シットアップは、所謂、腹筋運動であり、腹直筋を鍛えるための非常に代表的なエクササイズです。今回は、シットアップのやり方及びコツについてご紹介します。
シットアップは英語で「sit-up」で、「座った状態で起き上がる」エクササイズを指します。これはいわゆる「腹筋」と呼ばれるエクササイズです。
シットアップは非常にメジャーなエクササイズである一方で、実は難度はかなり高いです。非常に広く実施されていますが、正しく実施できている人はかなり少ないのが現状です。
通常シットアップは数十回をノルマに設定させることが多いですが、正しいフォームでシットアップを実施すると、そのような高回数を実施するのはほぼ不可能です。上級者でも10回程度を実施するのもかなり難しく、言い換えるならば、それくらいの意識をもってシットアップを実施するのが重要です。
シットアップでは腹直筋を鍛えることができます。
腹直筋とは、お腹の部分にある筋肉です。腹直筋と聞くと、なんとなく馴染みのない感じがしてしまいますが、いわゆる「腹筋」と呼ぶ筋肉は腹直筋を指します(厳密には、腹筋は、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋の総称です)。
筋トレを少ししたことがある人ならば、「シックスパック」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、シックスパックとは特に腹直筋が身体の表面に浮き出た状態を指します(ちなみに、シックスパックは人によって様々な形をしており、エイトパックだったり、フォーパックだったりします)。
シットアップで腹直筋を鍛えることで、特にお腹周りについている脂肪を燃焼することを期待できます。しかし、腹直筋だけを鍛えるということで得られる効果は限定的です。腹直筋を鍛えるエクササイズに加えて、有酸素運動や食事制限を行う必要があります。
ちなみに、シックスパックを作りたい場合も同様で、計画的な有酸素運動と食事制限を実施する必要があります。
注意したいのが、 腹直筋を鍛えすぎるとむしろウエストが太くなる可能性がある点です。脂肪を燃焼させたいのか、がっつり筋肉をつけたいのか、目標によってダンベルの重さ、実施する回数を組む必要があります。
腹直筋は、身体の中ではそこまで大きな筋肉ではありません。そもそも腹直筋が分類される腹筋があまり大きい筋肉とはいえません。
代謝を上げることを主目的とするならば、大腿四頭筋や大臀筋など大きい筋肉を主に鍛えるべきです。
とはいえ、腹直筋は腹筋の中では最も大きい筋肉であり、シットアップで鍛えることで基礎代謝の改善効果を期待できます。代謝を改善するということは、脂肪を燃焼させやすい身体を作るということであり、ダイエットの下地を作ることができます。
朝に実施することで、一日の代謝がアップすることが期待できるのでおすすめです。
腹直筋は背筋とともに上半身を支える筋肉です。そのため、シットアップを実施することで、猫背の予防、改善の効果が期待できます。
ちなみに、反り腰はもともと猫背が原因になっていることが多いです。 また、腹直筋には骨盤の角度を調整する役割もあります。
腰痛は、姿勢が悪化し、上半身と下半身の付け根である腰に負担がかかることが原因の一つです。そのため、腹直筋を鍛えることで姿勢が改善すると、腰痛も予防・改善できる可能性があります。
筋トレ初心者の場合、シットアップは12〜15回を3セット実施します。
シットアップは、きちんと実施するとエクササイズ強度は比較的高いエクササイズです。そのため、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
シットアップに少し慣れた方の場合、シットアップは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施するようにします。
シットアップに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、12〜15回を実施します。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対してより丁寧に動きを意識して15回きっちりと実施しましょう。
筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにします。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばシットアップと一緒に実施するならばクランチ、レッグレイズ、オブリーククランチなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には何れの種目も12〜15回実施できるようにしましょう。
シットアップに限らず、ほぼ全てのエクササイズではエクササイズ実施中、常に負荷が入っていることが重要です。
シットアップの場合、よく実施されているフォームは「背中が床についた状態」から「お腹が太ももに付く状態」まで「上げ切る」というものです。しかし、これではボトムポジション(身体が最も低い位置にある状態)とトップポジション(身体が最も高い位置にある状態)で負荷が抜けています。
これを防ぐためには、「背中が床に対してやや上がった状態」から、「腹直筋の負荷が抜けない状態」までを可動域と設定して実施する必要があります。このことから、通常の「一般的に実施されているシットアップ」に対して可動域がかなり小さくなることに留意して実施するようにしましょう。
シットアップなどの腹直筋を鍛えるエクササイズは、筋肉をしっかり収縮させることが重要とされます。
シットアップにおいてはトップポジション(上体が起き上がった状態)でしっかりと腹直筋を収縮させる必要があります。
具体的には、トップポジションに移行するに伴い「顎を出す」ようにすることで、自然と腹直筋が収縮します。逆にボトムポジション(上体が床に付きそうな状態)では顎を引くようにします。
シットアップの強度は、腕の位置も関係します。
教科書的なシットアップでは、手を頭の後ろに設定してシットアップを実施することが推奨されますが、このように実施すると腕の重さも加味されるため、エクササイズ強度が比較的大きくなります。
そのため、まず実施する際には胸の前に手を組む様にしてシットアップを実施するようにしましょう。これがきちんとできるようになってきたら、手を頭の後ろで組む様にして実施しましょう。
手を身体の横に配置して実施しても良いですが、そのように実施すると手の勢いを使って実施しがちになるため注意しましょう。
一般的に実施されているシットアップは、30回、40回、場合によっては100回単位の高回数で実施されることがありますが、あまりおすすめできません。
なぜなら、正しいフォームでシットアップを実施すると、これだけの高回数で実施するのはまず不可能だからです。高回数でシットアップが実施できている場合は、フォームの崩れをまず疑いましょう。
また、シットアップは腰を痛めやすいエクササイズで、高回数を実施するのは危険です。
ダンベルシットアップは、通常のシットアップよりも負荷が高いため、なおさらこの傾向が顕著で、回数は多くても15回程度に留めるようにしましょう。
シットアップに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。
これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、腹直筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での腹直筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
シットアップに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
シットアップに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、シットアップでは、上体を下ろすときに息を吸い、上体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
シットアップには多くのバリエーションがあります。
バランスボールシットアップは12〜15回を3セット実施します。
バランスボールシットアップは、通常のシットアップと比較して腹直筋を伸展させることができるため、ややエクササイズ強度は高くなりますが、バランスボールがあるため、急激な負荷の増大は抑えることができます。実施する際には、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セットを実施しましょう。
ボトムポジションでしっかりと腹直筋を伸展させる。
惰性で実施しない。
動きは丁寧に。
トップポジションで顎を出す。
上体を上げすぎない。
呼吸を意識。
シットアップツイストは両側合計で10〜12回を3セット実施します。
シットアップツイストは、一般的によく実施されているエクササイズですが、負荷が抜けやすくエクササイズ難易度はかなり高いです。そのため、一般的な筋トレで標準的な回数とされているものよりも少ない10〜12回を3セット実施しましょう。
上体を上げすぎない。
上体を下げすぎない。
しっかり上体をツイストさせる。
回数。
呼吸を意識。
メディシンボールシットアップは12〜15回を3セット実施します。
メディシンボールシットアップは、メディシンボールを持つ分だけエクササイズ強度は増大しますが、メディシンボールはそこまで重くないため、それによるエクササイズ強度の増大は限定的です。そのため、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
上体を上げすぎない。
上体を下げすぎない。
トップポジションで顎を出す。
回数。
重量設定。
動作の速度。
呼吸を意識。
ダンベルシットアップは12〜15回を3セット実施します。
ダンベルシットアップは、エクササイズ強度は比較的高くなるため、やや軽めの重量を用います。一方で、軽めの重量を扱うことからその分だけ回数を多く実施する必要があり、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
上体を上げすぎない。
上体を下げすぎない。
トップポジションで顎を出す。
回数。
重量設定。
ダンベルの位置。
呼吸を意識。
プレートシットアップは12〜15回を3セット実施します。
プレートシットアップは、エクササイズ強度は比較的高くなるため、やや軽めの重量を用います。一方で、軽めの重量を扱うことからその分だけ回数を多く実施する必要があり、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
上体を上げすぎない。
上体を下げすぎない。
トップポジションで顎を出す。
回数。
重量設定。
ウェイトの位置の位置。
動作の速度。
呼吸を意識。
ニーベントVシットアップは、10〜12回を3セット実施します。
ニーベントシットアップは、後述するV-シットアップを練習するための種目であり、V-シットアップよりは負荷は小さいものの、腹筋全体で考えた場合にはエクササイズ強度は比較的高いです。そのため、実施する際には、一般的な筋トレで標準的な回数とされているものよりも少ない10〜12回を3セット実施するようにしましょう。
上半身と下半身をしっかり近づける。
無理をしない。
トップポジションでやや静止する。
呼吸を意識。
ディクラインシットアップは10〜12回を3セット実施します。
ディクラインシットアップは、シットアップ台の角度にもよりますが比較的強度の高いエクササイズです。そのため、実施する際には、一般的な筋トレで標準的な回数とされているものよりも少ない10〜12回を3セット実施するようにしましょう。
ボトムポジションを深く設定しすぎない。
ベンチ台の角度。
上体を上げすぎない。
トップポジションで顎を出す。
呼吸を意識。
フラットベンチシットアップは10〜12回を3セット実施します。
フラットベンチシットアップは、腹直筋の可動域を全て使うことができるエクササイズであるためエクササイズ強度はかなり高いです。そのため、実施する際には、一般的な筋トレで標準的な回数とされているものよりも少ない10〜12回を3セット実施するようにしましょう。
ボトムポジションを深く設定しすぎない。
2人1組で実施する。
上体を上げすぎない。
トップポジションで顎を出す。
呼吸を意識。
Vシットアップは、8-10回を3セット実施します。
V-シットアップは、トップポジションで「Vの字」になるようなエクササイズであり、エクササイズ強度はかなり高いです。そのため、実施する際には、一般的な筋トレで標準的な回数とされているものよりもかなり少ない8〜10回を3セット実施するようにしましょう。
上体をしっかり上げる。
無理をしない。
脚をしっかり伸ばす。
呼吸を意識。
レッグレイズは、シットアップでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋下部を鍛えることができるためです。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度はシットアップと比較すると高くありません。実際に実施する場合には、シットアップを先に実施し、レッグレイズをその後に実施することで腹筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
レッグレイズは、15〜18回3セット実施します。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるための標準的な腹筋のエクササイズです。基本のレッグレイズはそこまで負荷が高くないため、標準的な筋トレの回数よりもやや回数が多い15〜18回を実施します。
とにかく足の動きをコントロールする。
腹直筋下部を鍛えるときよりも、トップポジションをやや深めに設定する。
足を床ぎりぎりまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
クランチは、シットアップでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋上部を鍛えることができるためです。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるためのエクササイズであり、シットアップと比較するとエクササイズ強度はそこまで高くありません。実際に実施する場合には、シットアップを先に実施し、クランチをその後に実施することで腹筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
クランチは、12〜15回3セット実施します。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるエクサイズであり、可動域は小さいですが、しっかりやるのが中々難しい種目です。このため、回数を多くこなそうとするのではなく、回数は抑えめで、しっかりとフォームを維持できる回数で実施するのが重要であり、そのために、一般的なトレーニングで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
肘の動きを意識。
腹直筋上部の動きを意識。
呼吸を意識。
オブリーククランチは、シットアップでは集中的に鍛えることが難しい腹斜筋を鍛えることができるためです。
オブリーククランチは、腹斜筋を鍛えるためのエクササイズであり、シットアップと比較するとエクササイズ強度はそこまで高くありません。実際に実施する場合には、シットアップを先に実施し、オブリーククランチをその後に実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
オブリーククランチは、12〜15回を3セット実施します。
オブリーククランチは、腹斜筋を鍛えるための非常に基本的なエクササイズですが、フォームが非常に重要な種目です。このため、オブリーククランチ自体の負荷を考えると回数は少ないですが、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施し、フォームをしっかりと意識することが重要です。
1回ずつ頭を床につけない。
腹斜筋の収縮、伸展を意識する。
頭を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
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