シットアップは、腹直筋を鍛えるための非常にメジャーな種目である一方で「効果がない」と感じている方も多い種目です。今回は、シットアップで効果がないと感じる原因とその対策についてご紹介します。
シットアップは英語で「sit-up」で、「座った状態で起き上がる」エクササイズを指します。これはいわゆる「腹筋」と呼ばれるエクササイズです。
シットアップは非常にメジャーなエクササイズである一方で、実は難度はかなり高いです。非常に広く実施されていますが、正しく実施できている人はかなり少ないのが現状です。
通常シットアップは数十回をノルマに設定させることが多いですが、正しいフォームでシットアップを実施すると、そのような高回数を実施するのはほぼ不可能です。上級者でも10回程度を実施するのもかなり難しく、言い換えるならば、それくらいの意識をもってシットアップを実施するのが重要です。
シットアップは、特に中学、高校、大学の部活動で積極的に取り入れられている種目ではありますが、実はかなり怪我のリスクが高い種目です。実際に、日本バスケット連盟は、2017年に「腹筋運動(=シットアップ)は推奨できない」旨を発表しています。
そもそも、シットアップは動域が極めて限定的な種目であるのにも関わらず、それを理解して指導している指導者がほとんどおりません。その結果として、「背中が床に付いた状態から胸が太ももに付くまで上げる」という腹筋に全く負荷が入いらないやり方を指導し、だからこそ、回数を多く実施することで腰を痛めるという悪循環が発生しています。
以上から分かる通り、そもそも、シットアップを実施する上でかなりリスクが高い種目であることを理解しておく必要があります。また、実際に実施する場合には腹筋に負荷の入る範囲内で実施すべきであり、実際にはトレーニング中、上級者向けの種目であると言えます。
一般的によく見るシットアップは、「背中を床につけた状態から胸に膝が付く状態まで上げる」やり方ですが、これはシットアップの負荷が逃げてしまっています。シットアップに限らず、エクササイズの基本は負荷の入る可動域の中でエクササイズを実施することであり、シットアップでこれを実践するならば前述したやり方はおすすめできません。
この問題に対する対処法として、「腹直筋にやや負荷の入った状態(=ボトムポジション)から、腹直筋を30度程度上げてボトムポジションに戻る」というやり方を実践します。すなわち、シットアップの可動域は床に対してせいぜい大きくても60度程度であり、このようにすることで負荷が逃げてしまうことを防ぐことが期待できます。
一般的によく見るシットアップは、「数十回、場合によっては数百回実施する」やり方ですが、これは腰に負担がかかるだけで腹直筋に刺激はほとんど入っていません。このようになってしまっているのは、そもそも、シットアップで可動域を大きく設定し過ぎることで負荷が逃げてしまっているからであり、だからこそ、数十、数百のシットアップを実施してしまっています。
この問題に対する対処法として、前述した「可動域を正しく設定する」ということを意識した上でシットアップを実施するようにします。その際に、回数の設定としては12〜15回とし、むしろこれくらいの回数をできるかできないか位、丁寧に実施することが重要です。
これは 前述した2つの理由と関連しますが、シットアップで腹直筋の動きを意識しないで漫然に実施しているとほとんど効果がありません。これは、いわゆる、「マインドマッスルコネクション」というテクニックであり、腹筋を鍛えるエクササイズでは特に重要であるとされているものです。「腹直筋の動きを意識できていない」からこそ、前述したように「数十、数百」のシットアップを実施することが可能となっている可能性もあります。
この問題に対する対処法として、前述した「可動域を正しく設定する」「適切な回数を設定する」というテクニックを実践した上で、腹直筋を意識するようにします。最初は難しいかもしれませんが、シットアップを実施することで腹直筋に負荷が入っていると感じることができれば、その感性をより研ぎ澄ますことで腹直筋の動きを十分に意識できるようになります。
これは、1つ目の問題に関連しますが、「背中が床に完全に付く」シットアップを実施すると、必然的に背中が床についた勢いを使って身体を戻そうとする動きになります。このようにすると、シットアップで腹直筋が伸展する部分を経ないでシットアップを実施し、かつ、反動も使っているため負荷はかなり低減します。
この問題に対する対処法として、「可動域を正しく設定する」ことはもちろんですが、「適切な回数を設定する」ことも意識しましょう。反動を使ってシットアップを実施している場合には、「回数を多く実施する」ことが目的になっているケースが多いためです。これを実践するために、ゆっくり丁寧にシットアップを実施するようにしましょう。
シットアップで腹直筋を鍛えることで、特にお腹周りについている脂肪を燃焼することを期待できます。しかし、腹直筋だけを鍛えるということで得られる効果は限定的です。腹直筋を鍛えるエクササイズに加えて、有酸素運動や食事制限を行う必要があります。
ちなみに、シックスパックを作りたい場合も同様で、計画的な有酸素運動と食事制限を実施する必要があります。
注意したいのが、 腹直筋を鍛えすぎるとむしろウエストが太くなる可能性がある点です。脂肪を燃焼させたいのか、がっつり筋肉をつけたいのか、目標によってダンベルの重さ、実施する回数を組む必要があります
腹直筋は、身体の中ではそこまで大きな筋肉ではありません。そもそも腹直筋が分類される腹筋があまり大きい筋肉とはいえません。
代謝を上げることを主目的とするならば、大腿四頭筋や大臀筋など大きい筋肉を主に鍛えるべきです。
とはいえ、腹直筋は腹筋の中では最も大きい筋肉であり、シットアップで鍛えることで基礎代謝の改善効果を期待できます。代謝を改善するということは、脂肪を燃焼させやすい身体を作るということであり、ダイエットの下地を作ることができます。
朝に実施することで、一日の代謝がアップすることが期待できるのでおすすめです。
腹直筋は背筋とともに上半身を支える筋肉です。そのため、シットアップを実施することで、猫背の予防、改善の効果が期待できます。
ちなみに、反り腰はもともと猫背が原因になっていることが多いです。 また、腹直筋には骨盤の角度を調整する役割もあります。
ちなみに腰痛は、姿勢が悪化し、上半身と下半身の付け根である腰に負担がかかることが原因の一つです。そのため、腹直筋を鍛えることで姿勢が改善すると、腰痛も予防・改善できる可能性があります。
シットアップなどの腹直筋を鍛えるエクササイズは、筋肉をしっかり収縮させることが重要とされます。
シットアップにおいてはトップポジション(上体が起き上がった状態)でしっかりと腹直筋を収縮させる必要があります。
具体的には、トップポジションに移行するに伴い「顎を出す」ようにすることで、自然と腹直筋が収縮します。逆にボトムポジション(上体が床に付きそうな状態)では顎を引くようにします
シットアップの強度は、腕の位置も関係します。
教科書的なシットアップでは、手を頭の後ろに設定してシットアップを実施することが推奨されますが、このように実施すると腕の重さも加味されるため、エクササイズ強度が比較的大きくなります。
そのため、まず実施する際には胸の前に手を組む様にしてシットアップを実施するようにしましょう。これがきちんとできるようになってきたら、手を頭の後ろで組む様にして実施しましょう。
手を身体の横に配置して実施しても良いですが、そのように実施すると手の勢いを使って実施しがちになるため注意しましょう。
シットアップに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
シットアップに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、シットアップでは、上体を下ろすときに息を吸い、上体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
レッグレイズは、シットアップでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋下部を鍛えることができるためです。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度はシットアップと比較すると高くありません。実際に実施する場合には、シットアップを先に実施し、レッグレイズをその後に実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
レッグレイズは、15〜18回3セット実施します。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるための標準的な腹筋のエクササイズです。基本のレッグレイズはそこまで負荷が高くないため、標準的な筋トレの回数よりもやや回数が多い15〜18回を実施します。
とにかく足の動きをコントロールする。
腹直筋下部を鍛えるときよりも、トップポジションをやや深めに設定する。
足を床ぎりぎりまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
クランチは、シットアップでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋上部を鍛えることができるためです。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度はそこまで高くありません。実際に実施する場合には、シットアップを先に実施し、クランチをその後に実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
クランチは、12〜15回3セット実施します。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるエクサイズであり、可動域は小さいですが、しっかりやるのが中々難しい種目です。このため、回数を多くこなそうとするのではなく、回数は抑えめで、しっかりとフォームを維持できる回数で実施するのが重要であり、そのために、一般的なトレーニングで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
肘の動きを意識。
腹直筋上部の動きを意識。
呼吸を意識。
オブリーククランチは、シットアップでは集中的に鍛えることが難しい腹斜筋を鍛えることができるためです。
オブリーククランチは、腹斜筋を鍛えるためのエクササイズであり、シットアップと比較するとエクササイズ強度はそこまで高くありません。実際に実施する場合には、シットアップを先に実施し、オブリーククランチをその後に実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
オブリーククランチは、12〜15回を3セット実施します。
オブリーククランチは、腹斜筋を鍛えるための非常に基本的なエクササイズですが、フォームが非常に重要な種目です。このため、オブリーククランチ自体の負荷を考えると回数は少ないですが、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施し、フォームをしっかりと意識することが重要です。
1回ずつ頭を床につけない。
腹斜筋の収縮、伸展を意識する。
頭を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
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