がんもどき・厚揚げ・油揚げの違いについて詳しく解説します。
がんもどきと油揚げ、厚揚げはすべて豆腐を原料に作られますが、それぞれ製造方法が異なる別の食品です。
がんもどきは、豆腐をつぶしたものに山芋や卵などのつなぎになるものを加え、野菜やひじきを混ぜ込んで丸めて油で揚げたものです。
厚揚げは、豆腐を厚く切って油で揚げたものです。表面はこんがりと揚げられていて、中の豆腐は生の状態です。表面は油でこんがりと揚げられているのが特徴ですが、中は生の状態の豆腐であるため豆腐そのものの食感がしっかりと残っています。そのため「生揚げ」ともいわれます。
油揚げは、豆腐を薄く切ったものを油で揚げたものです。非常に薄く見た目は豆腐には見えません。豆腐を厚く切って油で揚げる厚揚げに対して、油揚げは薄く切って揚げているため「薄揚げ」ともいわれます。
また、油揚げを作るときに使われる豆腐は、がんもどきや厚揚げに使われる豆腐とは異なり豆乳の濃度を薄くするなど油揚げ用に作っているという点でも厚揚げと油揚げとは異なります。
がんもどきの原料は豆腐と山芋、卵、野菜、ひじきなどです。
がんもどきの原料は製造メーカーによっても異なりますが、豆腐がメインでつなぎに山芋や卵を入れる点は共通しています。店舗によっては銀杏などを加えて作られていることもあります。
がんもは豆腐を中心に山芋や人参などの野菜とひじきなどを混ぜ込んだ後、丸めて油であげます。最初に低温油で揚げてから、さらに高温油で揚げていることが多いです。
がんもどきは、もともとはコンニャクや麩を油で揚げたもので、精進料理として江戸時代から食べられていたといわれています。
このコンニャクや麩を油で揚げたものの味が雁(ガン)と呼ばれるカモ科の鶏肉に味が似ていることから「がんもどき」と呼ばれるようになりました。つまりがんもどきは、「雁に似たもの・雁に似せて作ったもの」という意味です。
現代では豆腐や山芋、野菜などを使って作られ、コンニャクや麩を油で揚げたがんもどきは販売されていません。いつ頃から材料が変わったのか、材料が変わった経緯などは不明です。
関西地域では「飛竜頭(ひりょうず)」または「ひろうす」ともいわれます。飛竜頭の由来には諸説ありますが、小麦粉と卵を混ぜ合わせて油で揚げたポルトガルの伝統菓子「フィリョース」が元になっているという説が有力なようです。江戸時代では、小麦粉を原料に作った揚げ菓子を指す言葉だったようですが、見た目ががんもどきに似ていたため、がんもどきを「飛龍頭」や「飛龍子」と漢字を当てて「ひりょうず」や「ひろうす」と呼ばれるようになったといわれています。
豆腐屋では作りたてのがんもを購入することができます。豆腐屋で販売されているがんもどきは、作ってから時間が経っていないためスーパーなどで市販されているがんもどきとはまた違った美味しさがあります。
豆腐屋で揚げたてのがんもどきを食べる場合は、お好みで醤油や生姜を乗せて食べても美味しいですが、味付けをせずにそのまま食べると素材の美味しさを楽しめます。
店舗によっては揚げたての状態で食べられることもあり、豆腐屋の作りたてのがんもどきは絶品です。ぜひ素材そのものの味を味わってみてください。
スーパーなどで市販されているがんもどきは、作ってから時間が経っているため、そのままでは味がしないと感じたり美味しくないと感じることが多いです。そのため基本的には調理をして食べます。
市販のがんもどきは、煮物にしたりおでんの具や炊き込みご飯の具にして食べることが多いです。
また、市販のがんもどきはチーズを乗せて焼くなどアレンジして食べるのも人気があります。
厚揚げの原料は豆腐です。
表面がこんがりときつね色になっていることから、小麦粉などをつけて揚げているのではないかと思う方も多いようですが、唐揚げなどの揚げ物や天ぷらとは異なり衣をつけて揚げているわけではないので原料は豆腐のみです。
基本的には木綿豆腐が使われますが、近年では絹ごし豆腐を使った厚揚げもあり、絹ごし豆腐を使った厚揚げは「絹厚揚げ」といわれます。
厚揚げは、豆腐を厚めにカットした後に水切りをし高温の油で一気に揚げ、表面がきつね色になったら完成です。外はこんがりと揚げられていますが、中は生の状態の豆腐なので豆腐の食感がそのまま残っているのが特徴です。表面だけで中まで十分に揚げられていないことから「生揚げ」ともいわれます。
豆腐自体は、鎌倉時代に中国から伝わったといわれており、油で食材を揚げる調理法は室町時代に伝わったといわれています。
いつ頃から厚揚げが食べられていたのか詳細は不明ですが、室町時代の後期に書かれた書物に「豆腐上物(とうふのあげもの)」と記載があり、これが厚揚げまたは油揚げのことなのではと考えられています。
しかし、豆腐は僧侶や武士が食べる食品であったため庶民が一般的に食べられるようになったのは江戸時代に入ってからのようです。
厚揚げは、油抜きをしてから調理をすることが多いです。油抜きをすることで、余分な油がとれるので油っこくなりませんし、臭みを取ることができます。
シンプルに表面をこんがり焼いて醤油などをかけて食べても美味しいですが、味が染み込みやすいため煮物やおでんの具に使われることも多いです。また、しっかりとしていて形も崩れにくいので炒めものの具材にして食べられることも多いです。
油揚げの原料も豆腐です。
油揚げの原料となる豆腐は、がんもや厚揚げの原料となる豆腐とは異なり豆乳濃度を薄くした油揚げ用に作った豆腐です。
油揚げは、豆腐を薄く切り脱水した後に低温で揚げて膨張させ、さらに高温で揚げることで水分を完全に飛ばしています。同じく豆腐を熱く切って油で揚げている厚揚げに対して、油揚げは豆腐を薄く切って油で揚げているため「薄揚げ」ともいわれます。
油揚げの歴史は上記で紹介した厚揚げの歴史とほぼ同じです。
室町時代の書物に豆腐を揚げた料理が登場しており、この頃から食べられていたのではないかといわれています。また、天ぷらが食べられ始めた江戸時代の初期に天ぷらの具材として豆腐を揚げたことがきっかけで誕生したのではないかという説もあります。
油揚げも油抜きをしてから調理をすることが多いです。
シンプルに表面をこんがりと焼いて、醤油をたらして食べると素材そのものの味を楽しむことができます。また、煮物にしたりお味噌汁の具にすることも多いです。
さらに、油揚げはカットすると中が空洞になっているのが特徴で、甘く煮た油揚げの中に酢飯を入れてお稲荷さんにして食べるのも定番です。
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