカをオレンジジュースと割れば、居酒屋などのメニューでもよく見かける「スクリュー・ドライバー」になります。ウォッカ系のカクテルでは一番飲みやすいと言われるカクテルですが、ベースがウォッカということもあり、意外と度数が高く、女性を酔わせやすいキラーカクテルとも呼ばれているので要注意です。
名前の由来は、アメリカの油田の労働者がウォッカとオレンジ・ジュースをねじ回しでかき混ぜたのが始まりとされています。
ウォッカ …45ml
オレンジジュース...適量(90~120ml)
ちなみに、ソーダを適量加えることで「ウォッカ・オランジーナ」というカクテルになり、パイナップルジュースを加えれば「ウォッカシンデレラ」という、さらにフルーティで口当たりの良いカクテルになります。
「モスコー・ミュール」も言わずと知れた有名カクテルの1つで、飲みやすさから大衆人気のあるカクテルです。ジンジャーエールは甘口と辛口がありますが、どちらで割っても違った美味しさがあります。ライムがなくても十分美味しいですよ。
ウォッカ …45ml
ジンジャーエール...適量(120ml)
ライム・ジュース...10ml
「ルシアン・コーク」も言わずと知れた有名カクテルの1つで、飲みやすさから大衆人気のあるカクテルです。とても飲みやすく、ゴクゴクと飲めてしまいますが、ウォッカベースなので度数が高く、コーラは糖分量が多いので、飲みすぎに注意です。
ウォッカ …45ml
コーラ...適量(120ml)
「カミカゼ」は、第二次世界大戦での神風特別特攻隊から名前を採られた、切れ味が鋭い辛口のカクテルです。日本風の名前ですが、誕生したのはアメリカと言われています。ウォッカ、ホワイト・キュラソー、ライム・ジュースの割合を変えれば、さまざまなテイストを楽しむことができ、人気のカクテルです。
ウォッカ …20ml
ホワイト・キュラソー…20ml
ライム・ジュース…20ml
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