ニラは独特の臭いがあるのが特徴の野菜です。本記事ではニラの臭いの原因や臭みを消す方法などを詳しく解説します。
ニラの独特の臭いが苦手だと感じたり、ニラは好きだけど臭いが残るのは気になるという方は多いのではないでしょうか。ニラの独特の臭いはニラに含まれている「硫化アリル」と呼ばれる成分によるものです。
硫化アリルは、細胞が壊れるとニラに含まれている酵素「アリイナーゼ」と結合し、アリシンと呼ばれる臭い成分が形成されます。これが、ニラの臭いの原因です。購入したときはそれほど臭わなくても、カットすると臭いがきつくなるのはこのためです。
硫化アリルはツンとした辛みの元でもあり、ニラ以外にも玉ねぎや長ネギ、にんにくなどにも多く含まれていることで知られている成分です。これらの野菜はすべてネギ属に分類されます。ネギ属の野菜は特有の臭いがきついのが特徴です。
臭いがきついという理由で嫌厭されがちなニラですが、臭いの元になっている硫化アリルは身体に良い成分でもあります。
硫化アリルには様々な種類があり、特に酵素と結合することで形成される「アリシン」には、血栓を予防する作用があるため食べると血がサラサラになるといわれています。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがある他、動脈硬化を遅くして心臓血管障害や脳血管障害を予防する効果が期待できます。
また、ある種の硫化アリルは胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す作用も期待できます。さらには、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり血圧を下げて高血圧を防ぐ効果があるといわれています。
硫化アリルは、摂取すると完全に分解されるまでに約16時間かかるといわれています。例えば、夕飯にニラを食べた場合、少なくとも翌日の午前中までは臭いが残るということです。
歯磨きをしただけでは臭いが軽減されないのは、血液に乗って体中を巡った臭い成分が肺に達して呼気と一緒に排出されるためです。また、胃に入ったニラから臭い成分が上がってくるためいつまでも口の中に残っているような感じがしてしまいます。
ニラの臭いは厄介ではありますが上述したように身体に良い成分ですので、うまく軽減しながら摂取しましょう。
それではニラの臭いを軽減する方法を紹介していきます。
ニラはそのままでは長すぎて食べにくいためカットして調理をするのが基本ですが、上述したようにカットにより細胞が壊れることにより硫化アリルがアリシンへと変わり、臭いがきつくなります。そのため、長めにカットしてできるだけ細胞が壊れないようにしたほうが臭いを軽減することができます。
特にみじん切りにするなど細かくカットすると臭いがきつくなるので、臭いが気になる方は長めにカットして調理をするのが良いでしょう。
ニラの臭い成分となる硫化アリルは葉先よりも根元に多く含まれており、根元に白っぽい部分には葉先の4倍もの硫化アリルが含まれていることがわかっています。そのため、臭いが気になる方は根元を使わないのも一つの手です。
しかし、上述したように硫化アリルは身体に良い成分なので捨ててしまうのは勿体ないです。細かくカットすると臭いがきつくなってしまうので、根元も長めにカットして使うのが栄養面では理想的です。
ニラに含まれている酵素が活性化することにより、切ってから時間が経つと臭いがきつくなります。そのため、調理をする直前にカットするのも臭いを軽減するポイントになります。
例えば炒めものにする場合も、火が通るのに時間がかかる野菜ではないため他の食材を先に炒めて、炒め終わった後にカットしてサッと炒めるなど、カットするタイミングを工夫すると臭いを軽減することができます。
臭いの元になる硫化アリルは水溶性の成分です。そのため、カットした後に水にさらしておくことで臭いを軽減することもできます。玉ねぎは辛みを抜くために水をさらすことが多いですが、これも辛みの元である硫化アリルが水溶性であるためです。
ただし、水溶性の硫化アリルが水にさらすことによって流出するということは、その他の水溶性の栄養素も流出してしまうということです。例えばニラに含まれている水溶性の栄養素にはビタミンCやカリウムなどがあります。これらの栄養素が流出してしまうのは非常にもったいないですよね。水にさらすときは、長時間さらしすぎないようにしましょう。
硫化アリルは、揮発性の高い成分であるため加熱することでも揮発し、臭いが軽減されます。さらに甘みも増すため美味しくなります。
加熱することで甘みが増すのは下記の4つの理由が考えられます。
辛味成分である硫化アリルの揮発によって、甘みを強く感じる
水分の蒸発によって、糖濃度が上昇する。
加熱による組織の破壊や軟化により甘味を強く感じる。
加熱する前と加熱後の糖質量は変わりませんが、加熱をしたほうが圧倒的に甘くなるため、ニラが苦手な方や小さなお子様でも食べやすくなります。
また、青い部分の青臭さの原因である3-ヘキセノールも加熱することで揮発するため、加熱をすれば青臭さも軽減させることができます。
次に、ニラを食べた後の臭い対策を紹介します。
科学的根拠は不明であるものの、一般的に牛乳や消臭効果のある緑茶を飲んだりすることで硫化アリルによる口臭や体臭を軽減することができるといわれています。
牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品に含まれているたんぱく質には、匂いの元となっている硫化アリルと結合し匂いを抑えるとされています。特にニラを食べる前に牛乳を飲んでおくと、胃腸への刺激を緩和させてくれることが期待できるため、硫化アリルによる胃痛や腹痛を防ぐことにも繋がります。
緑茶には消臭効果があるカテキンが含まれているため、硫化アリルによる匂いを軽減する効果があるといわれています。
ちなみにコーヒーに含まれているフラボノイドには、にんにくの匂い成分であるアリルメチルスルフィド(AMS)や腸内で発生したアンモニアなどの腸内腐敗産物に複合的に働きかけ血中への吸収を妨げる効果があることが研究でわかっています。
食後にはりんごなどのポリフェノールを多く含む果物を食べると良いとされています。
ポリフェノールは硫化アリルを分解して全身にまわるのを抑制する効果があるといわれています。ニラを摂取してから硫化アリルが全身にまわるまで1時間程かかるといわれているため、ニラを食べたら食後1時間以内にりんごなどのポリフェノールを多く含む果物などを食べておくと良いでしょう。
ニラは食べたときの臭いだけではなく調理をしたときにつく手の臭いも気になりますよね。ここからは手についてしまったニラの臭いを消すのに有効なアイテムを紹介します。
お酢に含まれている酢酸(さくさん)は高い消臭効果や殺菌効果があることで知られており、キッチンの消臭やお掃除にもよく使われているアイテムです。
そんなお酢は、手についたニラの臭いを消すのにも有効なアイテムです。お酢を使うときは、まず手にお酢を適量なじませます。なじませたら石鹸で洗っていきます。こうすることで、ニラの臭いが軽減されます。
お酢の臭いがきついので、石鹸でしっかりと洗い流すのは必須です。
レモン水も手についたニラの匂いを取るのに有効です。
レモンにはクエン酸が豊富に含まれており、クエン酸には細菌を除去する効果や消臭効果があることが認められています。レモンを使う場合は、レモン汁を入れたレモン水を使って洗うか、レモンの皮を手にこすりつけてから洗いましょう。
レモンの爽やかな香りでニラの臭いも気にならなくなりますよ。レモンがない場合はオレンジなど柑橘系の果物を使えば同様の効果が得られます。
上述したようにお茶に含まれているカテキンには硫化アリルによる匂いを軽減する効果があるといわれています。
お茶の出がらしを使う場合は、お茶の出がらしを適量を手に取ったら手に揉み込みます。揉み込んだら水で洗い流して完了です。ほんのりお茶の香りが漂い、ニラの臭いが気になりにくくなります。
お酢のツンとする臭いやレモンなどの柑橘系の香りが苦手な人は、お茶葉の出がらしを使ってみると良いでしょう。
重曹にも高い消臭効果があるため、重曹を水で薄めたものを使って手を洗うのも効果的です。
重曹を使う場合は、水500mlに対して重曹を小さじ2杯入れて手を洗います。重曹で手を洗った場合も、洗い流したら必ず石鹸で手を洗いましょう。
重曹には食用のものと掃除用のものがありますが、食用のものを使いましょう。重曹を使うことで手が荒れてしまう人もいるので注意してください。
ステンレスソープは石鹸のように水で濡らしながら手を洗うと、手に残ってしまいやすいニラやにんにく、魚や肉の生臭さをとってくれることで注目されているアイテムです。通常の石鹸のように殺菌効果はないため石鹸などと併用して使いましょう。
ステンレス製であれば同様の効果が得られるので、スプーンやステンレス製のたわしを使っても良いといわれています。
ただし、ステンレスソープについては有効性に関して科学的な根拠が不十分とする意見もあるので、消臭効果が証明されているお酢やレモン水を使うのが良いでしょう。
ニラを冷蔵庫に入れるとしばらく臭いが残ってしまって困った経験がある方は多いのではないでしょうか。冷蔵室や冷凍室にニラの臭いがついてしまうと、他の食材にも臭いがうつってしまうので非常に困りますよね。
ニラを冷蔵保存したり冷凍保存するときは、しっかり密閉しておくことが大切です。
ニラを冷蔵保存するときはそのまま野菜室に入れてしまいがちですが、そのまま冷蔵庫に入れてしまうと臭いがついてしまいます。
丸ごと冷蔵保存するには、根元に水分を吸わせて水揚げを行った後、キッチンペーパーで水けをしっかり拭き取り、葉先を出した状態で、葉を折らないようにして新聞紙で包みます。ポリ袋に入れて口を軽く閉じるか、ポリ袋を上からかぶせましょう。ラップを巻くのも◎。臭いだけではなく乾燥させないためにも重要です。
長期間保存するのであれば湯通ししてから、密閉して保存がおすすめです。湯通しすることで臭いの原因となる硫化アリルを落とすことができます。
ニラを4cmほどの長さに切ってザルに入れ、上から熱湯をかけて湯通しをし冷まします。水けを取ってから小分けにし、ラップで包んで冷凍用保存袋に入れます。冷蔵庫の急速冷凍機能を使う(ない場合は金属トレイの上にのせて急速冷凍)すると◎。
ニラは、冷凍することで臭いや辛みの元になる硫化アリルが抜けるともいわれていますが、解凍されることにより溶け出した水分と一緒に抜け切れていなかった硫化アリルが出てきて臭いの元になることもあります。
そのため、冷凍したニラは冷蔵庫に入れて自然解凍することはおすすめできません。冷凍したニラを料理に使う場合は凍った状態ですぐに使うのが良いです。
ニラの臭いが冷蔵庫についてしまって気になる場合は、スーパーなどで販売されている冷蔵庫用の脱臭剤を入れるのがおすすめです。
自宅に重曹がある場合は、重曹を容器に入れて冷蔵庫に入れておくだけでも消臭効果が期待できます。そのまま2〜3ヶ月は冷蔵庫の消臭剤として使えますし、冷蔵庫から取り出して水で薄めて消臭スプレーとして活用したり、キッチンまわりの掃除に活用することもできるので非常に便利です。
また、コーヒーを自宅で豆から入れることがある人は抽出後のコーヒー豆のカスを冷蔵庫に入れておいても消臭することができます。
ニラなどの臭いがきつい食材は調理をした後に部屋に臭いが残るのも難点ですよね。部屋についてしまったニラの臭いを軽減する方法は下記の通りです。
ニラに限らず、調理をした後の臭いの原因の多くは調理をする際に出たゴミを捨てたゴミ箱だったりします。ニラは葉先から根元まで全て食べられるので捨てる部分があるわけではありませんが、変色している部分をカットして捨るといった場合は、ビニール袋などに入れて密閉してから捨てるようにしましょう。
ゴミ箱に重曹をふりかけておくと、臭いを吸着してくれるのでゴミ箱を開閉するときに漏れてしまう臭いを軽減することができます。
調理をした後はキッチンまわりをよく掃除しておくことも大切です。特にシンクの周りは部屋に悪臭を漂わせる原因となります。
キッチン周りの掃除にも臭いを軽減させる効果がある重曹や緑茶を使うのが有効的です。使い方は、お湯で溶かしてからタオルなどにしみこませて拭き掃除をしていくだけなので簡単です。特に重曹は研磨効果が高く、焦げ付いてしまった汚れなども落とすことができるので、常備しておきたいですね。
部屋にニラの臭いが充満してしまっているときは、窓を開けたり換気扇を回して換気をすることが大切です。ニラの臭いに限らず、部屋にこもっている悪臭を一気に外に出すことができます。
換気をするときは対角線上に窓を複数あけるとより効果的です。
ニラはもともと臭いがきつい野菜ではありますが、腐敗が原因で臭いがきつくなっていることもあります。下記の特徴があるニラは腐敗しているので注意しましょう。
腐ったニラの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的に黒く変色している
溶け出している部分がある
完全にしおれている
水分が出ている
ニラに黒い斑点がある場合は黒カビ、白いふわふわとしたほこりのようなものがついている場合は白カビが生えています。じゃがいものような根菜は表面のみにカビが生えていて中まで侵食していなければ、変色している箇所を取り除けば食べることができるといわれていますが、ニラのような葉物野菜は見えない部分にまで侵食しやすいので、破棄しましょう。カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状を起こすこともあるため注意が必要です。
ニラは腐敗すると全体的に黒くなっていき、溶け出している部分があったり完全にしおれてしまいます。また、水分が出てきてしまっている場合も腐敗が進んでいるので破棄しましょう。
腐ったニラの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミのような臭い
カビ臭い
ニラはもともと独特の臭いがする野菜ではありますが、普段のニラとは異なる酸っぱい臭いや生ゴミの臭い、カビの臭いがするときは腐敗しています。
ニラに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は、見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったニラの触感の特徴は下記の通りです。
柔らかくぐにゅっとしている
ぬるぬる・ネバネバしている
簡単にちぎれる
ニラは腐敗すると葉にハリがなくなり、柔らかい触感になります。単に水分が抜けて乾燥したりしおれてしまっている場合は腐敗しているわけではありませんが、ぐにゅぐにゅしてしまっている場合やぬめりや粘りがでている場合は腐敗しているので破棄しましょう。また、ニラは腐敗すると流水にあてただけでも簡単にちぎれてしまいます。
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