この記事では、お菓子作りで使うラムエッセンスとラム酒の違いや、ラム酒の代わりに使えるお酒などについて解説します。
ラムエッセンスは、お菓子作り用に使われるラム酒風味の香料です。同じラム酒風味の香料には、ラムエッセンス以外に「ラムフレーバー」があります。
「ラムエッセンス」は、ラム酒から風味成分を抽出した香料で、お菓子作りなどに使うための香料です。ラム酒とは異なりアルコールの成分が少なく、アルコールが苦手な方や、お子様用のお菓子作りに使っても安心の香料です。スーパーなどで入手しやすく、ラム酒よりも低価格で買うことができます。
ラムエッセンスはラム酒と同じ香りが楽しめますが、使用温度は-20度~40度までと、焼き菓子作りで原料に振りかけて使う際は、原料の粗熱を取った状態で振りかける必要がありますが、それでも加熱によって香りが飛びやすいのが難点です。
「ラムフレーバー」は、人工的に作られた香料で、ラム酒の風味を再現したものです。こちらもアルコールの成分が少なく、安全に使える香料です。ラムエッセンスよりも手に入りにくく、やや高価な製品が多いですが、それでもラム酒より低価格で手に入ります。
ラムフレーバーは、使用温度が40度~180度と、ラムエッセンスよりも耐熱性に優れており、焼き菓子などでも匂いが残りやすいのが特徴です。ただし、それ以上の高温で焼くようなお菓子ではやはり匂いが残りにくいでしょう。
ラム酒はサトウキビから造られる、カリブ海地域原産の蒸留酒(スピリッツ)の一種です。蒸留酒はアルコール度数が高く、火をつければ燃えることから、「火酒(かしゅ)」と呼ばれることもあります。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで海賊たちがラム酒を飲んでいたことで人気が急上昇しました。
ラム酒は、甘い香りや味わいが特徴ですが、製法でテイストが大きく異なっています。最新技術で蒸留され、熟成期間が短く、濾過されているものは他のスピリッツ(ウォッカなど)に近いすっきりとしたテイストです。伝統的な方法で蒸留され、オークの樽でじっくりと熟成されたものは色も褐色で、味わいもウイスキーやブランデーに近いまろやかなテイストになります。
飲み方・使い方は多岐にわたり、ストレートやロックで飲んだり、カクテルのベースとして用いたりする以外にも、ケーキ、タルトなど焼き菓子、紅茶の風味づけにも使用されています。レーズンをラムに漬け込んだ「ラムレーズン」がよく知られていますよね。
蒸留酒なので高めのアルコール度数となっており、基本的に40~50度のアルコール度数で売られている製品が多くなっていますが、飲む人の好みに合わせて37度前後、75.5度のラム酒も販売されています。
ラム酒は、ラム酒の中でも色や味わいでいくつかの種類に分類されますが、お菓子作りで使われているのは、褐色の見た目が特徴的な「ダーク・ラム」です。長い熟成期間による、コク深い香りと味わいを持つダーク・ラムは、お菓子作りで欠かせないアクセントとして、世界中のパティシエがお菓子作りに使用しています。もちろん、焼き菓子に使ってもしっかり香りが残りますよ。
ちなみに、ラム酒は透明な「ホワイト・ラム」と黄金色の「ゴールド・ラム」もありますが、どちらも香りがそこまで強くなく、お菓子作りで使うには適していないので注意が必要です。
ラム酒はアルコール度数が40~50度と、お酒の中では高い度数ですが、お菓子作りで使う場合、焼き菓子であればアルコールはほとんど飛んでしまうので問題ありません。どうしても心配な方は上記のラムエッセンスやラムフレーバーを使うと良いでしょう。
ラム酒をお菓子作りに使う理由として、
お菓子の甘みをまろやかで深みのある甘みにする
素材の風味を引き立てつつ、マイルドな風味に仕上げる
生地をつくるときに混ぜることで粉っぽさが和らぎ、しっとりする
ラム酒はアルコール度数が高く、殺菌効果によって保存性が高まる
などの点が挙げられます。ラムエッセンスではラム酒風味の香りが付くだけなので、本格的なお菓子作りではもっぱらラム酒が使われています。特に、製法にこだわって作られたラム酒(ダーク・ラム)は焼き菓子に使ってもしっかりと芳醇なラム酒の香りが残ります。
しかし、一般的なラム酒の製品が750mlで販売されているのに対し、お菓子作りで使うラム酒の量はわずかであり、保存のきくラム酒とはいえ、普段お酒を飲まないという方は使い切るのに時間がかかるでしょう。お酒を飲まない方はサントリーが販売している、お菓子作り用の少量のラム酒「ケーキマジック ラムダーク(100ml)」や、ラムエッセンスやラムフレーバーを使用すると良いでしょう。
「マイヤーズ(MYERS'S)」は、1879年にジャマイカで生産が始ったラム酒です。ダーク・ラムが有名で、「ダーク・ラムのプレミアム品」「世界標準」とも称され、高いクオリティが良く知られています。
マイヤーズのダーク・ラムは濃厚な風味と豊かな香りが特徴で、最も人気の「オリジナルダーク(40度)」は、バーテンダーやラム酒の愛好家だけではなく、製菓用のラム酒としても世界中の洋菓子店からも愛されています。日本でもスーパーなどで購入できますよ。
「ケーキマジック ラムダーク」は、サントリー(SUNTORY)が販売しているお菓子作り用のラム酒です。100mlで定価315円と、少量で使いやすく、低価格で人気の銘柄です。
同じケーキマジックのラインナップには、ラム酒のしっかりとした味わいやまろやかさは残しつつ、透明に仕上げた「ケーキマジック ラムホワイト」もあり、こちらはお菓子の色を変えずにラム酒の風味を加えることができます。
日本で唯一の製菓業界向け洋酒メーカーである「ドーバー(DOVER)」が販売している「ドーバー ラム 45゜」は、安心安全の国内製造によるラム酒で、こちらも100mlで定価315円と、少量で使いやすく、低価格で人気の銘柄です。
「ドーバー ラム 45゜」は、焼き菓子にしてもフルーツの漬け込みにしても、ラム酒の華やかな香りが失われにくく、お菓子作りが好きな人々から厚い支持を得ています。
ラム酒は、日本ではそこまで一般的ではないお酒でもあり、家にないという方も多いでしょう。ラム酒の代用となるお酒をいくつか紹介します。
ぶどうから造られる蒸留酒のブランデーは、ラム酒(ダーク・ラム)に近い、甘く濃厚な風味を持っています。フルーティーな風味がフルーツケーキ(パウンドケーキ)などの果物を使ったお菓子に良く合いますよ。
ブランデーは加熱することで香りが際立ちますが、アルコールの風味も強く出るため、苦手な方は他のお酒で代用したほうが良いでしょう。
キルシュヴァッサーは、さくらんぼを原料とする、ラム酒と同じ蒸留酒です。甘いさくらんぼの香りがしますが、ラム酒とは異なり、基本的に樽での熟成は行われないため、甘味はありません。
主に焼き菓子やシロップ、カスタードクリームなどの風味付けとして使用されています。ラム酒に比べて甘い香りが強めで、特にベリー系のフルーツを使ったお菓子と相性が良いですよ。
ウイスキーは、ライ麦や大麦を原料とするラム酒と同じ蒸留酒です。ラム酒と同じくらいのアルコール度数(40~50度)なので、保存性の効果も変わりません。
穀物が原料なのでややドライな風味となってしまいますが、ラム酒よりも強い独特なスモーキーな風味は、チョコレートやナッツ類を使ったお菓子作りに相性が良く、ウイスキー好きな方にはたまらない香りのお菓子が出来上がりますよ。
白ワインは、言わずと知れた白ブドウを原料とする醸造酒です。ラム酒やブランデーと比べるとクセが少なく、比較的ソフトでフルーティーな風味に仕上がります。アルコール度数が低く、アルコールの殺菌効果による保存性は少し劣りますが、すぐに食べてしまうような焼き菓子であれば大した問題ではありません。
ちなみに、赤ワインは渋みが強く、お菓子の風味を大きく変えてしまうため、ラム酒の代用としては向きません。
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