ごぼうを茹でたり炒めたりしたときに緑色に変色して驚いた経験がある方は多いのではないでしょうか。本記事ではごぼうが緑色に変色してしまう原因や緑色に変色するのを防ぐ方法などを解説します。
ごぼうを茹でたり炒めたりしたときに緑色に変色してしまうのは、ごぼうに含まれているアルカリ性無機質(カリウムやナトリウム、カルシウムなど)がアントシアン系色素と結合したり、ごぼうに含まれているクロロゲン酸とアミノ酸のロイシン、フェニルアラニンが反応して青緑色の成分に変化するためです。
アントシアン系色素は、植物の葉や花、果実に含まれている青紫色の天然色素です。例えばナスや紫キャベツ、ブルーベリーなどが紫色をしているのはアントシアン系色素が多く含まれているためです。アントシアン系色素はアルカリ性になると青→緑→黄色と変色していく性質があります。
例えばこんにゃくは、アルカリ(水酸化カルシウム等)を加えて作られているアルカリ性食品であるため、ごぼうをこんにゃくと一緒に炒めたり茹でたりすると緑色(青緑)に変色してしまうことがあります。
ごぼうが茹でたり炒めたりしたときに緑色に変色してしまうのは、上述したようにアルカリ性無機質がアントシアン系色素と結合してしまったり、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸とアミノ酸のロイシン、フェニルアラニンが反応しているためで、腐敗が原因ではありません。
アントシアン系色素(フラボノイド)やクロロゲン酸(ポリフェノール)は苦味やエグみを感じさせる、いわゆるアク(灰汁)の元になる成分でもありますが、体に害がある成分ではないので問題なく食べることができます。
一口に「ごぼう」といっても様々な品種があり、長さや太さなどにそれぞれ違いがありますが、もともと緑色のごぼうの品種はありません。
上述したようにごぼうに含まれているアントシアン系色素やクロロゲン酸は、アルカリ性になると青色や緑色に変色するので、アルカリ性の食品と一緒に調理をしないようにするだけでも変色を防ぐことに繋がります。
例えばアルカリ性食品にはこんにゃくの他にも梅干しやさつまいも、ネギや豆腐などの大豆製品、海藻類などがあります。
変色の原因となるアントシアニンやクロロゲン酸は、水溶性であるため水につけてアク抜きをしておくことで変色を防ぐことができます。
ただきごぼうなど白く仕上げたい料理では、酢を数滴いれた酢水につけておくのが良いです。ごぼうは酸化すると赤くなる性質がありますが、酢水につけてpHを下げることで活性酸素の働きを抑えることができるため赤く変色してしまうのも防ぐことができます。
ただし、酢水に15分以上つけるとかたくなり、ごぼうそのものの風味も損なわれてしまいます。水なら1時間程度つけてもよいが、水を替えるとかたくなるので注意しましょう。
ごぼうが緑色に変色してしまうと料理の見た目が悪くなってしまいますが、水や酢水につけての変色防止策はごぼうに含まれている水溶性の食物繊維やカリウムなどが流出してしまうデメリットがあります。
上述したように変色の原因となるポリフェノールはシュウ酸のように体に悪い成分ではないので、栄養価を下げないという点では水や酢水につけずに調理をして食べるのが望ましいといえます。
緑色に変色したごぼうは腐敗しているわけではないので食べることができますが、下記の特徴があるごぼうは腐敗している可能性が高いので注意してください。
腐っているごぼうの見た目の特徴は、下記の通りです。
カビが生えている。
曲がっている。
シワシワになっている。
ごぼうの表面に白いフワフワとしたほこりのようなものが付いている場合は白カビ、黒く変色している場合は黒カビが生えています。ごぼうのように固い野菜の場合は、表面のみにカビが生えていて中まで広がっていなければ皮を厚めに剥けば食べることができますが、見えない部分にもカビの菌が入り込んでいる可能性があるため心配な方や高齢者、小さなお子様が食べるときは破棄したほうが無難です。カビの菌はカビ毒を発生させ、腹痛や嘔吐などの症状が出ることがあります。
また、カビが生えていなくても本来まっすぐとした棒状のごぼうが明らかにぐにゃりと曲がっている場合は、腐敗が進み柔らかくなってしまったことが原因で曲がっている可能性が高いです。完全に表面が乾燥してしまい、シワシワになってしまっているものも腐敗が進んでいるので食べないようにしましょう。
腐っているごぼうの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
生ゴミのような臭い
カビ臭い
ごぼうは土に埋まった状態で育ち、掘り起こして収穫するため多少の泥臭さはあるものの、そこまできつい臭いのする野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
ごぼうに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐っているごぼうの感触の特徴は下記の通りです。
ぬめりがある
糸を引く
張りがない
柔らかい
ごぼうを触ったときにぬめりを感じたり、糸を引いた場合はバクテリアが活動し腐敗が進行しているサインです。新鮮なごぼうはぬめりが出たり糸を引くことはありませんので、残念ですが破棄しましょう。また、新鮮なごぼうは張りがあり、固いです。張りがなくなっていたり、簡単にぐにゃりと曲がってしまうほど柔らかいごぼうは腐敗しています。
ごぼうはよく「栄養がない」といわれますが、それはビタミン類の含有量が他の野菜と比べて少ないためです。ミネラル類は比較的多く含まれており、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンと豊富に含まれているのが特徴です。また食物繊維も豊富に含まれています。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。さらに、エネルギー代謝にも関わり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。
リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく飲食する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。
マグネシウムはカルシウムの量を調整し、筋肉の収縮を促します。摂り過ぎたカルシウムが血管壁に貯まるのを防ぎ、動脈硬化を予防する働きもあります。そしてカルシムやリンとともに働き、丈夫な骨や歯をつくります。血液中のマグネシウムが不足すると骨から溶け出して補充されますが、このときカルシウムも一緒に放出されてしまうため骨がもろくなります。
またストレスが生じると、マグネシウムの消費量が増えます。そのため疲れているときやイライラしているときはマグネシウムを積極的に摂取しましょう。マグネシウムは過剰に摂取しても腸管からの吸収は抑えられ、余分なものは速やかに排泄されるので食事で摂取している限りは過剰症の恐れはありません。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、里芋は不溶性食物繊維の方が多いです。
不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
ちなみに水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかになります。
また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。
土の中で育つごぼうは乾燥に弱いのが特徴です。保存時に乾燥させてしまうとスカスカになり食感が悪くなってしまうので気をつけましょう。一方で、湿気がこもってしまうとカビが生える可能性も。しっかり乾燥から守りながら、通気性は高めておく必要があります。
ごぼうは意外にも暑さにも弱いのも特徴。最適貯蔵温度は0℃といわれています(ごぼうを日常的に食すのは日本と台湾くらいなため、欧米ではあまり研究が進んでおらず、貯蔵最適湿度はわかっていません)。
そのため、長く保存するには、泥つきのままキッチンペーパーに包んだりと乾燥から守りながら、冷蔵庫に入れるのがベストですが、泥つきのごぼうは常温保存することも可能です。
冬場なら1ヶ月、夏場なら2週間程度保存することができます。
このように丸ごと新聞に包み、ダンボールなどに立てて冷暗所で保存します。新聞紙を包むことで乾燥から守り、かつ湿気を吸ってくれます。
土に入れて保存するとより長くもちます。ごぼうが入る大きさに土を掘り、横にして置き、土をかぶせます。縦に入れるのが理想ですが、あまり深く掘るのは大変なので横向きで保存するのが一般的です。適度に保湿しながら保存することができます。
土が乾燥しすぎていたり、水分を含みすぎていると、ごぼうの傷みが進むので注意してください。気温が上がる夏場はあまりおすすめしませんが、冬場なら2ヶ月ほど保存することが可能です。
ごぼうは冷蔵が最大2ヶ月と最も長く保存することができます。ただし、洗いごぼうは1週間ほどしか保存できないので注意しましょう。
泥つきは冷蔵庫に入る長さに切り、新聞紙に包みポリ袋に入れて、軽く口をしめて立てて保存します。ごぼうは乾燥に弱いので野菜室で保存しましょう。
洗いごぼうも冷蔵庫に入る長さに切って、ポリ袋に入れて立てて保存します。
洗いごぼうは水につけて保存する方法も。少し手間ですが、上記の方法よりも長く保存することができます。2日に1回は水を取り替えるようにしましょう。水に浸けておくと空気に触れないので、2週間程度は変色しません。特に切ってしまったごぼうは変色しやすいので水に浸けて保存するのがおすすめです。ポリ袋に入れるだけより長く保存できる一方、栄養が流れ出てしまうデメリットもあります。
泥つきでない場合は、ごぼうは冷凍することで長く保存することができます。冷凍したごぼうは泥臭さが消えて、柔らかくなり味が染み込みやすくなります。冷凍することで変色を防ぐこともできます。
長めに切って生のまま冷凍することもできます。泥をしっかり洗い、キッチンペーパーで水けを取り、冷凍用ポリ袋に入れて冷凍庫へ。水に1分ほど浸けると切りやすくなります。長く水に浸けすぎると水溶性の栄養が流れ出てしまうので注意しましょう。金属トレイの上に置いて冷凍すると急速冷凍ができ、食感が悪くなりにくいです。
ささがきなど調理しやすいようにカットしてから生で冷凍するのも◎。和え物やサラダに使うときは前日に冷蔵庫に移して自然解凍、または電子レンジ解凍します。加熱調理に使うときは凍ったまま使います。
硬めに茹でてから冷凍する方法も。少々手間ですが、下茹でしてから冷凍すると食感や風味が落ちにくいのでおすすめです。乱切りなどお好みで切ってから下茹でして、冷ましたら、キッチンペーパーで水けを取って、冷凍用ポリ袋に入れて冷凍庫へ。
きんぴらを冷ましてから、ラップで小分けにして冷凍するのもおすすめです。解凍方法は常温で1〜2時間置くか、前日に冷蔵庫へ移動、または電子レンジで加熱します。
その他の保存方法には、天日干しやレンジなどで水分を飛ばしてから保存する乾燥保存や、味噌やオイルに漬けて保存する漬け保存などがあります。ごぼうの保存方法についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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