冷凍した人参を解凍したらぶよぶよになってしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。本記事では人参の冷凍について詳しく解説します。
生の状態の人参はシャキシャキとした食感を楽しむことができますが、冷凍した人参はぶよぶよとした柔らかい食感になってしまいます。
冷凍することでシャキシャキとした食感が失われてしまうのは、冷凍により人参の細胞壁が破壊され、解凍時に細胞内に含まれていた水分が一気に流出してしまうためです。さらに氷が溶けたときに空洞が出来てしまうため、中がスカスカになってしまいぶよぶよとした柔らかい食感になってしまうのです。
また、解凍された際に水分と一緒に人参の旨味や甘味も抜けてしまうため「美味しくない」と感じてしまうこともあります。
そもそも人参などの水分や繊維質の多い根菜類は、冷凍による食材の食感や味を変える氷結晶が大きくなってしまいますし、繊維の周りの組織が空洞化することでどうしても筋っぽさが残ってしまうので冷凍には不向きな野菜であるといえます。
人参のような根菜は冷凍に向いていないとはいえ、冷凍をすることによるメリットもあります。
人参を冷凍するメリットはやはり、常温保存や冷蔵保存するよりも長く保存できる点です。常温保存での保存期間では1周間程、冷蔵保存では2周間程ですが、冷凍すれば1ヶ月程保存しておくことができます。
人参は数本袋にまとめて入っているものを購入することも多いですし、常備野菜としてまとめ買いする方も多いですよね。鮮度を保ち長く保存するためには冷凍保存が良いです。
冷凍することで食感や味が変わってしまうことがあるなら、栄養価も下がってしまうのではないかと思う方も多いと思いますが、栄養価が大きく下がってしまうことはありません。
基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気にふれて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。
冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。
ちなみに現時点では科学的根拠はありませんが、人参に多く含まれているβ−カロテンは冷凍することで含有が増えるともいわれています。
人参を冷凍すると食感の悪さが気になってしまうかもしれませんが、冷凍することにより人参の細胞壁が破壊されるため火が通りやすくなり、味が染み込みやすくなるメリットがあります。
サラダにするなど生食するのには不向きですが、煮物など味を染み込ませたい料理に使うのに良いでしょう。
人参を冷凍しておくと黒く変色してしまうことがあります。黒く変色してしまうのは、人参に含まれているポリフェノールが酸化してしまうためです。
ポリフェノールとは植物がもつ苦味や渋みの成分となる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。ポリフェノールは酸性になると茶色→黒と変色していく性質があり、人参が空気中の酸素に触れることで人参に含まれている酵素が働き、ポリフェノールを酸化させてしまいます。
ポリフェノールは酸化作用のある成分なので食べても人体に害はありません。ただし、鮮度は落ちている状態ですので早めに食べきるようにしましょう。
変色も正しく冷凍することで防ぐことができます。
人参は丸ごと冷凍することも不可能ではありませんが、ぶよぶよになってしまいやすいですし、何より固くて包丁の刃が入りづらく、調理をするのも大変なのでカットしてから冷凍したほうが良いです。
カットしてから冷凍したほうが味が落ちにくいメリットもあります。用途に合わせて乱切りやいちょう切り、細切り、輪切りなどにしておきましょう。すりおろしでも大丈夫です。カットをしておけば調理をする際にもすぐに使うことができるので便利です。
人参をカットしそのまま冷凍しても良いのですが、生のまま冷凍するよりも、一度茹でてから保存したほうが食感も悪くなりづらく、変色しにくくなります。
冷凍する前に茹でたり蒸気をあてたりと必要最低限の加熱処理を行うことを「ブランチング」といいます。人参以外の野菜でも使える方法で、加熱して野菜の持っている酵素を不活性化させることにより変色を防いだり、組織を軟化させることにより冷凍によって組織が破壊され食感を損なわれるのを防ぐことができます。また、食品表面に付着している微生物の殺菌にもなります。
ブランチングするときは、カットした人参を固めに茹でます。ちなみに、人参などの根菜は水から茹でることで火が均一に通りやすくなります。
ブランチングし、粗熱が取れたら水けをしっかり切って冷凍用保存袋に入れて冷凍庫に入れます。
茹でて水分が残ったまま冷凍してしまうと余分な水分まで凍ってしまい、調理をするときにべちょべちょになってしまいます。キッチンペーパーで拭き取るなどし、しっかりと水けを切っておくことも人参を解凍したときにぶよぶよにならない大切なポイントです。
ブランチングし、しっかりと水けをきったらポリ袋に入れます。ポリ袋に入れたら空気をしっかり抜いて密閉しましょう。
しっかりと空気を抜いておくことで、人参が空気にふれて酸化が起こり変色することを防いだり、鮮度が落ちて味が落ちてしまうのを防ぐことができます。
人参に限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。特にすりおろしてから冷凍する場合は、水分が多いので短時間で凍らせるのがポイントです。
冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
また、冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます。
冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。
冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。
冷凍した人参をぶよぶよにさせないためには、解凍方法も重要です。冷凍した人参をぶよぶよにさせない解凍方法を紹介します。
人参に限らず冷凍した野菜はレンジで加熱して解凍しがちですが、レンジで解凍すると一気に水分が出ていってしまってぶよぶよになってしまうので、電子レンジでの解凍は時短にはなりますがおすすめできません。
冷凍した人参を全解凍して使いたい場合は、冷蔵庫に移してゆっくり自然解凍すると良いです。
浅漬けにしたい場合などは、自然解凍が適しています。自然解凍して出てきた水分をキッチンペーパーなどで拭き取れば、それだけで漬物のような食感になるので即席で浅漬けをすることができます。
冷凍した人参は流水解凍することもできます。
流水解凍とは冷凍した食材を水をためたボウルに入れて、水を流しながら解凍していく方法です。冷凍庫から取り出したら、そのまま水をためたボウルに入れて、水を流すだけです。
自然解凍より早く解凍できるので、すぐにサラダなどで食べたいときにおすすめです。
冷凍野菜を直接入れると水っぽくなってしまうので、ジッパー付きポリ袋のまま入れるのがおすすめです。それでも、自然解凍より水が出やすいのでベチャっとしてしまいやすいです。
冷凍した人参は、凍ったまま調理に使用することができます。
もちろん解凍してから使うこともできますが、全解凍してしまうと人参の水分が流れ出てしまい食感や味が悪くなってしまいます。さらに、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養も流出してしまいます。
そのため、冷凍した人参は解凍せずに直接料理に使うことをおすすめします。
それではどんな料理におすすめなのが、次に紹介していきます。
冷凍した人参は、そのまま味噌汁やスープに入れるのがおすすめです。味噌汁やスープなどの汁物であれば、柔らかくなってしまった食感も気になりません。また、汁物であれば流れ出てしまうビタミンCなどの水溶性の栄養素もしっかりと摂取することができます。
冷凍した人参は上述したように、味が染み込みやすい状態なので煮物にするのもおすすめです。根菜を煮物にするときには火が通りにくく、味も染み込みにくいため下茹でをする方も多いかと思いますが、冷凍した人参であればそのまま入れることができるので時短になります。
すりおろして冷凍した人参はポタージュなどにしても良いですが、キャロットケーキなどの焼き菓子にするのもおすすめです。人参は元々甘みのある野菜ですので、優しい味わいの焼き菓子に仕上がり、お子様のおやつにもおすすめです。
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