ロシアの強いお酒のイメージがあるウォッカと、渋い大人なイメージが強いブランデー。この記事では、両者の原料や製法の違い、それぞれの味や香り、お勧めの飲み方を紹介します。
ウォッカは、大麦、小麦、ライ麦、トウモロコシ、ジャガイモといった穀物などの原料を加工して造られる、ロシア発祥のお酒です。ウォッカは氷点下でも凍らないため、超低温地域で重宝されてきた歴史があります。
なお、EU(欧州連合)では、サトウキビやブドウなどを原料とする蒸留酒をウォッカと認めるか意見が分かれていたようですが、最終的には原材料を明記することによって、ウォッカと認めることになりました。現在ではミルクやフルーツなど様々な原料から造られるウォッカが流通しています。
ブランデーは果実を原料して造られる蒸留酒ですが、一般的に「ブランデー」といえば、白ブドウを原料とする蒸留酒を指します。白ブドウ以外にはリンゴ(カルヴァドス)、サクランボ(キルシュワッサー)、キイチゴ(フランボワーズ)といった蒸留酒も、広い意味ではブランデーというくくりになります。
ブランデーの起源は7~8世紀のスペインと言われていますが、一般に広まったのは15世紀のフランスで、現在に至るまでブランデーの一大生産地はフランスです。
また、ブランデーは、ワインと同様に産地ごとの味わいや原料の違いで分類がされており、有名なものではフランスの「コニャック」や「アルマニャック」、スペインの「オルーホ」、イタリアの「グラッパ」など、世界各地で多種多様なブランデーが生産されています。
ウォッカ・ブランデーのどちらも穀物などの原料を発酵させ、蒸留することで製造される蒸留酒です。大きな違いとしては、ウォッカは蒸留したものを濾過するのですっきりとした味わいが特徴で、ブランデーは蒸留したものを木の樽で貯蔵・熟成させるので、芳醇でまろやかな味わいとなります。
蒸留酒は高温で熱して造る「火の酒」であり、火の酒は人間の魂にはたらきかけ、肉体を目覚めさせ、また活力を与えることから、蒸留酒はスピリッツ(spirits)と呼ばれるようになったようです。
ウォッカ以外にもブランデー、ウイスキー、焼酎、ジン、ラム、テキーラも蒸留酒であり、広い意味ではこれら全て「スピリッツ」と呼べますが、日本において「スピリッツ」とはウォッカ、ジン、ラム、テキーラを指すことが多く、この4種類のお酒は「世界4大スピリッツ」とも呼ばれています。
日本における狭い意味での「スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ)」という呼称は、1953年に制定された酒税法における分類によって形作られたようです。
1953年当時、蒸留酒のうち、既に日本である程度の知名度があった「ブランデー」、「ウイスキー」、「焼酎」は個別の分類とし、それ以外(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ等)が「スピリッツ」に分類されました。
ちなみに、日本の酒税法における分類としての「スピリッツ」は、やや複雑な定義にはなりますが、「焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール以外の蒸留酒類で、エキス分が2度(2%)未満のもの」とされています。
なお、海外では蒸留酒は専ら「liquor(リカー)」と呼ばれています。
ウォッカは製造における濾過の工程で雑味が取り除かれるため、無味無臭ですっきりとした味わい、まろやかな爽快感が特徴的で、世界4大スピリッツの中では最も癖のない風味と言われています。
なお、クリアさが特徴的なウォッカですが、スパイスやハーブ、香りや味を加えた「フレーバードウォッカ」もあり、世界中で様々な味のウォッカが流通しています。
ウォッカは発祥の地ロシアではストレート以外の飲み方は邪道とされていますが、ウォッカの無味無臭とも言えるクリアな味わいがどのような割材にもよく合うので、ストレート以外にもロック、水やソーダ割り、ジュースを使ったカクテルなど、様々な嗜み方がされています。
ブランデーは果実由来のフルーティーな豊潤な香りと、木樽での熟成によるウッディーな香りが楽しむことができます。熟成されている分、ほのかな甘みも感じることができます。
アルコール度数は37~50度前後の製品が多くなっていますが、同じ熟成の工程があるウイスキーに比べ、甘みがある分飲みやすいと感じるでしょう。
ウォッカは発祥の地ロシアではストレート以外の飲み方は邪道とされていますが、ウォッカの無味無臭とも言えるクリアな味わいがどのような割材にもよく合うので、ストレート以外にもロック、水やソーダ割り、ジュースを使ったカクテルなど、様々な嗜み方がされています。
ブランデーはその豊潤な香りと味わいを楽しむことが推奨されています。専用のブランデーグラスでのストレートの飲み方が最も一般的とされており、冷蔵庫で冷やしたり、ロックで飲むのは香りが立たなくなってしまうため、避けるべきとされています。
ストレート以外には水割りや炭酸割り、熱いお湯や紅茶などで割って飲むホットがおすすめですが、ジュースで割るのはブランデーの風味を損なってしまうため、あまりおすすめではありません。
ブランデーをベースとしたカクテルもいくつかあり、代表的なものとしては「サイドカー」、「アレクサンダー」などがあります。
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