ジャムとマーマレードはよく似た食品ですが、どのような違いがあるのでしょうか。今回はジャムとマーマレードの違いについて詳しく解説していきます。定義や原料、栄養素、作り方などをご紹介していますのでぜひ参考にしてください。
ジャムとマーマレードは、どちらも日本農林規格(JAS)によって「ジャム類」に属します。ジャム類とは、果実や野菜、または花弁を砂糖類や糖アルコール、または蜂蜜とともにゼリー化するまで加熱したもの、もしくはそれに酒類や柑橘類の果汁、ゲル化剤、酸味料、香料等を加えたものです。ジャム類には下記があります。
ジャム
マーマレード
ゼリー
ジャムはジャム類のうち、マーマレード及びゼリー以外のものを指し、マーマレードは、ジャム類の中で柑橘類の果実と果皮を原料としたものを指します。
ちなみに、ゼリーはゼラチンで固められたお菓子のゼリーとは異なり、ジャム類のうち果実等の搾汁を原料としたものを指します。
参照:ジャム類の日本農林規格(農林水産省)
日本農林規格によると、ジャムはジャム類(マーマレード、ゼリー、ジャム)のうち、マーマレード及びゼリー以外のものを指します。
ジャムの糖度は40%以上で、果実等含有率(原料として使用した果実等及びその搾汁の重量の製品の重量に対する割合)は、標準基準で33%以上、特級基準で45%以上と定められています。
ジャムのうち、果実の原形を保持したジャムを「プレザーブスタイル」といいます。具体的には、いちごを除くベリー類の果実は全形、いちごは全形または2つ割り、ベリー類以外の果実等は5mm以上の厚さの果肉等の片を原料としたものを指します。
ジャムに使用できる原材料は、果実等、砂糖類、糖アルコール、蜂蜜、酒類、柑橘系の果実(含有率が4%以下である場合に限る)のみを使用することができます。
ジャムによく使用される果物には、いちごやブルーベリー、りんご、キウイ、ぶどう、あんず、桃、いちじく、梨、オレンジ、レモンなどがあります。人参やかぼちゃなどの野菜や、バラやラベンダーなどの花弁を原料とすることもあります。
原料の果実によって味わいに差はありますが、ジャム全般で甘みが強いのが特徴です。果皮は使用しないことがほとんどなので果実の苦みはありません。プレザーブスタイルのジャムは果実の原形が保たれているので、果実のジューシーさを楽しむことができます。
ジャムは糖分の塊と思われることが多いですが、様々な栄養成分が含まれています。
果実によって含まれる栄養素の種類と量は異なりますが、共通していえることは、ジャムは炭水化物(糖質)や食物繊維、ビタミン、ミネラルを含むという点です。生の果物や野菜に含まれるビタミンCや葉酸に関しては、加熱処理によって壊れてしまうため多くは含まれていません。ただし、食物繊維やポリフェノールの量に関しては、ジャムと生の果実とでほぼ同じ量、もしくはジャムの方が多く含まれます。
また、ジャム化することによって新たに得られる成分もあります。それはメラノイジンという成分で、食品に含まれている糖とアミノ酸が加熱によって結合することによって作られる茶色の物質です。このメラノイジンには抗酸化作用があるといわれています。
ジャムは英語で「jam」と表記します。ジャム(jam)の語源は諸説ありますが、18世紀初頭の「押す、押される、挟まれる」という意味の動詞に由来する説が有力です。他には、方言で「押す、絞る、砕いて柔らかくする」などの意味をもつ「jammock」や、中世の「何かを噛む、歯を食いしばる」などの意味を持つ「chammen、champen」に由来するともいわれていますが、起源は不明で元々は擬音語であったという説もあります。
ジャムは、人類最古の保存食だといわれています。旧石器時代(3万8千年前から1万6千年前)に、果実を蜂蜜で煮たことが始まりといわれています。スペインの洞窟には、果物を蜂蜜で煮込んでいる壁画が発見されています。十字軍(1095〜1492年)が中東から西ヨーロッパに砂糖を持ち帰ったことにより、ジャムの生産が一般に普及しました。19世紀にはイギリスで「偉大な新産業」となり、1874年の砂糖関税撤廃後は、イギリスのジャム職人が世界のジャム職人として繁栄したといわれています。
ジャムが日本へと伝えられたのは、16世紀後半頃です。当時の宣教師によって持ち込まれた説が有力で、明治時代にはいちごジャムの製造・販売が開始され、昭和でジャムの製造がより本格的になりました。
ジャムの基本的な作り方は、下記の通りです。
果実と砂糖を混ぜ合わせて置くことで、浸透圧により果実の水分が外に出てきます。時間がないときは1時間ほど放置するだけでもOKです。レモン汁を加えることで、鮮やかな色味をキープすることができます。
煮詰めることでゼリー状になるのは、果実等に含まれる多糖類のペクチンという成分に糖と酸が作用するためです。
日本農林規格によると、マーマレードはジャム類(マーマレード、ゼリー、ジャム)のうち、柑橘類の果実を原料としたもので、柑橘類の果皮が認められるもの指します。
マーマレードの糖度は40%以上で、果実等含有率(原料として使用した果実等及びその搾汁の重量の製品の重量に対する割合)は、標準基準で20%以上、特級基準で30%以上と定められています。
マーマレードに使用できる原材料は、果実等、砂糖類、糖アルコール、蜂蜜、酒類、柑橘系の果実(含有率が4%以下である場合に限る)のみを使用することができます。
マーマレードの定義にもあるように、果実だけでなく果皮も使用するのがマーマレードの特徴です。柑橘系の果物を使用していても果皮を使用していない場合は、マーマレードという名称はつきません。
マーマレードによく使用される柑橘類の果物には、オレンジや夏みかん、はっさく、グレープフルーツ、ゆず、レモンなどが挙げられます。
柑橘類の果皮も使用するため、ほろ苦い味わいがある点がマーマレードの味の特徴です。また、柑橘類は酸味が強いため、甘みはジャムよりもあっさりとしているものが多いです。
ジャムと比べると、マーマレードの方が栄養素が高いといわれています。それは、マーマレードは栄養価が高く含まれている果皮を使用するためです。
柑橘系の果物に限らず、皮がある果物の場合、皮や皮の周辺に多くの栄養素が集まっていることが多いです。例えば桃やキウイ、ぶどうの皮や皮の周辺にも多くの栄養素が含まれていますが、ジャムにする過程で皮は剥かれてしまうため、ジャムに含まれる栄養素は減ってしまいます。これに比べてマーマレードは、オレンジやレモンなどの果皮も原料として使用するため、果実の栄養を効率よく摂取することが可能です。
柑橘類の皮に含まれている栄養素の一つにヘスペリジン(ビタミンP)があります。ヘスペリジン(ビタミンP)は皮や筋などに多く含まれる栄養素です。ヘスペリジン(ビタミンP)には抗酸化作用やビタミンCを熱から守る作用などの効果が期待できます。
マーマレードは英語で「marmalade」と表記します。
起源には諸説ありますが、ポルトガルの「マルメラーダ(marmelada)」が有力説です。マルメラーダは、酸味が強い西洋かりん(マルメロ)を食べやすくペースト状にしたものを指します。これを真似て作られたものがマーマレードとよばれるようになったといわれています。また、18世紀の半ばに、売り物にならないオレンジをジャムにして販売したことが始まりだという説もあります。
マーマレードは柑橘類の果皮も使用します。基本的なマーマレードの作り方は下記の通りです。
種を加えることでよりとろみが出るので、種は捨てずに一緒に煮込むとよいです。また、柑橘類のわたや薄皮を取り除いてから煮込む作り方もあります。
マーマレードはジャムと同様にパンに塗って食べたり、ケーキやクッキー、マフィンなどのお菓子作りの材料として使用します。また、サラダやマリネの調味料として使ったり、ステーキなどの料理に添えて食べても美味しくいただけます。
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