スーパーで買ってきたキャベツを洗うべきなのか否か解説していきます。メリット・デメリットを把握した上で、キャベツの正しい洗い方も紹介していきます。
キャベツは、茎が伸びて実がなるトマトなどの野菜とは異なり、土に接した状態で成長します。そのため内側の葉は綺麗でも外側や根本付近には土で汚れていることが多いです。
また、土がついているということは土や堆肥(たいひ)に含まれる細菌がついている恐れがあります。食中毒といえば生肉や生魚などを食べることによって起こることが多いですが、実は土や堆肥にもボツリヌス菌などの食中毒の原因となる細菌がいる可能性があります。加熱をすることで死滅する菌もありますが、加熱をしても死滅しにくい菌もいるため、調理をする際にはしっかりと土汚れを落としておいたほうが良いです。
出典:「食品衛生の窓」(東京福祉保健局)
キャベツなどの葉物野菜は、栽培時に害虫の被害にあいやすく、外側の葉だけではなく中まで入り込んでしまっていることもあり、虫自体がいなくても見えない部分に卵やフンがついていることも...。
「虫がついているのは新鮮な証拠」ともよくいわれますが、調理をしているときや作った料理から虫の死骸や卵がでてきたらやはり気持ちの良いものではありません。そうならないためにもやはり調理をする前にきちんと洗い流しておくことが大切です。
日本で栽培されている野菜の多くは栽培中の害虫の被害や病気などを防止したり、スムーズに成長するために薬剤が使われています。調理前にキャベツを洗うことで残留農薬を洗い流すことができます。
日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されていますし、使用が認められている農薬に関しても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められています。
農薬が使われているからといって神経質になる必要はありませんが、健康に良い影響を与えるかといえばそうではありませんので、できるだけ余計なものが口に入るのは避けたいですよね。
残留農薬が気になる方や、外葉の栄養も余すことなく摂取したいという方はホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使って残留農薬を落とすのがおすすめです。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。
ホッキ貝を高温で焼きパウダー状にしたものを水に溶かすことで、アルカリ水を作ることが出来ます。農薬の多くは酸性であるためアルカリ水につけることで農薬が中和されて落としやすくなります。
ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水に野菜を5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり油が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。
キャベツは外葉は汚れも気になりますし、固く苦味も強いため数枚剥がしてから食べる方も多いです。外葉を外せばだいたい綺麗なので洗わずとも問題なく食べられそうな気もしますが、上述したように特に根元には泥汚れや土汚れがついていることもありますし、虫が入り込んでいることもあります。
そのため外葉を剥がして使う場合も洗って食べたほうが良いでしょう。さっと洗うだけでキャベツ特有のツンとした臭いを軽減することができるので食べやすくなるメリットもあります。
生で食べることが多いキャベツですが、炒めものなど加熱調理して食べることも多いですよね。加熱をすれば洗っていなくても良いのではないかと思われがちですが、加熱する際も洗ったほうが良いです。
農薬は加熱をしても残ることがあります。また、細菌の中には加熱をすることで死滅する種類もありますが、例えば土や泥に含まれている可能性があるボツリヌス菌は熱に強い細菌です。加熱をすれば洗っていなくても安全に食べられるというわけではないので、しっかりと洗ってから調理をするほうが安心です。
出典:食品中の残留農薬―残留農薬は調理加工により減少するかー(J-stage)
無農薬や有機のキャベツであっても、洗ったほうが良いです。
「無農薬野菜を購入すれば良いのではないか」と考える方も多いと思いますが、現状では農薬を使っていないことを証明できる基準や規定は存在しません。また、過去に使った農薬が土壌に残っていることや近隣の畑から農薬が飛んできているということもあるため完全なる「無農薬野菜」を作るのは非常に難しいといわれています。そのため、「特別栽培農産物」と呼ばれる節減対象農薬の使用回数が50%以下・化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培されている野菜はあるものの、完全に農薬を使わずに販売されている野菜はありません。
家庭菜園で農薬を使わずに栽培している場合は、農薬の心配はありませんが、やはり土汚れや虫がついていることも多いですので洗ったほうが良いです。
有機野菜は、指定の化学肥料や農薬などの「無機質肥料」を使わず、魚粉や油粕などの植物性・動物性由来の「有機物肥料」を使って育てられた野菜のことをいいます。農林水産省が定めた「有機JAS規格」の条件を満たしたもののみが「有機野菜」として販売することができます。有機野菜においても、JASが認定している31種類の農薬については使用が認められており、「無農薬」というわけではありません。また、有機の場合は虫がついていることが多いので洗って食べるのが安心です。
出典:
特に千切りなどは切り口が多いので、切ってから洗うと断面からキャベツに含まれている水溶性の栄養素がどんどん流出してしまいます。そのため洗ってから切ったほうが栄養を守ることができます。
また、キャベツは切ってから時間が経つとキャベツに含まれているポルフェノールが酸化し茶色っぽく変色したり黒く変色してしまいやすいです。切ってから水につけておくことで変色を防ぐことはできますが、水につけると水溶性の栄養素が流出してしまうので、千切りにして生で食べる場合などは特に食べる直前に切るのが良いです。
長時間流水で洗い続けたり、水につけすぎてしまうと水溶性の栄養素も汚れと一緒に流出してしまいます。汚れを落とすことはもちろん大切なのですが、時間をかけて流水で洗ってしまったり、水を入れたボウルに長時間つけてしまわないようにしましょう。
キャベツに含まれている水溶性の栄養素には例えばビタミンCがあります。ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。その他にもカリウムなどの水溶性の栄養素も含まれています。
購入してから時間がたち、しなしなになってしまったキャベツは、50度のお湯で洗うと汚れを落とせるだけではなくシャキシャキの食感に復活します。
これは「ヒートショック」とよばれるもので、キャベツ以外の野菜にも使える方法です。50度のお湯につけることで、閉じていた気孔が開き細胞が水分を吸いみずみずしさを取り戻します。
ただし、古くなり腐敗が始まっているレタスはお湯で洗っても復活しませんし、食べることができませんので破棄しましょう。異臭や変色など腐敗のサインが見られず、水分が飛んでしなびているだけの場合はお湯で洗うと良いです。
キャベツは使う前に使う分だけの葉を剥がして洗うのが良いです。まとめて洗っておいたほうが時短になる気もしてしまいますが、濡れてしまうとカビが生えやすくなってしまいます。冷蔵保存する場合は鮮度を保つためにも使う前に使う分だけを洗うようにしてください。
先にキャベツを洗っておきたい場合は、冷蔵保存は避けて冷凍保存するようにしましょう。
キャベツを丸ごと1つ購入し、洗う場合は外葉から一枚一枚剥がして洗います。
上部の頭のヒラヒラしたところから剥がしてしまいがちですが、下部にある芯の方に包丁で切れ目を入れて剥がすとちぎれることなく剥がすことができます。
丸ごとひとつ使い切る場合は芯を切り抜いて、芯をくり抜いたことでできる穴に水を流し入れて一気に洗う方法もありますが、すべて使いきらない場合は使う分だけ剥がして洗うのが基本です。
キャベツの葉を剥がしたら、一枚一枚流水で汚れを洗い流していきます。根元の部分には土汚れや泥汚れがついている場合は、指で優しくこすると綺麗に落とすことができます。
キャベツの葉の洗い汚れを落としたら、水けをしっかりと切りましょう。特に洗ってから冷凍保存する場合は水けはしっかりと切っておくことが大切です。水分が残ったまま保存してしまうと、キャベツの食感が悪くなってしまいます。
1/2カットや1/4カットにされたキャベツを購入することもあるかと思います。その場合は一枚一枚剥がしてから洗おうとするとボロボロになってしまいやすいので、包丁でカットしてから洗うと良いです。
洗う前に料理やお好みに合わせて予めカットしておきましょう。
キャベツをカットしたら、ボウルの上にザルを重ね、切ったキャベツを入れて流水で汚れを落としていきます。
カットしている分細かい部分の汚れまで落ちやすいメリットがある反面、カットした面積から水溶性の栄養素が流出しやすいデメリットがあります。そのため、水をこまめに変えながら素早く洗うようにするのがポイントとなります。
ポトフに入れる場合など、キャベツをくし切りにして使うこともあります。この場合は、ボウルにためた水の中にくし切りにしたキャベツを入れて、左右に軽く揺するように振り洗いすると良いです。
振り洗いすることでキャベツの葉と葉の間に水が入るため、しっかりと汚れを落とすことができます。
くし切りの場合も水溶性の栄養素は流出してしまいやすいので、何度か水を変えながら素早く洗い流しましょう。
千切りやざく切りなど、お好みの大きさにカットします。カットしたキャベツを水洗いし、キッチンペーパーを使って水けをしっかりと取ります。冷凍用保存袋にカットしたキャベツを密封して入れ、冷凍室へ。なるべく平らになるように入れ、冷凍時に急速冷凍機能(ない場合は金属トレイの上に乗せて冷凍)を使うことで、短時間で冷凍することができます。
千切りにして冷凍保存したキャベツはコールスローサラダなどに、ざく切りのキャベツはスープや和え物などに使用することができます。芯ごと薄切りにして冷凍するのも◎。煮込み料理におすすめです。
塩もみしてから冷凍するのもおすすめです。解凍してサラダなどとして食べるのが◎。
ざく切りにしたキャベツを水洗いし、キッチンペーパーで水けを取ります。ボウルにざく切りにしたキャベツと塩(適量)を入れ手で揉みます。水分が出てくるので手で絞ってから冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いて密封し冷凍室へ。なるべく平らになるように入れ、急速冷凍機能を使用するのもポイントとなります。
茹でてから冷凍すれば、調理時間を短縮することができます。
ざく切りにしたキャベツを水洗いし、さっと塩ゆでします。粗熱が取れたら(冷水に取るのも◎)水けをしっかり絞り、冷凍用保存袋に入れます。
解凍後に煮物やスープに使用したい場合は、かために茹でるようにしましょう。
加熱料理に使用する場合は、凍ったまま使用してOKです。
サラダや和え物などに使用する場合は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍しましょう。お急ぎの場合は熱湯をかけて解凍する方法もあります。
生食することが多いキャベツを購入する際はできるだけ新鮮なものを選ぶようにしましょう。新鮮なキャベツの特徴は下記の通りです。
外葉の色が濃い緑色
葉にハリがある
芯の切り口が変色しておらずきれいな白色
芯が大きすぎない(500円玉大が目安)
ずっしりとした重みがある
切り口がみずみずしく、芯が割れていないもの(カットキャベツの場合)
ちなみに、3〜5月に旬を迎える春キャベツは、葉が詰まっておらず巻きがゆるい軽いものがおすすめです。葉がやわらかいので、生で食べるのに◎。
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