ニラの代用野菜を紹介します。あまり思いつかないようなアイデアも解説しています。
ニラは独特の香りがある野菜です。ニラの独特の香りは料理の風味を良くし、食欲増進にも繋がります。
ニラの香りの元になっている成分は硫化アリルです。硫化アリルは、細胞が壊れるとニラに含まれている酵素「アリイナーゼ」と結合し、「アリシン」と呼ばれる臭い成分が形成されます。これが、ニラの香りとなります。購入したときはそれほど臭わなくても、カットすると臭いがきつくなるのはこのためです。
硫化アリルはニラのツンとした辛みや苦味の元でもあります。
ニラの独特の香り成分であるアリシンは厳密にいえば栄養素ではありません。栄養素とは、たんぱく質や炭水化物、脂質の三大栄養素と、三大栄養素にビタミン類やミネラル類を加えた五大栄養素のことをいいます。
しかし、アリシンには糖の代謝を促しエネルギーを生み出すビタミンB1と結びついてその効果を持続させる働きがあります。また、ビタミンB1と協力して血糖値とコレステロール値の上昇を抑え、生活習慣病予防の効果が期待されています。さらに、アリシンには抗酸化作用があるので、その点でも生活習慣病予防に役立つとされています。
また強い殺菌力による風邪予防や、アリシンの香りによる食欲増進と消化吸収上昇の効果も期待できます。その他にも血液が固まりやすくなるのを防ぐため、血栓ができにくくなります。
さらに、ニラには抗酸化作用のあるβ-カロテン(ビタミンA)をはじめとするビタミン類やミネラルなどがたくさん含まれています。
出典:日本食品標準成分表2020年版 八訂(文部科学省)
ニラの葉はしっかりとしており、食べごたえがあります。特に根元の部分はシャキシャキとした食感を楽しむことができます。
また、ニラの鮮やかな緑色は料理の彩りにもなります。
玉ねぎは独特の香りや辛みがある野菜ですよね。玉ねぎの香りや辛みの元になっているのもニラと同じく硫化アリル(アリシン)です。そのため、ニラの代用品になります。
ニラほど強い香りがあるわけではないので、ニラは苦手だけどニラのような風味を料理に加えたい方は玉ねぎを代用品に使うと食べやすいです。
ニラのような強い香りや辛味がほしいときは、繊維にそって切るようにすると良いです。反対に玉ねぎの繊維を断ち切るようにして切る(繊維に直角に切る)と、アリシンが揮発し香りや辛味が軽減されるので、苦手な方は繊維を切るようにカットすると良いです。
ちなみに新玉ねぎは、玉ねぎよりも硫化アリルの含有量が少ないです。ニラの香りや味が苦手な方は新玉ねぎで代用すると良いでしょう。
玉ねぎには様々な種類がありますが、より臭いを軽減したいのであれば赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)がおすすめです。
ネギには、ニラと同じく硫化アリル(アリシン)が含まれているためニラと似たような香りや辛味があり、ニラの代用品になります。
ネギには大別して根深ネギと葉ネギの2種類があります。一般的に「長ネギ」といわれているのは根深ネギで、「白ネギ」ともいわれます。上の部分は緑で下の部分が白くなっているのが特徴です。葉ネギは、細く緑色の部分が枝分かれしているのが特徴で、「青ネギ」とも呼ばれます。
根深ネギと葉ネギのどちらにも硫化アリルが含まれていますが、根深ネギ(長ネギ)の含有量は葉ネギも多く、主に白い部分に多く含まれています。葉ネギ(青ネギ)のほうが辛味が少ないのはこのためです。
ニラのような香りと風味を味わいたい場合は長ネギの白い部分で代用すると良いです。反対に、ニラの香りや風味が苦手な方は葉ネギで代用するのがおすすめです。
にんにくも硫化アリルが豊富に含まれており、風味づけや食欲を増進させるために使われることが多い食材の一つです。
また、にんにくにはアリルジスルフィド類(メチルアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィドなど)も含まれており、これらもにんにくの辛味や匂いの元となります。
ニラの臭いが気になるという場合はにんにくのほうが臭いがきついので、にんにくの芽(芯)を取り除いてから使うと良いです。にんにくの芽の部分には周囲の実の部分と比較して、匂いや辛み成分が多く含まれています。そのため、芽の部分を取り除くことで匂いを軽減することができます。
にんにくの芽は、にんにくの一部であるためにんにくと同じ香りや風味が最もにんにくに近い食材です。そのため香りや風味はニラと近く、ニラの代用品になります。
特に炒めものにしたいときなどは、風味や辛みの代用になるだけではなくシャキシャキとした食感もプラスすることもできます。
にんにくの芽はにんにくの「花茎(かけい)」の部分を開花後に収穫したもので、別名「茎にんにく」ともよばれます。古くから中国料理でよく利用されており、食品としては緑黄色野菜に分類されます。
エシャロットは小型玉ねぎの一種です。エシャロットの味は玉ねぎとにんにくの中間と表現されることがあるほど香りが強いのが特徴で、材料というよりは香味野菜として使われることが一般的です。みじん切りやすりおろしにしたエシャロットを炒めて、肉や魚などの臭味消しとして使ったり、ドレッシングやソースに入れたりします。
香りと味がニラに近いので、代用品になります。ただし、ニラよりも風味がやや強いため、料理によっては量を抑えめにした方がよいでしょう。
のびるは英名「wild garlic(野生のにんにく)」というように、香りがにんにくと似ており、玉ねぎやニラに似た風味をもちます。そのため、ニラの代用品になります。
のびるはノビルはユリ科ネギ属の多年生草本で、スーパーなどで販売されていることはほとんどありませんが、畑や土手などに生えていることが多いです。筆者も近所を探してみましたが、見つけることができました。
のびるは、にんにくと同じように白い鱗茎ができて、葉も食用にすることができます。ただし、時間が経つにつれて辛味が強くなり香りが悪くなるという特徴があるので、収穫したら早めに使いましょう。
生姜もニラ同様に、特有の香りや辛みがあるのが特徴の野菜であるため、風味を良くしたり食欲増進させたいときの代用品になります。ただし、厳密にいえばニラがもつ成分と生姜がもつ成分は異なるものなので、風味や味わいが変わってしまいます。
生姜が持つ辛味の元になっているのは「ショウガオール」です。ショウガオールは、生姜に含まれている
「シンゲロール」と呼ばれる成分を加熱・乾燥させることで生成される辛味成分です。
匂いの元になっているのはジンゲロンと呼ばれる生姜の独自成分です。香り成分の一つですが、辛みはありません。胃液の分泌を促進させ、消化吸収をサポートする効果があります。また、強い殺菌作用もあるので、食中毒の予防に効果的です。夏バテに有効であると言われており、さらには発展途上国の乳児の大腸菌性下痢にも有効であると報告されています。
パクチーの特徴といえば、なんといっても独特の強い香りと風味です。パクチーに含まれている成分もニラに含まれている成分とは異なるため全く違う風味になってしまいますが、ニラの風味が欠けてしまう物足りなさをカバーすることができます。
パクチーの独特の香りと風味はカメムシやワキガ、排水溝などに例えられることが多く好き嫌いがはっきり分かれる食材であるといえますが、パクチーが食べられる方は代用品として使ってみても良いでしょう。
セロリはセリ科植物特有の香りがある香味野菜の一つです。セロリの場合もニラがもつ成分とは異なるため、全く同じ風味になるというわけではありませんが、料理に風味をよくしたいときの代用品になります。
ニラの香りと同じく、セロリの香りが苦手という方も多いですが、セロリは調理をする前に30分程水に浸してから使うことでクセのある匂いや風味が軽減されます。
また、加熱調理をすることでクセのある匂いや風味が軽減されますので、苦手な方は加熱調理をする際のニラ代用品として使うことをおすすめします。
大葉も香り高く、薬味として使われることが多い野菜です。
大葉の香りの元は「ペリルアルデヒド」や「ピネン」、「リモネン」などの香り成分です。爽やかな香りがするのが特徴で、刻むとより香りが強くなります。
二ラとはまた異なる風味を楽しむことができ、大葉は口臭や体臭がきつくなる心配もないため、ニラの臭いが気になる方におすすめです。
パセリはニラとは味わいが異なりますが、セロリと同じセリ科の植物で、料理にフレッシュな香りを加えることができます。
パセリには特有の苦味があるため苦手な方も多いですが、ニラとどのようにβ-カロテンが豊富な緑黄色野菜で、ビタミンCの含有量も多い野菜です。そのため、栄養面での代用品にもなります。
ケールはキャベツやブロッコリーの原種です。独特の苦味があり、厳密にはニラとは味わいが異なりますが、ニラ同様に香り高い野菜の一つなので、ニラの代用品になります。
そしてケールもスーパーフードと呼ばれるほど栄養価が高い野菜で、ニラと同様にβ-カロテンを豊富に含んでいます。
トマトソースやパスタソース、サラダなどで風味づけとして使われる事が多いバジルは、ニラよりも甘みがありますが、ニラの代用品になります。ガパオライスにはバジルが使われますが、バジルをニラで代用することも多いです。
ニラの香りや辛みが苦手な方は、ニラをバジルで代用すると爽やかな香りを楽しめる一品になります。
フェンネルはセリ科ウイキョウ属の植物です。ハーブの一種ですがショウガのような風味があり、苦味があります。ニラに似た味わいを持つので、ニラの代用品になります。
「フェンネルなんて聞いたこともない」という方も多いかと思いますが、意外と業務スーパーやドンキホーテなどで購入することができます。
ニラの香りが苦手な方や口臭を抑えたいという方は、ぜひフェンネルで代用してみてはいかがでしょうか。
チャイブはヒガンバナ科ネギ属の植物です。見た目はニラに非常によく似ていますが、ニラよりも葉が平たいのが特徴です。
チャイブはハーブの一種ですが、ネギのような香りと風味をもつのが特徴で、香り付けにスープなどに使われることが多いです。そのため、ニラとも風味がよく似ていて代用品になります。
チャイブは乾燥させたものを瓶詰めにして販売されていることが多いです。自宅にある場合は、ニラの風味をつけたいときに使ってみると良いでしょう。
タラゴンはキク科ヨモギ属の植物で甘い香りをもちます。フランス料理ではもっともよく使われるハーブの1種類で、フランス語では「estragon(エストラゴン)」といいます。
卵、鶏肉、白身魚、乳製品、酢などと相性がよく、例えばオムレツにタラゴンを加えて作ることもあります。
次に、香りや味の代用品にはなりませんが、栄養面でニラの代用品になる食材を紹介します。ニラと同じくβ-カロテンが豊富に含まれている野菜は、色鮮やかなものが多いので彩りの代用品にもなります。
キャベツにはニラと同様にビタミンCやビタミンKなどのビタミン類やカリウムやカルシウムといったミネラル類も豊富に含まれています。
また、キャベツにはイソチオシアネートと呼ばれる成分が含まれています。イソチオシアネートは大根などに多く含まれていることで知られている辛味成分でもあります。
イソチオシアネートには抗酸化作用がある他、抗アレルギー効果もあると言われているので、花粉症予防の効果も期待できます。
ブロッコリーは他の野菜が持っている栄養素をほとんど持っており、「栄養最強の野菜」といえます。ニラと同様に、抗酸化作用が強いβ-カロテンとビタミンCが特に豊富に含まれています。
ブロッコリーはニラのような独特の香りや風味はないので、ニラの栄養面を別の野菜で補いたいときにピッタリです。
ピーマンは栄養価は抜群で、抗酸化作用のあるビタミンCの含有量の多さは特筆モノです。ビタミンCの量は、なんとトマトの4倍。抗酸化3大ビタミンであるビタミンA・C・E(ビタミンエース)を含み、さらに、コレステロール値の改善の効能があるビタミンPや、塩分を体の外に排出するカリウムなども含まれます。
ピーマンには独特の苦味があるのが特徴なので、ニラの風味がなくても料理のアクセントとなり物足りなさを感じさせることがありません。
ほうれん草もニラと同様にβ-カロテンが豊富な野菜で、100gあたり4,200μg含まれています。
他にもビタミンEやビタミンK、葉酸、そしてカリウムなどが含まれています。メジャーな野菜の中ではビタミン・ミネラルが豊富で、緑黄色野菜の王様とも言われています。そのため栄養面でニラの代用品にぴったりです。
ただし、ほうれん草にはアクとなるシュウ酸が多く含まれているため、必ず下茹でをするなどアク抜きをしてから食べるようにしましょう。シュウ酸は苦味やエグみを感じさせるだけではなく、結石の原因になったりカルシウムの吸収を阻害するなど人体に害を与える成分です。
小松菜100gあたりのβ-カロテンの含有量は3,100μgです。小松菜にはビタミンCも多く含まれており、他にカリウムやカルシウム、鉄などミネラルも豊富です。
ほうれん草などと比べてアクも少ないので食べやすく、調理しやすいという利点もあります。小松菜も炒めものなど幅広い用途があるためニラの栄養面での代用品としておすすめです。
ここではニラを使った料理別に代用品としておすすめの食材を紹介します。
レバニラといえばニラが欠かせないと思われがちですが、ニラを別の野菜で代用しても美味しく食べることができます。レバニラを作るときの代用品としておすすめなのは、ネギやにんにくの芽です。
ネギやにんにくの芽は風味がニラと似ているので、ニラがなくても物足りなさを感じにくいです。また、シャキシャキとした食感もしっかりとあるので、食べごたえ抜群です。
ニラ玉を作る時の代用品としておすすめなのは、青ネギやにんにくの芽です。
青ネギやにんにくの芽は色合いも風味もニラと似ているので、代用しても違和感なく食べることができるでしょう。特に青ネギはニラよりも香りや辛み、苦味が少ないのでニラが苦手な方や小さなお子様でも食べやすいです。
香りや辛み、苦味をより軽減したい方は、玉ねぎで代用するのがおすすめです。見た目はだいぶ変わってしまいますが風味はでますし、玉ねぎは加熱すると甘みが増すので食べやすいです。
餃子を作る時の代用品には、ガツンとした風味を加えたいのであればやはりネギやにんにくの芽がおすすめですが、口臭が気になるので香りを抑えたいという方も多いでしょう。
香りを抑えたい場合は、セロリや大葉、パセリなどがおすすめです。ニラとはまた異なる爽やかな味わいが楽しめ、ニラがなくても物足りなさを感じません。
ブロッコリーやピーマンなどを細かく刻んで入れるのも良いです。香りを抑えられるだけではなくしっかりと栄養を摂取することができます。
チヂミにもニラを使うことが多いですよね。チヂミを作るときのニラの代用品には、ほうれん草や小松菜、ケールなどの葉物野菜がおすすめです。
ニラのような風味はつきませんが、ほんのりとした苦味が良いアクセントになります。そのため、ニラがなくても違和感なく食べることができます。
ほうれん草や小松菜、ケールなどは彩りも鮮やかなので見た目を損なうことがないのも嬉しい点です。
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