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ジンとウイスキーの違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

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ジンとウイスキーの違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

ヨーロッパ発祥の蒸留酒であるジンとウイスキー。この記事では、ジンとウイスキーの原料や製法、味や香りといった視点から両者の違いを紹介します。

ジンとウイスキーの違い①原料

ジン

ジンの基本的な原料は大麦、ライ麦、トウモロコシ、ジャガイモといった穀物ですが、ジンの場合、香り付け用に様々な原料が使用されており、ジンの香りの決め手となる「ジュニパーベリー」という果実を乾燥させたスパイスをはじめ、様々なハーブやスパイス、フルーツが用いられています。
 
ジュパニーベリーは、日本語では「セイヨウネズ(西洋杜松)」と呼ばれる針葉樹に成る果実で、「ベリー」という名前がついているものの、他のベリー系の果実とは少し異なる、スパイシーで爽やかな風味を持ち、これがジンのクリアでドライなテイストの決め手となります。
 
香りづけに用いるジュニパーベリー以外の原料は、コリアンダー、アニス、キャラウェイ、フェンネル、カルダモンなどの種子、アンジェリカ、オリス、リコリスなどの根、レモンやオレンジなどの果皮、シナモンの樹皮など様々です。

ウイスキー

ウイスキーは、大麦、ライ麦、トウモロコシといった穀物から造られています。発祥はスコットランドとアイルランドの2説あるようですが、はっきり決着はついていないようです。
 
原料によって「モルト・ウイスキー(大麦)」、「グレーン・ウイスキー(穀物全体)」、「コーン・ウイスキー(トウモロコシ)」といった呼び名で分類されており、さらに産地によっても「スコッチ・ウイスキー(スコットランド)」、「アイリッシュ・ウイスキー(アイルランド島)」、「バーボン・ウイスキー(アメリカ・ケンタッキー州バーボン郡)」といった分類がされています。

ジンとウイスキーの違い②製法

どちらも蒸留酒の1種

ジン・ウイスキーのどちらも穀物などの原料を糖化・発酵させ、蒸留することで製造される蒸留酒です。大きな違いとしては、ジンは蒸留したものに香りづけを行い、熟成はさせないのですっきりとした味わいが特徴で、ウイスキーは蒸留したものを木の樽で貯蔵・熟成させるのでまろやかな味わいとなります。

スピリッツと他の蒸留酒の違い

蒸留酒は高温で熱して造る「火の酒」であり、火の酒は人間の魂にはたらきかけ、肉体を目覚めさせ、また活力を与えることから、蒸留酒はスピリッツ(spirits)と呼ばれるようになったようです。
 
ジン以外にもブランデー、ウイスキー、焼酎、ウォッカ、ラム、テキーラも蒸留酒であり、広い意味ではこれら全て「スピリッツ」と呼べますが、日本において「スピリッツ」とはウォッカ、ジン、ラム、テキーラを指すことが多く、この4種類のお酒は「世界4大スピリッツ」とも呼ばれています。
 
日本における狭い意味での「スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ)」という呼称は、1953年に制定された酒税法における分類によって形作られたようです
1953年当時、蒸留酒のうち、既に日本である程度の知名度があった「ブランデー」、「ウイスキー」、「焼酎」は個別の分類とし、それ以外(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ等)が「スピリッツ」に分類されました。
ちなみに、日本の酒税法における分類としての「スピリッツ」は、やや複雑な定義にはなりますが、「焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール以外の蒸留酒類で、エキス分が2度(2%)未満のもの」とされています。
 
なお、海外では蒸留酒は専ら「liquor(リカー)」と呼ばれています。

ジンとウイスキーの違い③味・香り・度数

ジン

ジンは、ジュニパーベリーを始めとしたスパイスやハーブ、フルーツなどのスパイシーで爽やかな独特の香りを持つ、切れ味のあるクリアな味わいが特徴的です。製造しているメーカーで香り付けに使用している原料が異なるので、製品ごとに違った味わいが楽しめます。
 
定番の「ドライジン」以外には、まろやかな甘みを特徴としたオランダ産の「ジュネヴァ」、バランスの良い風味のドイツ産の「シュタインヘーガー」、甘めのドライジンともいえるイギリス産の「オールドトムジン」があります。また、生産されている地方によって風味の異なる「クラフトジン」が近年人気を博しています。
 
製品は40~50度のアルコール度数で売られている製品が多くなっていますが、飲む人の好みに合わせて37度前後、50度以上のジンも販売されています。ちなみに、EU(欧州連合)ではジンのアルコール度数は「37.5度以上」と定義づけられています。

ウイスキー

ウイスキーは、木製の樽で熟成するため、ウッディーな香りとビターな風味が特徴的ですが、原料や産地によって風味が大きく異なります。香りも、スモーキーなものからフルーティーなものがあり、味わいも軽い味わい(ライト・ボディ)のものから重たいもの(フル・ボディ)まで様々です。
 
ウイスキーはアルコール度数は40度前後の製品が多く、飲む人の好みに合わせて50度以上の製品も販売されています。

ジンとウイスキーの違い④飲み方

ジン

ジンは、その切れ味ある飲み口から、炭酸水やトニックウォーター、ライムとの相性が良く、カクテルの「ジン・トニック」はとても有名ですね。また、「マティーニ」、「ネグローニ」、「ギムレット」はジンをベースとした人気のカクテルです。
 
ジュースで割るなら柑橘系のジュースや、炭酸系のコーラやジンジャーエールと相性が良いですよ。オランダやドイツで生産されている甘めのジンはストレートやロックでも飲まれています。

ウイスキー



ウイスキーは風味が強い分、その風味を味わう飲み方である、ストレートやロック、ソーダ割りといった飲み方が好まれていますが、ウイスキーを使ったカクテルもあり、「マンハッタン」「オールド・ファッションド」などの有名なカクテルがあります。