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大根を水にさらす理由。正しい方法と時間は?デメリットもある?

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大根を水にさらす理由。正しい方法と時間は?デメリットもある?

大根は、下ごしらえとして水にさらすことがあります。大根を水にさらすのはどういった料理に使う場合がご存知でしょうか。本記事では大根を水にさらす理由や大根を水にさらす方法などを解説します。

大根を水にさらす料理とは

主に生食

野菜を調理するときの下ごしらえはいくつかあり、その一つに「水にさらす」があります。大根を使ったレシピにも「水をさらす」と記載されていることがありますが、必ずしも水にさらしてから使わなければいけないということはありません。

大根を水にさらすのは、

  • サラダ

  • 野菜スティック

  • 刺身のツマ

など主に生の状態で食べるときです。

煮物など加熱料理では下茹でする

煮物などの加熱料理に使う際は予め下茹でをしておくとよい

大根を煮物などの加熱調理をするときは、下茹でをします。

煮物などの加熱調理をするときに下茹でしておくことで、アクを取ることができます。アクとは、一般的に苦味やえぐみ、渋みなど味を損ねる成分の総称です。下茹でをしてアクを取り除くことで大根そのものの旨味が引き立ち、えぐみや渋みがなくなるので料理全体の味をよくすることができます。

また、アクを取る以外にも大根が柔らかくなり味が染み込みやすくなるなどの効果があります。

煮物を作る際に大根を水にさらしてから下茹ですることもあります。水にさらしてから下茹でを行うことでよりアクを取りやすくなりますが、近年販売されている大根はそこまでアクが強くないものが多いので下茹でのみで十分であることが多いです。

生食におすすめの大根の部位は?

大根は上部・中部・下部に分けられ、生食するには上部がおすすめ

大根は上部・中部・下部と3つにわけられ、大根がもつ辛味成分の含有量や固さなどそれぞれ異なる特徴があるため料理に合わせて使い分けることでより大根をおいしく食べることができます。

サラダなど生で食べるのに適している部位は上部です。大根の葉に近い上部の部分は、大根の部位の中で最も甘味が強く水分が多いのが特徴です。固めでみずみずしいシャキシャキとした食感を楽しむことができます。

大根の上部の甘味が強いのは辛味成分の含有量が少ないためです。大根の辛味や苦味の元になっているのはイソチオシアネートとよばれる成分です。主に辛味となっているのが「アリルイソチオシアネート」というイソチオシアネートの一種です。大根は上部から下部にかけて辛味成分の含有量が増えていくため下部が最も辛味を強く感じます。

デメリットもある

大根を水にさらすメリットがある一方で、デメリットもあります。

大根にはビタミンCが含まれています。ビタミンCは水溶性であるため、水に浸けることで流れ出てしまいます。短時間であればすべて流れ出てしまうということはありませんが、長時間浸けてしまわないように注意が必要です。

ちなみに、大根にはジアスターゼなどの消化酵素も含まれているのですが、ジアスターゼは加熱にとても弱く50〜70℃で消滅してしまいます。そのため下茹でをすると水溶性の栄養素が流れ出てしまうだけではなく消化酵素も消滅させてしまうというデメリットがあります。栄養素を重視する場合は、大根おろしにするなど生で食べるのが良いでしょう。

大根を水にさらす理由

シャキッとさせる

大根を水にさらすことで、大根をシャキっとさせて食感を楽しむことができます。

大根は元々水分を多く含む野菜ですが、乾燥などが原因で水分が不足すると柔らかくなり食感が損なわれてしまいます。特にカットすると断面から水分が抜けてしなしなになってしまうため、水にさらして水分を吸わせておくことでシャキっとした食感をキープすることができます。

特に購入してから時間が経っている大根を使ってサラダなどを作るときは、水にさらしたほうが食感がよくなります。

アク抜き

大根のアク抜きをする方法には「下茹で」がありますが、水にさらすことでもアク抜きをすることができます。

大根を生で食べるときは、アクが残っていると苦味を感じることがあります。上述したように近年発売されている大根はそれほどアクが強いわけではありませんが、生で食べる場合に苦味を感じることもあります。苦味が苦手な方や小さなお子様が食べる場合は、水にさらしたほうが食べやすくなります。

辛味は軽減される??

玉ねぎの辛味は水にさらすことで軽減されますので、玉ねぎを生で食べるときには水にさらすという方は多いのではないでしょうか。

大根にも玉ねぎのような辛味がありますが、玉ねぎの辛味成分と大根の辛味成分は異なるものです。玉ねぎの辛味成分は「硫化アリル(アリシン)」と呼ばれる成分で、水に溶ける性質があるため水につけることで辛味を軽減することができます。一方、大根の辛味成分であるイソチオシアネートは硫化アリルとは異なり水に溶けやすい性質ではありません。

そのため、大根は水にさらしても辛味が軽減されにくいです。イソチオシアネートは揮発性の高い成分ですので、辛味を軽減したいのであれば空気にさらしておいたほうが効果的です。

大根を水にさらす方法

切って水に放すだけ

大根を千切りにして水にさらす

大根を水にさらす方法は、好みの大きさに切った大根をボウルなどに入れて水を張って時間を置くだけです。

ちなみに大根は繊維に沿って切ると、よりシャキシャキとした食感を楽しむことができます。大根の繊維は縦に走っています。例えば繊維に沿って千切りにする場合は、まず大根を4~5cm幅の薄切りにしたら、縦に走っている繊維に沿って細くきっていきます。

スティックサラダにする場合も食感を楽しみたい場合は繊維に沿ってスティック状にカットするのがおすすめです。

時間は?一晩はやりすぎ?

大根を水にさらす時間は5分程度です。上述したように長時間水に浸けてしまうと、水分を吸ってシャキシャキの食感にすることができても水溶性の栄養素は流れ出ていってしまいます。下ごしらえを前日にしておきたい!という方も多いかと思いますが、前日にみずにさらして冷蔵庫で保存などは避けたほうが良いです。

サラダなどにして大根を生で食べる場合は、食べる直前に作ったほうが美味しく食べることができます。

水にさらした大根の保存方法

一度水にさらした大根は、水気を切り密閉できる容器に入れて冷蔵保存します。この状態でだいたい2~3日保存しておくことができます。

上述したように大根は水分を多く含む野菜ですので、カットした状態だと水分がでてきます。水にさらした後に水気をきらずに保存してしまうと水っぽくなってしまいます。また、大根は乾燥してしまうと水分が奪われて食感が悪くなってしまいます。乾燥しないようにしっかりと密閉できる容器に入れて保存することが大切です。

生食にする場合の大根は冷凍保存には不向きです。冷凍すると食感が悪くなってしまいますので、サラダようにカットし水にさらした大根は冷蔵保存をし、できるだけ早く食べきるのが良いです。