Fily Kindle
  1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. 黒い斑点があるほうれん草は食べられる?原因と対処法を解説

黒い斑点があるほうれん草は食べられる?原因と対処法を解説

公開日

更新日

黒い斑点があるほうれん草は食べられる?原因と対処法を解説

ほうれん草に黒い斑点ができていて、食べられるのか迷ったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではほうれん草にできる黒い斑点の正体について解説します。


ほうれん草にできる黒い斑点の正体

黒カビ

ほうれん草の葉に、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。黒カビの場合はカビ臭さを感じることもあります。

黒カビは、クラドスポリウム属の病原菌で、170種以上いると言われています。その中でも代表的な黒カビは、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスとクラドスポリウム・スフェロスパーマムです。黒カビの菌は空気中に舞っていて、繁殖できる場所を見つけると一気に増えていきます。多湿の場所を好み、食べ物以外でもお風呂のサッシやエアコンの内部などに多く見られます。

黒カビだけではなく白カビが生えることもあります。カビは高温多湿の環境の場所で保存するなど正しく保存できていないことで発生しやすいです。

病気

栽培中に病気にかかってしまうことが原因で、黒い斑点ができてしまうこともあります。葉に黒い斑点ができてしまう病気には、「炭疽病」「斑点病」などがあります。

炭疽病はコレトトリカム などの糸状菌(かび)が原因で発症する病気です。感染すると、葉に水浸状の丸い小斑点が発生し、次第に拡大して灰色や淡黄色の輪郭のはっきりした病斑になります。さらに進行すると大型の病斑となり、その上に黒い斑点が密生します。病状が進行してしまうと病斑部は腐敗し、穴があいてしまうこともあります。

斑点病もヘテロスポリウムなどの糸状菌が原因で発症する病気です。感染すると、葉に乳白色小斑点ができはじめます。病斑は融合して大型になり、古くなると表面に緑黒色のかびを生じ、さらに進行すると中央が破れて穴があいていきます。

黒い虫

ほうれん草のような葉物野菜や害虫の被害に遭いやすいため、黒い虫がついていたり、卵がついていることがあります。

ほうれん草についている黒い虫の多くはアブラムシです。アブラムシは特に春から秋にかけて発生し、強い繁殖力をもつため一気に増えていってしまいます。アブラムシはほうれん草の葉の汁を吸い、養分を奪ってしまいますし、モザイク病などの病気の感染源にもなりますので、アブラムシがつかないよう対策をして栽培されていることが多いですが、それでもまれについてしまうことがあるようです。

黒い斑点ができているほうれん草の対処法

カビ・病気は破棄

カビが生えてしまっていたり、病気にかかってしまっていることが原因で黒い斑点ができているほうれん草は、残念ですが破棄しましょう。

カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。じゃがいものように固い野菜の場合は皮のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ皮を厚めにむけば食べても問題ないとされていますが、ほうれん草のような葉物野菜は見えない部分にまでカビが侵食している可能性もあるため食べないほうが良いです。カビ毒は加熱すれば大丈夫ということはないので注意しましょう。

出典:かびとカビ毒についての基礎的な情報(農林水産省)

黒い虫はよく洗う

黒い虫がついてしまっているほうれん草は、よく洗って虫を落とせば食べることができます。ただし、上述したようにアブラムシなどの害虫は、病気の感染源でもあります。異臭がしたり、ひどく変色している部分があるなどの異変が見られる場合は、破棄しましょう。

それでは、ほうれん草の洗い方を紹介します。

ほうれん草の洗い方

水に根をひたす

ほうれん草の根本を水に浸す

洗い方には直接関係ありませんが、ほうれん草を洗い始める前に、根を水にひたして置くと根が水分を吸うためみずみずしさを取り戻し、シャキッとして食感がよくなります。

炒めものにするときなどほうれん草のシャキシャキとした食感を楽しみたい場合は、特に洗う前に根を水にひたしておくのがおすすめです。

根元に十字に切り込みを入れる

ほうれん草の根元に十字の切り込みを入れる

ほうれん草は火の通りを良くしたり、味を染み込みやすくするために下ごしらえで根元に十字を入れますが、洗う前に切り込みを入れておくと、根元に入り込んでいる虫や泥汚れが落としやすくなります。

根元は流水で振り洗い

ほうれん草の根元を流水で洗う

ほうれん草の根元はボウルで水をためながら、流水で振り洗いします。

根元に入り込んでいる砂は振り洗いでは落とせないことがあるので、根元部分を開いて指で軽くこするようにしましょう。根元部分を開いて洗うことで、根元に入り込んでいる虫や砂汚れも綺麗に落とすことができます。

葉っぱは入念に洗う

ほうれん草の葉先を流水であらう

根元を洗ったら、葉っぱは同じようにボウルで水をためながら、流水で振り洗いします。2〜3回水を変えながら振り洗いし、入念に洗いましょう。

農薬が気になる方は

葉先の残留農薬が気になる方は、ホタテ貝やほっき貝を原料に作られたパウダーを使うのがおすすめです。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。ホッキ貝を高温で焼きパウダー状にしたものを水に溶かすことで、アルカリ水を作ることが出来ます。農薬は酸性であることが多いためアルカリ水につけることで農薬が中和されて落としやすくなります。ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水にほうれん草を5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり油が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。

黒い斑点ができるのを防ぐほうれん草の保存方法

病気が原因で黒い斑点ができるのは残念ながら防ぐことができませんが、保存中にカビが生えて黒い斑点ができてしまうのは、正しく保存することで防ぐことができます。

ほうれん草は常温保存NG

ほうれん草は、温度が高い環境や乾燥に弱い葉物野菜なので、常温保存はNGです。ほうれん草を常温で保存することにより、ビタミンCが1日で60%も減ってしまうことも、、、。すぐに使う場合でも、一度冷蔵庫で保存しておくことをおすすめします。

冷蔵保存

すぐに食べる場合は冷蔵保存がおすすめです。冷蔵したほうれん草は1週間ほど日持ちしますが、できるだけ早く食べるようにしましょう。

ほうれん草をキッチンペーパーで包みポリ袋に入れて立てて冷蔵保存

ほうれん草は生のまま冷蔵保存するのがおすすめです。

傷んでいる葉があれば取り除き、水を張ったボウルでしっかり洗います。特に根元部分には土が溜まりやすいので、十字に切り込みを入れ振り洗いをします。爪楊枝や竹串などを使って詰まっている土を取り除くのも◎。

水洗いしたほうれん草の水けを、キッチンペーパーなどを使って取ります。水分が残っていると傷みやすくなりますし、カビが生える原因にもなるのでしっかりと拭き取るようにしてください。

キッチンペーパーでほうれん草を包み、根元を下にしてポリ袋へ。ポリ袋の口を軽く閉じたら、グラスやペットボトルなどに入れて立てて冷蔵庫へ。ドアポケットに立てるのも◎。横にした状態で保存すると、ストレスがかかってしまい鮮度が落ちやすくなってしまいます。

茹でてから冷蔵保存する方法もありますがあまり日持ちしません。4日を目安に食べるようにしましょう。

ほうれん草を冷蔵保存すると、9日間で70%ものビタミンCが失われてしまうというデメリットも。栄養をキープしたいなら冷凍保存がおすすめです。冷凍保存方法は次に詳しく解説します。

冷凍保存

長く保存したいなら冷凍保存がおすすめです。1ヶ月程度日持ちします。

生のまま丸ごと

ほうれん草を生のまま丸ごと冷凍保存

一番手軽に冷凍できる方法は、生のまま丸ごと冷凍する方法です。

ほうれん草を水洗いし、キッチンペーパーでしっかり水けを拭き取ってから冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いて密封し冷凍庫へ。

生のまま冷凍したほうれん草は、沸騰したお湯で30秒ほど茹で流水にさらし、水けを絞ってから調理に使用します。炒め物や和え物、汁物など幅広い料理に使うことができます。

生のままカット

ほうれん草を生のままカットして冷凍保存


生のままカットして冷凍する方法も。しっかりと水洗いし水けを取ったほうれん草を食べやすい大きさにカットし、冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。小分けにしてラップに包んでから入れるのもOK。

ほうれん草の葉は、冷凍することでボロボロと砕けやすくなるので注意が必要です。解凍時は、ザルの上に冷凍ほうれん草をのせ、上から熱湯をかけ流水にとり、水けを絞って調理に使用します。

生のまま冷凍する方法は手軽な反面、ほうれん草の色が黒っぽくなったり食感が若干悪くなるというデメリットもあります。見た目や食感を活かしたい場合は、多少手間でも茹でてから冷凍するのがおすすめです。次で詳しくご紹介していきます。

茹でてカット

ほうれん草を茹でてカットして冷凍保存

茹でてから冷凍すると、鮮やかな緑色をキープすることができ、火が通っているので調理時間が短く済みます。

しっかりと水洗いしたほうれん草を、かために塩ゆで(水1リットルに対して小さじ1が目安)します。茹ですぎると、解凍後の食感が柔らかくなりすぎてしまうので、さっと茹でる程度でOKです。

茹でたほうれん草を冷水につけ、水けを絞って食べやすい大きさにカットします。小分けにしラップで包み、冷凍用保存袋にまとめて入れ冷凍庫へ。

茹でてから冷凍したほうれん草は、料理に応じて凍ったまま使ったり、自然解凍して使用します。スープや味噌汁などの汁物、炒め物などには凍ったままの状態で入れてOKです。おひたしを作る場合は、前日に冷凍庫に移して自然解凍してから使用しましょう。急いで使用する際は流水解凍を行いましょう。


冷蔵保存や冷凍保存の他にも天日干しやオーブン、レンジなどで加熱して水分を飛ばして乾燥させて保存する方法もあります。乾燥させることで約1ヶ月保存が可能です。常温や冷蔵と比較して保存期間が延びるだけではなく、栄養価が高まる、甘みが増す、かさが減るのでたくさん食べられる(その分栄養が取れる)などのメリットがあります。

新鮮なほうれん草の選び方

新鮮なほうれん草を購入する方が、鮮度を保ったまま保存しやすいので、ほうれん草を購入するときはなるべく新鮮なものを選ぶようにしましょう。新鮮なほうれん草には、下記のような特徴があります。

葉が濃い緑色

ほうれん草は葉が濃い緑色をしているものが新鮮です。鮮度が落ちてくるとだんだんと枯れ始め、黄色く変色したり、そのまま茶色く変色し腐敗してきます。

すでに葉が黄色くなってしまっていたり斑点があるものは生育不良であったり、鮮度が落ちて痛み始めている可能性が高いため選ばないようにしましょう。

葉先がピンと張っている

新鮮なほうれん草は葉先がピンと張っています。ピンと張っておらず、しおれてしまっているものは水分が蒸発し鮮度が落ちてしまっている状態です。

葉がピンと張っているか、しおれているかは見ただけでもわかりやすいので必ずチェックするようにしましょう。しおれているだけであれば、水につけてから調理をすることで張りを復活させることもできますが、鮮度が落ちている状態ですので、購入する際はきちんと張りがあるものを選ぶのが良いです。

根元・茎がみずみずしい

葉先と同様に根本や茎も鮮度のいいものはしっかりとハリがあり、みずみずしさがあります。根本が乾燥していたり茎にシワがより、しんなりしているものは水分が抜けて鮮度が落ちています。

葉先だけではなく根本や茎にみずみずしさがあるかもきちんとチェックしましょう。

茎が適度に太く、弾力のあるもの

茎は適度に太く、弾力があるものを選びましょう。茎が細いものは葉も細くうまみが少ないことが多いです。また、茎が太いほうが良い株のように思えますが、太すぎは育ちすぎて葉が固かったりアクが強い可能性が高いです。細すぎず太すぎないちょうどよい太さのほうれん草を選ぶことが大切です。

葉脈が左右対称になっている

葉脈が左右対称のほうれん草は養分が十分に行き渡り、しっかりと育った状態の良いほうれん草です。葉の中央を走る葉脈を軸として左右に折りたためるぐらい対称であるものを選ぶと良いです。

根元が鮮やかなピンク色・赤色

ほうれん草の根本が赤くなるのは、ベタシアニンと呼ばれるピンク色の色素になる成分が含まれているためです。ベタシアニンはポリフェノールの一種で、赤色〜紫色の色素をもつため赤く見えます。

東洋種のほうれん草は根本が赤くなるのが特徴で、西洋種は東洋種と比較して薄いのが特徴です。

ほうれん草の根本が赤くなるのはポリフェノールの含有量によるものであるため、「新鮮でないと赤くなる」ということでも「赤い部分があるから新鮮」というわけでもありませんが、寒い季節に旬を迎えるほうれん草は、凍結してしまわないよう糖分などの栄養素を蓄えるため根本の赤みが増します。そのため、赤みが強いほうれん草は甘味が強いと言われています。

腐ってるほうれん草の特徴

黒い斑点ができているほうれん草以外の注意すべきほうれん草の特徴は下記の通りです。このようなほうれん草は腐っているので、残念ですが破棄しましょう。

見た目・色

腐ったほうれん草の見た目の特徴は下記の通りです。

  • 全体的に茶色く変色している

  • カビが生えている

  • 葉が溶けている

  • 汁が出ている


新鮮なほうれん草は緑色をしていますが、鮮度が落ちてくるとだんだん黄色く変色していき、最終的には茶色く変色していきます。一部が変色してしまっている場合は変色している部分を取り除けば食べることができますが、全体的に茶色い場合は腐敗がかなり進んでいる状態ですので残念ですが破棄しましょう。腐敗しているほうれん草は葉が溶け出していたり、茶色っぽい汁が出ていることもあります。

臭い・味

腐ったほうれん草の臭いや味の特徴は下記の通りです。

  • 酸っぱい臭い・味

  • カビ臭い

  • 舌がしびれるほどの苦味

ほうれん草は野菜特有の青臭さはあるものの、そこまで匂いのきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いやカビ臭さを感じる場合は注意しましょう。

ほうれん草に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」と呼ばれます。腐敗が進むと生ゴミのような臭いがすることもあります。あきらかに異臭がすると感じる場合は破棄しましょう。

また、ほうれん草にはシュウ酸と呼ばれる苦味やえぐみを感じさせる成分が含まれていますが、そこまで苦味やえぐみを感じる野菜ではありません。食べた時に舌がしびれるほどの苦味を感じる場合は腐敗している可能性が高いので、飲み込まずに破棄したほうが良いです。

触感

腐ったほうれん草の特徴は下記の通りです。

  • ぬるぬるしている

  • 粘りがある

  • ハリがない

腐ったほうれん草はぬるぬるしていたり、粘りが出てきます。これは、新鮮なほうれん草には見られない症状ですので、触ったときにぬめりや粘りがある場合は破棄しましょう。

また、新鮮なほうれん草はハリがあります。鮮度が落ちてくると次第に水分が抜けてしなしなになっていきます。水分が抜けているのに加えて変色していたりする場合は、腐敗が進んでしまっている状態なので食べることはできません。