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甘藷澱粉とわらび粉の違い。原料・製法・使い方は?代用可?

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甘藷澱粉とわらび粉の違い。原料・製法・使い方は?代用可?

甘藷澱粉とわらび粉の違いをご存知でしょうか。本記事では甘藷澱粉とわらび粉の違いを解説します。

甘藷澱粉とわらび粉の違い①原料

甘藷澱粉(かんしょでんぷん)とわらび粉はどちらもでんぷん粉の一種ですが、原料が異なります。

甘藷澱粉

甘藷澱粉の原料はさつまいものでんぷんです。

「甘藷」はさつま芋の別名です。普段口にしているさつま芋よりも一回り大きく、でんぷんを多く含んでいるさつまいものでんぷんを原料に作られています。

わらび粉

わらび粉の原料は、シダ植物の一種であるわらび(蕨)の根からとれるでんぷんです。

わらびの根からとれるでんぷん粉のみを使用しているものは「本わらび粉」、わらび粉にさつまいものでんぷん(甘藷澱粉)じゃがいものでんぷん(馬鈴薯澱粉)を合わあせたものは「わらび粉」または「わらび餅粉」と表記されて販売されています。

わらび粉は原料となるわらびを掘り出すのにも製造にも手間がかかるため、現在はわらび粉に甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉を配合したわらび粉が一般的にスーパーなどで販売されています。

甘藷澱粉とわらび粉の違い②製造方法

甘藷澱粉

工場や製品によって異なる場合もありますが、一般的には甘藷澱粉などの芋類を原料につくられるでんぷん粉は下記のような手順で製造されます。


甘藷澱粉は、まず原料であるさつまいもを洗浄し皮を剥きます。皮をむいたら、細胞内にあるでんぷんを取り出しやすくするため、磨砕機で細かく砕きます。

次に、湯通しを行いでんぷんを溶かし出します。湯通し後したら、濾過してでんぷんを取り出します。濾過したら洗浄し、不純物を取り除いていきます。

最後に、洗浄したでんぷんを乾燥機で乾燥し粉末状にして完成です。

わらび粉

わらび粉は、地下に埋まっているわらびの茎を掘り出し、20cm〜25cmほどに切り、臼で粉砕します。粉砕したら水を加えてでんぷんを洗い出し、水洗いします。水洗いしたら、再びでんぷんを沈殿させて洗うの作業を繰り返すという製造方法で作られています。

1kgのわらびから採れるでんぷん粉はわずか7〜8gで、製造にも手間がかかります。

甘藷澱粉とわらび粉の違い③見た目

甘藷澱粉

甘藷澱粉の見た目は白く、片栗粉の見た目とよく似ています。

わらび粉

わらび粉の色は、甘藷澱粉などわらび粉以外のでんぷん粉の配合量が多ければ多いほど白く、わらび粉の配合量が多いと灰色っぽくなります。わらび粉のみを使用している本わらび粉の場合は灰色をしています、

わらび粉は大きな塊がたくさんあり、サラサラというよりはザクザクとした触感です。塊は手でさわると簡単に崩れます。

ただし、市販されているわらび粉の中には甘藷澱粉100%のものもあり、この場合は甘藷澱粉と見た目は同じになります。

甘藷澱粉とわらび粉の違い④栄養素・カロリー

甘藷澱粉

甘藷澱粉100gあたりに含まれている栄養素は下記の通りです。

  • たんぱく質…約0.11g

  • 脂質…約0.22g

  • 炭水化物…約90.2g

甘藷澱粉100gあたりのカロリーは332Kcal です。

わらび粉

わらび粉に含まれる栄養素やカロリーは、メーカーによって異なります。

わらび粉に甘藷でん粉や馬鈴薯でん粉を配合している場合、100gに含まれている成分は下記の通りです。

  • たんぱく質…約0.1g

  • 脂質…約0.3g

  • 炭水化物…約84.8g

わらび粉100gあたりのカロリーは343Kcal です。

甘藷澱粉とわらび粉はどちらもでんぷん粉であるためカロリーは高めで、わらび粉のほうがカロリーは高くなりますが、それほど大きな差はありません。

ちなみに、わらび粉は甘藷澱粉などを配合していない本わらび粉のほうがカロリーは若干低くなります。

甘藷澱粉とわらび粉の違い⑤使い方

甘藷澱粉

甘藷澱粉はスーパーなどでは取り扱っている店舗が少ないため、片栗粉などのでんぷん粉のように家庭で使われることは少ないです。

甘藷澱粉は主に、清涼飲料水などの果糖ブドウ糖液糖やぶどう糖、水あめなどの甘味料(糖化製品)の他、お菓子や麺、春雨、水産練製品などの加工食品の原料として使われるのが一般的です。

しかし、甘藷澱粉はでんぷん粉の一種なのでもちろん和菓子を作ったり、焼き菓子を作ることもできます。例えば甘藷澱粉でクッキーなどの焼き菓子を作るとサクサクとした軽さと口どけのよさを楽しむことができます。

わらび粉

わらび粉は、その名の通り主にわらび餅を作るのに使われます。

甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉が配合されているわらび粉は、冷やしても固くなりません。特に馬鈴薯澱粉は水分保持力が高いため、冷たいわらび餅を楽しみたいという方は馬鈴薯澱粉が配合されたわらび粉を使用してわらび餅を作るのがおすすめです。

わらび粉を使って、水まんじゅうやういろうを作ることもできます。また、くず餅なども作ることができますし、料理にとろみをつけたり揚げ物の衣として使うこともできます。

甘藷澱粉とわらび粉はお互いに代用できる?

甘藷澱粉とわらび粉はお互いに代用することが可能です。上述したように甘藷澱粉はわらび粉に配合されていることも多く、性質が似ているため代用品に適しています。甘藷澱粉100%でもわらび粉として販売されているほどです。

しかし、本わらび粉の代用となると話は変わってきます。例えば、甘藷澱粉で作るわらび餅はわらび粉以外のでんぷん粉を配合しているわらび粉で作るわらび餅と同じようにはなりますが、本わらび粉で作るわらび餅とは食感や風味が異なります。

本わらび粉を使って作るわらび餅は黒くなり、良く伸び風味が良いです。また、甘藷澱粉など水分を多く含むことができるでんぷん粉を使用していないため固くなってしまうのが早いです。そのため、本わらび粉で作るわらび餅は、できたて30分以内に食べるのがより美味しく食べるポイントとなります。