Fily Kindle
  1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. 黒い斑点があるキャベツは食べられる?カビ?病気?原因と対処法を解説

黒い斑点があるキャベツは食べられる?カビ?病気?原因と対処法を解説

公開日

更新日

黒い斑点があるキャベツは食べられる?カビ?病気?原因と対処法を解説

キャベツに黒い斑点ができていて食べられるのか判断に迷ったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではキャベツにできる黒い斑点の正体や対処法などを解説します。

キャベツにできる黒い斑点の正体

キャベツに黒い斑点ができていると「カビが生えてしまった」と思う方が多いかと思いますが、キャベツの黒い斑点=カビとは限りません。

ゴマ症

キャベツの葉や芯に黒ずみや黒い斑点ができるのは「ゴマ症」と呼ばれる生理現象です。

キャベツは生育中にストレスがかかるとポリフェノール類の色素が蓄積され、表面に黒い点として現れます。ストレスの原因となるのは、肥料過多や収穫期の遅れ、密植栽培など様々です。ゴマ症は白菜などキャベツ以外の野菜にも起こります。

内部黒変症状

表面の葉は異常が見られないのに中の葉に黒ずみや黒い斑点があることもあります。これは「内部黒変症状」と呼ばれるもので、ゴマ症と同じく生理障害です。

内部黒変症状は、キャベツの葉の内部の水滴が寒さによって氷になり、気温変化で溶けることによって起こると言われており、冬など寒い季節によく起こる症状です。内部にのみ黒ずみや斑点ができ、表面には異常が見られないため、内部黒変症状が出ていても気づかず出荷されてしまうことが多いようです。

黒斑病

キャベツは生育中に病気にかかることで黒い斑点ができることもあります。キャベツに黒い斑点ができる病気には「黒斑病」があります。

黒斑病の原因は糸状菌(カビ)の一種です。感染すると初期には外葉に見られ、2~10mmほどの淡褐色で丸い病斑が現れます。淡褐色の病斑の内側に、黒褐色の輪っかが広がるような同心円状の模様があることが特徴です。

食べても問題ない

ゴマ症になったキャベツの黒い斑点の正体はポリフェノールです。ポリフェノールとは植物がもつ苦味や渋みの成分となる化合物の総称で、構造によって様々な種類があります。ポリフェノールは抗酸化作用があり、食べても人体に害はありません。

内部黒変症状も黒い斑点に病原菌などは見られないため、食べても問題ないとされています。

黒斑病にかかっているキャベツは、主に基本的に外葉に発生するため外葉を取り除けば問題なく食べることができます。

黒い斑点があるキャベツの対処法

一度変色したキャベツの色は戻らない

一度斑点ができてしまったキャベツを元の状態に戻すことは、残念ながらできません。キャベツを購入する際は、できるだけ状態の良いものを選ぶようにすることが大切です。内部黒変症状の場合は表面を見ただけではわからないので、心配な方はカットされたものを選ぶと良いです。

新鮮なキャベツの選び方は後述するので、そちらを参考にしてください。

気になる場合はカットする

キャベツの黒斑が気になる場合はカットして食べる

上述したように黒い斑点があっても食べることができますが、見た目も悪いですし鮮度が落ちて味が悪くなっていることもあります。そのため、気になる場合は斑点が出ている部分をカットして食べると良いです。

特にゴマ症の場合は蓄積されたポリフェノールが酸化すると鮮度がどんどん落ちていき、腐敗してしまいやすいので早めに食べきるようにしましょう。

食べてはいけない黒いキャベツの特徴

黒カビとの見分け方は?

キャベツにできる黒い斑点=黒カビではないものの、黒カビが発生する可能性も0ではありません。

ゴマ症の場合は小さな斑点がポツポツとできます。一方黒カビは一箇所にまとまり黒く変色しているように見えたり、周りがまた、カビ臭がすることもあります。さらに一部が溶けていたり茶色い汁が出るなどの腐敗のサインが見られる場合もあります。

黒カビが生えてしまった場合は残念ですが食べることはできませんので破棄しましょう。黒カビが生えたキャベツを食べてしまうと吐き気や胃痛などの中毒症状が起こる可能性があります。一部だけの場合であってもカビの胞子が見えない部分で根をはっていることもありますので食べないほうが無難です。カビ毒は加熱をすれば大丈夫ということはないので注意してください。

出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)

全体的に変色している

一般的にスーパーで販売されているキャベツは全体的に黄緑色をしていますが(品種によって紫色のものもあります)全体的に黒く変色してしまっている場合は、腐敗が進んでいますので残念ですが破棄しましょう。

変色が葉だけの場合や一部のみの場合は食べることができる場合がありますが、変色している箇所は取り除き、念のため加熱して食べるようにしましょう。

ヌメリがある

黒く変色していて、さらにヌメリが出ているキャベツは、腐敗が進み雑菌が増殖している可能性が高いです。雑菌の中には、加熱をしても死滅しなかったり腹痛などの症状が出てしまうこともあるので、変色していてヌメリが出てしまっているキャベツは破棄したほうが良いです。

茶色い汁が出ている

キャベツは水分量が多い野菜で、腐敗が進むと中の水分が茶色く変色して出てきてしまうことがあります。黒く変色していて茶色い汁が出ているキャベツも腐敗しているので、食べないようにしましょう。

葉が溶けている

キャベツに限らず食材は腐敗が進むと溶け出してしまいます。水分が抜けてしおれているだけであれば、腐敗しているわけではないので食べることができますが、溶け出している場合は腐敗してるので食べることはできません。

酸っぱい臭いがする

キャベツに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。

キャベツは鮮度が落ちるとキャベツ特有の臭いがきつくなるので、臭いからといって腐敗しているとは限りませんが、酸っぱい臭いがする場合は腐敗と考えて破棄するのが無難です。

こんなキャベツも食べられる

切り口が茶色く変色している

キャベツは2/1にカットした状態や千切りにした状態で保存していると、切り口が茶色っぽく変色することがあります。腐敗しているように見えますが、これはポリフェノールが酸化したことが原因であるため食べることができます。

ポリフェノールは植物に含まれている苦味や渋みの元になる化合物の総称です。構造の違いによって様々な種類があり、キャベツの変色に大きく関係しているのはアントシアニンであると考えられます。アントシアニンは紫色の色素で、酸性になると赤→茶色→黒と変色していく性質があります。

キャベツをカットした時に、細胞が破壊されてアントシアニンとポリフェノールオキシターゼなどの酵素が混ざり合い、さらに空中の酸素に触れることで酸化反応が起こり、変色してしまいます。

アントシアニンなどのポリフェノールは人体に害がある成分ではありませんので食べても問題ありませんが、鮮度が落ちて味も落ちている状態ですし、見た目も悪いので気になる場合は変色している部分を取り除いて食べると良いです。そのまま酸化を続けると黒くなっていき、さらには腐敗してしまいますので、早めに食べきるようにしましょう。

紫色に変色している

キャベツは紫色に変色してしまうこともありますが、この場合も腐敗しているわけではありません。キャベツが紫色に変色してしまうのはポリフェノールの一種であるアントシアニンの含有量が増えたことが原因であると考えられます。

上述したようにアントシアニンは紫色の色素です。ぶどうの皮が紫色をしているのもアントシアニンが多く含まれているためです。キャベツは寒い環境で育つとストレスによりアントシアニンの含有量が増えることが多いといわれており、寒い環境で育ったキャベツは凍らないよう糖分を蓄えているため甘みがあります。

アントシアニンは水溶性であるため茹でると色が薄くなります。見た目が気になる場合は茹でて食べると良いでしょう。

表面に白い粉がついている

キャベツの表面に白い粉のようなものがついていることがあります。この場合も腐敗しているわけではないので食べることができます。

キャベツの表面についている白い粉のようなものは「ブルーム」と呼ばれるキャベツから出された分泌物です。雨や露をはじいて病原菌の侵入を防止しキャベツの組織を保護するために分泌されているといわれています。

ブルームは天然毒素ではないので食べても問題ありませんが、ポリフェノールのような栄養成分ではありません。気になる場合は洗い流して食べると良いでしょう。

消毒臭・ツンとする臭い・硫黄臭

キャベツから消毒臭がするのはイソチオシアネートとよばれる成分が含まれているためです。腐敗していたり農薬がついているというわけではないので食べることができます。

イソチオシアネートはアブラナ科の野菜に多く含まれていて、例えば大根にも含まれています。イソチオシアネートは生育不十分な白菜に蓄積されやすいといわれています。イソチオシアネートが酵素の作用で「ジメチルサルファイト」という揮発成分に分解されると消毒臭を感じるようになります。この現象は「からし菜臭現象」といわれていて、白菜で浅漬けなどを作ったときにもよく起こります。

また、わさびのようなツンとした臭いもイソチオシアネートやアリルイソチオシアネートによるものです。アリルイソチオシアネートは大根などのツンとした臭いや辛味の元になっている成分です。

硫黄臭もキャベツに含まれているイソチオシアネートが切ったり、茹でたりすることで、分解されてジメチルジスルフィドと呼ばれる成分が発生するためであるといわれています。

新鮮なキャベツの見分け方

新鮮なキャベツを購入し保存する方が、より長く美味しく保存することができます。新鮮なキャベツには下記のような特徴がありますので、購入時の参考にしてください。

  • 外葉の色が濃い緑色

  • 葉にハリがある

  • 芯の切り口が変色しておらずきれいな白色

  • 芯が大きすぎない(500円玉大が目安)

  • ずっしりとした重みがある

  • 切り口がみずみずしく、芯が割れていないもの(カットキャベツの場合)

ちなみに、3〜5月に旬を迎える春キャベツは、葉が詰まっておらず巻きがゆるい軽いものがおすすめです。葉が柔らかいので、生で食べるのに◎。

キャベツの正しい保存方法

キャベツの鮮度を保ちより長く美味しく食べるためには、正しく保存していくことが大切です。

常温保存

室温が低い秋や冬の時期は、常温での保存も可能です。常温保存の場合、3〜4日ほど日持ちします。秋や冬でも、暖房を使用する場合は常温保存は避け、常温保存以外の方法で保存することをおすすめします。

ティッシュを詰める

キャベツの芯をくり抜きティッシュを詰める

キャベツの鮮度を保って保存するには、キャベツの芯を包丁の刃先を使ってくり抜きます。くり抜いた部分に濡らしたティッシュを詰め、キャベツ全体を新聞紙で包んで冷暗所で保存します。

キャベツの芯がついたままの状態だと、収穫後もキャベツが成長しようとし、葉の栄養や水分を吸い取ってしまいます。その結果、葉の鮮度や味が落ちてしまいます。

そのため、丸ごと1個や1/2個、1/4個の状態で保存する場合は、芯を取り除いてから保存するようにしましょう。包丁の刃先やヘタ取り専用のスプーンなどを使ってくり抜きます。芯を切り抜いたらティッシュを詰めることで、乾燥するのを防ぐことができます。

キャベツの芯が下になるように置くのもポイントです。キャベツが栽培されていた時となるべく同じような方向で保存することで、余計なストレスがかからず、旨みが持続します。横にしたり上下逆さにして保存すると元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなってしまいます。

キャベツを使う時は、外葉から1枚ずつ剥がして使用します。詰めたティッシュは使うごとに交換するようにしましょう。

芯に爪楊枝を刺すという方法も

芯をくり抜く以外に、芯の部分に爪楊枝を刺して保存するという方法もあります。キャベツの芯には生長点という部分があり、この生長点を傷つけることで、収穫後のキャベツの成長を抑え葉の鮮度が落ちるのを防ぐことができます。

キャベツの芯の部分に爪楊枝を3本程度深く刺します。芯から飛び出た部分は、ハサミでカットします。その後は新聞紙やキッチンペーパーなどで包んで保存するようにしましょう。

冷蔵保存

春や夏などの季節や、秋冬でも暖房器具を使用する場合は冷蔵庫で保存しましょう。丸ごとキャベツは2〜3週間ほど、カットキャベツは1週間ほど日持ちします。

丸ごとはティッシュを詰めて

芯をくり抜き濡らしたティッシュを詰めて、キャベツ全体を新聞紙で包みポリ袋に入れる

キャベツを丸ごと冷蔵する場合も、常温保存と同様に芯をくり抜いてから保存します。

包丁の刃先を使って芯をくり抜き、くり抜いた部分には濡らしたティッシュを詰めます。その後、キャベツ全体を新聞紙で包みポリ袋に入れ軽く口を閉じます。

芯が下になるように冷蔵庫で保存します。芯の部分に詰めたティッシュは、キャベツを使うたびに取り替えるようにしましょう。使用していなくても、乾いてきたら取り替えるようにしてください。

この方法で冷蔵保存すれば、2〜3週間ほどは鮮度を保って保存することが可能です。長期保存したい場合は、後ほどご紹介する冷凍保存を行ってください。

カットは濡らしたキッチンペーパーで

カットしたキャベツは、断面を濡らしたキッチンペーパーで覆う

カットキャベツや使いかけのキャベツは、カット断面を濡らしたキッチンペーパーで覆ってから保存します。

丸ごとキャベツと同様に芯を切り落とします。濡らしたキッチンペーパーをカット断面にかぶせます。この時、芯のくり抜いた部分もしっかりと覆うのがポイントです。キッチンペーパーを被せたらポリ袋に入れ、軽く口を閉じて冷蔵庫で保存します。切り口が下になるように置くことで乾燥を防ぎ鮮度を保ちやすくなります。

ただし、カットキャベツは丸ごとキャベツよりも鮮度が落ちやすく傷みやすいです。1週間を目安に早めに食べきるようにしましょう。

冷凍保存

長期保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。キャベツを冷凍すれば、約1ヶ月ほど保存することが可能です。

生のまま冷凍したり、塩揉み、塩茹でなど、用途で分けて冷凍するようにしましょう。冷凍したキャベツは生のキャベツのような食感ではなく、しんなりとした食感になります。

生のまま

カットしたキャベツを生のまま冷凍する

千切りやざく切りなど、お好みの大きさにカットします。カットしたキャベツを水洗いし、キッチンペーパーを使って水けをしっかりと取ります。冷凍用保存袋にカットしたキャベツを密封して入れ、冷凍室へ。なるべく平らになるように入れ、冷凍時に急速冷凍機能(ない場合は金属トレイの上に乗せて冷凍)を使うことで、短時間で冷凍することができます。

千切りにして冷凍保存したキャベツはコールスローサラダなどに、ざく切りのキャベツはスープや和え物などに使用することができます。芯ごと薄切りにして冷凍するのも◎。煮込み料理におすすめです。

塩もみ

カットしたキャベツを塩もみして冷凍する

塩もみしてから冷凍するのもおすすめです。解凍してサラダなどとして食べるのが◎。

ざく切りにしたキャベツを水洗いし、キッチンペーパーで水けを取ります。ボウルにざく切りにしたキャベツと塩(適量)を入れ手で揉みます。水分が出てくるので手で絞ってから冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いて密封し冷凍室へ。なるべく平らになるように入れ、急速冷凍機能を使用するのもポイントとなります。

塩ゆで

カットしたキャベツを塩ゆでして冷凍する

茹でてから冷凍すれば、調理時間を短縮することができます。

ざく切りにしたキャベツを水洗いし、さっと塩ゆでします。粗熱が取れたら(冷水に取るのも◎)水けをしっかり絞り、冷凍用保存袋に入れます。

解凍後に煮物やスープに使用したい場合は、かために茹でるようにしましょう。

加熱料理に使用する場合は、凍ったまま使用してOKです。サラダや和え物などに使用する場合は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍しましょう。お急ぎの場合は熱湯をかけて解凍する方法もあります。

その他にも塩漬けや酢漬けにして保存する漬け保存や、天日干しやレンジで加熱して水分を飛ばして保存する乾燥保存などがあります。キャベツの詳しい保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。