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れんこんは生で食べて大丈夫?下処理は必要?

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れんこんは生で食べて大丈夫?下処理は必要?

れんこんは生で食べることができる野菜です。本記事ではれんこんを生食するメリットやデメリット、生食するときの下処理方法などを詳しく解説します。

れんこんは生で食べられる?

れんこんは生食できる

れんこんは、きんぴらなどの炒めものや煮物など加熱調理することが多いですが、生食できる野菜です。

「れんこんには毒がある」「れんこんを生食すると食中毒になる」と思っている方も多いですが、れんこんはじゃがいものソラニンやチャコニンのように天然毒素を持たない植物です。1984年に熊本県で起きたからし蓮根による食中毒が原因で、れんこんは生食しないほうが良いという認識が広まったと考えられていますが、厳密にはからし蓮根の原料であるからし粉にボツリヌス菌の微量汚染があったためであり、れんこん自体に問題があったわけではありません。

しかし、ボツリヌス菌は土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している細菌です。泥汚れや土汚れはしっかりと落としてから食べることが大切です。

出典:辛子蓮根によるボツリヌス中毒(J-stage)

生食に適しているのは二節目(若い節)

れんこんの節ごとの特徴のイラスト

私達が普段「れんこん」として食べているのは、蓮(はす)の地下茎が肥大した部分です。れんこんの地下茎は、塊がいくつも連なっている形状をしています。このような形状になるのは節から茎が生まれ、それを繰り返しながら成長するためです。

れんこんは節の部分で切り分けた塊1個を「一節」として「一節目」「二節目」「三節目」とわけられます。れんこんは節によって食感や味などが異なり、生食に向いているのが若い二節目の先端部です。若い節は繊維質とでんぷんが少ないため、柔らかく加熱をしなくても食べやすいのが特徴です。

ちなみに、れんこんの節は成熟すると繊維質とでんぷん質が多くなり、固くなって甘みも減ります。生食できないわけではありませんが、固いので食べにくいですし味も落ちます。繊維質とでんぷん質が多い成熟した三節目などは、加熱するとほくほくした食感を楽しむことができるので煮物にするなど加熱調理をした方が美味しく食べることができます。

節の見分け方

○1節目・・・丸くて小さくお尻に目がついている

○2節目・・・丸みを帯びている

○3節目・・・細長い

生食には新れんこんがおすすめ

れんこんは1年を通して流通していますが、一般的に販売されているれんこんは秋から冬(11月〜3月頃)にかけて旬を迎える野菜です。

新れんこんは、旬の時期よりも少し早く収穫されるれんこん(9〜10月、早ければ6月頃)です。秋〜冬に販売されているれんこんと比較してアクが少なく、みずみずしくシャキシャキとした食感が特徴で生食するのに適しています。

アク抜きは必要?

れんこんにはアクがあります。アクとは苦味やエグみ、臭みの原因となり料理の味を落とす成分の総称です。

アクがある野菜は、水や酢水にさらしてアク抜きをして調理をすることが多いですが、れんこんの場合はアク抜きをせずに食べても問題ありません。なぜなら、れんこんのアクになる成分はタンニンなどのポリフェノールであり、人体に有害な物質ではないためです。ポリフェノールには抗酸化作用があります。

例えば、ほうれん草やたけのこのアクになるのはシュウ酸と呼ばれる成分です。シュウ酸は苦味やエグみを感じさせるだけではなく、カルシウムと結合しシュウ酸カルシウムとなり結石の原因になるなど人体に害があるため、茹でるなどしっかりとアク抜きをしてから食べることが推奨されています。

ただし、ポリフェノールはれんこんに含まれているポリフェノールオキシターゼなどの酵素の働きや、空気中の酸素に触れることで酸化し変色してしまいます。変色してしまっても腐敗しているわけではないので食べることができますが、見た目が悪くなってしまうため変色防止のためにアク抜きをすることが多いです。

れんこんを生食するメリット

食感を楽しめる

生食のメリットといえば、やはり食感が際立つことです。加熱をすると柔らかくなりますが、生のままだとみずみずしいシャキシャキとした食感を楽しむことができます。

歯ごたえは満腹中枢を刺激し、少ない量でも満腹感を得やすいのでダイエット中の方にもおすすめです。

栄養素を逃さない

れんこんに限らず野菜の中には様々な栄養素が含まれていますが、水溶性や加熱に弱い栄養素もあるため生食には栄養素を流出させることなくしっかりと摂取することができるメリットがあります。

例えば、れんこんのアクとなるタンニンは消炎作用があり、胃炎や喉の傷みなどに効果的なほか、血管の老化を防ぐなどの抗酸化作用に優れていますが、水溶性なので水につけたり茹でたりすると流出してしまいます。その他にも、れんこんにはビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が豊富に含まれています。

れんこんを生食するデメリット

消化不良を起こす可能性が

れんこんには食物繊維が含まれています。

食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、れんこんにはどちらも含まれています。食物繊維は消化、吸収に時間がかかるため胃や腸の負担が多くなります。そのため、れんこんを生食すると消化不良を起こしてしまうことがあります。加熱すれば、食物繊維は柔らかくなるので食べやすくなりますし、れんこんのでんぷん質が糊化(糊状になる)し、胃壁を保護するなど胃腸の働きを助け保護してくれるので、消化器官が十分に発達していない小さなお子様が食べる場合や胃腸の調子が悪いときは加熱調理をするのが良いです。特に小さなお子様が食べる場合は、すりおろしてから加熱するなど食物繊維を細かくするとより良いでしょう。

また、不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢になる可能性があります。さらにビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので、食べすぎてしまわないように注意しましょう。

苦味・えぐみが気になる

れんこんには苦味や渋みを感じさせるポリフェノールが含まれています。そのため、生食することで苦味やえぐみが気になることがあります。

苦味やえぐみが気になる場合は、水につけるなどアク抜きをすることで食べやすくなります。しかし、アク抜きは上述したように水溶性の栄養素の流出に繋がります。長時間水につけないようにして栄養素の流出を最小限に抑えたり、アクの少ない新れんこんを使うと良いです。

れんこんを生食するときの下処理

泥汚れをしっかり落とす

れんこんの皮をたわしで洗う

れんこんは土の中で育ち、掘り起こして収穫します。そのため、れんこんには泥汚れがついていることがあります。近年では綺麗に洗われてから販売されていることもありますが、泥や土にはれんこんを乾燥から守る効果があるため、鮮度を保つために綺麗に洗わず販売されていることもあります。

上述したように泥や土にはボツリヌス菌が隠れていることもあるので、食べる前はしっかりと泥汚れを落として綺麗にしてから食べることが大切です。

れんこんの表面についている泥汚れは、スポンジなどで優しくこすり洗いをして落とします。れんこんの穴の中に泥が入り込んでしまっている場合は、割り箸や菜箸などを穴の中に入れてくるくる回すと良いです。穴が小さいれんこんは、竹串などを使っても良いでしょう。

皮を剥く

れんこんの皮をピーラーで剥く

根菜は皮の部分に繊維が多く含まれていて、固かったり火が通りにくかったりするので皮を剥いて食べるものも多いですが、れんこんの場合は皮が薄いので剥かなくても食べることができます。皮ごと食べることで、れんこんの風味を感じることができますし、皮の歯ごたえがアクセントになります。また、実の部分よりも皮にタンニンなどのポリフェノールが多く含まれているため、栄養の面でも皮ごと食べるのが理想的です。

しかし、生食する場合は泥汚れをしっかり落とすという点で皮は剥いたほうが良いです。皮ごと生食すると口当たりが悪いと感じたり、見た目が悪くなるといったデメリットがあります。

れんこんの皮は、にんじんの皮などを剥くのと同じようにピーラーを使うと簡単に薄く均一に剥くことができます。

カットする

れんこんをカットする

れんこんを綺麗に洗い皮を剥いたら、好みに合わせてカットします。

れんこんは繊維に沿って切ると歯ごたえが残ります。そのため生食する場合は、繊維に沿って切ったほうがシャキシャキとした食感を楽しむことができます。反対に少しでも柔らかく食べやすくしたい場合は、繊維を断ち切るようにカットすると良いです。

アク抜きをする

輪切りにしたれんこんを酢水につけアク抜きをする

れんこんはカットした後に空気に触れることで酸化し変色していってしまいますが、変色の原因となるポリフェノールは水溶性であるため水につけておくことでアク抜きをすることができ、変色を防ぐことができます。

変色を防ぐという点では水でも十分効果がありますが、酢水につけると酵素の働きを抑えることができるのでより変色防止の効果が高まります。また、れんこんに含まれているフラボノイド色素は酸性で無色になる性質があるため、れんこんを白くし見た目が綺麗になります。

さらに、酢水にはれんこんをシャキシャキとした食感に仕上げる効果もあります。

シャキシャキとした食感に仕上がります。野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。ペクチンはpH5以上およびpH3以下で急速に軟化し、pHが下がると分解されにくくなることがわかっています。私達が普段使っている水道水のpHは7なので、酢を入れてpHを下げることでペクチンの分解を抑え食感を保つことができます。

サラダにするときなどシャキシャキとした食感を楽しみたい場合は、酢水にさらすのがおすすめです。

れんこんを生食するおすすめの調理法

サラダ

野菜の生食といえば、やはりサラダですよね。れんこんもサラダにすると美味しく食べることができます。

れんこんはビタミンCやカリウムなどの栄養素類を豊富に含むものの、ビタミンA(βカロテン)やビタミンB群、ビタミンBなどが不足しているため、ビタミン類などを豊富に含んだ緑黄色野菜と一緒にサラダにして食べると栄養バランスがよくなるのでおすすめです。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

スムージー

スムージーとは、凍らせた果物や野菜を使って作るシャーベット状の飲み物です。現在では、原料となる食材を凍らせずに氷と一緒にミキサーにかけて作るなど作り方も多様化しています。スムージーは様々な野菜や果物を組み合わせて作ることができ、野菜の栄養をより効率的に摂取することができます。

朝ごはんや夜ご飯の置き換えにもできるので、ダイエット中の方にもおすすめです。

和え物

れんこんは調味料を混ぜ合わせて和え物にしても美味しいです。例えば、梅干しをみじん切りにした梅ペーストとはちみつなどを加えて和えると、シャキシャキとした食感と共にほどよい酸味の和え物になります。梅干しのクエン酸には、酢と同じようにフラボノイド色素を白くさせる効果があるので、変色することもありません。

酢漬け

酢に漬け込んで酢漬けにするのもおすすめです。酢につけておくことで変色を抑えることができますし、さっぱりと美味しく食べることができます。酢漬けにすれば冷蔵で1週間程保存することができるので、作り置きにもピッタリです。

生食に適したれんこんの選び方

新鮮なれんこんの特徴

生食するときは新鮮なれんこんにしましょう。鮮度が落ちているれんこんは、味も落ちています。新鮮なれんこんには下記のような特徴があります。スーパーで購入する際の参考にしてください。

  • 形がふっくらと丸くまっすぐ

  • 外皮がみずみずしいツヤがある

  • 色ムラや傷がない

  • ずっしりと重みがある

  • 穴のサイズが揃っている(穴が小さいものが尚良)

  • 穴が黒ずんでいない

  • 淡い黄色がかった薄茶色をしている(真っ白なものは漂白されている可能性大)

変色しているれんこんは生食できない?

れんこんの表面が赤茶色になっていたり、黒ずみや斑点があることがあります。この場合は腐敗しているわけではないので生で食べても問題ありません。

れんこんの表面が赤茶色になっているものは「赤シブ」と呼ばれます。ポリフェノールに含まれているタンニンは、鉄分とくっつくことで酸化鉄になる性質があります。鉄分を多く含む土壌で育っていると、土壌の鉄分とタンニンが結合し酸化鉄となり、空気に触れて酸化することで赤く変色します。れんこんの表面が赤くなっていることがありますが、これもタンニンと鉄が反応してできた酸化鉄が表面についたことが原因で、これは「赤シブ」と呼ばれます。収穫する前に葉を取り(カラ刈り)、酸素が供給され酸化による変色を防止する対策をしていますが、完全には防げないため赤くなってしまうことがあります。

れんこんの表面にできている黒ずみや黒い斑点は「黒シブ」と呼ばれるものです。黒シブは、台風などの強風で茎が倒されたものなどに表れることが多いです。また、れんこんは水の力で周りの泥をほぐしながら掘り上げることが多いのですが、水が直接れんこんに当たってしまったり、手で探るときに触ってしまうなど、れんこんの表面が擦れてしまうことも黒シブができる原因と言われています。さらに、れんこんに含まれているタンニンなどのポリフェノールが空気に触れて酸化することも黒シブの原因となります。

食べられないれんこんの特徴

下記のような特徴があるれんこんは腐っている可能性があるので、食べずに廃棄するようにしましょう。

  • 切り口が黒や茶色に変色している(ただし酸化による変色の可能性もある)

  • 全体的に柔らかく、強いヌメリが出ている

  • カビが生えている

  • 異臭がする

れんこんの鮮度を保つ保存方法

れんこんに限らず野菜は正しく保存することで鮮度を保ち美味しく食べることができます。不適切な保存方法は鮮度が落ちてしまうだけではなく、腐敗を進めてしまうので正しく保存しておくことが大切です。

常温保存

れんこんを新聞紙に包んで常温保存する

れんこんは室温が25℃以下になる秋や冬であれば常温での保存が可能です。れんこんを常温保存する場合の保存期間の目安は2〜3日です。

れんこんを新聞紙で包みザルなどに入れ、風通しのよい冷暗所で立てて保存します。横にした状態で保存すると、ストレスがかかってしまい鮮度が落ちやすくなってしまいます。畑で育った環境にできるだけ近づけてあげることで、鮮度を保って保存することができます。

室温が高くなる季節や、カットしたれんこんは常温以外の方法で保存するようにしましょう。

冷蔵保存

れんこんは冷蔵庫で保存することでより長く保存することができます。

丸ごと

れんこんをキッチンペーパーに包んで冷蔵保存する

れんこんを丸ごと冷蔵保存する場合、約1週間ほど日持ちします。

乾燥と低温障害の発生を防ぐためにれんこんを新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて口を軽く閉じ冷蔵室で立てて保存します。

カット(使いかけ)

使いかけのれんこんをラップに包んで冷蔵保存する

使いかけのカットしたれんこんは冷蔵庫で4〜5日ほど保存することができます。丸ごと保存するよりも鮮度が落ちやすいためなるべく早く使い切るのがポイントです。

カットしたれんこんを塩水に浸け水けをしっかり拭き、切り口にラップをかけて全体を包みポリ袋に入れます。口を軽く閉じ冷蔵室で立てて保存します。

水に浸けて保存する方法も

カットしたれんこんを水につけて冷蔵保存する

輪切りや薄切りなど、料理に合わせてカットしてから保存することも可能です。その場合は乾燥しやすくまた変色も起きやすいので、塩水もしくは酢水に浸けて保存します。

カットしたれんこんを密閉容器に入れ、浸るくらいの水を入れて塩をふたつまみ加えて(もしくは酢を少々)ふたをし冷蔵庫で保存します。2日に1度水を取り替えるようにしましょう。

ただしこの方法では、れんこんのビタミンCやデンプンが水中に流れ出てしまうので、栄養素的には△。傷みが早いので1〜2日を目安に食べきるようにしましょう。

冷凍保存

冷蔵保存よりももっと長く保存できるのが冷凍です。冷凍保存したれんこんは約1ヶ月ほど日持ちします。

丸ごと生のまま冷凍

れんこんを丸ごと冷凍保存する

時間がない時は丸ごと冷凍も可能です。土などの汚れをしっかり落とし水けを取ります。全体をラップで包んで冷凍用保存袋に入れて冷凍室で保存します。全体が凍るまでに時間がかかるので、冷蔵庫の急速冷凍機能を使うと◎。さらに金属バットの上にれんこんをのせてから冷凍室に入れることで、より短時間で凍らせることができます。

丸ごと冷凍したれんこんを解凍する際は、水に1分ほどつけることで包丁でサクっと切れる程度のかたさまで半解凍されます。水に長く浸けすぎると栄養が逃げていくので、短時間に留めましょう。

カットして生のまま冷凍

れんこんをカットして生のまま冷凍保存する

カットしてから冷凍すれば調理にすぐに使うことができて便利です。

れんこんを薄切りや厚切り、半月切り、乱切りなどお好みの大きさにカットします。用途がまだ決まっていない場合は縦半分に切るのもおすすめです。カットしたれんこんを酢水(水2カップに対して酢小さじ1〜2程度)に5分ほどつけ変色を防ぎます。キッチンペーパーで水けをしっかり取り、冷凍用保存袋になるべく平らになるように入れます。小分けにしてラップに包んでから冷凍用保存に入れれば、使いたい量だけさっと取り出すことができてより便利です。

カットしてから冷凍したれんこんは、凍ったまま料理に使用してOKです。サラダや煮物、炒め物、汁物など幅広く使用することができます。