アルコール度数の高いお酒と知られるジンですが、ドライジンとは何が違うのでしょうか。この記事ではジンとドライジンの違いについて解説します。
ドライジンは、ジンの一種です。ジンの中では最もポピュラーで、世界中に広まっており、現在「ジン」といえばほとんどの場合、ドライジンを指します。
ジンは、「飲む香水」とも呼ばれる、ヨーロッパ生まれの蒸留酒(スピリッツ)の一種です。蒸留酒はアルコール度数が高く、火をつければ燃えることから、「火酒(かしゅ)」と呼ばれることもあります。
ジュニパーベリーを始めとしたスパイスやハーブ、フルーツなどの「ボタニカル」による香りづけが特徴的で、独特の香りと味わいを持ちます。ただし、製造しているメーカーで香り付けに使用している原料が異なるので、製品ごとに違った香りや味わいが楽しめます。
製品は40~50度のアルコール度数で売られている製品が多くなっていますが、飲む人の好みに合わせて37度前後、50度以上のジンも販売されています。ちなみに、EU(欧州連合)ではジンのアルコール度数は「37.5度以上」と定義づけられています。
「ドライジン」は、19世紀半ばにイギリスで「連続式蒸留機」という純度の高いスピリッツを精製する製法が発明されたことで生まれたジンの一種です。ジュニパーベリーをはじめとしたハーブやスパイス由来の切れ味あるクリアな味わいが特徴です。「ロンドン・ジン」、「ブリティッシュ・ジン」とも呼ばれます。
ドライジンのクリアな味わいは炭酸との相性が良く、トニックウォーターで割った「ジン・トニック」をはじめ、様々なカクテルのベースとして使用されることも多いです。
「ドライジン」以外には、まろやかな甘みを特徴としたオランダ産の「ジュネヴァ」、バランスの良い風味のドイツ産の「シュタインヘーガー」、甘めのドライジンともいえるイギリス産の「オールドトムジン」があります。また、生産されている地方によって風味の異なる「クラフトジン」が近年人気を博しています。
独特の香りがするジンは、ストレートの飲み方でも美味しく飲むことができます。ジン独特の香りや味わいを楽しみたい方は常温または冷蔵庫での保存がおすすめですが、冷凍庫でキンキンに冷やせば、味がまろやかになって飲みやすくなります。
オランダの「ジェネヴァ」やドイツの「シュタインヘーガー」はストレートで嗜まれることの多いジンです。
ストレートで飲むのはちょっときつい、抵抗があるという方にお勧めなのがロックでの飲み方。時間が経って氷が溶け出すことでまろやかな味わいになり、飲みやすくなりますよ。レモンやライムといった柑橘類と合わせるとさらに飲みやすく、すっきりとした味わいになりますよ。
ジンはホットで飲むのもおすすめで、作り方はジンにお湯を注ぐだけです。温まるとジンの香りが強まりますが、アルコールの香りも強くなるので要注意です。飲みにくいと感じたら砂糖や蜂蜜、フルーツジュースなどの割り方で甘みを加えると飲みやすいですよ。砂糖を加えたものは「ホット・ジン・スリング」とも呼ばれます。
ジンをすっきりと手軽に飲みたい方におすすめです。ただし、割材に味や風味がない分、アルコール感が強いので、アルコールの味が苦手という方はジンの分量を減らしたり、柑橘類を絞ったりしてみると飲みやすくなります。
★割合は、ジン:炭酸水=1:3
トニックウォーターは炭酸水に柑橘類の皮から抽出されたエキスや糖分を加えたもので、ジンと割ることで有名な「ジン・トニック」となります。炭酸水で割るよりよりも味や香りがあるので、アルコールが苦手だけどさわやかにお酒を楽しみたい方におすすめです。お好みでレモンやライムなどを絞ると更にさわやかさが増しますよ。
★割合は、ジン:トニックウォーター=1:3
トニックウォーターを半分炭酸水に変えると「ジン・ソニック」というカクテルになります。バランスの良い爽やかさが魅力です。
ジンをオレンジジュースと割れば、「オレンジ・ブロッサム」というカクテルになります。フルーティーで甘く、とても飲みやすいですが、ベースがジンなので意外と度数が高いので要注意です。
★割合は、ジン:オレンジジュース=1:2または3
オレンジジュースの一部を炭酸水に変えれば「オレンジ・フィズ」というカクテルにもなります。オレンジフレーバーのソーダで作っても美味しいですよ。また、アンゴスチュラビターズというリキュールを1dash(1振り、5~6滴)加えれば「ゴールデン・スクリュー」というカクテルにもなります。
クリアで切れのあるジンには爽やかな風味のレモンジュースがよく合うので、レモンジュースを使ったカクテルがいくつかあります。
ジン45ml+レモンジュース20ml+砂糖小さじ1をシェイクしたものは「ジン・サワー」に、ジン45ml+レモンジュース25ml+砂糖10gをシェイクしたものに好みの量の炭酸水を足せば「ジン・フィズ」に、ジン45ml+レモンジュース20ml+砂糖10gと氷をシェイクしものに好みの量のシャンパンで「フレンチ75」というカクテルになります。
トマトジュースと割ることで、赤い見た目が鮮やかな「ブラッディ・サム」というカクテルになります。トマトジュースに含まれるリコピンという成分には酔いを穏やかに進める効果があるなど、やや健康志向なカクテルです。お好みでレモンジュース、タバスコ、ウスターソース、塩、コショウを加える方もいるようです。
★割合は、ジン:トマトジュース=1:3
コーラと混ぜれば「ジン・コーク」というカクテルにもなります。コーラの風味が強く、とても飲みやすく、ゴクゴクと飲めてしまいますが、ジンベースなので度数が高く、コーラは糖分量が多いので、飲みすぎに注意です。
★割合は、ジン:コーラ=1:2または3
ジンジャーエールと少量のライムジュースを混ぜれば「ジン・バック」というカクテルにもなります。ジンジャーエールは甘口と辛口がありますが、どちらで割っても違った美味しさがあります。ライムなしでも十分美味しく、手軽に楽しむことができます。
★割合は、ジン45mlに対し、ライムジュース20ml、お好みの量のジンジャーエールを加える
カクテルでは定番のライムはジンとの相性が抜群です。ジンにライム果汁を絞ればそのまま「ジン・ライム」になります。
★割合は、ジン30mlに対し、ライム1/6
ジン30ml+ライム1/2に好みの量の炭酸水を足せば「ジン・リッキー」というカクテルになります。
「ドッグズノーズ」はジンとビールを使ったカクテルで、ビールグラスに注いで作ります。ビールより度数は高くなりますが、ビールの苦みにジンのドライなテイストが加わって奥行きのある味わいになります。食事とも合わせやすく、食中酒にもおすすめです。
★割合は、ジン45mlに対し、お好みの量のビール
ジン+ドライ・ベルモットで作る「マティーニ」は、映画でもよく登場するカクテルの代名詞ともいえる大人のカクテルです。グラスの中にはオリーブを浮かべますが、材料が独特で、家で作るには少々敷居が高いかもしれません。
★割合は、ジン:ドライ・ベルモット=3:1
ドライジンにはたくさん有名な銘柄がありますが、その中でも「ビーフィーター」、「ボンベイ・サファイア」、「タンカレー」、「ゴードン」は4大ジンと呼ばれています。
「ビーフィーター(Beefeater)」は、ロンドンで製造されるジンの銘柄のひとつで、1820年代に創業した歴史ある銘柄です。「ビーフィーター」とは、ロンドンの象徴でもあるロンドン塔の近衛兵が、国王主催のパーティーで残った牛肉の持ち帰りを許可されていたことから“Beef eater”と呼ばれていたことに由来しています。
ビーフィーターのジンは、ジュニパーベリーをはじめとする9種類のスパイスやハーブ、フルーツを24時間漬け込んでから蒸留されています。ビーフィーターの味は、ジュニパーベリーの強い香りと、ハーブやスパイスの複雑でスパイシーな風味が特徴的な、いわばドライジンの王道ともいうべきテイストです。シンプルなカクテルにもよく合い、マティーニやジン・トニックなどのクラシックなジンカクテルに使われることも多いです。
ラインナップは、赤い兵士のラベルが象徴的なレギュラーモデル(40度、47度)に加え、日本茶がフレーバーに使われた「ビーフィーター 24(40度)」、ストロベリーの芳醇な香りと甘さが感じられる「ビーフィーター ピンクストロベリー(37度)」があります。
「タンカレー(Tanqueray)」は、1830年にチャールズ・タンカレーがロンドンで創業したジンの銘柄です。緑色のボトルに赤い封蝋(ふうろう)のマークのデザインが印象的なジンです。
タンカレーのジンは、ジュニパーベリーをはじめとする4種類のボタニカルを使用して製造されています。特に、看板商品の「ロンドン ドライジン」は、47.3度の高いアルコール度数で、ジュニパーベリー、コリアンダー、エンジェリカ、リコリスの4種類のみボタニカルに使用しているので、スパイシーな風味とジュニパーベリーの強い香りが特徴的な、とりわけドライさが強いジンに仕上がっており、ドライさが決め手のカクテル「マティーニ」のベースとして使われることが多くなっています。
ラインナップは「ロンドン ドライジン(47.3度)」、生のフルーツをボタニカルに使った「ナンバーテン ジン(47.3度)」、強いライムやジンジャーの風味が楽しめる「ラングプール(41度)」、ハーブのフローラルさとペッパーのスパイシーな風味が楽しめる「ラヴァージュ(47.3度)」などがあります。
「ボンベイ・サファイア(Bombay Sapphire)」は、青いガラスのボトルが特徴的な、世界中で人気のジンです。4大ジンの中では最も新しい銘柄で、1987年に登場し、当時低迷期に陥っていたジン業界を再興した革新的なジンでもあります。「ヴェイパー・インフュージョン製法」という、ボタニカルを漬け込むのではなく、蒸留器の蒸気の通り道において香り付けするという独自の方法で製造していることでもよく知られています。
ボンベイ・サファイアは、世界中から集められた10種類のボタニカルを使用して製造されており、華やかでフローラルな香りと、ジンらしいドライな口当たりを持つジンに仕上がっています。ボタニカルの香りが強く感じられるので、ジンジャーエールやトニックウォーターとの相性がよく、「ジン・バック」や「ジン・トニック」などのカクテルによく使われます。
ラインナップは、レギュラーモデルの「ボンベイ・サファイア(47度)」、柑橘類の香り際立つ「ボンベイ・サファイア プレミアクリュ(47度)」、エレガントな味わいの「ボンベイ・サファイア サンセット(43度)」、伝統的な味わいが楽しめる「ボンベイ・ドライ(40度)」などがあります。
「ゴードン(Gordon's Gin)」は、イギリスのロンドンで創業されたジンの銘柄で、1769年にアレクサンダー・ゴードンが作り始めたドライジンです。1925年には、ジンとしては初めて「ロイヤルワラント(英国王室御用達)」の認定を取得するなど、知名度とクオリティの両方が高いジンでもあります。
ゴードンのジンは、ジュニパーベリーをはじめとする数種類のボタニカルを使用して製造されており、味の特徴としてはジュニパーベリーのウッディーな風味が強く、スパイシーな風味が特徴的なジンに仕上がっています。ジン・トニックやマティーニなどのシンプルかつジンの風味が活きるカクテルによく使用されています。
ラインナップは、定番の「ゴードン ロンドン ドライジン(37.5度、43度)」、イチゴやラズベリーのフレーバー香る「ゴードン プレミアムピンク ジン(37.5度)」、シチリアレモンの爽やかな香りが楽しめる「ゴードン シシリアンレモン ジン(37.5度)」、などがあります。4大ジンの中ではアルコール度数が低めなのも特徴です。
「No.3 ロンドンドライジン」は、イギリスのロンドンで創業されたジンの銘柄で、1700年代からロンドンで高品質の酒類を販売している老舗の酒商「BB&R(Berry Bros. & Rudd)社」がオランダで生産しているドライジンです。
オフィスの住所である「No.3 St James’s Street, London(セント・ジェームス・ストリート3番地)」と、ボタニカルに3種のスパイス(アンジェリカルート、コリアンダーシード、カルダモンポッズ)と3種のフルーツ(ジュニパーベリー、オレンジピール、グレープフルーツピール)を使用していることから「No.3」と名付けられました。鍵のモチーフと青緑色のボトルが印象的でおしゃれなジンです。
「クラシックドライマティーニに最もあうジンであること」という商品コンセプトからもわかるように、ドライジンの王道ともいえるテイストで、様々なカクテルのベースによく合うジンです。ラインナップはレギュラーモデル(46度)のみです。
1857年にイギリスのロンドンでギルビー兄弟が製造を始めた、「ギルビー」ブランドのウォッカとジンは、世界的にポピュラーな銘柄です。「ギルビージン」はギルビー家秘伝のレシピを用いて造られており、ラベルに記された5つの星マークは、W&Aギルビー社の歴史と製造のこだわりの証です。
ギルビーのジンは、ジュニパーベリーをはじめとした12種類ものボタニカルを使用して製造されています。柑橘類の清涼感が感じられるフルーティーな香りとスパイシーな風味が特徴的な味わいで、レギュラーボトルのアルコール度数も37.5度と、飲みやすいテイストなのが特徴です。また、比較的リーズナブルな価格帯なので、手軽に楽しめるジンとしても人気があります。
なお、レギュラーモデルの赤いラベル(37.5度)と、緑のラベル(45度)がラインナップされています。前者はジン初心者の方におすすめで、強めが好みの方は後者がおすすめです。
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