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米油はココナッツオイルの代用になる?揚げ物は?混ぜるのは?

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米油はココナッツオイルの代用になる?揚げ物は?混ぜるのは?

ココナッツオイルはココヤシの実から抽出される植物油の一種です。本記事ではココナッツオイルの代用として米油が使えるのかどうかを解説します。

ココナッツオイルとは

原料

ココナッツオイルは単子葉植物ヤシ科の植物ココヤシの実から抽出される植物油の一種です。

ココヤシの実は「ココナッツ」といわれ、固い殻の内部に固形胚乳の層があります。この胚乳の部分から抽出した油脂がココナッツオイルです。

ココナッツオイルの原料となるココヤシはポリネシアから熱帯アジアが原産とされており、現在ではフィリピンやインドネシア、インドなどの熱帯地方で栽培されています。日本で販売されているココナッツオイルもフィリピンやインドネシア産のものが使われています。

特徴

ココナッツオイルは透明の液状または白い固形状です。

ココナッツオイルは20℃以下になると固まる性質があり、固形の状態で瓶に詰めて販売されていることも多いですが、固形の状態になったからといって品質が落ちるということはありません。

ココナッツオイルには酸化しにくいという特徴があり、加熱調理にも適しています。

ココナッツオイルには大別して「エクストラバージンココナッツオイル」と「精製ココナッツオイル」の2種類あります。エクストラバージンココナッツオイルはココナッツの甘い香りと風味が特徴で、精製ココナッツオイルはココナッツ特有の香りが少なくさっぱりとした風味が特徴です。

栄養

ココナッツオイルは、飽和脂肪酸が含まれています。飽和脂肪酸は乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれている脂肪酸の一種です。植物油にはもう一つの不飽和脂肪酸という脂肪酸を多く含むことが多いのですが、ココナッツオイルは植物油でありながら飽和脂肪酸の一種である「中鎖脂肪酸」を豊富に含みます。中鎖脂肪酸は、消化が早く一般的な油の約4倍の速さでエネルギーとして分解されるという特徴があります。そのため、エネルギーを積極的に必要とする未熟児や腎臓病患者への栄養補給として有効であるといわれています。

また、中鎖脂肪酸の一種であるラウリン酸には抗菌効果や抗酸化作用があり、免疫力を高めることができるため、風邪予防や老化抑制に効果があります。

さらに、中鎖脂肪酸は分解されると一部がケトン体になります。ケトン体は脳エネルギーとして注目されている物質で、アルツハイマー型認知症の症状改善などに効果があると期待されています。

ココナッツオイルの基本的な使い方

お菓子作り

ココナッツオイルは、バターの代用品としてクッキーやマフィンなどの焼き菓子を作ることができます。

バターのように常温に戻して溶かすなどの手間がかかりませんし、ココナッツオイルを使うことでココナッツの甘い香りと風味を楽しむことができます。

炒めもの

ココナッツオイルは油なので、一般的に調理に使われることが多いサラダ油などと同様に炒めものを作るときの炒め油として使うこともできます。

炒め油としてココナッツオイルを使うことで、ココナッツの風味を活かしたエスニック風の炒め物に仕上げることができます。

飲み物に入れる

ココナッツオイルは、コーヒーや豆乳などに加えることでココナッツフレーバーのドリンクとして楽しむことができます。

液状のココナッツオイルであれば、サッと数滴垂らすだけで簡単にココナッツフレーバーのドリンクができます。固形状でもホットコーヒーなど暖かい飲み物に適量入れるとすぐに溶けます。ミルクティーや甘酒など色々なドリンクと相性が良いので、お好みの組み合わせを見つけてみてください。

ドレッシング

ココナッツオイルは生野菜にかけてドレッシングとして使ったり、ココナッツオイルにレモン汁などを加えてお好みの味のドレッシングを作ることもできます。

ココナッツオイルを使えば、サラダなどもココナッツの風味を楽しむことができます。

ココナッツオイルの代用として米油は使える?

基本的には代用可能

米油は、米糠(こめぬか)を原料に作る植物油の一種です。

米油は、炒め油として使う場合や焼き菓子を作るときに使うココナッツオイルの代用になります。

ただし、米油はココナッツオイルと原料が異なる油であるため異なる特徴があります。例えば、米油は原料特有の風味がなくサラっとしています。

ココナッツオイルを使うとココナッツの風味になりますが、米油はあっさりとしていて食材そのものの香りや風味を活かした仕上がりになります。場合によっては米油をココナッツオイルの代用品として使うと、物足りなさを感じることがあるでしょう。

揚げ油には米油が適している

ココナッツオイルは引火点は234℃といわれています。揚げ物をする際の温度はだいたい170℃〜180℃ですが、引火しやすい点に加え長時間高温で加熱していると煙が出てしまうので揚げ油には不向きといえます。

一方米油は揚げ油に適しています。米油には上述したように揚げ物をするときに感じることが多い油特有の嫌な匂いがなく酸化しにくい他、サラっとしていてベタベタとしないため揚げ油に適しています。また、米油は揚げ物をする際に気泡ができにくいという特徴があります。この気泡は、加熱することにより食材や衣から水分が蒸発することによってできます。特に油が酸化している場合などは大きな気泡がぶくぶくと出てしまいやすいです。気泡がでていると揚げむらや油っぽさの原因となります。そのため、米油を使うことで揚げむらもなく均一にカラッと揚げることができます。

混ぜて使うのはNG

米油と菜種油など基本的に植物油は混ぜて使うことができますが、ココナッツオイルは米油を含むその他の植物油と混ぜて使うのは避けたほうが良いです。

ココナッツオイルと米油を混ぜてしまうと泡立ちやすくなり油が吹きこぼれて引火してしまう可能性があります。危険なので、ココナッツ以外の油と混ぜて使わないようにしましょう。

米油の栄養価は?

米油には不飽和脂肪酸の一種でオメガ9(n-9)系脂肪酸に属するオレイン酸、オメガ6(n-6)系脂肪酸に属するリノール酸、ビタミンE(トコフェノール・トコトリエノール)、ビタミンKが豊富に含まれている他、こめ油特有の栄養素γ―オリザノール(ガンマオリザノール)も含まれています。

元々玄米はビタミンB群などのビタミン類、カルシウムなどのミネラル、食物繊維などの栄養素を豊富に含んでおり、白米より栄養価が高いことで知られています。これは栄養素の多くは糠層(ぬかそう)や胚芽(はいが)に含まれているからです。米油は栄養素を多く含んでいる糠層や胚芽から抽出した油であるため、栄養価が高くなります。

米油以外のココナッツオイルの代用品

オリーブオイル

オリーブオイルは、モクセイ科の植物オリーブの果実から抽出した植物油の一種です。

緑色でサラッとしていて高温に強く加熱しても酸化しにくいという特徴があり、揚げ油として使ったり炒め物をするときに使うことができる他、レモンなどを加えてドレッシングとして使うことも可能です。またクッキーなどの焼き菓子を作ることも可能です。

ただし、オリーブオイルはココナッツオイルと同じように使うことができますが、オリーブ特有の香りと風味があるので、ココナッツオイルとは違う風味に仕上がる点に注意が必要です。

ごま油

ごま油は炒めものをするときのココナッツオイルの代用になります。

ごま油は焙煎したごまから抽出した植物油の一種です。

大別して「焙煎ごま油」と「低温焙煎ごま油」の2種類あります。焙煎ごま油は、高温でごまを焙煎してから油を抽出しています。濃い茶褐色で、ごま特有の香りと風味が強いのが特徴です。一方低温焙煎ごま油は、低温でじっくりと焙煎してから油を抽出しています。焙煎ごま油と比較して透明感のある琥珀色で、ナッツのような優しい香りと甘みがあるのが特徴です。

ごま油は、ココナッツオイルとは異なるごま特有の香りや風味があります。そのためどちらかというとごまの風味を活かした和風の味付けや中華料理などの炒めものをするときに使われることが多いです。

太白ごま油

太白ごま油は、ごまを原料に作るごま油の一種です。ごまには大別して「黒ごま」と「白ごま」があります。太白胡麻油の色から白ごまを使っていると思われがちですが黒ごまを使って作られていることもあり、多くは白ごまと黒ごまをミックスして使われています。

一般的に「ごま油」として販売されているものは、上述したようにごまを一度焙煎してから油を抽出しているのですが、太白胡麻油は生のごまから油を抽出しています。そのため、ごま油特有の匂いや風味がせず、揚げ油や炒め油に使っても食材の味を変えてしまうことがありません。

また、ごまを原料に作られているためゴマリグナンなどの栄養素を多く含んでいます。

ココナッツオイルとは風味が異なりますが、独特の風味があるわけではないので代用として使いやすいといえるでしょう。

大豆油

大豆油は、大豆の種子から抽出した植物油の一種です。

大豆油に含まれる脂肪酸の50~60%はリノール酸で、その他オレイン酸やα–リノレン酸、ビタミンEなども含まれていて米油と同じく栄養価が高いことで知られています。マヨネーズやマーガリンの原料としても使われる他、菜種油やコーン油と調合して「サラダ油」として販売していることが多いです。

クセがなくあっさりとしているためどんな調理にも使いやすいですが、大豆油はサラダ油など一般的に調理に使われる事が多い油とは異なり、どこのスーパーでも取り扱いがあるというわけではないのでなかなか手に入れるのが難しいでしょう。

また、大豆アレルギーがある方は注意が必要です。

エゴマ油

エゴマ油はシソ科の植物である荏胡麻(エゴマ)の種子から抽出した植物油の一種です。

名前に「ゴマ」と入っているため「ごま油の一種」と思われることが多いですが、別の種類の植物から抽出した油です。実は古くから使われていた油で、菜種油(なたねあぶら)が普及するまでは日本で植物油と言えばエゴマ油であり、灯火にもエゴマ油が主に用いられていたといわれています。

エゴマ油はくサラサラとしていて無味無臭、独特の風味などはありません。ただし、エゴマ油は主成分がα‐リノレン酸であるため熱に弱く、加熱しすぎると酸化してしまうため炒め油として使うときのココナッツオイルの代用には向いていません。

ココナッツオイルのようにココナッツの風味はしませんが、ドレッシングとして使うときの代用におすすめです。

グレープシードオイル

グレープシードオイルはぶどうの種子から抽出した植物油の一種です。

ぶどうの種子から抽出できるオイルはわずか10%程度と少なく、希少なオイルでワインの生産が盛んなイタリアやフランスなどで作られています。日本ではあまり見慣れないオイルではありますが、プロアントシアニジンやビタミンEなどが豊富に含まれている健康的な油として注目されており、日清オイリオグループなど様々なメーカーがが製造・販売しています。

グレープシードオイルはこめ油などと同様にクセがなくさっぱりとした味わいの油で、ココナッツの風味はしませんが食材そのもの風味や味を活かすことできます。

サラダ油

一般的に家庭で使われることが多い米油ももちろん、ココナッツオイルの代用品になります。

サラダ油は、油に含まれている蝋(ろう)を除去した日本生まれの植物油です。

原料はメーカーによって異なりますが、綿実・大豆・ごま・サフラワー・ひまわり・とうもろこし・ぶどう・菜種・米が使われます。2種類以上の植物油を合わせていることもあり、その場合「調合サラダ油」といいます。

サラダ油は蝋を取り除いていることにより、低温でも結晶化しないという大きな特徴があるため米油を使ってドレッシングを使いたいときの代用におすすめです。ちなみに、マヨネーズやドレッシングを作るときなどに使われることが多く、「サラダに使える油」という意味で日清オイリオが「日清サラダ油」という名前で販売したのが始まりです。現在は日本農林規格(JAS規格)が定めている基準を満たしているもののみが「サラダ油」と表示して販売することを許されています。

そのため、ドレッシングを作りたいときのココナッツオイルの代用に適しています。

キャノーラ油

サラダ油と同様に普段家庭で使われることが多いキャノーラ油でも代用可能です。

キャノーラ油は、菜種油の原料であるセイヨウアブラナを品種改良したキャノーラ種から抽出された植物油です。セイヨウアブラに含まれている不飽和脂肪酸の一種「エルカ酸」や病害虫を寄せ付けない働きをしている「グルコシノレート」という成分を長期間摂取することが心臓疾患の要因になる可能性があるという研究結果が発表されて以降、主要生産国であるカナダで品種改良されエルカ酸を含まずグルコシノレート含量も削減された品種がキャノーラです。

ドレッシングなど非加熱で使うときの米油の代用に適しているサラダ油とは反対に、キャノーラ油は熱に強く酸化しにくいという特徴があるため、炒め油として使うときのココナッツオイルの代用におすすめです。

菜種油

菜種油(なたねあぶら・なたねゆ)は米油と同じようにクセがなくあっさりとしているため、代用可能です。

菜種油は、アブラナ科アブラナ属の植物セイヨウアブラナの種子から抽出した植物油の一種です。サラダ油の原料としても使われています。

菜種油も熱に強く酸化しにくいため、炒め油に使うときのココナッツオイルの代用に適しています。