強いお酒という印象の強いウォッカとテキーラ。この記事ではウォッカとテキーラの原料や製法、飲み方などの違いを紹介します。
ウォッカとテキーラは、どちらも穀物などの原料を加工して造られる蒸留酒(スピリッツ)の一種です。蒸留酒はアルコール度数が高く、火をつければ燃えることから、「火酒(かしゅ)」と呼ばれることもあります。
ウォッカ・テキーラ以外にもブランデー、ウイスキー、焼酎、ジン、ラムも蒸留酒ですが、日本において「スピリッツ」と言えばウォッカ、ジン、ラム、テキーラを指すことが多く、この4種類のお酒は「世界4大スピリッツ」とも呼ばれています。
ウォッカは、大麦、小麦、ライ麦、トウモロコシ、ジャガイモといった穀物などの原料を加工して造られる、ロシア発祥のお酒です。ウォッカは氷点下でも凍らないため、超低温地域で重宝されてきた歴史があります。
なお、EU(欧州連合)では、サトウキビやブドウなどを原料とする蒸留酒をウォッカと認めるか意見が分かれていたようですが、最終的には原材料を明記することによって、ウォッカと認めることになりました。現在ではミルクやフルーツなど様々な原料から造られるウォッカが流通しています。
テキーラはメキシコ発祥の蒸留酒で、サボテンから造られるお酒とよく勘違いされていますが、アガベ(リュウゼツラン)という多肉植物から造られています。産地や原料、製造方法は認定機関の規則によって厳格に決められています。
アガベは、メキシコ原産の多肉植物で、テキーラの原料には、主にブルーアガベという品種が使われています。収穫までに最低でも6年かかることから、テキーラは造るのに手間がかかる、貴重なお酒としても知られています。
100%ブルーアガベから造られるテキーラを「プレミアムテキーラ」、原料の51%以上がブルーアガベで、蜂蜜や砂糖などの副原料も使われているテキーラを「ミクストテキーラ(ただのテキーラとも呼ばれる)」と区別しています。市場に流通しているテキーラのほとんどは後者の「ミクストテキーラ」です。
ウォッカは、穀物などの原材料を発酵・蒸留し、水を加えたものを濾過することで造られています。ウォッカの場合、濾過の工程が一番の肝で、白樺などの木炭を使って濾過することでウォッカならではのすっきりとした味わいになります。
ただし、現在ではメーカーによって濾過のフィルターは様々で、木材でもアカシアを使っているメーカーもあれば、ダイヤモンドやステンレスなどの金属をフィルターに使用しているメーカーもあります。
テキーラは、アガベの大きな球根のような茎の部分(ピニャ)から糖分を抽出し、発酵・蒸留することで造られています。テキーラは熟成期間や、熟成に使う樽の種類によって5つの種類(ブランコ(Blanco、シルバーとも呼ばれる)、ホーベン(Joven)、レポサド(Reposado)、アネホ(Anejo)、エクストラ・アネホ(Extra Anejo))に分けられています。
ウォッカは製造における濾過の工程で雑味が取り除かれるため、無味無臭ですっきりとした味わい、まろやかな爽快感が特徴的で、世界4大スピリッツの中では最も癖のない風味と言われています。
なお、クリアさが特徴的なウォッカですが、スパイスやハーブ、香りや味を加えた「フレーバードウォッカ」もあり、世界中で様々な味のウォッカが流通しています。
アルコール度数は40度前後の製品が多く、飲む人の好みに合わせて37度前後のウォッカや、50度以上のウォッカも販売されています。世界最高のアルコール度数96度を誇る、「スピリタス」というポーランド産のウォッカもあります。
テキーラは、アガベのフルーティーでフレッシュな香りとともに、甘い香りが混ざり合った濃厚なテイストが特徴ですが、熟成度の具合いによって味や香りが変化します。
熟成期間が短いものほどすっきりとキレのある味わいと苦みがあり、長いものほどトロっとした甘みや旨味が感じられ、アルコールの苦みも薄くなります。
アルコール度数は、テキーラにおいては「35~55度」と認定機関の規則によって厳格に決められています。
ウォッカは発祥の地ロシアではストレート以外の飲み方は邪道とされていますが、ウォッカの無味無臭とも言えるクリアな味わいがどのような割材にもよく合うので、ストレート以外にもロック、水やソーダ割り、ジュースを使ったカクテルなど、様々な嗜み方がされています。
日本ではバーなどでショットとして嗜まれることが多いほか、カクテルの材料としてよく知られていますが、現地ではストレートで飲まれることが多く、ライムを口へ絞りながら楽しみ、最後にグラスにまぶした食塩を舐めるのが正統な飲み方とされています。
カクテルでは「マルガリータ」「テキーラ・サンライズ」などが有名で、アガベの甘みはフルーツ系の相性が良いことでも知られています。
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