Fily Kindle
  1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. ビーツの食物繊維の量は多い?少ない?他の野菜と比較して解説

ビーツの食物繊維の量は多い?少ない?他の野菜と比較して解説

公開日

更新日

ビーツの食物繊維の量は多い?少ない?他の野菜と比較して解説

ビーツの食物繊維総量を、他の食品と比較しながら解説していきます。

そもそも食物繊維

水溶性と不水溶性の2種類がある

食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分けられます。

水溶性食物繊維はその名の通り、水に溶ける食物繊維で、溶けるとジェル状になります。水溶性食物繊維を多く含む食材には、わかめや昆布、めかぶなどの海藻類や、野菜、果物があります。

不溶性食物繊維は水に溶けない食物繊維で、水分を吸収します。植物の細胞壁を構成していたりします。玄米やライ麦の穀類や、大豆などの豆類に多く含まれています。

食物繊維の役割

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性(ねんちゅうせい)を高めます。粘稠性とは粘り気のことです。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかになり糖尿病予防に繋がると考えられています。

不溶性食物繊維

一方、不溶性食物繊維は水に溶けず水分を吸って、腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させることで、便秘の予防や改善、腸内環境を整える役割を果たします。腸内環境を整えることは美肌や痩せやすい身体づくりなどに貢献すると考えられています。

食物繊維の推奨摂取量

厚生労働省が発表してる日本人の食事摂取基準(2020年版)では、18〜64歳の食物繊維の1日あたりの目標量は男性が21g以上、女性が18g以上です。

しかしながら、食物繊維は摂取しすぎると、腹痛や下痢などの原因になるので注意が必要です。

出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020 年版)

ビーツの食物繊維の含有量

ビーツの食物繊維の含有量

ビーツ(生)100gあたりの食物繊維の含有量は2.7gです。

水溶性食物繊維の含有量は0.7g、不溶性食物繊維の含有量は2.0gです。
野菜の多くは不溶性食物繊維が多い傾向にあります。

茹でると食物繊維の量は変わる?

茹でたビーツの食物繊維は2.9mgです。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のどっちも0.1mgずつ増えました。

他の野菜と比べると

ビーツとその他の野菜の食物繊維の含有量を比較した表

他の野菜は可食部100gあたり、

  • トマト:1.0g

  • キャベツ:1.8g

  • 大根:1.4g

  • ナス:2.2g

  • ほうれん草:2.8g

  • じゃがいも:8.9g(1.2g)

です。

ビーツの食物繊維量は多くありません。

また、じゃがいもだけ食物繊維の量が多くなっています。生の皮なしのじゃがいも塊茎の食物繊維の含有量は、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」から、「日本食品成分表2015年版(七訂)2018年追補版」で、1.2gから8.9gに増えました。

これは、食物繊維の分析方法が変わったためです。以前は「プロスキー変法(P法)」に基づいていましたが、現在は「AOAC.2011.25法(A法またはAOAC法)」に基づいています。しかし、じゃがいも以外の野菜はP法が使用されているため、じゃがいもだけ多くなったように思われます。

出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)

食物繊維が豊富な食材

食物繊維は植物性食品に多く含まれており、穀類・豆類・野菜類・果実類・きのこ類・藻類などに多く含まれています。

100gあたり、

  • きくらげ(乾):57.4g

  • 大豆(乾):21.5g

  • 切り干し大根(乾):21.3g

  • グリーンピース:7.7g

  • 糸引き納豆:6.7g

  • モロヘイヤ:5.9g

  • わかめ(乾燥の水戻し):5.8g

  • ごぼう:5.7g

  • 生しいたけ:4.9g

  • ラズベリー:4.7g

  • 里芋:2.3g

です。

食物繊維の含有量が最も多いのは乾燥きくらげで57.4gも含まれています。ただし、茹でると100gあたりの含有量は5.2gにまで減ります。乾燥させた食材は水分量が少ないため、その分栄養素の割合が高くなります。野菜ではグリンピースが多いです。

出典:厚生労働省|e-ヘルスネット『食物繊維の必要性と健康』

食物繊維以外のビーツの栄養素・成分

葉酸

葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で造血ビタミンとも言われています。

また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。

葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるため、葉酸を摂取したい場合は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースがおすすめです。

カリウム

カリウムはミネラルの一種です。

カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。

そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。

リン

リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。さらに、エネルギー代謝にも関わり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。

リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく飲食する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。

ポリフェノール

ポリフェノールには抗酸化作用やコレステロール値を下げる働きがあると言われています。

ビーツには、ベタシアニンというポリフェノールが含まれていますが、これはビーツやピタヤなど限られた植物にしか含まれていません。ベタシアニンは赤〜紫色の色素です。

パントテン酸

パントテン酸は幅広い食品にコエンザイムAとして含まれ、不足することがあまりません。ビタミンB群の中では5番目に発見されたためビタミンB5と呼ばれていました。

さらにパントテン酸は三大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂質の代謝を助ける働きをします。ビタミンB1と糖の代謝では中心的に働き、ビタミンB2と脂質の代謝に関わります。体内でエネルギーを作り出します。また副腎の働きを強化し、抗ストレスホルモンの分泌を高める作用もあります。それによってストレスへの抵抗力を高め、ストレスを和らげます。

パントテン酸はビタミンCの働きを助けるので、皮膚や髪の健康にも関わります。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス