カリブの海賊が愛飲していたというラム酒は度数も高いイメージがありますよね。この記事では、ラム酒の度数について詳しく解説します。
ラム酒はサトウキビから造られる、カリブ海地域原産の蒸留酒(スピリッツ)の一種です。蒸留酒はアルコール度数が高く、火をつければ燃えることから、「火酒(かしゅ)」と呼ばれることもあります。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで海賊たちがラム酒を飲んでいたことで人気が急上昇しました。
ラム酒は、甘い香りや味わいが特徴ですが、製法でテイストが大きく異なっています。最新技術で蒸留され、熟成期間が短く、濾過されているものは他のスピリッツ(ウォッカなど)に近いすっきりとしたテイストです。伝統的な方法で蒸留され、オークの樽でじっくりと熟成されたものは色も褐色で、味わいもウイスキーやブランデーに近いまろやかなテイストになります。
飲み方・使い方は多岐にわたり、ストレートやロックで飲んだり、カクテルのベースとして用いたりする以外にも、ケーキ、タルトなど焼き菓子、紅茶の風味づけにも使用されています。レーズンをラムに漬け込んだ「ラムレーズン」がよく知られていますよね。
ラム酒は蒸留酒なので高めのアルコール度数となっており、基本的に40~50度のアルコール度数で売られている製品が多くなっていますが、飲む人の好みに合わせて37度前後、75.5度のラム酒も販売されています。
ラム酒はエタノールの濃度を指して「151プルーフ(アルコール度数75.5%をアメリカでのアルコール度数の指標『USプルーフ』で表したもの)」という表記がなされることがあり、出荷時に151プルーフという意味で名称に「151」が付けられる製品もあります。有名な銘柄では「ロンリコ151」、「バカルディ151」などがあります。
ちなみに、この75.5度というのは、販売が始まった当時、蒸留によって到達できる最高のアルコール度数だったとされています。
バニラなどのハーブやスパイスを、ラム酒に漬け込みまたは香りづけして造られる「スパイストラム」は40度以下のアルコール度数の製品が多くなっています。海賊のラベルが印象的な「キャプテン・モルガン(Captain Morgan)」などの銘柄が有名ですよ。
世界4大スピリッツのラム酒以外のスピリッツは、ウォッカ:40度前後、ジン:40~50度、テキーラ:35~55度と、ラム酒と同程度のアルコール度数となっています。
近年、0.5度の微アルコールの製品など、様々な種類の製品が流通しているビールは、ほとんどの製品が5度前後のアルコール度数と、お酒の中では低い方の部類となっています。ビールは喉越しを楽しむためにアルコール度数が抑えられた製品が多くなっています。
ワインは素材によって様々な度数の製品がありますが、赤ワインは11~15度程度、白ワインは9~14度程度と、お酒の中では真ん中くらいの度数です。
ただし、甘口のフルーツワインなどは5度前後の製品が多く、じっくりと熟成された赤ワインでは16度以上の製品もあります。
日本酒も製品によって様々ですが、平均的な度数は15度とされています。5~10度の飲みやすいスパークリング日本酒もあれば、20度以上のアルコールの強い刺激を感じるような日本酒もあります。
なお、日本酒の度数は「22度未満」と法律で定められています。22度以上の日本酒もありますが、酒税法の分類では「リキュール」となります。
ウイスキーもラム酒と同じ蒸留酒で、度数も同程度の40度前後となっていますが、イギリスでは43度、アメリカでは40度が標準度数と定められています。
基本的にウイスキーは瓶詰めの際、樽で熟成したいくつかの種類をブレンドしますが、ブレンドを行わない「シングルカスク」と呼ばれるウイスキーは度数が高い製品が多く、60度以上の高い度数で売られているウイスキーもありますよ。
ラム酒と同じ蒸留酒である焼酎はおよそ20~25度となっています。蒸留酒の中では低めの度数で、飲みやすい蒸留酒としても知られています。
焼酎の中でも、甲類焼酎はウォッカとよく似たすっきりとした味わいなので、ラム酒をはじめとしたスピリッツの度数が高く感じる方は焼酎から挑戦してみるのもおすすめです。
ラムの有名な銘柄を度数別に紹介します。
75.5度がラム酒の中では最高アルコール度数です。代表的なものでは、
「バカルディ 151(ゴールド・75.5度)」
「ロンリコ 151(ゴールド、75.5度)」
「レモンハート デメララ 151(ダーク・75.5度)」
などがあります。非常に度数が強く、上級者向けです。
40~50度がラムでは一般的な度数となっていますが、メーカー各社の一番人気の製品は40度がほとんどです。
有名な銘柄では、
「バカルディ スペリオール(ホワイト・40度)」
「アプルトン エステート シグニチャー(ゴールド・40度)」
「ディプロマティコ リゼルヴァ イクスクルーシヴァ(ダーク・40度)」
「マウントゲイ エクリプス(ゴールド・40度)」
「マイヤーズ オリジナルダーク(ダーク・40度)」
「ロン・サカパ センテナリオ23年(ダーク・40度)」
「ロンリコ ゴールド(ゴールド・40度)」
「パンペロ アニバサリオ(ダーク・40度)」
「レモンハート デメララ(ダーク・40度)」
などがあります。有名な銘柄がそろっているので、どれを選べばよいか迷ったときはこの中から選ぶと間違いないでしょう。
40度未満のラムは、スパイストラムが多くなっています。有名なものでは、
「キャプテン・モルガン・スパイスト(ゴールド・35度)」
「バカルディ スパイスド(ゴールド・35度)」
「ロンリコ ブランコ(ホワイト・37.5度)」
などがあります。度数が低めで、スパイストラムなら香り・味付きなので飲みやすいですよ。
ラム酒の定番カクテルを、度数別に分類してみます。カクテルをお飲みになる際に参考にしてみてください。
低度数のラム酒の定番カクテルは、以下のカクテルがあります。
ラム・トニック(ラム酒+トニックウォーター)
ラム・コーク(キューバ・リブレ)(ラム酒+コーラ+ライムジュース)
ジンジャー・ラム(ラム酒+ジンジャーエール+ライムジュース)
モヒート(カリビアン・スタイル)(ラム酒+炭酸水+ライムジュース+砂糖+ミントの葉)
パイナップル・フィズ(ラム酒+パイナップルジュース+炭酸水+シュガーシロップ)
ピニャ・コラーダ(ラム酒+パイナップルジュース+ココナッツミルク)
ブルー・ハワイ(ラム酒+パイナップルジュース+ブルー・キュラソー+レモンジュース)
X.Y.Z(エックス・ワイ・ジー)(ラム酒+ホワイトキュラソー+レモンジュース)
ダイキリ(ラム酒+ライムジュース+シュガーシロップ)
バカルディ(ラム酒+グレナデンシロップ+ライムジュース)
ホット・バタード・ラム(ラム酒+角砂糖+お湯+バター)
ロングアイランド・アイスティー(ジン、ウォッカ、ラム酒、テキーラ、コーラなど)
ジャック・ター(ラム酒(151プルーフ)+サザン・カンフォート+ライムジュース+砂糖)
モヒート(ジュレップ・スタイル)(ラム酒+ライムジュース+砂糖+ミントの葉)
ラムカイピリーニャ(ラム酒+ライムジュース+砂糖)
ラムの飲み方を度数の高い方から順番に紹介します。
※紹介している割合はあくまで目安なので、好みに合わせて調節してください。
ラム酒の甘い香りと味わいをじっくりと味わいたい方は、ストレートの飲み方がおすすめです。ブランデーグラスで飲めば香りを存分に楽しむことができますよ。
一番香りが立つのは常温ですが、アルコール感が苦手な方は冷蔵庫または冷凍庫での保存がおすすめです。冷凍庫でキンキンに冷やせば、味がまろやかになって飲みやすくなりますよ。
「ダーク・ラム」はストレートやロックで嗜まれることが多く、芳醇なサトウキビの甘みを楽しむことができます。
ストレートで飲むのはちょっときつい、抵抗があるという方にお勧めなのがロックでの飲み方。時間が経って氷が溶け出すことでまろやかな味わいになり、飲みやすくなりますよ。
ラム酒はホットで飲むのもおすすめで、ラム酒そのものを電子レンジで少し温めるか、お湯を注いでみてください。温まるとラム酒の甘い香りが強まりますが、アルコールの香りも強くなるので要注意です。飲みにくいと感じたら砂糖や蜂蜜で甘みを加えると飲みやすいですよ。シナモンなどのスパイスやバターを加えるのもおすすめです。
デザートにも使われるラム酒は牛乳やココアとの相性も良く、冬にホットで飲めば体が温まりますよ。風味豊かなダーク・ラムで割るのがおすすめです。お好みでクリームやバターを加えればデザートのような味わいになります。割合は、ラム酒:牛乳またはココア=1:1、ガムシロップ適量です。
ラム酒をすっきりと手軽に飲みたい方におすすめです。ただし、割材に味や風味がない分、アルコール感が強いので、アルコールの味が苦手という方はラム酒の分量を減らしたり、柑橘類を絞ったりしてみると飲みやすくなります。基本的な割合は、ラム:炭酸水=1:3です。
一番飲みやすいのが、ラムをジュースなどで割るカクテルでしょう。コーラやジンジャーエールで割ればごくごくと飲めてしまうような飲みやすさになります。ただし、ラムベースのため意外と度数が高く、割材のジュース等の糖分を取りすぎてしまうので飲みすぎには要注意です。
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