クリアなテイストで、様々なカクテルのベースとして使われることの多いウォッカ。この記事ではウォッカを使った様々なカクテルのうち、辛口なテイストのカクテルを紹介します。
ウォッカは、大麦、小麦、ライ麦、ジャガイモといった穀物などの原料を加工して造られる、ロシア発祥の蒸留酒(スピリッツ)の一種です。蒸留酒はアルコール度数が高く、火をつければ燃えることから、「火酒(かしゅ)」と呼ばれることもあります。ウォッカはアルコール度数が40度と高く、氷点下でも凍らないため、超低温地域で重宝されてきた歴史があります。
ウォッカは製造過程において、白樺の木炭などのフィルターで濾過する工程があり、これによって雑味が取り除かれるため、無味無臭ですっきりとした味わい、まろやかな爽快感が特徴的で、世界4大スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ)の中では最も癖のない風味と言われています。
なお、クリアさが特徴的なウォッカですが、香りや味を加えた「フレーバードウォッカ」もあり、世界中で様々な味のウォッカが流通しています。
これらの特徴から、カクテルベースとして使われることが多いものの、ストレートやロックなど、様々な飲み方で嗜まれています。
「カクテル(cocktail)」とは、ウイスキー、ウォッカなどのアルコール度数の高いお酒をベースにして、ジュースや果汁、リキュール、薬味などを加えた混合酒のことです。
ロングとショートには度数やグラスの大きさ、氷の有無など様々な違いがあります。
「ショートカクテル」は、脚の長い逆三角形の「カクテル・グラス」などが使われるカクテルで、グラスに氷が入っていないので時間が経つとぬるくなってしまい、風味が劣ってしまうため、早めに飲むのが良いとされているカクテルです。
ショートカクテルの多くはウォッカやジンなどのスピリッツをベースにリキュールや果実・卵・香辛料をミックスして作られるカクテルで、量は少なめで、アルコール度数が高めなのも特徴です。
飲み切る時間の目安としてはお酒の温度が変わるまでの15分とされており、バーでは「ショートカクテルは3口で飲め」という教訓もあります。
一方、「ロングカクテル」は大きめのグラスに氷が入っているカクテルで、居酒屋などでもよく見かけるカクテルが多いです。氷が入っているのでショートカクテルよりも長く楽しむことができますが、時間が経つと氷で味が薄まってしまいます。
ロングカクテルもウォッカやジンなどのスピリッツをベースにトニックウォーターや炭酸水、柑橘類、ジュースなどをミックスして作られるカクテルで、アルコール度数は低めなのも特徴です。
飲み切る時間の目安としては30分とされており、それ以上時間が経つと氷が解けて風味が変わってしまうでしょう。
カクテルの味は甘口、中口、辛口などに分類されることが多いですが、その中でも「辛口」のカクテルは、ベースとなる高アルコール度数の蒸留酒(ジン、ウォッカなど)のきりっとした強いアルコール感を嗜むめるカクテルを指します。
代表的なものでは、ウォッカベースの「カミカゼ」やジンベースの「マティーニ」などがあります。
この項目では、手に入りやすい割材で、ウォッカと混ぜるだけで簡単に作れるカクテルを紹介します。
※紹介している割合はあくまで目安なので、好みに合わせて調節してください。
ウォッカそのものを楽しみたい方で、ウォッカをすっきりとヘルシーに飲みたい方におすすめです。ただし、割材に味や風味がない分、アルコール感が強いので、アルコールの味が苦手という方は炭酸水を増やすか、ウォッカを減らすとよいでしょう。
★割合は、ウォッカ:炭酸水=1:3
トマトジュースと割ることで、赤い見た目が鮮やかな「ブラッディ・メアリー(マリー)」というカクテルになります。トマトジュースに含まれるリコピンという成分には酔いを穏やかに進める効果があるなど、やや健康志向なカクテルです。お好みでレモンジュース、タバスコ、ウスターソース、塩、コショウを加える方もいるようです。
★割合は、ウォッカ:トマトジュース=1:3
カクテルでは定番のライムもウォッカとの相性は抜群です。ウォッカにライム果汁を絞ればそのまま「ウォッカ・ライム」になります。
★割合は、ウォッカ20mlに対し、ライム1/3
また、ウォッカ・ライムに砂糖(シュガーシロップ)を加えれば「カイピロスカ」に、ソーダを加えれば「ウォッカ・リッキー」になります。ライムジュースを使った「スレッジ・ハンマー」、「カミカゼ」は後の項目でそれぞれ紹介します。
ウォッカの辛口カクテルのうち、定番のものを紹介します。
「コザック」は、20世紀以前の帝政ロシアの騎兵隊のコサックに由来する、強めで辛口のカクテルです。ウォッカとブランデーという強いアルコール同士の組み合わせを、強靭な兵士に例えて名付けられたと言われています。アルコール度数は約25度です。
ウォッカ …20~30ml
ブランデー…20ml
ライム・ジュース…10ml
シュガー・シロップ…1tsp(小さじ1)
「ブルー・ラグーン」は、フランス生まれの王道カクテルで、ブルー・キュラソーの青が鮮やかで、華やかなおしゃれな雰囲気のある、さっぱりとした味わいのカクテルです。アルコール度数は約25度です。
ウォッカ...30ml
ブルー・キュラソー...20ml
レモン・ジュース...20ml
スライス・レモン…1枚
マラスキーノ・チェリー…1個
「ウォッカ・アイスバーグ」は、ヨモギが原料の独特なハーブ系リキュール「アブサン」を使った、やや強めで辛口のカクテルです。癖になる味が世界中で人気です。アルコール度数は約30度です。
ウォッカ...30ml
アブサン...2dashes(2振り、10~12滴)
ウォッカ+ドライ・ベルモットで作る「ウォッカ・マティーニ」は、映画「007」内で主人公のジェームズ・ボンドも注文したクールで大人のカクテルで、「カンガルー」とも呼ばれています。アルコール度数は約30度です。
ウォッカ...45ml
ドライベルモット...15ml
オリーブ...1個
レモン・ピール...適量
「カミカゼ」は、第二次世界大戦での神風特別特攻隊から名前を採られた、切れ味が鋭い辛口のカクテルです。日本風の名前ですが、誕生したのはアメリカと言われています。ウォッカ、ホワイト・キュラソー、ライム・ジュースの割合を変えれば、さまざまなテイストを楽しむことができ、人気のカクテルです。アルコール度数は約30度です。
ウォッカ …20ml
ホワイト・キュラソー…20ml
ライム・ジュース…20ml
「スレッジ・ハンマー」は、両手で扱う程の大きなハンマーを意味するカクテルで、その名の通りガツンと強い辛口のカクテルです。ただし、さわやかなので意外と口当たりはよく、人気のあるカクテルです。アルコール度数は約35度です。
ウォッカ …50ml
ライム・ジュース …10ml
「スレッジ・ハンマー」にシュガーシロップを加えたカクテルは「ウォッカ・ギムレット」と呼ばれています。
ウォッカはロシア発祥ということでウォッカベースのカクテルもロシア由来の名前が付けられていることが多いですが、「バラライカ」もロシアの民族楽器から名前がとられたカクテルです。レモンの爽やかな風味が特徴で、男女問わず人気のカクテルです。アルコール度数は約30度です。
ウォッカ …2/4
ホワイトキュラソー …1/4
レモンジュース …1/4
「月曜日の憂鬱な気分」を表現して作られたと言われる「ブルー・マンデー」は、ブルー・キュラソー由来の爽やかな青い見た目が特徴的なカクテルです。憂鬱な気分とはいうものの、高いアルコール度数の辛口カクテルとなっています。アルコール度数は約35度です。
ウォッカ …45ml
ホワイト・キュラソー…15ml
ブルー・キュラソー…1tsp
ウォッカの辛口カクテルのうち、ややマイナーなものを紹介します。
フランス語で「大賞」を意味する名前のカクテル「グランプリ」は、あっさりとした上品な香りと、ドライな中にほんのり甘みが感じられる味わいが特徴的なカクテルです。アルコール度数は約30度です。
ウォッカ...30ml
ドライ・ベルモット...25ml
コアントロー...5ml
レモンジュース...1tsp(小さじ1)
グレナデンシロップ...1tsp(小さじ1)
「シシリアン・マティーニ」は、ちょっと珍しい黒いサンブーカ「ブラック・サンブーカ」でウォッカを割った強めで辛口のカクテルです。サンブーカの持つ、八角由来の独特な風味を楽しむことのできるカクテルです。アルコール度数は約40度です。
ウォッカ …40ml
ブラック・サンブーカ…10ml
レモン・ピール...適量
「昇天」は、世界一のアルコール度数を誇るウォッカ「スピリタス」と、これまた世界一のアルコール度数のリキュール「ラッテ・リ・ソッチラ」を融合させた天にも昇るカクテル。アルコール度数は約70~80度と非常に高いものの、うまく空気を溶け込ませるようにシェークすると飲み口は意外とやさしいと言われています。
ウォッカ(スピリタス)…30ml
ラッテ・リ・ソッチラ…30ml
ロシア語で「同志」「仲間」という意味を持つ「タワーリシチ」は、カレーなどに使うスパイスで、古くは惚れ薬の材料とされていた「キャラウェイ」を主原料とするハーブリキュール「キュンメル」を使ったカクテルです。キュンメルの持つキレのあるハーブの香りと、さわやかなライムの風味が楽しめますよ。アルコール度数は約30度です。
ウォッカ …30ml
キュンメル …15ml
ライム・ジュース …15ml
「テイク・ファイブ」は、アメリカのジャズ・ピアニスト、デイブ・ブルーベック氏が1959年に発表した名曲「Take Five」に触発された、デンマーク人のバーテンダーが生み出したカクテルです。シャルトリューズのハーブの香りと、ライムの酸味がスパイシーな辛口のカクテルです。アルコール度数は約30度です。
ウォッカ...30ml
シャルトリューズ ヴェール...15ml
ライムジュース...15ml
「トロイカ」は、すっきりと爽やかな風味が特徴的な、見た目も透明で美しいカクテルです。さっぱりしているのでどのような食事やシチュエーションでも飲みやすいカクテルです。アルコール度数は約30度です。
ウォッカ …20ml
ホワイト・キュラソー…20ml
レモン・ジュース…20ml
カクテルを作る際、レシピに登場する専門用語を紹介します。
容量180~300ml。「ロックグラス」という名称の方が一般的で、主にオンザロックススタイルの強めのカクテルに用いられます。口径が広く、大きな氷がそのまま入るため、ロック向きとされています。
容量90mlが標準。ドラマや映画によく登場する、脚の長い逆三角形のグラスで、主にショートカクテル用です。逆三角形の部分(ボウル)が鋭角なほど強いカクテルに合います。ちなみに、グラスの形には理由があり、長い脚の部分「ステム」を持つことでカクテルの温度が上昇するのを防ぐことができます。
容量300ml程度。グラスの脚が短く安定感のある形状で、グラスのフチにカットフルーツを飾るようなトロピカル系のカクテルでよく使われています。
容量300~360ml。トールグラスとも呼ばれます。細長い形状が特徴的で、炭酸が抜けにくいことから発泡性のカクテルに向いています。背の高いものは、材料のグラデーションを楽しむおしゃれなカクテルにも使われます。
容量120mlが標準。主に柑橘類を使ったサワースタイルのロングカクテルに用いられます。日本では脚付きのものがほとんどですが、外国では平底のタイプも用いられています。
容量60~75ml。スペイン産ワインの「シェリー酒」を飲むために作られたグラスで、ストレートにもカクテルにも応用ができる用途の広いグラスです。
飲み口が大きく背の低い「ソーサータイプ」と、飲み口が小さく背の高い「フルートタイプ」があります。ソーサータイプは泡立っているカクテルやクリームを浮かべるカクテルに、フルートタイプは発泡性のカクテルに向いています。
10オンス(300ml)が標準。用途は多様で、カクテルでは、氷をたくさん入れるロング・カクテルでよく使用されます。二重構造で保冷力が長持ちするタンブラーもありますよ。
容量30~45mlと小さめです。本来はストレート用ですが、見た目の美しいプースカフェスタイルのカクテル(食後に飲むカクテル)に使われることがあります。
ワインの色・香り・味を余さず楽しむためのグラスです。赤ワインは大ぶりのもの、白ワインは小ぶりのものが適しています。カクテルでも時々使われることのあるグラスです。
カクテルの中に沈めるフルーツに刺したり、花やフルーツをカットして作る「ガーニッシュ」を飾る際に使用するピンです。
その名の通り、シェイクする際に使用する器具で、トップ(蓋)、ストレーナー、ボディの3つのパーツに分かれています。ボディの中に材料と氷を入れ、ストレーナーとトップを被せて、強く振って中身をかき混ぜて使います。
また、ボディとティンの2パーツからなるボストンシェーカーも存在し、より激しいシェイクをする事が出来ます。主に、卵白やクリーム系、フルーツなどの材料を扱う場合に使用します。
シェーカーの形にもいくつか種類があり、一般的な「スタンダード型」、細長い「バロン型」があり、ボストンシェーカーにはティンがスケルトンになっているおしゃれなものもあります。
シェーカーの部品ではないストレーナー単体は、へら型のステンレス板に、らせん状のワイヤーを取り付けた道具です。ミキシンググラスやボストンシェーカーと一緒に使用される事が多く、氷を取り除き液体のみを注ぐ事が出来ます。
長い棒状のスプーンで、中央の棒部分はらせん状にねじれているので、スムーズに液体を回転させ材料をかき混ぜる事が出来ます。また、スプーンの反対部分は様々な形があり、フォーク、重し、氷よけなどになっています。
一般でいうミキサーのこと。シェーカーでは混ざらないカクテルを作る際に使用されます。カクテルの用語で「ミキサー」とは「割り材」、すなわち、水、炭酸水、トニック・ウォーター、ジンジャー・エール、コーラ、オレンジ・ジュース、トマト・ジュースなど、割るために用いる飲料の総称を指します。
かき混ぜる「ステア」の技法の際に使用するグラスです。主に円柱型の大型のグラスの形状で注ぎ口が付いており、内側はバースプーンが回転しやすいように丸くなっています。
「シェイク」の技法は、シェーカーの中に氷と材料を入れ蓋をし、強く振って中身を混ぜ、グラスに液体を注ぐ技法です。混ざりにくい材料を混ぜる際や、アルコール度数の高いカクテルベースやリキュールの角を取り、飲みやすくするために用いられます。
「ステア」の技法は、混ざりやすい材料を、氷を入れたミキシング・グラスに注ぎ、バー・スプーンなどで手早くかき混ぜる技法で、素材の味わいや香りを活かす際に用いられる技法です。
「ブレンド」の技法は、ブレンダー(ミキサー)を使用して、機械の強い力によって材料を混ぜ合わせる技法。
主に、フレッシュフルーツを混ぜ合わせる際や、氷と材料を混ぜ合わせてフローズンカクテルを作る際に使用されます。
「ビルド」の技法は、シェーカーやミキシンググラスなどを使用せずに、グラスの中に直接材料や氷を入れかき混ぜて完成させる技法です。
水割りやソーダ割り、ロングカクテルで主に使用されます。
「スノースタイル」は、グラスのフチをレモン汁で濡らし、食塩や砂糖を付着させるデコレーション技法です。なお、スノースタイルという呼称は和製英語で、英語では、「rimmed with salt」、「rimmed with sugar」といいます。
「コーラルスタイル」は、グラスのフチをシロップやリキュールで濡らし、塩や砂糖を付着させるデコレーション技法です。グラスのフチに幅広くデコレーションするのが特徴です。
バースプーンのスプーンすりきり1杯分の量で、小さじ1杯と同量の約5mlです。
ボトルを逆さにし、1振りで落ちてきた液体の量で、およそ5~6滴とされ、約1mlです。
1オンス=約30mlです。アメリカとイギリスで量が微妙に異なり、米ガロン法では1/16パイント(約29.57ml)、英ガロン法では1/20パイント(約28.41ml)です。
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