本記事ではコーンフラワーとポレンタの違いを解説します。
コーンフラワーは、とうもろこしを原料に作られるとうもろこし粉の一種です。とうもろこし粉にはコーンフラワーの他にもコーングリッツ、コーンミールがあります。それぞれ粒子の大きさが異なり、コーンフラワーはとうもろこし粉の中で最も粒子が細かく、トルティーヤやコーンブレッド、イングリッシュマフィンを作るときなどに使われます。
ポレンタは、とうもろこし粉をお粥状に煮たイタリアの伝統的な料理です。「ポレンタ粉」と呼ばれるポレンタ粉を作るための製品も販売されていますが、中身はコーングリッツまたはコーンミールです。
ポレンタはとうもろこし粉を使って作られる料理の一つですが、とうもろこし粉の中でもコーンフラワーよりも粒子が大きいコーングリッツやコーンミールを使われるのが一般的です。
コーンフラワーは、とうもろこしを原料に作られる粉です。英語で「Cornflower」と表記します。
コーンフラワーは、一般的に食べられているスイートコーン(甘味種)やポップコーンの原料となる爆裂種ではなく、デントコーン(馬歯種)やフリントコーン(硬粒種)という品種のとうもろこしが原料として使われます。
とうもろこしの製粉方法には大別してドライミリング(乾燥製粉)とウェットミリング(加湿製粉)との2種類あり、コーンフラワーはドライミリングによって製粉しています。
ドライミリング(乾燥製粉)は、胚乳や胚芽など植物の構成組織で分離する方法です。コーンフラワーは、分離した胚乳の部分を粗く粉砕して完成します。
ちなみに、ウェットミリング(加湿製粉)はでんぷんやタンパク質などを化学的な構成成分で分離する方法で、分離したでんぷんを乾燥させて粉状にしたものがコーンスターチになります。
コーンフラワーの見た目は小麦粉に似ていて、粒子が細かく黄みがかっています。
コーンフラワーはコーンブレッドの原料として使われることが多いです。
コーンブレッドはアメリカで古くから愛されている伝統的なパンで、とうもろこしの優しい甘さが特徴です。アメリカ南部では、砂糖を少なめにして焼いて、チリコンカンなど豆類と合わせて朝食に食べることが多く、アメリカ北部では砂糖と小麦粉を加えてケーキ風に焼き上げることが多いです。
イングリッシュマフィンは、ベーキングパウダーなどで発酵させた丸い生地に、コーンフラワーをまぶして焼いたパンです。名前に「マフィン」とついていますが、洋菓子のマフィンとは異なります。洋菓子のマフィンと区別をするために「イングリッシュマフィン」と呼ぶようになったといわれています。イングリッシュマフィンは、目玉焼きやソーセージなどと一緒に朝食に食べられることが多いです。
コーンフラワーは水を吸収する特徴があり、薄く伸ばしやすいためトルティーヤを作るときの材料として使われることも多いです。
上述したようにトルティーヤを使った料理には様々あり、例えばトルティーヤをオーブンで焼いたり油で揚げると手軽にトルティーヤチップスを作ることができます。
コーンブレッドやイングリッシュマフィン、トルティーヤの他にも、ベーグルなどそのほかのパンを作ることもできます。
コーンフラワーにはグルテンが含まれていないため、パンを作るときは強力粉や薄力粉と合わせて使う事が多いですが、ベーキングパウダーを使えば強力粉や薄力粉なしでも作ることができます。
コーンフラワーは、クッキーやスコーンなどの焼き菓子を作るときに使うこともできます。
コーンスターチは、保水力が少ないためコーンフラワーを使って焼き菓子を作ると小麦粉を使用して作る焼き菓子とは異なり、ほろほろとした食感になるのが特徴です。
コーンフラワーを原料にパスタを作ることもできます。
コーンフラワーのパスタは一般的な小麦粉を原料に作られるパスタとは異なりとうもろこしの優しい風味があり、アレルギーを持っている人やグルテンフリーの方にはぴったりの食材です。
コーンフラワーは、ウガリなどの伝統料理の原材料としても使われます。
ウガリとは、ケニアやタンザニアなどアフリカ東部で主食として食べられている伝統的な料理です。コーンフラワーやコーンミールなどのとうもろこし粉に水を加えて練りあげて作り、お粥状や団子状にして食べます。
コーンフラワーを使って優しいとうもろこしの甘みがあるスープを作ることができます。
また、コーンクリームシチューを作ることもできます。市販のシチューのルーと合わせて使って作ることもできますし、薄力粉と合わせればルーなしでも作ることが可能です。
とうもろこしは消化しにくいですが、コーンフラワーはとうもろこしを粉状にしているため、コーンフラワーのスープは消化機能が未熟な赤ちゃんの離乳食にもぴったりです。ただし、どんな食べ物でアレルギー反応が起こる可能性は0ではありませんので、はじめて食べさせる場合は少量ずつ様子をみながら与えましょう。
コーンフラワーは、揚げ物の衣として使うこともできます。
例えば骨付きの鶏肉をコーンフラワーと薄力粉(はくりきこ)を合わせた衣で揚げると、フライドチキンを作ることができます。コーンフラワーを衣にすると、サクサクとした食感に仕上がるのでおすすめです。
また、天ぷらなの衣にコーンフラワーを使うことも可能です。コーンフラワーには小麦粉とは異なりグルテンが含まれないため水に溶いてもだまになりにくい利点があり、サクっとした食感に仕上げることができます。
ポレンタはお粥状のイタリアの伝統料理です。
ポレンタの原料は、とうもろこしを原料に作るとうもろこし粉です。
とうもろこし粉の中でも、粒子が大きいコーングリッツやコーンミールを使って作られることが多く、「ポレンタ粉」と呼ばれるポレンタ粉を作るための製品も販売されていますが、中身はコーングリッツまたはコーンミールです。
ポレンタはコーングリッツやコーンミールなどのとうもろこし粉とお湯と塩を火にかけて、中火で40分〜1時間程かき混ぜながら加熱します。
マッシュポテトくらいもったりとしてきたら火を止めて、完成です。
ポレンタの発祥については諸説ありますが、一般的にはイタリア北部でとうもろこしが栽培されるようになったのがきっかけだったといわれています。
イタリア北部の山岳地帯では、とうもろこしが小麦や米よりも育ちやすかったことから、ポレンタが主食として根付いていきました。特に18世紀には、北部イタリアでジャガイモの栽培が禁止されたことから、ポレンタがますます重要な食料として広がりました。
「ポレンタ」という生の由来も諸説ありますが、一般的にはラテン語の 「pullenta」 または 「pultem」 に由来するといわれています。
「pullenta」は、古代ローマ時代に食べられていた、とうもろこしや小麦を粉にして水や牛乳で煮た粥のことです。この 「pullenta」が、中世イタリアで発展し地域によって異なる材料や調理法で作られるようになり、「pullenta」 が 「polenta」と呼ばれるようになりました。
また、「pultem」は、古代ローマ時代に小麦や大麦を粉にして煮込んだ粥のことで、これもポレンタの起源となった可能性があると考えられています。
ポレンタの食べ方は、地域や家庭によって異なります。例えば、ロンバルディア州では、ポレンタを茹でた後にスプーンで盛り付け、肉や野菜と一緒に食べるのが一般的で、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州では、冷めたポレンタを焼いて食べるのが一般的です。
また、ポレンタには様々なトッピングが用いられ、肉や野菜、チーズ、トマトソースなどがよく使われます。
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