れんこんの黒ずみや黒い斑点が気になったことがある方は多いのではないでしょうか。腐敗しているのではないかと心配になりますよね。本記事ではれんこんの黒ずみや黒い斑点について詳しく解説します。
れんこんの表面にできている黒ずみや黒い斑点は「黒シブ」と呼ばれるものです。腐敗しているわけではないので食べることができます。
黒シブができる原因は下記の通りです。
生育環境
手擦れ
ポリフェノールの酸化
黒シブは、台風などの強風で茎が倒されたものなどに表れることが多いです。また、れんこんは水の力で周りの泥をほぐしながら掘り上げることが多いのですが、水が直接れんこんに当たってしまったり、手で探るときに触ってしまうなど、れんこんの表面が擦れてしまうことも黒シブができる原因と言われています。
さらに、れんこんに含まれているポリフェノールが空気中の酸素に触れて酸化することも黒シブの原因となります。ポリフェノールとは植物の渋みや苦味の成分となる化合物の総称です。構造の違いによって様々な種類があり、れんこんにはタンニンが多く含まれていることで知られています。タンニンはポリフェノールの一種ではありますが、構造上の名称ではなく強い結合能力をもつ一部の物質に対する名称で、アントシアニンなどが含まれるフラバノール骨格をもつ「縮合型タンニン」と、カテキンなどの芳香化合物とグルコースなどの糖がエステル結合を形成した「加水分解型タンニン」があります。れんこんに含まれているタンニンは紫色の色素であるアントシアニンが含まれる縮合型タンニンであると考えられます。
タンニンには、れんこんに含まれているポリフェノールオキシダーゼなどの酵素の働きや空気中の酸素によって酸化すると変色する性質があります。
ちなみにれんこんの表面が赤色になっていることもあります。これは「赤シブ」と呼ばれます。赤シブはれんこんが土の中で呼吸をする際に、土の中に含まれている鉄分とれんこんに含まれるタンニンが化合して酸化鉄となり、れんこんの表面につくことが原因であると言われています。
れんこんは生育中に病気にかかることで、表面に黒ずみや黒い斑点ができることもあります。
れんこんの表面に黒ずみや黒い斑点ができる病気は「黒皮症」と言います。黒皮症は、レンコンネモグリセンチュウがひげ根に寄生してしまうことによって起こります。レンコンネモグリセンチュウがひげ根に寄生してしまうと、れんこんの表面に斑点ができて肥大と共に傷が広がって黒点になっていきます。
病気のれんこんは食べられないのではと思う方も多いと思いますが、レンコンネモグリセンチュウは私達が普段れんこんとして食べている可食部には寄生することがないため、食べても問題ありません。
カットしたときに断面や穴にできている黒ずみや黒い斑点は、れんこんに含まれているポリフェノールが酸化してしまったことが考えられます。この場合も腐敗しているわけではないので食べることができます。
また、元々白いれんこんでも調理をした際に、黒ずみや黒い斑点ができることがあります。これは、アルミ製などの調理器具を使ってれんこんを調理することで、タンニンが鉄分と結合することによって変色していると考えられます。この場合も見た目は悪くなってしまいますが、食べて問題ありません。
れんこんの表面や断面には黒カビが生えることもあります。黒カビの場合は、カビ臭さがあったりぬめりが出ているなど腐敗のサインが見られることが多いです。黒シブの場合は食べても問題ありませんが、黒カビの場合は注意が必要です。
表面だけに黒カビが生えていて中まで侵食していないようであれば、皮を剥いて変色している部分を取り除けば問題ないとされていますが、カビの胞子は小さいため見えない部分にも侵食していることがあります。カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの中毒症状が起こる可能性があるため、心配な方や小さなお子様、高齢者などが食べる場合は破棄するのが無難です。カビ毒は加熱すれば発生しなくなるというわけではないので、注意してください。
出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)
一般的に販売されているれんこんは黄みがかった白色をしていますが、腐敗が進むと全体的に黒く変色していきます。一部が黒ずんでいたり、黒い斑点がある場合は黒カビでなければ問題なく食べることができますが、全体的に変色してしまっている場合は腐敗してしまっている可能性が高いので破棄した方が良いです。
変色しているだけではなく酸っぱい臭いがするなど異臭がする場合は、腐敗しているので破棄しましょう。
れんこんに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がしたりします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象があるときに「腐敗」と呼ばれます。腐敗が進むと生ゴミのような臭いがすることもあります。
表面に黒シブができている場合や酸化によって黒く変色している箇所があるれんこんは、上述したように食べることができますが、見た目が悪くなってしまうのでサラダにして食べる場合など見た目を損ねたくない場合は気になる部分をカットすると良いです。
酸化によってすでに変色してしまっているれんこんは、酢水に浸けることで元の白い色に戻ることがあります。これは、れんこんに含まれているフラボノイド色素が、酸性で無色になる性質を持つためです。分厚く切ってしまうと中まで酢水が浸透しないため、薄く切って酢水にさらすのが良いです。
全体的に黒く変色してしまっている場合は難しいですが、少し変色している部分がある程度であれば綺麗に戻ることがあります。黒カビの場合は酢水につけても意味がないので、カビによる変色か酸化による変色か判断がつかない場合は、酢水につけて変化があるかみるのも良いでしょう。
上述したように、れんこんはカットすると黒く変色するのはれんこんに含まれているタンニン(ポリフェノール)によるものです。れんこんをカットしたら水にさらしておくことで、空気に触れる時間を少なくすることができますし、タンニンは水溶性であるため変色の原因となるポリフェノールを落とすことができます。
変色を防ぐという点では水でも十分効果がありますが、上述したように酢水に浸けるとれんこんを白くすることができます。また、シャキシャキとした食感に仕上がります。野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁を作っています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。ペクチンはpH5以上およびpH3以下で急速に軟化し、pHが下がると分解されにくくなることがわかっています。私達が普段使っている水道水のpHは7なので、酢を入れてpHを下げることでペクチンの分解を抑え食感を保つことができます。
サラダにするときなどシャキシャキとした食感を楽しみたい場合は、酢水にさらすのがおすすめです。反対に煮物にする場合など柔らかくしたい場合は水にさらすのが良いです。
れんこんを水や酢水に浸けることで酸化による変色を防ぐことができますが、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が流出してしまいます。そのため、栄養素の流出を最小限に抑えたい場合は水や酢水につけずにカットしたらすぐに調理をしてしまうのが良いです。
タンニンは鉄と結びつくことで化学反応を起こし黒や紫色に変色するため、調理をするときは銅またはテフロン加工されたものを使うことで、ある程度変色を防ぐことができます。
ただし、アルミ・鉄製以外の調理器具を使えば必ずしも変色を防ぐことができるというわけではありません。例えばれんこんを茹でるときは、水にも鉄分が含まれているためアルミ・鉄製以外の鍋を使っても変色してしまうことがあります。茹でる場合に変色を防ぎたい場合は、茹でる前に予め水につけてアク抜きをしておくと良いでしょう。
れんこんは室温が25℃以下になる秋や冬であれば常温での保存が可能です。れんこんを常温保存する場合の保存期間の目安は2〜3日です。
れんこんを新聞紙で包みザルなどに入れ、風通しのよい冷暗所で立てて保存します。横にした状態で保存すると、ストレスがかかってしまい鮮度が落ちやすくなってしまいます。畑で育った環境にできるだけ近づけてあげることで、鮮度を保って保存することができます。
室温が高くなる季節や、カットしたれんこんは常温以外の方法で保存するようにしましょう。
れんこんは冷蔵庫で保存することでより長く保存することができます。
れんこんを丸ごと冷蔵保存する場合、約1週間ほど日持ちします。
乾燥と低温障害の発生を防ぐためにれんこんを新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて口を軽く閉じ冷蔵室で立てて保存します。
使いかけのカットしたれんこんは冷蔵庫で4〜5日ほど保存することができます。丸ごと保存するよりも鮮度が落ちやすいためなるべく早く使い切るのがポイントです。
カットしたれんこんを塩水につけ水けをしっかり拭き、切り口にラップをかけて全体を包みポリ袋に入れます。口を軽く閉じ冷蔵室で立てて保存します。
輪切りや薄切りなど、料理に合わせてカットしてから保存することも可能です。その場合は乾燥しやすくまた変色も起きやすいので、塩水もしくは酢水に浸けて保存します。
カットしたれんこんを密閉容器に入れ、浸るくらいの水を入れて塩をふたつまみ加えて(もしくは酢を少々)ふたをし冷蔵庫で保存します。2日に1度水を取り替えるようにしましょう。
ただしこの方法では、れんこんのビタミンCやデンプンが水中に流れ出てしまうので、栄養素的には△。傷みが早いので1〜2日を目安に食べきるようにしましょう。
冷蔵保存よりももっと長く保存できるのが冷凍です。冷凍保存したれんこんは約1ヶ月ほど日持ちします。
時間がない時は丸ごと冷凍も可能です。土などの汚れをしっかり落とし水けを取ります。全体をラップで包んで冷凍用保存袋に入れて冷凍室で保存します。全体が凍るまでに時間がかかるので、冷蔵庫の急速冷凍機能を使うと◎。さらに金属バットの上にれんこんをのせてから冷凍室に入れることで、より短時間で凍らせることができます。
丸ごと冷凍したれんこんを解凍する際は、水に1分ほど浸けることで包丁でサクっと切れる程度のかたさまで半解凍されます。水に長く浸けすぎると栄養が逃げていくので、短時間に留めましょう。
カットしてから冷凍すれば調理にすぐに使うことができて便利です。
れんこんを薄切りや厚切り、半月切り、乱切りなどお好みの大きさにカットします。用途がまだ決まっていない場合は縦半分に切るのもおすすめです。カットしたれんこんを酢水(水2カップに対して酢小さじ1〜2程度)に5分ほど浸け、変色を防ぎます。キッチンペーパーで水けをしっかり取り、冷凍用保存袋になるべく平らになるように入れます。小分けにしてラップに包んでから冷凍用保存に入れれば、使いたい量だけさっと取り出すことができてより便利です。
カットしてから冷凍したれんこんは、凍ったまま料理に使用してOKです。サラダや煮物、炒め物、汁物など幅広く使用することができます。
カットして茹でてから冷凍すれば、調理時間が短く済みます。
5mm〜1cm程度の厚さに切り(乱切りでも可)、酢水(水2カップに対して酢小さじ1〜2杯)に5分ほど浸けます。かために茹で(電子レンジでの加熱もOK)冷まし、キッチンペーパーで水けをしっかりと拭き取ってから冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。
カットして茹でてから冷凍したれんこんは凍ったままポトフや煮物などの料理に使うことができます。電子レンジで解凍も可。
れんこんをすりおろしてから冷凍するのもおすすめです。すりおろしたれんこんはお好み焼きやたこ焼きのつなぎやれんこん餅、味噌汁など様々な料理に使うことができます。
小分けにしてラップに包むのもOKですし、直接冷凍用保存袋に入れ、菜箸で切れ目を入れてから冷凍すれば、切れ目からポキっと折って必要な分だけを取り出すことができます。
すりおろししたれんこんを解凍する方法は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、電子レンジで加熱解凍をします。
その他にも、天日干しやレンジで加熱して水分を抜いて乾燥保存したり、酢漬けや醤油漬けにして漬け保存することもできます。れんこんの詳しい保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
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