太白胡麻油は、生の状態のごまを原料に作る植物油の一種です。 本記事では米油が太白胡麻油の代用になるのか解説します。
太白胡麻油(たいはくごまあぶら)は、生の状態のごまを原料に作る植物油の一種です。
ごまには大別して「黒ごま」と「白ごま」があります。太白胡麻油の色から白ごまを使っていると思われがちですが黒ごまを使って作られていることもあり、多くは白ごまと黒ごまをミックスして使われています。
太白胡麻油は、食用油や界面活性剤の製造・販売を行っている「竹本油脂株式会社」が大正時代に料理人からの要望をうけて商品化したものです。「太白」には古代中国における金星の呼び名で、品質とおいしさに磨きをかけて作られたごま油を光り輝く金星に例えて「太白胡麻油」と名付けたそうです。
出典:竹本油脂株式会社
太白胡麻油は生のごまから油を抽出し、さらに精製・ろ過しているため色は透明に近く、ごま特有の香りやクセがなくすっきりとした味が特徴です。
また、原料であるごまには「ゴマリグナン」と呼ばれる抗酸化作用がある成分が多く含まれているためサラダ油などと比較して酸化しにくいという性質があります。
太白胡麻油の主成分は、不飽和脂肪酸であるオレイン酸とリノール酸です。たんぱく質や炭水化物は含まれていませんが、ビタミン類やミネラル類を含む他、ごま特有の成分ゴマリグナンなどを含んでいます。
ゴマリグナンは、ごまに含まれているセサミンやセサモリン、セサミノール、セサモールといった成分の総称です。ゴマグリナンには高い抗酸化作用があり、体内の活性酸素を取り除くことができるため、がん細胞の成長抑制の効果が期待できる他、心血管疾患や生活習慣病の予防にも繋がります。また、ゴマリグナンの中のセサミンは肝臓を守り、機能を高めます。さらにアルコールが分解される途中でつくられる毒素やアセトアルデヒドの生成もおさえるので悪酔いや二日酔いを防ぐ効果もあります。
太白胡麻油は、唐揚げなどの揚げ物を作るときの揚げ油として使うことができます。
ごま油ではごま特有の風味が強くなりますが、太白胡麻油はごま特有の香りや風味がしないため食材の味を邪魔することなくカラっと揚がり、サラダ油で揚げるよりも栄養価を高めることができます。
また、揚げ物に使われるサラダ油などの一般的な油は高温で加熱すると空気中の酸素と反応し酸化してしまい劣化してしまうため、繰り返し使うと嫌な匂いを発生することが多いのですが、太白胡麻油は酸化しにくいため揚げ油として繰り返し使っても嫌な匂いが発生しません。
太白胡麻油を使って野菜炒めなどの炒め物を作ることもできます。
ごま油を使って炒めものを作るとごまの風味と香ばしさが強く出ますが、太白ごま油を使うと食材の持ち味を邪魔することなく豊かなゴマのコクが出てスッキリとした味わいになります。
太白胡麻油は、香りが少なくうま味が強いためオイル漬けにも適しています。例えば、煮詰めた牡蠣など食材を保存容器に移してから、たっぷりと太白胡麻油を入れて2日〜1週間ほど漬け込むだけで簡単にオイル漬けを作ることができます。
太白胡麻油はドレッシングとしても使うことができます。
野菜にかけるだけでコクと甘みをプラスすることが出来ます。太白胡麻油をそのままかけるだけでも良いのですが、レモン汁などを加えても乳化性が良いため失敗することなくお好みのドレッシングを作ることができます。
ごま油といえば炒め物などの料理に使うことが多いですが、太白胡麻油はバターの代用品としてクッキーやケーキ、マフィン、カステラなどの焼き菓子やフォッカチャなどのパンを作ることもできます。
固形で使うときに常温に戻したり溶かす必要があるバターに対して、太白ごま油は液体油脂であるため溶かす下準備不要で使いやすいという利点があります。また、焼き上がりは油っぽくなりにくく、時間がたってもふわふわしっとりとした状態を保つことができます。
米油は、米糠(こめぬか)を原料に作る植物油の一種です。
米油の使用用途は菜種油とほぼ同じであるため、太白胡麻油の代用になります。
米油は菜種油と同様に原料特有の匂いがなく、サラっとしていていてクセのない味が特徴です。太白胡麻油の代用に米油を使っても風味を変えてしまうことがありません。
太白胡麻油と米油はどちらも炒め物や揚げ物をするときに使うことができます。
太白胡麻油はごまの香りや風味が強い焙煎ごま油とは異なり、食材の持ち味を邪魔することなく食材に豊かなゴマのコクを与えスッキリとした味わいに仕上げることができます。一方で、上述したように米油も香りや風味にクセがないため食材そのものの味を邪魔することがありません、また、太白胡麻油と比較してさっぱりしていて、食材そのものの風味や旨味を活かすことができます。
太白胡麻油と米油はどちらもバターの代用品としてクッキーやマフィンなどの焼き菓子を作るのに適しています。どちらを無味無臭であるため出来上がりや味に大きな違いはありませんが、太白胡麻油を使って作ると、時間がたってもふわふわしっとりとした状態を保ちやすく、一方で米油はサクッと軽く仕上がりやすいです。
大豆油は、大豆の種子から抽出した植物油の一種です。
大豆油も太白胡麻油と同じように熱に強く、味にクセがなくあっさりとしているため代用品に適しています。
大豆油に含まれる脂肪酸の50~60%はリノール酸で、その他オレイン酸やα–リノレン酸、ビタミンEなども含まれていて栄養素も菜種油とほぼ同じです。マヨネーズやマーガリンの原料としても使われる他、菜種油やコーン油と調合して「サラダ油」として販売していることがあります。
ただし、大豆アレルギーの方は注意が必要です。
コーン油は、とうもろこしの胚芽から抽出した植物油の一種です。
コーン油も太白胡麻油と同じように熱に強く、味にクセがなくあっさりとしているため代用品になります。コーン油はとうもろこしの胚芽を原料作られているためほのかに香ばしい風味がします。太白胡麻油と同じように揚げ油や炒め油として使うことができます。
太白胡麻油と同じくリノール酸やオレイン酸を豊富に含んでいますが、ほかの植物油に比べてα-リノレン酸の含有量が少ないという特徴があります。
紅花油は、紅花の種子から抽出した植物油の一種です。
紅花油もクセがなくさっぱりとした味わいなので太白胡麻油の代用品になります。熱に強いため揚げ油や炒め油にも適していますし、サラダのドレッシングやマリネなど生のまま使用する料理にも適しています。
紅花には大別してリノール酸が多い「ハイリノール種」と、オレイン酸が多い「ハイオレック種」の2種類があり、現在はハイオレック種から抽出されているものが主流となっています。ハイオレック種にはビタミンEも豊富に含まれています。
エゴマ油はシソ科の植物である荏胡麻(エゴマ)の種子から抽出した植物油の一種です。
名前に「ゴマ」と入っているため「ごま油の一種」と思われることが多いですが、別の種類の植物から抽出した油です。実は古くから使われていた油で、菜種油(なたねあぶら)が普及するまでは日本で植物油と言えばエゴマ油であり、灯火にもこれが主に用いられていたといわれています。
エゴマ油はサラサラとしていて無味無臭、独特の風味などはありません。そのため菜種油の代用品になります。しかし、エゴマ油は主成分がα‐リノレン酸であるため熱に弱く、加熱しすぎると酸化してまうため揚げ油や炒め油の代用品には向いていません。ドレッシングを作るときの代用に適しています。
グレープシードオイルはぶどうの種子から抽出した植物油の一種です。
ぶどうの種子から抽出できるオイルはわずか10%程度と少なく、希少なオイルでワインの生産が盛んなイタリアやフランスなどで作られています。日本ではあまり見慣れないオイルではありますが、プロアントシアニジンやビタミンEなどが豊富に含まれている健康的な油として注目されており、日清オイリオグループなど様々なメーカーがが製造・販売しています。
グレープシードオイルはクセがなくさっぱりとした味わいの油で、食材そのもの風味や味を活かすことができます。
一般的に家庭で使われることが多いサラダ油ももちろん米油の代用品になります。
サラダ油は、油に含まれている蝋(ろう)を除去した日本生まれの植物油です。
原料はメーカーによって異なりますが、綿実・大豆・ごま・サフラワー・ひまわり・とうもろこし・ぶどう・菜種・米が使われます。2種類以上の植物油を合わせていることもあり、その場合「調合サラダ油」といいます。
サラダ油は蝋を取り除いていることにより、低温でも結晶化しないという大きな特徴があるため米油を使ってドレッシングを使いたいときの代用におすすめです。ちなみに、マヨネーズやドレッシングを作るときなどに使われることが多く、「サラダに使える油」という意味で日清オイリオが「日清サラダ油」という名前で販売したのが始まりです。現在は日本農林規格(JAS規格)が定めている基準を満たしているもののみが「サラダ油」と表示して販売することを許されています。
揚げ油としても使うことができますが、サラダ油は酸化しやすく冷めたときにべちょっとしてしまいやすく、油酔いもしやすいデメリットがあります。
サラダ油と同様に普段家庭で使われることが多いキャノーラ油でも代用可能です。
キャノーラ油は、菜種油の原料であるセイヨウアブラナを品種改良したキャノーラ種から抽出された植物油です。セイヨウアブラに含まれている不飽和脂肪酸の一種「エルカ酸」や病害虫を寄せ付けない働きをしている「グルコシノレート」という成分を長期間摂取することが心臓疾患の要因になる可能性があるという研究結果が発表されて以降、主要生産国であるカナダで品種改良されエルカ酸を含まずグルコシノレート含量も削減された品種がキャノーラです。
ドレッシングなど非加熱で使うときの太白胡麻油の代用に適しているサラダ油とは反対に、キャノーラ油は熱に強く酸化しにくいという特徴があるため、揚げ油や炒め油の代用におすすめです。
菜種油(なたねあぶら・なたねゆ)は太白胡麻油と同じようにクセがなくあっさりとしているため、代用可能です。
菜種油は、アブラナ科アブラナ属の植物セイヨウアブラナの種子から抽出した植物油の一種です。サラダ油の原料としても使われています。
菜種油も熱に強く酸化しにくいため、揚げ油や炒め油に使うときの太白胡麻油の代用に適しています。
オリーブオイルは、モクセイ科の植物オリーブの果実から抽出した植物油の一種です。
緑色でサラッとしていて高温に強く加熱しても酸化しにくいという特徴があり、揚げ油として使ったり炒め物をするときに使うことができる他、レモンなどを加えてドレッシングとして使うことも可能です。
そのため、オリーブオイルは太白胡麻油の代用品になります。ただし、太白胡麻油とは原料が異なるため風味などに違いがでます。オリーブオイルはほとんど香りや風味がしない太白胡麻油とは異なり、オリーブの香りが濃厚なものも多いため料理によっては味が全く異なってしまうことがあるので注意が必要です。
Most Popular
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
大根は中身が茶色に変色しても食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
ハンバーグが固くなる原因と柔らかく作るコツを徹底解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
トマト缶は一缶でトマト何個分?サイズ別に解説
食品事典
冬におすすめの天ぷら具材36品。冬野菜や冬が旬の魚介類を紹介
食品事典
舞茸の茹で時間は何分?正しい茹で方&下処理を解説
食品事典
里芋は生で食べられる?生食のメリットと注意点を解説。
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典