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キャベツが黒くなる原因とは?切り口が黒くならない対処法は?

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キャベツが黒くなる原因とは?切り口が黒くならない対処法は?

キャベツが黒く変色していて食べられるのか不安になったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではキャベツが黒い原因や変色を防ぐ方法などを解説します。

キャベツが黒い原因は?食べられる?

カットした断面が黒く変色するのは酸化

2/1にカットして保存しているキャベツの断面や、千切りにしたキャベツが黒っぽく変色してしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。これはキャベツに含まれているポリフェノールが酸化したことが原因で変色しているため、食べても問題ありません

ポリフェノールとは植物がもつ苦味や渋みの成分となる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。キャベツの変色に大きく関係しているのはアントシアニンであると考えられます。アントシアニンは紫色の色素で、酸性になると赤→茶色→黒と変色する性質があります。

キャベツをカットした時に、細胞が破壊されてアントシアニンとキャベツに含まれているポリフェノールオキシターゼなどの酵素が混ざり合い、空中の酸素に触れることで酸化反応が起こり変色します。

アントシアニンなどのポリフェノールは人体に害がある成分ではありませんので食べることができますが、黒くなっているということはかなり酸化が進んでしまっています。鮮度が落ちて味も悪くなっていますし、見た目も悪いので気になる場合は変色している部分をカットして食べると良いです。

黒ずみや黒い斑点はゴマ症

キャベツの表面や芯に黒ずみや黒い斑点があることがあります。パッと見て「黒カビが生えている」と思う方も多いと思いますが、これは「ゴマ症」と呼ばれる生理現象であり、病気や腐敗ではないので食べることができます

キャベツは生育中にストレスがかかるとポリフェノール類の色素が蓄積され、表面に黒い点として現れます。ストレスの原因となるのは、肥料過多や収穫期の遅れ、密植栽培など様々です。ゴマ症は白菜などキャベツ以外の野菜にも起こります。

また、表面の葉は異常が見られないのに中の葉に黒ずみや斑点があることもあります。これは「内部黒変症状」と呼ばれるもので、こちらも腐敗しているわけではないので食べることができます。

内部黒変症状は、キャベツの葉の内部の水滴が寒さによって氷になり、気温変化で溶けることによって起こると言われており、冬など寒い季節によく起こる症状です。内部にのみ黒ずみや斑点ができ、表面には異常が見られないため、内部黒変症状が出ていても気づかず出荷されてしまうことが多いようです。

黒カビが生えることも

キャベツには黒カビが生えることもあります。ゴマ症と見分けが難しいですが、黒カビの場合は黒く変色している周りが溶け出していたり、カビ臭さがあることがあります。黒カビが生えている場合は食べることができません

じゃがいものような根菜は表面のみにカビが生えていて中まで侵食していなければ、変色している箇所を取り除けば食べることができるといわれていますが、キャベツなどの葉物野菜は見えない部分まで侵食しやすいため破棄するのが無難です。カビの菌の多くは熱に弱いといわれていますが、カビの種類によっては加熱をしても死滅しない場合があります。また、一旦カビが繁殖すると菌が死滅しても「カビ毒」を発生させることがあり、中毒症状を引き起こす可能性もあります。カビ毒は加熱で除去することはできませんので注意しましょう。

出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)

全体的に黒いのは腐敗

キャベツは上述したようにポリフェノールの酸化によって切り口が変色してしまうことはよくありますが、全体的に黒く変色してしまっている場合は腐敗している可能性が高いです。腐敗してしまったキャベツは当たり前ですが、食べることはできません。

キャベツは温度の高い場所や湿度が低い場所を苦手とする野菜なので、常温に置いていたりすると腐敗が進みやすいです。また、栽培中に病気にかかってしまうことも多くあります。キャベツを腐らせてしまう病気には、「軟腐病」や「黒腐病」などがあります。土壌に含まれている糸状菌(カビ)などの細菌がネコブセンチュウ類などの害虫がつけた傷から入り込むことなどが原因で発症することが多く、感染して病状が進行すると腐敗してしまいます。病気に感染しているキャベツは取り除かれることが多いですが、収穫後に流通過程で発病してしまうこともあります。

キャベツの黒変を防ぐ方法

切り口の変色は切り方や包丁の種類で防げる

キャベツはカットすることで細胞が壊れるため、ポリフェノールを酸化させる酵素、ポリフェノールオキシターゼによって変色しやすいです。そのため、黒変を防ぎたい場合は切り方や包丁の種類にも注意が必要です。

キャベツを黒変させないためには繊維に沿ってカットするのが良いです。繊維に沿ってカットすることで細胞を壊れてしまうのを最小限に抑えることができるので、酸化による変色を防ぐことができます。繊維に沿ってカットすることで、シャキシャキとした食感に仕上げることができるのでサラダにするときなどに最適です。

包丁はセラミック製の包丁など金属製以外のものを使うのがおすすめです。金属製の包丁でカットすると、包丁の鉄分がキャベツに含まれるフェノール成分の作用を強めてしまうため、切り口が変色する原因となります。

金属製の包丁しかない場合は、手でちぎるのが良いでしょう。手でちぎることで断面が粗くなるので、サラダにして食べる場合、ドレッシングが絡みやすくなり美味しく食べられるメリットもあります。

切った後は塩水や酢水にさらす

キャベツを切ったら、塩水や酢水にさらしておくのが良いです。塩水や酢水にさらしておけば、空気中の酸素に触れる時間を少なくすることができるので酸化を防ぐことができます。また、ポリフェノールは水溶性であるため、変色の原因となるポリフェノールを落とすことができます。

塩水には、浸透圧によって野菜から水分と一緒に変色の原因となるポリフェノールを出す効果があります。また、緑色の色素となっているクロロフィルを安定させる働きもあります。

酢水には、酵素の働きを抑える効果があります。また、野菜の食感を良くすることができます。野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。ペクチンはpH5以上およびpH3以下で急速に軟化し、pHが下がると分解されにくくなることがわかっています。私達が普段使っている水道水のpHは7なので、酢を入れてpHを下げることでペクチンの分解を抑え食感を保つことができます。シャキシャキとした食感を楽しみたい場合は、酢水にさらすのがおすすめです。

ただし、キャベツにはビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素も含まれています。塩水や酢水にさらすことで変色は防げますが、長くつけすぎてしまうとビタミンCなどの水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうので、長くつけすぎないようにしましょう。

ゴマ症や内部黒変症状は防げない

葉や芯に黒ずみや黒い斑点ができてしまうゴマ症や内部黒変症状は、生育環境によるものなので購入してから防ぐことはできません。

キャベツを家庭菜園で育てる場合は、肥料過多や収穫期の遅れなどなるべくキャベツにストレスがかからない生育環境で育てるようにして生理障害を防ぎましょう。

黒カビ・腐敗による変色は正しい保存で防げる

黒カビや腐敗による黒変は、正しく保存することである程度防ぐことができます。キャベツを長く美味しく食べるためにも鮮度を保てる正しい保存方法で保存しましょう。

正しい保存方法は下記で紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

キャベツの正しい保存方法

常温保存

室温が低い秋や冬の時期は、常温での保存も可能です。常温保存の場合、3〜4日ほど日持ちします。秋や冬でも、暖房を使用する場合は常温保存は避け、常温保存以外の方法で保存することをおすすめします。

ティッシュを詰める

キャベツの芯をくり抜きティッシュを詰める

キャベツの鮮度を保って保存するには、キャベツの芯を包丁の刃先を使ってくり抜きます。くり抜いた部分に濡らしたティッシュを詰め、キャベツ全体を新聞紙で包んで冷暗所で保存します。

キャベツの芯がついたままの状態だと、収穫後もキャベツが成長しようとし、葉の栄養や水分を吸い取ってしまいます。その結果、葉の鮮度や味が落ちてしまいます。

そのため、丸ごと1個や1/2個、1/4個の状態で保存する場合は、芯を取り除いてから保存するようにしましょう。包丁の刃先やヘタ取り専用のスプーンなどを使ってくり抜きます。芯を切り抜いたらティッシュを詰めることで、乾燥するのを防ぐことができます。

キャベツの芯が下になるように置くのもポイントです。キャベツが栽培されていた時となるべく同じような方向で保存することで、余計なストレスがかからず、旨みが持続します。横にしたり上下逆さにして保存すると元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなってしまいます。

キャベツを使う時は、外葉から1枚ずつ剥がして使用します。詰めたティッシュは使うごとに交換するようにしましょう。

芯に爪楊枝を刺すという方法も

芯をくり抜く以外に、芯の部分に爪楊枝を刺して保存するという方法もあります。キャベツの芯には生長点という部分があり、この生長点を傷つけることで、収穫後のキャベツの成長を抑え葉の鮮度が落ちるのを防ぐことができます。

キャベツの芯の部分に爪楊枝を3本程度深く刺します。芯から飛び出た部分は、ハサミでカットします。その後は新聞紙やキッチンペーパーなどで包んで保存するようにしましょう。

冷蔵保存

春や夏などの季節や、秋冬でも暖房器具を使用する場合は冷蔵庫で保存しましょう。丸ごとキャベツは2〜3週間ほど、カットキャベツは1週間ほど日持ちします。

丸ごとはティッシュを詰めて

芯をくり抜き濡らしたティッシュを詰めて、キャベツ全体を新聞紙で包みポリ袋に入れる

キャベツを丸ごと冷蔵する場合も、常温保存と同様に芯をくり抜いてから保存します。

包丁の刃先を使って芯をくり抜き、くり抜いた部分には濡らしたティッシュを詰めます。その後、キャベツ全体を新聞紙で包みポリ袋に入れ軽く口を閉じます。

芯が下になるように冷蔵庫で保存します。芯の部分に詰めたティッシュは、キャベツを使うたびに取り替えるようにしましょう。使用していなくても、乾いてきたら取り替えるようにしてください。

この方法で冷蔵保存すれば、2〜3週間ほどは鮮度を保って保存することが可能です。長期保存したい場合は、後ほどご紹介する冷凍保存を行ってください。

カットは濡らしたキッチンペーパーで

カットしたキャベツは、断面を濡らしたキッチンペーパーで覆う

カットキャベツや使いかけのキャベツは、カット断面を濡らしたキッチンペーパーで覆ってから保存します。

丸ごとキャベツと同様に芯を切り落とします。濡らしたキッチンペーパーをカット断面にかぶせます。この時、芯のくり抜いた部分もしっかりと覆うのがポイントです。キッチンペーパーを被せたらポリ袋に入れ、軽く口を閉じて冷蔵庫で保存します。切り口が下になるように置くことで乾燥を防ぎ鮮度を保ちやすくなります。

ただし、カットキャベツは丸ごとキャベツよりも鮮度が落ちやすく傷みやすいです。1週間を目安に早めに食べきるようにしましょう。

冷凍保存

長期保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。キャベツを冷凍すれば、約1ヶ月ほど保存することが可能です。

生のまま冷凍したり、塩揉み、塩茹でなど、用途で分けて冷凍するようにしましょう。冷凍したキャベツは生のキャベツのような食感ではなく、しんなりとした食感になります。

生のまま

カットしたキャベツを生のまま冷凍する

千切りやざく切りなど、お好みの大きさにカットします。カットしたキャベツを水洗いし、キッチンペーパーを使って水けをしっかりと取ります。冷凍用保存袋にカットしたキャベツを密封して入れ、冷凍室へ。なるべく平らになるように入れ、冷凍時に急速冷凍機能(ない場合は金属トレイの上に乗せて冷凍)を使うことで、短時間で冷凍することができます。

千切りにして冷凍保存したキャベツはコールスローサラダなどに、ざく切りのキャベツはスープや和え物などに使用することができます。芯ごと薄切りにして冷凍するのも◎。煮込み料理におすすめです。

塩もみ

カットしたキャベツを塩もみして冷凍する

塩もみしてから冷凍するのもおすすめです。解凍してサラダなどとして食べるのが◎。

ざく切りにしたキャベツを水洗いし、キッチンペーパーで水けを取ります。ボウルにざく切りにしたキャベツと塩(適量)を入れ手で揉みます。水分が出てくるので手で絞ってから冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いて密封し冷凍室へ。なるべく平らになるように入れ、急速冷凍機能を使用するのもポイントとなります。

塩ゆで

カットしたキャベツを塩ゆでして冷凍する

茹でてから冷凍すれば、調理時間を短縮することができます。

ざく切りにしたキャベツを水洗いし、さっと塩ゆでします。粗熱が取れたら(冷水に取るのも◎)水けをしっかり絞り、冷凍用保存袋に入れます。

解凍後に煮物やスープに使用したい場合は、かために茹でるようにしましょう。

加熱料理に使用する場合は、凍ったまま使用してOKです。サラダや和え物などに使用する場合は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍しましょう。お急ぎの場合は熱湯をかけて解凍する方法もあります。

その他にも塩漬けや酢漬けにして保存する漬け保存や、天日干しやレンジで加熱して水分を飛ばして保存する乾燥保存などがあります。キャベツの詳しい保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。

腐敗したキャベツの特徴

見た目

腐敗したキャベツの見た目の特徴は下記の通りです。

  • カビが生えている

  • 全体的に変色している

  • 葉が溶け出している

  • 茶色い汁が出ている

キャベツには黒カビだけではなく白カビが生えることもあります。キャベツの葉や芯にフワフワとしたホコリのようなものがついている場合は白カビが生えています。白カビは黒カビほど毒性はないといわれていますが、かび毒の危険性などもあるため破棄したほうが無難です。

上述したようにキャベツの葉は変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、溶け出している箇所があったり、茶色い汁が出ているなどの異変が見られることもあるので、このような場合は破棄しましょう。

臭い・味

腐ったキャベツの臭いや味の特徴は下記の通りです。

  • 酸っぱい臭い・味

  • 生ゴミのような臭い

  • カビ臭い

酸っぱい臭いや生ゴミの臭い、カビ臭いなどあきらかに普段感じないような臭いがするときは腐敗しています。

キャベツに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。

また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は、見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

触感

腐ったキャベツの触感の特徴は下記の通りです。

  • 柔らかい

  • ぬめりがある

キャベツから水分が抜けてしんなりしてしまっても腐敗しているわけではないので食べることができますが、芯まで柔らかくなってしまっている場合は、腐敗が進み溶け出してしまっている状態です。

また、表面がぬめぬめしている場合は雑菌が繁殖している可能性が高いです。新鮮なキャベツの表面はぬめりが出ることはありませんので、ぬめりが出ているキャベツは破棄しましょう。

新鮮なキャベツの選び方 

新鮮なキャベツ

新鮮なキャベツを購入し保存する方が、より長く美味しく保存することができます。新鮮なキャベツには下記のような特徴がありますので、購入時の参考にしてください。

  • 外葉の色が濃い緑色

  • 葉にハリがある

  • 芯の切り口が変色しておらずきれいな白色

  • 芯が大きすぎない(500円玉大が目安)

  • ずっしりとした重みがある

  • 切り口がみずみずしく、芯が割れていないもの(カットキャベツの場合)

ちなみに、3〜5月に旬を迎える春キャベツは、葉が詰まっておらず巻きがゆるい軽いものがおすすめです。葉が柔らかいので、生で食べるのに◎。