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ジンとラムの違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

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ジンとラムの違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

日本人にとっては少しなじみの薄いジンとラム。この記事ではジンとラムの原料や製法、味・香りなどの違いを解説します。

ジンとラムはどちらもスピリッツの一種

ジンとラムは、どちらも穀物などの原料を加工して造られる蒸留酒(スピリッツ)の一種です。蒸留酒はアルコール度数が高く、火をつければ燃えることから、「火酒(かしゅ)」と呼ばれることもあります。
 
ジン・ラム以外にもブランデー、ウイスキー、焼酎、ジン、テキーラも蒸留酒ですが、日本において「スピリッツ」と言えばウォッカ、ジン、ラム、テキーラを指すことが多く、この4種類のお酒は「世界4大スピリッツ」とも呼ばれています。

ジンとラムの違い①原料

ジン

ジンの基本的な原料は大麦、ライ麦、トウモロコシ、ジャガイモといった穀物ですが、ジンの場合、香り付け用に様々な原料が使用されており、ジンの香りの決め手となる「ジュニパーベリー」という果実を乾燥させたスパイスをはじめ、様々なハーブやスパイス、フルーツが用いられています。
 
ジュニパーベリーは、日本語では「セイヨウネズ(西洋杜松)」と呼ばれる針葉樹に成る果実で、「ベリー」という名前がついているものの、他のベリー系の果実とは少し異なるスパイシーで爽やかな風味を持ち、これがジンのクリアでドライなテイストの決め手となります。
 
香りづけに用いるジュニパーベリー以外の原料は、コリアンダー、アニス、キャラウェイ、フェンネル、カルダモンなどの種子、アンジェリカ、オリス、リコリスなどの根、レモンやオレンジなどの果皮、シナモンの樹皮など様々です。

ラム

ラムはサトウキビから造られる、カリブ地域原産の蒸留酒です。強い甘い香りが特徴的なお酒です。お菓子作りなどでよく使われる、レーズンをラムに漬け込んだ「ラムレーズン」がよく知られていますよね。
 
サトウキビから砂糖を精製する過程で出る副産物の黒いシロップ「モラセス(廃糖蜜)」を原料とする「インダストリアル・ラム」と、サトウキビの搾り汁を原料とする「アグリコール・ラム」がありますが、「アグリコール・ラム」はサトウキビ本来の甘さが味わえる一方、限られた場所と時期でしか作ることができないラム酒であり、流通しているラム酒のほとんどは「インダストリアル・ラム」となっています。

ジンとラムの違い②製法

ジン

ジンは、穀物などの原料を発酵・蒸留させたものを「ベーススピリッツ」と呼び、ベーススピリッツにジュニパーベリーを始めとしたスパイスやハーブ、フルーツなどの「ボタニカル」で香り付けすることで完成します。
 
香りづけの方法は、ベーススピリッツにボタニカルを漬け込んで再度蒸留を行う方法と、ベーススピリッツのみ蒸留して蒸気の通り道にボタニカルを置く方法の2通りに分かれています。現在、多くのメーカーは前者の漬け込む方法を用いています。

ラム

ラム酒はサトウキビの糖蜜を発酵・蒸留し、熟成させることで造られています。ラムは製法によって風味と色に違いが生まれますが、風味の違いで「ライト・ラム」、「ミディアム・ラム」、「ヘビー・ラム」の3種類に分けられ、色の違いによって「ホワイト・ラム」、「ゴールド・ラム」、「ダーク・ラム」の3種類に分けられます。
 
なお、長期熟成させた高級ラム酒は「アネホ」と呼んで区別され、ラム酒にバニラなどのハーブやスパイスを加えたものは「スパイストラム」と呼ばれています。また、ブラジルでサトウキビから造られる蒸留酒は、歴史上の経緯から「カシャーサ」と呼ばれ、ラム酒とは区別されています。

ジンとラムの違い③味・香り・度数

ジン

ジンは、ジュニパーベリーを始めとしたスパイスやハーブ、フルーツなどのスパイシーで爽やかな独特の香りを持つ、切れ味のあるクリアな味わいが特徴的です。製造しているメーカーで香り付けに使用している原料が異なるので、製品ごとに違った味わいが楽しめます。
 
定番の「ドライジン」以外には、まろやかな甘みを特徴としたオランダ産の「ジュネヴァ」、バランスの良い風味のドイツ産の「シュタインヘーガー」、甘めのドライジンともいえるイギリス産の「オールトムジン」があります。また、生産されている地方によって風味の異なる「クラフトジン」が近年人気を博しています。
 
製品は40~50度のアルコール度数で売られている製品が多くなっていますが、飲む人の好みに合わせて37度前後、50度以上のジンも販売されています。ちなみに、EU(欧州連合)ではジンのアルコール度数は「37.5度以上」と定義づけられています。

ラム

ラム酒は、甘い香りや味わいが特徴ですが、前述の「ホワイト・ラム」、「ゴールド・ラム」、「ダーク・ラム」でテイストが大きく異なっています。
 
「ホワイト・ラム」は無色でクセが少なく、比較的すっきりとした味わいで、「ゴールド・ラム」は3種の中間ともいえるバランスの良い味わいが魅力、「ダーク・ラム」はラムの中では一番濃厚で強い風味を持ちます。
 
アルコール度数は40度前後の製品が多く、飲む人の好みに合わせて37度前後の製品や、70度以上の製品もあります。

ジンとラムの違い④飲み方

ジン

ジンは、その切れ味ある飲み口から、炭酸水やトニックウォーター、ライムとの相性が良く、カクテルの「ジン・トニック」はとても有名ですね。また、「マティーニ」、「ネグローニ」、「ギムレット」はジンをベースとした人気のカクテルです。
 
ジュースで割るなら柑橘系のジュースや、炭酸系のコーラやジンジャーエールと相性が良いですよ。オランダやドイツで生産されている甘めのジンはストレートやロックでも飲まれています。

ラム

上記の通り、3種類の異なるテイストのラム酒で、それぞれ違った楽しみ方があり、様々な方法で嗜まれています。「ホワイト・ラム」はカクテルベースとしての使用がほとんどで、「モヒート」や「ダイキリ」といった有名なカクテルがあります。また、コーラ、ジンジャーエールといった甘い炭酸飲料との相性がとても良いことでも知られています。
 
「ゴールド・ラム」と「ダーク・ラム」はストレートやロックで嗜まれることが多く、芳醇なサトウキビの甘みを楽しむことができます。