小麦粉とコーンフラワーの違いをご存知でしょうか。本記事では小麦粉とコーンフラワーの違いやお互いに代用できるのかどうかを詳しく解説します。
小麦粉の原料は小麦です。
小麦もイネ科の植物です。軟質小麦(なんしつこむぎ)中間質小麦(ちゅうかんしつ)硬質小麦(こうしつこむぎ)があり、原料に使われる小麦の品種によって薄力粉・中力粉・強力粉と分類されます。
軟質小麦は粒の柔らかい小麦で胚乳が薄力粉の原料になります。中間質小麦は粒がやや硬く、胚乳が中力粉の原料になります。硬質小麦は粒の硬い小麦で胚乳が強力粉の原料になります。
小麦粉は、多数のロール製粉機とふるいの組み合わせにより小麦の胚乳組織を粗く砕いて分離し、これを粉砕するという方法で作られています。粉砕する際に数十種類の粉が得られますが、最終的には2〜4種類に仕分けされて、その性状により希望する等級になるようにそれぞれの粉を組み合わせるという製造方法で作られています。
コーンフラワーはとうもろこしの胚乳を原料に作られるとうもろこし粉の一種です。
一般的に食べられているスイートコーン(甘味種)やポップコーンの原料となる爆裂種ではなく、デントコーン(馬歯種)やフリントコーン(硬粒種)という品種のとうもろこしが原料として使われます。
とうもろこし粉は粒子の多きさによってコーングリッツ、コーンミール、コーンフラワーと分類され、コーンフラワーは最も粒子が細かいです。
とうもろこしの製粉方法には大別してドライミリング(乾燥製粉)とウェットミリング(加湿製粉)との2種類あり、コーンフラワーはドライミリングによって製粉しています。
ドライミリングは、胚乳や胚芽など植物の構成組織で分離する方法です。コーンフラワーは、分離した胚乳の部分を粗く粉砕にしたものがコーンフラワーです。
小麦粉の見た目は白色です。見た目だけでは薄力粉・中力粉・強力粉を判別することはできませんが、それぞれ感触が異なります。
薄力粉の原料である軟質小麦の粒は柔らかいため、製粉すると粒子が細かくなります。触るとしっとりしていて、手でぎゅっと握るとある程度固まります。
強力粉と中力粉の原料である中間質小麦と硬質小麦の粒は硬いため、製粉すると粒子が粗くなります。そのため、サラサラとしていて手でギュッと握っても固まりません。
コーンフラワーの見た目はクリーム色で、粒子が細かく小麦粉の触感と似ています。
コーンフラワーはとうもろこしを粉末状にしたものなので、とうもろこしの野菜い甘みと風味があるのが特徴です。
ライ麦粉と小麦粉は、原料が異なるためグルテンの有無にも違いがあります。
グルテンとは弾力に富むが伸びにくいグルテニンと、弾力は弱いが伸びやすいグリアジンの2種類のたんぱく質が、水分によって結びついたものです。例えば、パンなどの「ふわふわ、モチモチ」という食感はこのグルテンによってもたらされます。
小麦のたんぱく質にはグルテニンとグルアジンが含まれているため、水分を加えるとグルテンが形成されます。
小麦粉のグルテンの含有量は小麦の品種によって異なります。
薄力粉のグルテンの含有量は6.5~8%(原料小麦によって違いがあります)で小麦粉の中で最も少なく、強力粉のグルテン含有量は11.5~13.5%と最も多いです。中力粉のグルテン含有量は8~9%で薄力粉と強力粉の中間です。
とうもろこしにはグルテニンとグルアジンは含まれていないため、水分を加えてもグルテンは形成されません。
そのため、コーンフラワーを使ってパンなどを作ってもふんわりとさせることはできませんが、グルテンはアレルギーの原因となる他、消化されにくいという性質があり、むくみの原因となったり、疲れやすくなるなどの症状が身体に出ることもあります。近年グルテンを摂取しないグルテンフリーの生活を実践する人も多くいます。
コーンフラワーにはグルテンは含まれていないので、小麦アレルギーやグルテンを摂取したくない方も使うことができます。
小麦粉はパンや焼き菓子や麺を作ったり、唐揚げなど揚げ物の衣として使われることが多いです。
グルテンが含まれている小麦粉を使用することで、ふんわりふっくら仕上げることができます。パン作りに使われることが多いのは強力粉、うどんなどの麺を作るのに使われるのが多いのが中力粉、揚げ物の衣やクッキーなどサクッと仕上げたい焼き菓子に使われることが多いのが薄力粉です。
コーンフラワーは、上述したようにとうもろこしの優しい甘みがあり、焼くことで香ばしさを出すことができます。そのため、コーンブレットやイングリッシュマフィン、トルティーヤなどのパンの原料として使われたり、クッキーなどの焼き菓子やコーンフレーク作るときに使われることが多いです。
コーンスープやお粥を作ったり、揚げ物の衣として使うこともできます。
小麦粉の代用品として、コーンフラワーを使うことは可能です。ただし、上記で紹介したように原料が異なるものなので、食感や風味に違いがでます。
小麦粉の代用品としてコーンフラワーでパンを作ると、コーンフラワーにはグルテンが含まれていないため小麦粉を使用したときのようにふんわりとはしません。また、ほんのりとうもろこしの甘みを感じる味わいになります。
あまりふんわりとさせない薄焼きパンを作るときの代用には適しています。コーンブレッドを使ってふんわりと仕上げたい場合には、ドライイーストを合わせて使うと良いです。
小麦粉の代用品としてクッキーやスコーンなどの焼き菓子を作ることも可能です。ただし、この場合も風味や食感に違いがでるので、小麦粉を使ったときと同じようにはなりません。
コーンフラワーは保水力が少ないため、例えばコーンフラワーを使ってクッキーやスコーンを作ると、ほろほろっとした食感になります。サクっとした食感を出したいときには不向きであるといえるでしょう。
小麦粉の代用品として、コーンフラワーを揚げ物の衣にすることもできます。ただし、この場合も小麦粉とは仕上がりに違いがでます。
コーンフラワーを揚げ物の衣にすると、とうもろこしの香ばしい風味がします。食材によっては味を損ねてしまったり、違和感を抱くこともあるでしょう。コーンフラワーを揚げ物の衣にするときの代用品として使うのであれば、天ぷらにするのがおすすめです。
小麦粉の代用品としてコーンフラワーを使うことができる一方で、小麦粉はコーンフラワーの代用品として使える場合と使えない場合があります。
トルティーヤを作るときのコーンフラワーの代用品として小麦粉を使うことはできます。近年は小麦粉を使って作られているトルティーヤも多く、特にコーンフラワーがあまり主流ではない日本では小麦粉を使ってつくられていることがほとんどです。
ただし、小麦粉のみでトルティーヤを作るとコーンフラワーのようなとうもろこしの甘みや風味を出すことはできません。
コーンフラワーの甘みや風味を生かして作る、コーンブレッドやイングリッシュマフィン、お粥は小麦粉を使って作ることはできません。やはり、原料が異なるので小麦粉で作ることはできても全くの別物になってしまうので代用できるとは言えないでしょう。
コーンフラワーの代用品として小麦粉を難しいということはおわかりいただけたかと思います。コーンフラワーの代用に向いているは、下記で紹介するコーングリッツやコーンミールです。コーンフラワーと同じくとうもろこしを原料に作られているため、用途はほぼ同じで風味も同じです。
コーングリッツもとうもろこしを原料に作られ、製造方法も同じです。コーングリッツはコーンフラワーの代用品になります。
コーングリッツはコーンフラワーと比較して粒子が大きいのが特徴です。そのためコーングリッツで代用すると食感などに違いがでます。例えばイングリッシュマフィンを作ったり、揚げ物の衣にすると、よりカリッとした食感を楽しむことができます。スープにもつぶつぶとした食感が残ります。
コーンミールはコーンフラワーの代用品になります。ただし、コーンミールもコーンフラワーと粒子の大きさが異なるため、食感などに違いが出ます。
例えば、コーンミールを使ってイングリッシュマフィンを作ったり、揚げ物の衣にするとコーンミールよりもカリッとした食感に仕上がりますが、コーングリッツほどカリっとはしません。コーンミールは「ポレンタ」と呼ばれるイタリアの伝統的な料理であるお粥を作るときにもよく使われます。
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