福岡の郷土料理として知られているもつ鍋にはどんな野菜が合うのでしょうか。今回はもつ鍋の定番野菜をはじめ、変わり種の具材も合わせてご紹介します。色々な具材を入れてお好みの味をお楽しみください。
もつ鍋は、牛や豚のもつが主材料の鍋料理です。「もつ」とは、鳥獣肉の臓物(ぞうもつ)のことです。具体的には臓物の中でも食べられる内蔵を指し、大腸や小腸などが含まれます。もつはホルモンとも呼ばれ、もつ鍋はホルモン鍋と呼ばれることがあります。もっと具体的にいうと、日本では胃や腸などを「白もつ」、ハツ(心臓)やタン(舌)などを「赤もつ」といいます。
元々は福岡の郷土料理として食べられており、それが全国へと広がりました。
牛と豚、どちらが一般的かと疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、地域や家庭によって異なるようです。一般に、関西では牛もつ、関東では豚もつが使われることが多いといわれています。もつ鍋の本場である福岡では牛もつを使い、豚もつや鶏もつを使用するお店はほとんどないといいます。
【牛もつと豚もつの味と食感の違い】
牛もつは脂身が少なく食感が硬めです。コクがあるためこってりとしたもつ鍋が好みの方には牛もつがおすすめです。牛もつのデメリットとしては、豚もつと比較して値段が高い傾向があるという点です。
豚もつは脂身が多く食感が柔らかいという特徴があります。食べやすいので初心者にもおすすめです。牛もつよりも安価で販売されていることが多いです。豚もつのデメリットは、臭みが強く丁寧な下処理が必要になるという点です。
もつ鍋に入れる野菜は一口大にカットすると食べやすく、また火が通りやすいです。また、同じ大きさに揃えると美しく盛り付けることができます。しゃぶしゃぶに入れる時のように薄く切りすぎるとモツとスープに負けてしまい、大きくカットしすぎるとモツの風味が活きません。
もつ鍋に入れる主な野菜の切り方は下記です。
白菜:葉を手で外し、1枚ずつ剥がして一口大に切る。
もやし:根元を切り落とし、束になっているものは小分けにする。
にんじん:皮をむいて、斜めに薄切りにする。
ねぎ:長さを半分に切り、斜めに薄切りにする。
しいたけ:石づきを取り除き、縦に薄切りにする。
こんにゃく:長さを半分に切り、斜めに薄切りにする。
もつ鍋をおいしく作るには、具材の入れる順番もとても大事です。簡単にいうとキャベツ→もつ→ニラ→にんにく・鷹の爪などの香辛料の順番です。
もつ鍋にはキャベツを入れることが多いですが、まず鍋底にキャベツを敷いていきます。キャベツはたっぷりと盛りましょう。熱が入るとカサが減るので山盛りにして問題ありません。
それからキャベツの上にもつを乗せ、その上にニラやにんにく、鷹の爪を乗せていきます。
もつ鍋を家で作るときは、下処理が必要です。もつには生臭さや脂があるので、ボイル済で売られているものでも時間が経ち、脂が白く固まっていることがあるため、下処理をしたほうがいいでしょう。
まず、もつを流水でしっかりと洗ったあと、塩を揉み込みます。そうすることで臭みやぬめりを取り除いてくれます。もつ100gに対し、小さじ1/3程度で十分ですが足りないと感じたら塩の量を増やしましょう。その後、流水で洗い流します。
塩ではなく小麦粉を揉み込む方法もあります。小麦粉を使う場合も、まずもつを流水でしっかり洗ったあとたっぷりの小麦粉を振りかけて揉み込みます。しっかりと洗うように揉み込んでください。小麦粉にも臭いや汚れを吸着する効果があります。
その後水を張ったボウルでしっかりと小麦を洗い落としましょう。
もつの下処理には「茹でこぼし」をする必要があります。沸かした湯の中にもつを入れ、下茹でします。ボイル済みのものであれば3〜5分程度でいいでしょう。生のものであれば10分程度湯がきましょう。湯がいたらざるにあげます。これが「茹でこぼし」です。茹でている最中にお湯が吹きこぼれることではないので注意しましょう。
この茹でこぼしの工程を何度かすると、さらに臭みが消えますが1℃で十分です。
牛乳を使った下処理もあります。
1つはたっぷりの牛乳に30分〜1時間ほど漬けておく方法です。牛乳がピンク色に変わってきたらしっかりと洗い流しましょう。
また、牛乳と水を1:1の割合で鍋に入れ沸騰させ、その中で下茹でする方法です。牛乳にも臭みを取る作用があります。
もつ鍋の定番具材といえば、ニラですよね。
ニラには独特な強い臭いがあるため、もつの臭みを消してくれます。さらに、ニラに含まれるアリシンという成分がお肉に含まれるビタミンB1と結びつき、糖の代謝を促します。そのため、ニラはもつ鍋にぴったりな野菜です。
ニラは火が通りやすい野菜なので、最後の方に加えてさっと火を通し食感を残すのがおすすめです。
また、ごぼうももつ鍋の定番具材です。ごぼうの風味がとてもおいしいです。
ごぼうは皮付近に栄養と旨味がたっぷりなので、泥などを洗い落としたあとは包丁の背で皮をこそぐ程度にし、ささがきにして使います。事前にアク取りをしておくといいでしょう。
ごぼうは他の野菜と比べて火が通りにくいので、他の野菜よりも先に鍋に入れることをおすすめします。
キャベツももつ鍋の定番メニューです。上述していますが、鍋に敷き詰めて食べることが多いです。後述する白菜と異なり、煮込んでも水分が出にくいので、鍋の味が薄くなることを防ぐことが可能です。
キャベツは加熱することで甘みが出るので、もつとの相性も良いです。食感が残る程度も、くたくたになるまで煮込んだキャベツも、鍋を食べる過程でどちらも楽しめます。
キャベツはざく切りもしくはせん切りにして鍋に加えましょう。
そしてもつ鍋と言えば、もやしですよね。
キャベツと同じくらい、盛り盛りに入れることが多いでしょう。もやしも火が通るとカサが減るので、多めに入れておいて大丈夫です。また、もやしには様々な品種がありますが、豆もやしを使うとシャキシャキとした食感を楽しみやすいです。
火が通ってしんなりしたもやしには味が染み込んでとてもおいしくなります。
もつ鍋ではキャベツが多いですが、鍋といえば白菜ですよね。
家庭でもつ鍋をやる場合は、白菜を入れる人も多いのではないでしょうか。白菜もキャベツ同様に煮込むと柔らかく甘くなり、もつと一緒に食べるとおいしいです。
味をしっかりとしみこませるには、少し大きめにざく切りするのがおすすめです。お鍋の白菜はたくさん食べられるのがいいですよね。ただし白菜は水分が出やすいので、スープの味が薄くなる可能性があります。必要に応じて味を付け直しましょう。
白菜と同じく、長ねぎもお鍋の定番メニューです。
専門店などでは見かけることは少ないかもしれませんが、もつ鍋に入れてもとてもおいしいです。
もつ鍋は醤油ベースのスープが王道なので、長ネギとの相性も抜群です。3cmほどの筒切りでも、斜め切りでもおいしいですよ。また、白髪ネギにして薬味のようにして食べるのもおすすめです。
キャベツや白菜の他に、レタスでもつ鍋を楽しむこともできます。
あっさりとしていて、もつ鍋とも相性抜群。きのこやもやしなど、他の野菜などもたっぷり入れて食べるのがおすすめです。
最後に入れて食感を残してもおいしいですし、しっかりと煮込んで柔らかくなったレタスもおいしいですよ。
もつ鍋には、小松菜もおすすめです。定番というほどではないですが、小松菜を入れる人は結構います。
ざく切りにして、たくさん入れましょう。しんなりしてきたらすぐに食べられます。煮込むのもいいですが、食感が残っている程度でもおいしいですよ。
お鍋ではド定番の水菜も、もつ鍋にも使われています。
シャキシャキ食感がおいしいですよね。水菜はすぐ火が通るので、キャベツなどを敷き詰めた上に置けば大丈夫です。その周りにもつやきのこを並べましょう。
さっぱりした水菜が、こってりなもつの箸休めにもなります。
鉄分やカロテン、ビタミンCなどの栄養素が豊富に含まれるほうれん草もおすすめの変わり種具材です。
ほうれん草はアクが多いので事前にアク抜きが必要ですが、茹で時間が長いと水溶性の栄養素が損失しますのでさっと茹でましょう。
チンゲン菜を入れても美味しくいただけます。小松菜よりも苦味やエグミを感じにくいので、苦味が苦手な方や小さなお子様でも食べやすいです。チンゲン菜の茎は太いですが、柔らかく甘味がありシャキシャキとした食感を楽しむことができます。
スーパーフードとして知られているケールも、もつ鍋の変わり種としておすすめです。食感や味に少しクセがありますが、ケール好きの方はぜひ食べてみてください。
ケールは他の葉物野菜と同じように生のまま食べることができるので、さっと煮るだけでOKです。水洗いしてしっかりと水けを拭き取り、食べやすい大きさにカットしてください。
ブロッコリーはサラダにして食べることが多いですが、ブロッコリーは時間が経つと黄色く変色してしまうことがあります。腐敗しているわけではないので食べることができますが、見た目が悪くなってしまうのでサラダには使いにくいですよね。もつ鍋に入れても美味しいです。
見た目や食感がブロッコリーと似ているカリフラワーも、天ぷらにしても美味しく食べることができます。
カリフラワーをもつ鍋に入れる際は、まずしっかりと水洗いをします。特にカリフラワーの蕾の部分には虫や汚れが付着しやすいので、水を張ったボウルの中でゆすり洗いなどをしましょう。洗った後はキッチンペーパーで水けをしっかりと拭き取り、小房にして入れます。
さらにもつ鍋には玉ねぎを入れることも。玉ねぎの甘みがとてもおいしいです。
玉ねぎをもつ鍋に入れる際は、薄くスライスするのがおすすめです。火が通ることで甘みが増すので、ごぼうなどと一緒のタイミングで最初の方に鍋に入れておきましょう。
大根も、人参と同じでもつ煮込みには必ずと言っていいほど入ってる具材です。一般的なお鍋にもよく入っており、スープがよく染みておいしいですよね。
いちょう切りや短冊切りで一口サイズにしておくと火が通りやすいのでおすすめです。また、大根おろしもおすすめです。あっさりとした味わいになりとってもおいしいです。
白菜と同様に水が出やすいので、スープの味は都度確認することをおすすめします。
にんじんも、もつ鍋に加えるのにおすすめの野菜です。
もつ煮込みには必ずと言っていいほど入っているので、もつとの相性は間違いありません。もつ鍋以外のお鍋にもよく入れる野菜なので、もつ鍋に入れてる人も多いかと思います。
半月切りやいちょう切りで入れることも多いですが、スライサーやピーラーでスライスすると火がすぐに取るのでおすすめです。
もつ鍋に長芋を入れる場合、すりおろしてとろろにして使うことが多いです。
ニラやにんにく、唐辛子などすべての具材をひと煮立ちさせてから、最後にとろろを入れます。
とろろが入ると味がまろやかになり、とてもおいしいです。
ねっとりとした食感が特徴的な里芋も、もつ鍋の変わり種でおすすめの具材です。もつ鍋のスープが染み込んで美味しく食べることができます。
里芋にはアクの原因であるシュウ酸が多く含まれているため、もつ鍋に加える前にアク抜きを行う必要があります。アク抜きは水にさらしたり、塩もみしたり、下茹ですることでできます。里芋のアク抜きの方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。
甘さが特徴的なかぼちゃももつ鍋との相性がよい食材です。かぼちゃの甘みとこってりとしたもつ鍋スープの組み合わせが◎。
かぼちゃはアク抜きの必要はありません。火が通りにくいので、薄めにスライスして早い段階で鍋に加えるのがポイントです。
ホクホクとしたじゃがいも、もつ鍋と合わせて召し上がってみてください。
じゃがいもは煮込みすぎると溶けてしまうので、大きめにカットしておくのがおすすめです。鍋に入れるタイミングも重要です。
もつ鍋の変わり種の具材に、トマトがあります。トマトの酸味ともつ鍋の甘みの組み合わせは◎。
トマトを入れることで一気にイタリアン風になり、ワインなどにもよく合います。もつの臭みなどが気にならず、あっさりといただけます。
締めにごはんを入れれば、和風トマトリゾットが楽しめます。
意外な食材ですが、とうもろこしをもつ鍋に入れることもあります。福岡のもつ鍋専門店「赤門屋」のもつ鍋にもとうもろこしが入っています。とうもろこしの甘みが味のアクセントになります。
また、とうもろこしの鮮やかな黄色によって見た目もよくなります。トッピングとしてのせるのがおすすめです。
夏野菜の代表のひとつであるナスももつ鍋に入れると美味しいですよ。暑い夏の時期のもつ鍋にぜひお試しください。
皮をむいて食べやすい大きさに切り、水にさらしてアクを抜いてから鍋に加えましょう。煮すぎると溶けてしまうので注意。
オクラも夏野菜の定番ですよね。ネバネバとした食感が特徴的なオクラももつ鍋のスープとよく合います。
オクラを入れる際は、ガクを切り落としさっと下茹でをします。オクラと合わせてキムチを加えるのも◎。暑い夏も乗り越えられるような一品に仕上がります。
もつ鍋にきのこも定番メニューになっています。その中でもよく使われるのがえのきです。クセがなく、どんな食材とも合うのがいいですよね。えのきをもつ鍋に入れる際は、石づきを切り落としほぐして鍋に入れます。
旨味成分をたっぷり含んでいるしいたけも、もつ鍋に入れると旨味とジューシーな食感がやみつきになる定番の具材です。
しいたけをもつ鍋の具材として使う場合は、軸の部分を取り除いてから傘の部分に十字の切り込みを入れると火が通りやすくなります。
しいたけや舞茸よりも香りが控えめなしめじですが、「香り松茸味しめじ」という言葉があるように、数あるきのこ類の中でもしめじは味がよいといわれています。
しめじだけに限らず、きのこ類は水洗いする必要がありません。一般的にきのこ類は無農薬で栽培されることが多いためです。
えのきやしめじ、しいたけ以外におすすめのきのこにはエリンギや舞茸などがあります。お好みのきのこを入れてお楽しみください。
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