小松菜のシュウ酸の含有量は少ないため、アク抜きをしなくても食べやすいです。本記事では小松菜のシュウ酸の含有量などを詳しく解説します。
シュウ酸はアクやえぐみの正体で、栄養素というよりも老廃物です。人体での合成量は微量で、ほとんどが食物から摂取されています。結石の原因になるので摂り過ぎには注意する必要がありますが、相当量摂取しない限りは過剰症にはならず、健康上の問題はあまりないとされています。
シュウ酸は水溶性のため、茹でることで減らせます。葉物野菜は単体で茹でるだけでシュウ酸が水中に溶け出します。そのためシュウ酸の多い野菜は下茹でが必要になります。
出典:シュウ酸はどのような食物に多く含まれるか?また、シュウ酸の摂取について工夫すべきことはあるか?(公益財団法人日本医療機能評価機構)
シュウ酸は、基本的に野菜に多く含まれており、動物性食品にはほとんど含まれません。
小松菜100gあたりのシュウ酸の含有量は50mgです。小松菜はシュウ酸の含有量が少なくアク抜きをせずとも食べやすいという特徴があります。ただし、個体差はあります。小松菜が苦かった場合、シュウ酸の含有量が多いことが第一に考えられます。
シュウ酸は、茎よりも葉に多く含まれていると言われています。茎よりも葉の方が苦味やエグみを感じやすいのはこのためです。
小松菜と見た目がよく似ているほうれん草にもシュウ酸が含まれています。ほうれん草100gあたりのシュウ酸の含有量は800mgです。上述したように小松菜100gあたりのシュウ酸の含有量は50mgなので、ほうれん草の方が圧倒的にシュウ酸を多く含んでいることがわかります。
そのため、シュウ酸が多く含まれているほうれん草は食べるときにアク抜きをする必要があります。
小松菜やほうれん草以外に多い野菜には、キャベツやレタス、ブロッコリー、たけのこ、さつまいもがあります。
また野菜以外には玉露や抹茶などのお茶、コーヒー、チョコレート、バナナ、アーモンドなどがあります。
上述したように、小松菜はシュウ酸の含有量が少ないため下茹でなどのアク抜きをしなくてもサラダやスムージーとして生食することができます。
下茹でや水に浸けるといったアク抜きは、ビタミンCなどの水溶性の栄養素を流出させてしまうことになるので栄養素を逃さずに摂取することができるのは嬉しい点です。
また、加熱するときも下茹でが不要なので、直接炒め物にしたり、レンジ加熱することもできます。シュウ酸は加熱するだけでは取り除くことができないため、ほうれん草などのシュウ酸を多く含む野菜は炒めたりレンジで加熱する場合もアク抜きをする必要がありますが、小松菜の場合はそのまま加熱することができるので手軽に調理することができます。
小松菜はシュウ酸の含有量が少ないためアク抜きをしなくても食べることができますが、食べすぎはやはりシュウ酸の摂りすぎに繋がるためNGです。
シュウ酸の1日の摂取量の目安は600~800mgと言われています。小松菜100gあたりの含有量は50g程なので大量に食べない限りは摂取量の目安をオーバーすることはありませんが、上述したように小松菜以外の普段よく口にする食べ物や飲み物にもシュウ酸は含まれています。知らず知らずのうちに摂取量の目安をオーバーしてしまうこともあります。
また、小松菜の食べすぎはシュウ酸を多く摂取してしまうだけでなく、食物繊維の過剰摂取による腹痛やポリフェノールの過剰摂取による偏頭痛の原因にもなります。さらに鉄分の摂りすぎで亜鉛の吸収を抑制してしまったり、何よりも小松菜だけ食べていると栄養素が偏ります。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。小松菜は緑黄色野菜にあたるので緑黄色野菜を基準にすると120g以上になりますが、小松菜以外の色々な緑黄色野菜を組み合わせて120g以上にするのがいいとされていますので、多くても1日50g程度が良いでしょう。
緑黄色野菜は緑色や黄色、赤色など色鮮やかな野菜=β-カロテンが豊富な野菜が分類され、それ以外の野菜が淡色野菜に分類されます。
基本的に小松菜はアク抜き不要ですが、少しでもシュウ酸を減らしたいという方や心配な方はアク抜きするのもアリです。苦みがあって食べにくい場合もアク抜きをすると食べやすくなります。
上述したようにシュウ酸は水溶性なので、水にさらすだけでもアク抜きになります。茹でてしまうとしんなりとした食感になってしまいますが、水にさらすだけであればシャキシャキとした食感を残すことができるので、生食する場合や炒めものにする場合は、水にさらす方法がおすすめです。
水にさらすときはボウルに水を入れ、綺麗に洗った小松菜を丸ごと入れて5分程さらします。カットしてから水にさらす方が水に触れる面積が広くなりしっかりとアクが抜けますが、カットした断面からビタミンCなどの水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットがあります。小松菜はそこまでシュウ酸の含有量が多くないので丸ごと水にさらしても十分アク抜きになります。
よりしっかりとアク抜きをしたい場合は、茹でるのが良いです。小松菜の場合の明確な数値はわかりませんが、ほうれん草の場合3分間茹でると除去量は37〜51%になります。
茹でるときもまず小松菜の汚れを落とし、鍋にたっぷりの湯を沸かして塩を加えます。塩の量の目安はお湯1リットルにつき小さじ1です。
じゃがいもなどの固い野菜を下茹でするときは水から茹でますが、小松菜などの葉物野菜は火の通りが早いため沸騰したお湯から茹でて加熱時間を短くすることで、栄養素の流出を最小限に抑えることができる他、歯ごたえを残すことができます。
お湯が沸いたら、数株手にとり葉の部分を持って茎の部分を鍋に入れ、そのまま30秒ほど茹でます。小松菜は葉と茎で火の通りが異なるため、はじめに茎を茹でておくことで火の通りを均一にすることができます。いっぺんにたくさんの量を入れてしまうとお湯の温度が下がり、再沸騰するまでに時間がかかるのでムラができてしまうことがあります。あまりいっぺんにたくさんの量を茹ですぎないようにしましょう。
茎を30秒ほど茹でたら、全体をお湯に入れて葉にも火を通していきます。茹で時間の目安は20秒〜30秒ほどで、葉が鮮やかな緑色になったらOKです。上述したように、長く茹ですぎてしまうとビタミン類などの水溶性の栄養素も流出してしまうため注意しましょう。
小松菜を茹でた後、ボウルに入れた冷水にさらすと変色を防ぎきれいな色を保つことができます。また、シャキシャキとした食感になります。しかし、上述したように水にさらすことで水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットがあります。栄養価を下げたくない方は冷水にさらさずに、ザルにあげて粗熱をとると良いです。
上述したようにシュウ酸は熱に弱い性質があるわけではないので、単に炒めるだけではシュウ酸を取ることはできません。そのため、シュウ酸を多く含む個体の場合は炒めものにしても苦味やエグみを感じることがあります。また、揮発性の高い成分でもないため冷凍しても残ります。
ただし、小松菜は油で炒めることで他のメリットがあります。小松菜には脂溶性ビタミンのビタミンA(β-カロテン)、ビタミンEが含まれています。これらは油と一緒に摂取することで吸収率が上がるため、油で炒めるとより栄養素を摂取できます。
小松菜はたんぱく質・炭水化物・脂質の三大栄養素の他に、β-カロテン、ビタミンCに加えて、ミネラルも豊富に含む栄養価の高い野菜です。特にカルシウムに富み、鉄も多く含まれているのが特徴です。カルシウムが不足することで起こる骨粗しょう症や、鉄が不足することで起こる貧血を予防するのに効果があると言われています。
β-カロテンは、皮膚や喉などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあり、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐ事で免疫力をアップし病気にかかりにくくなります。また抗酸化作用もあるので、アンチエイジング作用があります。亜鉛が補酵素に入ると、β-カロテンがレチナールへ、さらにレチナールにナイアシンが結合することで体内に作用します。ビタミンAとしての働きを促すにはミネラルの亜鉛、ビタミンB群のナイアシンも必要になります。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
その他、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
鉄分はミネラル成分の一つです。体に必要な栄養素で、成人のからだには約3〜5gの鉄が存在しています。
鉄は大きく分けて2種類あります。一つは機能鉄といって赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。
もう一つは貯蔵鉄といって肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられており、機能鉄が不足すると体内に放出されます。また、酵素の構成成分で、エネルギー代謝を助ける働きがあります。
小松菜はカルシウムが注目されがちですが、カリウムの含有量も特筆ものです。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し、細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
小松菜のカルシウム含有量は、なんとほうれん草の3〜4倍以上で、野菜の中で飛び抜けて多いです。ほうれん草のカルシウムはシュウ酸と結合して体内で吸収されにくいですが、小松菜のカルシウムは水溶性なので吸収されやすい特徴があります。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
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