菜種油はアブラナ科アブラナ属の植物セイヨウアブラナの種子から抽出した植物油の一種で、家庭でも一般的に使われることが多い油です。本記事では米油は菜種油の代用になるのか解説します。
菜種油は、アブラナ科アブラナ属の植物セイヨウアブラナの種子から抽出した植物油の一種です。
「菜種」とはアブラナの別名です。古くは食用としてだけではなく灯火の燃料としても利用されており、現在日本で作られている植物油のうち最も生産量が多い油です。英語では「rapeseed oil」といいます。
菜種油の原料であるセイヨウアブラナは北海道など日本でも栽培されていますが、スーパーなどで販売されているものの多くは主にカナダやオーストラリアから輸入したものが使われています。
菜種油は原料の匂いや風味がなく、たんぱくな味です。そのため、どんな料理にもよくあいます。ただし、精製度の低い菜種油の場合、青臭さを感じることがあります。これは、アブラナに含まれている天然成分によるものです。加熱することで青臭さを消すことができます。
また、菜種油にはオレイン酸などの成分が豊富に含まれているため酸化しにくいという特徴があります。そのため炒め油や揚げ油などの加熱調理にも適しています。
菜種油100gに含まれている栄養成分は下記の通りです。
たんぱく質…0g
脂質…100g
炭水化物…0g
ビタミンE…15.2mg
ビタミンK…120μg
オレイン酸…58000mg
リノール酸…19000mg
α-リノレン酸…7500mg
菜種油には、不飽和脂肪酸の一種でオメガ9(n-9)系脂肪酸に属するオレイン酸と、オメガ6(n-6)系脂肪酸に属するリノール酸、オメガ3(n-3)系脂肪酸に属するα-リノレン酸を豊富に含み、その他にもビタミンEやビタミンKが含まれています。
菜種油は、上述したように高温になっても酸化しづらい性質があります。そのため、揚げ油として菜種油を使うと唐揚げや天ぷらなどをサクサクの食感に仕上げることができます。
揚げ油や炒め油として使われる油脂は空気中の酸素分子と反応することで酸化します。放っておくだけでも酸化してしまうのですが、さらに加熱することで酸化を促進します。酸化した油脂は色や味が変化するだけでなく栄養価が低下し「過酸化脂質」という悪い油ができるといわれています。また、酸化した油脂を使って調理をすると、こってりとしてしまいやすく揚げ物もべちょっとしてしまいます。
菜種油は耐熱性が高いため、特に高温になって酸化が進みやすい揚げ物料理に使うのに適しています。
菜種油は、味や香りにくせが少ないため野菜炒めなどの調理をするときに使っても食材の味を邪魔することがありません。また上述したように熱しても酸化しにくので、こってりとしてしまうことなくアッサリと仕上げることができます。
菜種油は味にクセがなくあっさりとしているため、加熱せずにドレッシングやマリネにかけるタレとして使うこともできます。
酢や砂糖などとしっかり混ぜ合わせると簡単にドレッシングを作ることができるので、家にドレッシングがない場合でも手軽に手作りすることができます。レシピに「サラダ油」と記載されているときも菜種油で代用可能です。
菜種油といえば揚げ物や炒め物に使うことが多いですが、バターの代用品としてクッキーやケーキ、マフィン、カステラなどの焼き菓子やフォッカチャなどのパンを作ることもできます。
固形で使うときに常温に戻したり溶かす必要があるバターに対して、菜種油は液体油脂であるため溶かす下準備不要で使いやすいという利点があります。また、焼き上がりは油っぽくなりにくく、時間がたってもふわふわしっとりとした状態を保つことができます。ただし、バターを使うときとは風味が変わります。
米油は、米糠(こめぬか)を原料に作る植物油の一種です。
米油の使用用途は菜種油とほぼ同じであるため、菜種油の代用になります。
米油は菜種油と同様に原料特有の匂いがなく、サラっとしていていてクセのない味が特徴です。米油を菜種油の代用にしても風味を変えてしまうことがないため、代用品にぴったりです。
米油は揚げ物をするときに感じることが多い油特有の嫌な匂いがなく、酸化しにくい他、サラっとしていてベタベタとしないため揚げ油に適しています。
また、米油は揚げ物をする際に気泡ができにくいという特徴があります。この気泡は、加熱することにより食材や衣から水分が蒸発することによってできます。特に油が酸化している場合などは大きな気泡がぶくぶくと出てしまいやすいです。気泡がでていると揚げむらや油っぽさの原因となります。そのため、米油を使うことで揚げむらもなく均一にカラッと揚げることができます。
揚げ物をするときの匂いや油っぽいものが苦手な方は、むしろ米油を菜種油の代用に揚げ物をするのがおすすめです。
菜種油と米油は、どちらも植物油の一種ですので混ぜて使っても問題ありません。どちらも特に強い香りや風味があるわけではないので、味にも影響は出ません。
例えば揚げ油として使う際に高価な米油を大量に使うのは躊躇するといった場合は、菜種油と米油を混ぜて使うと良いでしょう。
米油100gに含まれる栄養素は下記の通りです。
たんぱく質…0g
脂質…100g
炭水化物…0g
ビタミンE…25.5g
ビタミンK…36μg
カリウム…Trmg
カルシウム…Trmg
リン…Trmg
クロム…1μg
米油にも菜種油と同じく不飽和脂肪酸の一種でオメガ9(n-9)系脂肪酸に属するオレイン酸、オメガ6(n-6)系脂肪酸に属するリノール酸、ビタミンE(トコフェノール・トコトリエノール)、ビタミンKなどが豊富に含まれている他、こめ油特有の栄養素γ―オリザノール(ガンマオリザノール)も含まれています。
元々玄米はビタミンB群などのビタミン類、カルシウムなどのミネラル、食物繊維などの栄養素を豊富に含んでおり、白米より栄養価が高いことで知られています。これは栄養素の多くは糠層(ぬかそう)や胚芽(はいが)に含まれているからです。米油は栄養素を多く含んでいる糠層や胚芽から抽出した油であるため、栄養価が高くなります。
大豆油は、大豆の種子から抽出した植物油の一種です。
大豆油も菜種油と同じように熱に強く、味にクセがなくあっさりとしているため菜種油の代用品になります。
大豆油に含まれる脂肪酸の50~60%はリノール酸で、その他オレイン酸やα–リノレン酸、ビタミンEなども含まれていて栄養素も菜種油とほぼ同じです。マヨネーズやマーガリンの原料としても使われる他、菜種油やコーン油と調合して「サラダ油」として販売していることがあります。
ただし、大豆アレルギーの方は注意が必要です。
コーン油は、とうもろこしの胚芽から抽出した植物油の一種です。
コーン油も菜種油と同じように熱に強く、味にクセがなくあっさりとしているため菜種油の代用品になります。コーン油はとうもろこしの胚芽を原料作られているためほのかに香ばしい風味がします。菜種油と同じように揚げ油や炒め油として使うことができる他、ファンデーションや美容オイルなど化粧品に用いられることもあります。
菜種油と同じくリノール酸やオレイン酸を豊富に含んでいますが、ほかの植物油に比べてα-リノレン酸の含有量が少ないという特徴があります。
紅花油は、紅花の種子から抽出した植物油の一種です。
紅花油もクセがなくさっぱりとした味わいなので菜種油の代用品になります。菜種油と同じように熱に強いため揚げ油や炒め油にも適していますし、サラダのドレッシングやマリネなど生のまま使用する料理にも適しています。
紅花には大別してリノール酸が多い「ハイリノール種」と、オレイン酸が多い「ハイオレック種」の2種類があり、現在はハイオレック種から抽出されているものが主流となっています。ハイオレック種にはビタミンEも豊富に含まれています。
エゴマ油はシソ科の植物である荏胡麻(エゴマ)の種子から抽出した植物油の一種です。
名前に「ゴマ」と入っているため「ごま油の一種」と思われることが多いですが、別の種類の植物から抽出した油です。実は古くから使われていた油で、菜種油(なたねあぶら)が普及するまでは日本で植物油と言えばエゴマ油であり、灯火にもこれが主に用いられていたといわれています。
エゴマ油はサラサラとしていて無味無臭、独特の風味などはありません。そのため菜種油の代用品になります。しかし、エゴマ油は主成分がα‐リノレン酸であるため熱に弱く、加熱しすぎると酸化してまうため揚げ油や炒め油の代用品には向いていません。ドレッシングを作るときの代用に適しています。
太白ごま油は、ごまを原料に作るごま油の一種です。ごまには大別して「黒ごま」と「白ごま」があります。太白胡麻油の色から白ごまを使っていると思われがちですが黒ごまを使って作られていることもあり、多くは白ごまと黒ごまをミックスして使われています。
一般的に「ごま油」として販売されているものは、ごまを一度焙煎してから油を抽出しているのですが、太白胡麻油は生のごまから油を抽出しています。そのため、ごま油特有の匂いや風味がせず、揚げ油や炒め油に使っても食材の味を変えてしまうことがなく、菜種油の代用品としても使いやすいです。
ごまを原料に作られているためゴマリグナンなどの栄養素を多く含んでおり、栄養価も高いです。
オリーブオイルは、モクセイ科の植物オリーブの果実から抽出した植物油の一種です。
緑色でサラッとしていて高温に強く加熱しても酸化しにくいという特徴があり、揚げ油として使ったり炒め物をするときに使うことができる他、レモンなどを加えてドレッシングとして使うことも可能です。
そのため、オリーブオイルは菜種油の代用品になります。ただし、菜種油とは原料が異なるため風味などに違いがでます。オリーブオイルはほとんど香りや風味がしない菜種油とは異なり、オリーブの香りが濃厚なものも多いため料理によっては味が全く異なってしまうことがあるので注意が必要です。
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