ごぼうは皮をむいて調理すべきなのか迷ったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではごぼうの皮むきについて詳しく解説します。
野菜には皮を剥いて食べるものと皮を剥かずに食べることができるものがありますよね。根菜の場合は皮に繊維が集中しており、皮ごと調理をすると長く加熱しても繊維が残ってしまい食べにくいため基本的には厚めに皮をむいて使います。ごぼうも根菜なので皮はむくべきと思われがちですが、実は皮をむかずに食べることができます。
ごぼうの皮には多くの栄養素が含まれています。そのため皮をむいてしまうと、せっかく含まれている栄養素が失われてしまうデメリットがあります。ごぼうの栄養価をしっかりと摂取するには、皮をむかずに食べるのが良いです。
ごぼうの皮に含まれている栄養素は後述しますので、そちらを参考にしてください。
ごぼうの皮付近には、ごぼうの香りとなる成分が多く含まれています。そのため、皮をむいてしまうと皮に含まれている栄養素だけではなく風味も失われてしまうことになります。また、皮付近には旨味成分も含まれています。ごぼうの風味や旨味を最大限に楽しむためにも皮をむかずに食べるのが良いでしょう。
特に天ぷらやきんぴらごぼう、たたきごぼう、ごぼうの胡麻和えなどは皮付きのまま調理をしたほうがごぼうの風味が感じられ美味しくなります。
ごぼうの皮をむかずに食べることは、上述したように栄養素や風味、旨味といった面でメリットがありますが、ごぼうの表面には土や泥汚れがついているためどうしても土臭さが出てしまいます。
土臭さは根菜特有の風味ともいえますが、苦手な方や食べにくさを感じる場合は、皮をむいて食べると良いです。皮をむくと白くなり見た目がよくなりますし、口当たりも良くなるメリットもあります。サラダにして食べるときなど皮をむいて食べてもOKです。
ごぼうはポリフェノールを多く含む野菜で、むしろごぼう本体よりも皮のほうに多くのポリフェノールが含まれています。ポリフェノールとは野菜の渋みや苦味の成分となる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。
ごぼうに含まれているポリフェノールには例えばクロロゲン酸があります。クロロゲン酸はコーヒーにも多く含まれている成分で、血圧の上昇や血糖値の急上昇を抑制する効果があります。これは、糖質を分解する酵素を阻害する働きがあり、これによって糖質の吸収をゆるやかにしているからです。
さらに脂肪燃焼促進の効果もあり、体内にすでに溜まっている脂肪も新しく発生した脂肪も燃焼させてくれます。特にメタボリックシンドロームの原因である肝臓脂肪の燃焼効果が期待され、ダイエットをする際にも注目される成分のひとつです。
ごぼうの皮には食物繊維も豊富に含まれています。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、ごぼうはどちらもバランス良く含まれている野菜です。
ごぼうの皮に含まれている不溶性食物繊維にはセルロースやヘミセルロース、リグニンがあります。
セルロースは代表的な不溶性食物繊維で、体内でほとんど分解されず、腸内で水分を吸収して膨張し腸管壁を刺激するので、便秘改善が期待できます。さらにダイオキシンや重金属などの有害物質を吸着して、体外に排出する働きもあるといわれています。
ヘミセルロースの「ヘミ」は半分を意味し、「半繊維素」という意味です。便秘改善効果や有害物質を排出する効果があります。さらに免疫細胞を活性化する働きがあると言われています。
リグニンはポリフェノールと構造が似ていて密接な関係があると考えられています。そのためポリフェノールとしての働きもあり、腸内の善玉菌を増やす効果があります。さらに、胆汁酸を吸収する作用があるので血中コレステロールを抑制する働きがあるため動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病の予防が期待できます。
ごぼうの皮に含まれている水溶性食物繊維にはイヌリンがあります。
イヌリンは胃に入るとゼリー状になり糖を包むため、小腸で糖を吸収しにくくする作用があり、他にもビフィズス菌を増やしてお腹の調子を整えたり、血中に含まれる脂肪の吸収抑制と脂肪を減らす効果もあります。そしてイヌリンは100%が腸内細菌に利用されるのが特徴です。イヌリンはごぼう以外にもチコリやニンニクに多く含まれています。
私達が食べているのはごぼうの根の部分です。土の中に埋まっている状態で育ち、土から掘り出して収穫しています。近年は綺麗に洗いカットされた状態で販売されていることもありますが、鮮度を保つため泥が付いた状態で販売されていることも多くあります。土の中には細菌がいることもありますし、土や泥を落とすことは、泥に含まれる農薬を取り除くことにも繋がるためごぼうの皮をむく前に表面についている土汚れや泥汚れを綺麗に洗い流しましょう。
ごぼうを洗うときは、たわしを使うと良いです。ごぼうの表面には凹凸があり、凹凸部分に泥汚れが入り込んでいるため流水や手でこするだけではなかなか綺麗に落とせませんが、たわしを使うと綺麗に落とすことができます。たわしがない場合は、クシュクシュにしたアルミホイルでも◎
上述したようにごぼうは皮のすぐ下にうまみや香りがあるので、あまり強くこすって傷つけてしまわないように注意しましょう。
ちなみに泥汚れを落としてから販売されている洗いごぼうも、汚れが全くついていないというわけではないので、軽く流水で汚れを落としたほうが良いです。
市販されているごぼうは根がない状態で販売されていますが、根元がある場合はカットしておきます。
また、保存しているとひげ根が出てくることも珍しいことではありません。ひげ根が出てきてしまっていたら、カットして取り除いておきましょう。ひげ根が出たごぼうも食べることができますが、そのままにしておくと栄養を吸い取られごぼうの中に空洞ができてスカスカになってしまうことがあるので早めに食べきるようにしたほうが良いです。
野菜の皮むきといえば、包丁やピーラーを使って剥くのが一般的ですよね。ごぼうの場合は包丁やピーラーでは厚くむきすぎてしまうので避けましょう。
上述したようにごぼうの皮を厚めにむいてしまうと、ごぼうの風味や香り、旨味が損なわれてしまいます。
ごぼうをよく洗って下準備をしたら、皮をむいていきます。ごぼうは「皮をむく」というよりは、こそげます。「こそげる」とは「素材の表面の不要な部分をごく薄くこすり落とす」という意味で、例えば魚の鱗(うろこ)を落とすことをいいます。
上述したように、ごぼうはじゃがいもや大根の皮をむくときのように包丁やピーラーを使ってしまうと、むきすぎて風味が損なわれてしまいますし、栄養価が下がってしまうため包丁の背を使ってこそげます。
包丁の背を使う場合は、ごぼうを片手で持ったら包丁の背で表面を薄く削るようにまわしながらこそげていきます。白い部分が少し見える程度にこそげたら、水でさっと洗い、水気を切って完了です。
包丁の背ではなく刃を使うこと自体は可能ですが、刃が深く入り厚くむきすぎてしまったり、刃こぼれしてしまう可能性が高いので、できるだけ包丁の背を使うようにしましょう。
様々な方法がありますが、他のキッチン道具を準備する必要もなく簡単にできるため、包丁の背でこそげる方法が一番おすすめです。
たわしを使ってごぼうの皮をむくこともできます。包丁を使うのに慣れていない方はこちらの方法がおすすめです。たわしは必ず清潔なものを用意しましょう。不要になった歯ブラシでも大丈夫です。
たわしを使う場合は片手でごぼうを持ったら、ごぼうの皮を軽くなでるようにこそげていきます。軽くなでるように動かすだけで皮がポロポロと落ちます。ある程度こそげたら軽く水洗いして完了です。
たわしをつかうと土汚れが落ちやすいですが、力をいれてゴシゴシしてしまうとむきすぎてしまうので、力を入れすぎないようにするのがポイントです。
アルミホイルを使う場合は、まずアルミホイルをクシャクシャに丸めます。
アルミホイルをクシャクシャに丸めたら一度広げて、ごぼうをアルミホイルに挟みます。ギュッとごぼうを握り、ごぼうを前後に動かしていくとごぼうの皮をこそげることができます。ある程度こそげたら、軽く水洗いして完了です。
アルミホイルであれば後片付けも簡単なので、時短したい方におすすめです。ただし、アルミホイルのゴミが出てしまう点が△です。
スプーンを使う場合はスプーンをゴボウに対して立てて、包丁でこそげるのと同じように回しながらこそげていきます。ある程度こそげたら水洗いします。
スプーンであればどの家庭にも必ず1本はあるはずですし、刃物を使わないので小さなお子様のお手伝いにもピッタリですよね。ただし、包丁やたわし、アルミなどと比較するとややこそぎにくい点が△。
割り箸を使ってごぼうの皮をこそげることもできます。丸みのある箸ではこそげにくいため、角ばった割り箸を使うのがベストです。
割り箸を使う場合も包丁を使うときと同じように、ごぼうを片手でもち箸の角を使ってこぞげていきます。包丁よりも危なくないですし、ちょうどよい加減でこそげることができます。ある程度こそげたら、軽く水洗いします。
実際に割り箸を使ってこそげてみましたが、正直やりにかったです。力を入れすぎると割り箸が折れてしまうこともありますし、割り箸自体がゴミとなってしまうので、割り箸はあまりおすすめできません。
ペットボトルのキャップを使ってごぼうの皮をこそぎ落とすことも可能です。
ごぼうを片手で持ち、反対の手でペットボトルのキャップを持ってごぼうの皮をこそげていきます。スプーンや割り箸と同様に安全に皮をこそげることができます。
ペットボトルのキャップを使うのは意外かもしれませんが、結構しっかりとこそげることができます。しかし、包丁の背で済むので、わざわざキャップを使う必要はないと感じます。
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