ダンベルプルオーバーは、比較的低重量で大胸筋と広背筋を鍛えることができるため、女性にもおすすめのエクササイズです。今回は、女性向けのダンベルプルオーバーのやり方及びコツをご紹介します。
ダンベルプルオーバーは、「dumbbell pull over」、つまり、「ダンベルを引き寄せる」ことを意味するエクササイズです。
ダンベルプルオーバーは、非常に特異的な種目であり、これは、大胸筋と広背筋を鍛えることができるためです。通常、大胸筋と広背筋は身体の裏表にある筋肉であり、このような筋肉を拮抗筋を呼びます。通常、拮抗筋を合わせて鍛えることは非常に難しいのですが、ダンベルプルオーバーではその動作の特性上、それを可能にします。
一方、実際に実施する際には、広背筋と大胸筋をどちらをメインで鍛えるかによってフォームが若干異なります。そのため、実際に実施する際には、どちらの筋肉をしっかり鍛えたいかの意図を持ってフォームを選択して実施するようにしましょう。
大胸筋は、バストの下に存在しバストの土台となります。そのため、大胸筋を鍛えることで、バストアップを期待することができます。また、バストの形を美しくする効果も見込めます。
大胸筋は筋肉であるのに対して、バストを構成する胸は基本的には脂肪であることから、大胸筋を鍛えると胸が小さくなると考える人が多いです。しかし、かなり高頻度かつ高強度のトレーニングを行う場合を除いて、大胸筋を鍛えると土台がしっかりし、バストアップ効果を期待することができます。
デコルテラインとは、首筋から肩周り、胸の上部のラインまでを指します。
大胸筋は、鎖骨と接続しているため、大胸筋を鍛えることで鎖骨周辺がスッキリとした状態になり、デコルテラインがきれいに見えるようになることが期待できます。
前述したバストアップ、バストの形の改善効果を含めて、ダンベルプルオーバーで大胸筋を鍛えることは胸周りがより美しくなるということを覚えておきましょう。
お腹が出ている状態というのは、いくつかの原因があり、その一つが「背中の筋肉が弱い」ことが挙げられます。これは、猫背のイメージでするとわかりやすいですが、猫背だと自然と背中と逆側にあるお腹は出るようになります。
つまり、姿勢が悪くなると腹筋をうまく使うことができず、お腹が出やすい状態になります。この現象は、体脂肪率が低いのにも関わらず、お腹が出ている方に多く見られます。筋肉量の少ない女性に特に多いです。
背中の筋肉である広背筋を鍛えることで猫背の改善が期待でき、結果としてぽっこりお腹の改善も見込めます。
また、広背筋は背中の大部分をカバーしていることから、鍛えるトレーニングにより、首や肩のコリを改善できる場合があります。
広背筋は、背中の中で最も大きい筋肉です。そのため、ダンベルプルオーバーはいずれの筋肉を鍛えた場合でも代謝の改善効果を期待できます。
ただし、筋肉量アップでの代謝の改善効果を期待するならば、広背筋・大胸筋に加えて脚の筋肉もしっかりとつける必要があります。さらに、ダイエット効果を期待するならば、筋トレだけではなく、有酸素運動や食事制限をしっかりと実施することが重要です。
女性で筋トレ初心者のダンベルプルオーバーの目安の重量は3〜5 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ダンベルプルオーバーは、両手で1つのダンベルを支えるようなエクササイズであるため、筋トレ初心者でも比較的重量を扱うことができます。ただし、ダンベルプルオーバーはエクササイズの難易度がかなり高いため、フォームをしっかりと身につける上で、3〜5 kg程度のやや軽い重量でフォームをしっかりと確認しながら実施しましょう。
女性でダンベルプルオーバーに少し慣れた方のダンベルプルオーバーの目安の重量は5〜8 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ダンベルプルオーバーは、可動域を狭くするとそれに伴って高重量を扱うことができるようになります。ただし、ダンベルプルオーバーは重量を扱うよりも可動域をしっかりと設定したほうが負荷が入りやすい種目であることから、少し慣れてきてもやや軽い重量で実施するようにしましょう。以上では5〜8 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてダンベルプルオーバーを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
女性の筋トレ上級者のダンベルプルオーバーの目安の重量は20 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、ダンベルプルオーバーで20 kg以上を正確な可動域の中で実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでも「正確な可動域」での重量であり、可動域が小さい場合にはより高重量を扱うこともできますが、エクササイズ効率は高くないため、しっかりと可動域を設定しましょう。
女性の筋トレ初心者の場合、ダンベルプルオーバーは10〜12回を3セット実施します。
ダンベルプルオーバーは、比較的高重量を扱いやすく、可動域もしっかりと設定する必要があるため、回数をやや少なくしても問題ありません。そのため、一般的な筋トレで標準的な回数よりもやや少ない10〜12回を3セットで実施するようにしましょう。
女性でダンベルプルオーバーに少し慣れた方の場合、ダンベルプルオーバーは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施します。
ダンベルプルオーバーに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、12〜15回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。
女性の筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにします。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばダンベルプルオーバーと一緒に実施するならば、大胸筋をメインで鍛えている場合には膝付きプッシュアップ、ハイプランクを、広背筋をメインで鍛えている場合にはスーパーマン、ワンハンドローイングなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも10〜12回実施できるようにしましょう。
IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。
ダンベルの種類としては固定式です。
イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。
また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。
FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。
ダンベルの種類は可変式です。
本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。
1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。
PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。
ダンベルの種類は固定式です。
本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。
ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。
バストアップを主な目的としたい女性は、ボトムポジションで下半身は沈み込むように実施するのがおすすめです。
ダンベルプルオーバーにおいて、大胸筋を鍛える場合には下半身をうまく使うことで大胸筋の伸展をより促すことが期待できます。
ダンベルプルオーバーで大胸筋を鍛える場合、ダンベルがボトムポジション(最も低い位置)にきたときにもっとも大胸筋が伸展しますが、このとき下半身も座面に潜り込むような意識を持つと下半身側からも引っ張られるようになるため、より大胸筋の伸展を促すことが期待できます。
注意点は、これはあくまでも大胸筋を鍛える場合のテクニックであり、広背筋を刺激する場合のテクニックとして適用できない点に注意しましょう。
上級者向けですが、椅子の向きを変えるテクニックも存在します。
ダンベルプルオーバーの持ち方は、ダンベルの持ち手を親指と人差し指で挟むようにし、手のひらで重り部分を支えるのが教科書的とされています。
大胸筋を鍛える場合にはこれで問題ありませんが、広背筋を刺激する場合には、両手の手のひらでダンベルの重りの持ち手部分を包み込むようにして持って実施するとより広背筋に刺激が入るようになります。
なぜこのようになるか、詳しく説明している人はおりませんが、恐らく握り方により肩の開き方や負荷のかかり方が微妙に変化することでよりダイレクトに刺激が入るようになるからではないかと考えられます。
ダンベルプルオーバーは、高重量を扱いやすい種目ではありますが、対象部位にしっかりと刺激を与えるためにはむしろ可動域を意識する方が効率的です。特に、ダンベルプルオーバーでは、大胸筋を鍛える場合でも、広背筋を鍛える場合でもダンベルが後頭部にある状態が一番負荷がかかっている状態であるため、この状態をしっかりと作る必要があります。
そのためには、ダンベルの重量を重くしすぎると、そこまでダンベルを下ろした場合に元に戻せなくなってしまうため、扱う重量をやや軽くして実施する必要があります。
ダンベルプルオーバーに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、大胸筋もしくは広背筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大胸筋もしくは広背筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ダンベルプルオーバーに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ダンベルプルオーバーに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ダンベルプルオーバーでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
スーパーマンは、ワンハンドローイングでは鍛えることが難しい脊柱起立筋を鍛えることができるためです。
スーパーマンは、身体の中央部を走る脊柱起立筋を鍛えるための種目であり、鍛えることでワンハンドローイングを実施した場合により上半身を真っ直ぐに保ちやすくなることで高重量を扱うことが期待できます。実際に実施する場合には、スーパーマンを先に実施し、ワンハンドローイングを後に実施することでより背中をまっすぐに保つことを意識した状態でワンハンドローイングを実施することが期待できます。
スーパーマンは、最終的には15〜18回を3セット実施します。
バックエクステンションよりも負荷の高いエクササイズであるため、最初は10回3セットをしっかり実施できる様になることを目指します。10回3セットをしっかりできるようになったら、12回、15回と目指して、最終的に18回を3セット程度実施できるようになれば十分です。
できるだけ高く身体を上げる。
できるならば上半身から下半身を真っ直ぐ。
目線を無理に正面にしない。
ワンハンドローイングは、実施することでダンベルプルオーバーと同様に背中の広がりに関与するためです。
ワンハンドローイングは、背中の広がりを作るための非常に基本的なエクササイズです。エクササイズ強度は重量にもよりますが、基本的にはダンベルプルオーバーの方が高いです。実際に実施する場合にはワンハンドローイングを先に実施し、仕上げの種目としてダンベルプルオーバーを実施することで効率よく広背筋を刺激することを期待できます。
ワンハンドローイングは、特に初心者の場合には12〜15回を3セット実施しましょう。
ワンハンドローイングは、やり方にもよりますが基本的には比較的高重量を扱いやすい種目です。ただし、ワンハンドローイングはフォームが重要であるため、やや軽めの重量で一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
背中を張る。
目線は正面。
ダンベルは床と垂直。
肘をしっかり引く。
ダンベルをやや後方に引くように。
上体の角度。
ハイプランクは、ダンベルプルオーバーと同様に大胸筋を鍛えることができるためです。
ハイプランクは、上腕三頭筋及び大胸筋を鍛えることができるエクササイズです。ダンベルプルオーバーと比較すると、基本的にはダンベルプルオーバーの方が負荷が高くなります。実際に実施する場合には、ハイプランクを実施した後にダンベルプルオーバーを実施することで効率的に大胸筋を鍛えることを期待できます。
ハイプランクは、まずは30秒を3セット実施します。
ハイプランクは、腕立て伏せの身体を上げた状態を維持するエクササイズであり、腕に筋肉がある方は比較的簡単に実施することができますが、それとは逆に、腕に筋肉がないと実施するのが中々難しくなります。そのため、エクササイズ強度は、人によりますが、プランクと同じくらいであり、プランクと同様に30秒を3セットをしっかりとポイントを守りながら実施するようにしましょう。
上半身から下半身までを一直線にする。
大胸筋にも刺激を与える場合には、手幅をやや広めに設定する。
お尻をやや上げるイメージ。
目線は正面。
膝付きプッシュアップは、ダンベルプルオーバーと同様に大胸筋を鍛えることができるためです。
膝付きプッシュアップは、大胸筋を鍛えることができるエクササイズです。ダンベルプルオーバーと比較すると、ダンベルの重量にもよりますが基本的にはエクササイズ強度はほぼ同じくらいです。実際に実施する場合には、膝付きプッシュアップを実施した後にダンベルプルオーバーを実施することで効率的に大胸筋を鍛えることを期待できます。
膝付きワイドプッシュアップは、12〜15回を3セット実施します。
ワイドプッシュアップは、比較的負荷の高いエクササイズです。このため、理想的には、つま先立ちで実施することが望ましいですが、負荷が高すぎる場合には膝付きで実施しても問題ありません。少しずつ負荷を増やしながら、最終的に12〜15回を3セット実施できるようになることを目指しましょう。
実施中は常に肩甲骨を寄せたままにする。
トップポジションで肘を伸ばし切らない。
身体を下げるときはゆっくりにする。
上半身から下半身は常に一直線で実施する。
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