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ラム酒とコニャックの違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

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ラム酒とコニャックの違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

この記事では、カリブ海地域原産のラム酒と高級ブランデーのコニャックの違いを解説します。

ラム酒とコニャックの違い①原料

ラム酒の原料

ラム酒はサトウキビから造られるカリブ海地域原産の蒸留酒の一種です。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで海賊たちがラム酒を飲んでいたことで人気が急上昇しました。
 
ラム酒には、サトウキビから砂糖を精製する過程で出る副産物の黒いシロップ「モラセス(廃糖蜜)」を原料とする「インダストリアル・ラム」と、サトウキビの搾り汁を原料とする「アグリコール・ラム」がありますが、「アグリコール・ラム」はサトウキビ本来の甘さが味わえる一方、限られた場所と時期でしか作ることができないラム酒であり、流通しているラム酒のほとんどは「インダストリアル・ラム」となっています。

コニャックの原料

コニャックは、フランスにある「コニャック」というブランデーの生産地から名付けられた、白ブドウを原料とする蒸留酒であるブランデーの一種です。正式名称は「オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン・ド・コニャック(Eau-de-vie de vin de Cognac)」といいます。
 
コニャックという街は、フランス西部のシャラント県西端、シャラント=マリティーム県との県境辺りに位置しており、この2県にまたがった地域でコニャックは生産されています。品質が良いブランデーとして知られ、同国の「アルマニャック」とともに高級ブランデーとされています。
 
原料の白ブドウは、コニャック周辺地域で生産される「ユニ・ブラン」「フォル・ブランシュ」「コロンバール」のうち、いずれかを90%使用する必要があります。

ラム酒とコニャックの違い②製法

どちらも蒸留酒の一種

ラム酒・コニャックのどちらも穀物などの原料を発酵させ、蒸留、そして熟成させることで製造される蒸留酒です。
 
ただし、ラム酒の場合、工程における濾過の有無や熟成期間等の違いによって風味と色に違いが生まれ、風味の違いで「ライト・ラム」、「ミディアム・ラム」、「ヘビー・ラム」の3種類に分けられ、色の違いによって「ホワイト・ラム」、「ゴールド・ラム」、「ダーク・ラム」の3種類に分けられます。

スピリッツと他の蒸留酒の違い

蒸留酒は高温で熱して造る「火の酒」であり、火の酒は人間の魂にはたらきかけ、肉体を目覚めさせ、また活力を与えることから、蒸留酒はスピリッツ(spirits)と呼ばれるようになったようです。
 
ラム酒以外にもブランデー、ウイスキー、焼酎、ウォッカ、ジン、テキーラも蒸留酒であり、広い意味ではこれら全て「スピリッツ」と呼べますが、日本において「スピリッツ」とはウォッカ、ジン、ラム、テキーラを指すことが多く、この4種類のお酒は「世界4大スピリッツ」とも呼ばれています。
 
日本における狭い意味での「スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム酒、テキーラ)」という呼称は、1953年に制定された酒税法における分類によって形作られたようです
1953年当時、蒸留酒のうち、既に日本である程度の知名度があった「ブランデー」、「ウイスキー」、「焼酎」は個別の分類とし、それ以外(ウォッカ、ジン、ラム酒、テキーラ等)が「スピリッツ」に分類されました。
ちなみに、日本の酒税法における分類としての「スピリッツ」は、やや複雑な定義にはなりますが、「焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール以外の蒸留酒類で、エキス分が2度(2%)未満のもの」とされています。
 
なお、海外では蒸留酒は専ら「liquor(リカー)」と呼ばれています。

ラム酒とコニャックの違い③味・香り・度数

ラム酒の味・香り・度数

ラム酒は、甘い香りや味わいが特徴ですが、前述の「ホワイト・ラム」、「ゴールド・ラム」、「ダーク・ラム」でテイストが大きく異なっています。
 
「ホワイト・ラム」は無色でクセが少なく、比較的すっきりとした味わいで、「ゴールド・ラム」は3種の中間ともいえるバランスの良い味わいが魅力、「ダーク・ラム」はラムの中では一番濃厚で強い風味を持ちます。
 
アルコール度数は40度前後の製品が多く、飲む人の好みに合わせて37度前後の製品や、70度以上の製品もあります。

コニャックの味・香り・度数

コニャックは、ブランデーの特徴ともいえる、果実由来のフルーティーな豊潤な香りと、木樽での熟成によるウッディーな香りが楽しむことができます。熟成されている分、ほのかな甘みも感じることができますよ。
 
コニャックは熟成期間が長いほど良いものとされ、熟成期間に応じてランク分けされています。ランクは上から順に「Hors d'âge(オール・ダージュ) 」、「XO(エクストラ・オールド)」、「V.S.O.P.(ヴェリー・スペリオル・オールド・ペール)」、「V.S.(ヴェリー・スペシャル)」に分けられています。熟成年数が長いものほどまろやかなテイストとなるので、口当たりがよく、飲みやすく感じられるようになります
 
アルコール度数は37~50度前後の製品が多くなっていますが、同じ熟成の工程があるウイスキーに比べ、甘みがある分飲みやすいと感じるでしょう。

ラム酒とコニャックの違い④飲み方

ラム酒の飲み方

上記の通り、3種類の異なるテイストのラム酒で、それぞれ違った楽しみ方があり、様々な方法で嗜まれています。「ホワイト・ラム」はカクテルベースとしての使用がほとんどで、「モヒート」や「ダイキリ」といった有名なカクテルがあります。また、コーラ、ジンジャーエールといった甘い炭酸飲料との相性がとても良いことでも知られています。
 
「ゴールド・ラム」と「ダーク・ラム」はストレートやロックで嗜まれることが多く、芳醇なサトウキビの甘みを楽しむことができます。

コニャックの飲み方

コニャックはその豊潤な香りと味わいを楽しむことが推奨されています。専用のブランデーグラスでのストレートの飲み方が最も一般的とされており、冷蔵庫で冷やしたり、ロックで飲むのは香りが立たなくなってしまうため、避けるべきとされています。
 
ストレート以外には水割りや炭酸割り、熱いお湯や紅茶などで割って飲むホットがおすすめですが、ジュースで割るのはブランデーの風味を損なってしまうため、あまりおすすめではありません。
 
コニャックをはじめとした、ブランデーをベースとしたカクテルもいくつかあり、代表的なものとしては「サイドカー」、「ブランデーマニー」、「アレクサンダー」などがあります。特に「サイドカー」はコニャックをベースとするのが正式なものとされています。