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ウォッカとホワイトリカーの違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

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ウォッカとホワイトリカーの違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

ロシアの強いお酒「ウォッカ」と、果実酒の漬け込みによく使われる「ホワイトリカー」について、原料や製法、味などの違いから解説します。

ウォッカもホワイトリカーはどちらも蒸留酒

ウォッカもホワイトリカーも、原料を発酵させ、蒸留することで製造される蒸留酒です。どちらも無色透明でクリアなテイストのため、近しいお酒だと言われています。

ウォッカとホワイトリカーの違い①原料

ウォッカの原料

ウォッカは、大麦、小麦、ライ麦、トウモロコシ、ジャガイモといった穀物などの原料を加工して造られる、ロシア発祥のお酒です。ウォッカは氷点下でも凍らないため、超低温地域で重宝されてきた歴史があります。
 
なお、EU(欧州連合)では、サトウキビやブドウなどを原料とする蒸留酒をウォッカと認めるか意見が分かれていたようですが、最終的には原材料を明記することによって、ウォッカと認めることになりました。現在ではミルクやフルーツなど様々な原料から造られるウォッカが流通しています。

ホワイトリカーの原料

ホワイトリカーの原料は、砂糖をつくる際に出る副産物の廃糖蜜で、カリブ海原産のラム酒とは同じ原料になります。ただし、日本では焼酎に分類されています。
 
「ホワイトリカー」という名称は、ウイスキーやブランデーを「ブラウンリカー」と呼んでいたことの対比で呼ばれるようになった呼称で、いわゆる和製英語です。

ウォッカとホワイトリカーの違い②製法

どちらも蒸留酒の一種

ウォッカ・ホワイトリカーのどちらも穀物などの原料を糖化・発酵させ、蒸留することで製造される蒸留酒です。大きな違いとしては、ウォッカは蒸留したものを濾過しますが、ホワイトリカーは濾過は行いません。
 
ホワイトリカーは純度の高いエタノールを生成できる連続式蒸留で造られることが多く、焼酎の中では「甲類焼酎」に分類されます。伝統的な蒸留方法である単式蒸留で造られる「乙類焼酎」に分類されるホワイトリカーもありますが、流通はわずかです。

甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)

「甲類焼酎」は、近代的な蒸留方法である「連続式蒸留」によって蒸留された焼酎です。伝統的な方法で造られる乙類焼酎に対して、甲類焼酎は「新式焼酎」と呼ばれることもあります。
 
連続式蒸留はもともとはウイスキーやジン造りなどに使われていた蒸留方法で、19世紀のイギリスで誕生したものです。連続式蒸留機は大きな蒸留器の中で何度も蒸留を繰り返すシステムになっている蒸留方法で、単式蒸溜に比べて効率的に不純物を取り除き、純度の高いアルコールを抽出できることから、出来上がるお酒がクリアな味わいになるのが特徴です。
 
単式に比べると効率よく蒸留が行えることから、大量生産向きで、価格の低い製品が多くなっています。

乙類焼酎(単式蒸留焼酎)

「乙類焼酎」は、昔ながらの蒸留方法である「単式蒸溜」で蒸留された焼酎です。旧式の製法で造られることから、「旧式焼酎」と呼ばれることもあります。また、甲、乙という呼び名が優劣をつけるような呼び名であることから、乙類焼酎は「本格焼酎」とも呼ばれます。
 
単式蒸留とは、一度のもろみ(発酵させた焼酎の原料)の投入につき、一度だけ蒸留を行う蒸溜方法で、蒸留は一回のみなので、使われる原料の個性や癖が現れやすいのが特徴です。比較的シンプルな構造であり、設備も簡単に作れるため、小規模な蒸留所で用いられています。
 
甲類よりも乙類の方がアルコール度が高くなりますが、アルコール以外の成分も多く含まれており、濃厚で複雑な味わいと言われます。時間と手間がかかるため、値段の高い製品が多くなっています。

蒸留酒とスピリッツの違い

蒸留酒は高温で熱して造る「火の酒」であり、火の酒は人間の魂にはたらきかけ、肉体を目覚めさせ、また活力を与えることから、蒸留酒はスピリッツ(spirits)と呼ばれるようになったようです。
 
ウォッカ以外にもブランデー、ウイスキー、焼酎、ジン、ラム、テキーラも蒸留酒であり、広い意味ではこれら全て「スピリッツ」と呼べますが、日本において「スピリッツ」とはウォッカ、ジン、ラム、テキーラを指すことが多く、この4種類のお酒は「世界4大スピリッツ」とも呼ばれています。
 
日本における狭い意味での「スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ)」という呼称は、1953年に制定された酒税法における分類によって形作られたようです
1953年当時、蒸留酒のうち、既に日本である程度の知名度があった「ブランデー」、「ウイスキー」、「焼酎」は個別の分類とし、それ以外(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ等)が「スピリッツ」に分類されました。
ちなみに、日本の酒税法における分類としての「スピリッツ」は、やや複雑な定義にはなりますが、「焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール以外の蒸留酒類で、エキス分が2度(2%)未満のもの」とされています。
 
なお、海外では蒸留酒は専ら「liquor(リカー)」と呼ばれています。

ウォッカとホワイトリカーの違い③味・香り・度数

ウォッカの味・香り・度数

ウォッカは製造における濾過の工程で雑味が取り除かれるため、無味無臭ですっきりとした味わい、まろやかな爽快感が特徴的で、世界4大スピリッツの中では最も癖のない風味と言われています。
 
なお、クリアさが特徴的なウォッカですが、スパイスやハーブ、香りや味を加えた「フレーバードウォッカ」もあり、世界中で様々な味のウォッカが流通しています。
 
アルコール度数は40度前後の製品が多く、飲む人の好みに合わせて37度前後のウォッカや、50度以上のウォッカも販売されています。世界最高のアルコール度数96度を誇る、「スピリタス」というポーランド産のウォッカもあります。

ホワイトリカーの味・香り・度数

ホワイトリカーは、雑味の少ないすっきりとした香りと味わいですが、悪い言い方をすれば、アルコールそのものといった香り・味わいです。
 
アルコール度数は、甲類焼酎は36度未満と法律で定められているため、その上限ギリギリの35度で売られている製品がほとんどです。他のお酒と比べるとリーズナブルな価格となっています。

ウォッカと焼酎の違い④飲み方

ウォッカの飲み方

ウォッカは発祥の地ロシアではストレート以外の飲み方は邪道とされていますが、ウォッカの無味無臭とも言えるクリアな味わいがどのような割材にもよく合うので、ストレート以外にもロック、水やソーダ割り、ジュースを使ったカクテルなど、様々な嗜み方がされています。

ホワイトリカーの飲み方

ホワイトリカーは、その癖のないテイストが果実のうまみを存分に引き出すことができるため、家庭ではもっぱら果実酒の漬け込みに使われています。高いアルコール度数は果実の成分浸出を早めると同時に、カビの発生や味の劣化を抑えてくれます(果実から出る水分で仕上がりのアルコール度数が低くなります)。

ただし、上記の通りアルコールそのものといった味なので、果実酒の漬け込みや、缶チューハイなどの市販されているアルコール飲料の原料として以外の用途はあまりなく、ロックやストレートといった飲み方をされることはなく、カクテルベースとして使われることもほとんどありません。