ほうれん草は冷凍保存することも多いと思いますが、冷凍したほうれん草がまずいと感じたことがある方も多いのではないでしょうか。本記事では冷凍したほうれん草がまずい原因やまずくなりにくい冷凍のコツ、解凍方法などを解説します。
冷凍したほうれん草がまずい原因は下記の通りです。
冷凍したほうれん草がまずいと感じる原因は、やはり食感の変化です。冷凍したほうれん草はべちゃっとした柔らかい食感になります。
冷凍することで食感が損なわれてしまう理由としては、冷凍することでほうれん草の繊維が壊れてしまうことと、凍ったほうれん草の水分が抜けてしまうためです。
繊維が壊れることで火が通りやすくなるというメリットもありますが、冷凍したほうれん草の食感が苦手という方は多くいます。
ほうれん草に限らず、一度冷凍した野菜は解凍すると水っぽくなってしまい、料理の味を薄めてしまう原因にもなります。
解凍したときに水っぽくなってしまうのは、冷凍したときに凍った野菜の中の水分が溶けて出てきてしまうためです。洗ってからきちんと水気を拭き取っていなかったりすると、野菜に含まれている水分以外の余計な水分も凍ることになるため、さらに水っぽくなってしまいます。
冷凍したほうれん草に冷凍庫の臭いがついてしまって、美味しくないと感じることもあります。
これは冷凍庫についている食材の臭いや細菌の臭いなどがほうれん草についてしまうことが原因です。ほうれん草だけではなく様々な食材でよく起こる現象で、葉物野菜は特にニオイ移りしやすいです。
これはしっかり密閉して冷凍庫に入れることで防ぐことができます。また、冷蔵庫は様々な食材のニオイが付きやすいので、こまめに拭き掃除をするなど清潔に保つことが大切です。
冷凍することで食感や味が変わってしまうことがあるなら、栄養価も下がってしまうのではないかと思う方も多いと思いますが、栄養価が大きく下がってしまうことはありません。
基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気に触れて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。
冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。
ほうれん草は乾燥に弱い葉物野菜で、冷蔵保存すると9日間で70%ものビタミンCが失われてしまうというデメリットも。栄養をキープしたいなら冷凍保存がおすすめです。
それでは、まずくなりにくいほうれん草の冷凍のコツを紹介します。
ほうれん草はそのまま冷凍しても良いのですが、生のまま冷凍するよりも、一度茹でてから保存した方が食感や風味が悪くなりづらく、変色しにくくなります。
冷凍する前に茹でたり蒸気を当てたりと必要最低限の加熱処理を行うことを「ブランチング」と言います。ほうれん草以外の野菜でも使える方法で、加熱して野菜の持っている酵素を不活性化させることにより変色を防いだり、組織を軟化させることにより冷凍によって組織が破壊され食感を損なわれるのを防ぐことができます。また、食品表面に付着している微生物の殺菌にもなります。
ブランチングするときは、固めに茹でます。
出典:冷凍食品Q&A冷凍食品の基礎知識(日本冷凍食品協会)
茹でたほうれん草は冷水につけ、水けを絞って食べやすい大きさにカットします。
ここでしっかりと水気をきっておかないと、余計な水分まで凍ってしまい解凍したときにびちゃびちゃになってしまうので、キッチンペーパーなどを使ってしっかりと水気をとりましょう。
水気をとったら小分けにしラップで包みます。
茹でたほうれん草の水気をとり、小分けにしたら冷凍用保存袋にまとめて入れ冷凍庫へいれます。
冷凍用保存袋に入れたらしっかりと空気を抜いて密閉しましょう。しっかりと密閉しておくことで、空気中の酸素に触れて酸化してしまい風味が悪くなってしまったり、冷凍庫のニオイが移ってしまうことを防ぐことができます。
ほうれん草に限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をした方が旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いた方が早く冷凍することができます。
冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。
冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。
冷凍したほうれん草をまずくしないためには、解凍方法も重要です。
冷凍した食材を解凍するときは電子レンジを使って解凍することが多いですが、電子レンジを使うと時短にはなりますが一気に加熱することで水分が一気に出てきてしまうためおすすめできません。
おひたしにしたい場合など、全解凍して使いたい場合は前日に冷蔵庫に移して自然解凍しましょう。冷蔵庫に移してゆっくりと解凍することで、食感が悪くなってしまうのをある程度防ぐことができます。
茹でてから冷凍したほうれん草は、自然解凍して出てきた水分をキッチンペーパーなどで拭き取れば、そのまま調理に使うことができます。
解凍されると水分が出てくるので、水分をキッチンペーパーなどで拭き取ったり絞ったりして食べましょう。そのまま使ってしまうと料理全体が水っぽくなってしまいます。
時間をかけずに解凍したい場合は、熱湯をかけて解凍するのがおすすめです。熱湯をかけるだけで、すぐに解凍することができますし、ほうれん草の食感が残りやすいというメリットがあります。
熱湯をかけて解凍した場合も水気をしっかりとってから食べます。
冷凍したほうれん草を炒めものにするなど加熱調理するのであれば、凍ったまま使用するのがベストです。
解凍してから使うこともできますが、全解凍してしまうとどうしてもほうれん草の水分が流れ出てしまい食感や味が悪くなってしまいますし、上述したように水分と一緒にビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養も流出してしまいます。
そのため、冷凍したほうれん草は解凍せずにそのまま料理に使うのがおすすめです。
それではどんな料理におすすめなのが、次に紹介していきます。
冷凍したほうれん草は、そのまま味噌汁やスープに入れるのがおすすめです。
味噌汁やスープなどの汁物であれば、柔らかくなってしまった食感も気になりません。また、汁物であれば流れ出てしまうビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素もしっかりと摂取することができます。
ほうれん草のおひたしはほうれん草を使った料理の定番ですが、冷凍したほうれん草を使って作ることもできます。おひたしであれば食感の悪さも気になりませんし、冷凍することで細胞が壊れていて、味も染み込みやすくなっているので短時間で美味しいおひたしを作ることができます。
茹でてから冷凍したほうれん草であれば、ささっと簡単に一品作れてしまうので便利です。
冷凍したほうれん草は解凍せずそのまま炒めものにするのもおすすめです。食感をカバーすることができるのはもちろんのこと、濃い味付けにすれば味や風味の悪さも気になりません。
さらにほうれん草に含まれているβ-カロテン(ビタミンA)は脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収率が高くなります。ほうれん草にはβ-カロテン以外にも、ビタミンEやKも含まれており、これらも脂溶性です。さらに、油はほうれん草に豊富に含まれるカルシウムの吸収率もアップするので栄養面的にも◎
冷凍したほうれん草は解凍せずにそのままミキサーに入れて撹拌すれば、スムージーを作ることができます。近年はスムージーの作り方も多様化しており、生の状態の野菜や果物をミキサーに入れて作ることも多いですが、本来スムージーは冷凍した野菜や果物をミキサーに入れて作ります。
そのため冷凍ほうれん草は解凍しなくても、そのままミキサーに入れればスムージーになります。ほうれん草苦味が気になる方はバナナなど甘みのある果物などと一緒にスムージーにすると飲みやすくなるのでおすすめです。栄養満点なので朝ごはんなどの置き換えにも良いでしょう。
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