小松菜の茎に黒い点があることがあります。これは「ゴマ症」と呼ばれる生理現象であり、カビが生えていたり腐敗しているわけではありません。本記事では小松菜の茎にできる黒い点の正体について詳しく解説します。
小松菜の茎に黒い斑点があることがあります。一見黒カビや虫がいるように見えますが、この現象は「ゴマ症」とよばれるものです。
ゴマ症は白菜などにもよく起こることで知られており、小さなゴマが散らばっているような様子から「ゴマ症」といわれるようになりました。ゴマ症は生理現象です。例えば人間でいえば紫外線に当たることで蓄積されたメラニンがしみとなって皮膚に現れるのと同じです。
ゴマ症によって現れた黒い点の正体は、ポリフェノールです。小松菜に蓄積されたポリフェノールが黒い点となって表面に現れています。
ポリフェノールは多くの植物が共通してもつ成分で、主に植物が光合成をするときに作り出されます。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、動脈硬化や老化予防、生活習慣病予防にも効果が期待できます。さらにはコレステロール値を下げる働きもあると言われています。心臓を守る作用や、病気に伴う血管新生(新しく血管ができること)を抑える効果などの研究も進められており、一定の効果があると報告されています。
上述したように、小松菜の茎にできている黒い点の正体はポリフェノールであるため食べても人体に害はありません。ゴマ症になっていない小松菜にもポリフェノールは含まれています。
出典:「こまつな」の茎に黒い斑点があるのですが食べても大丈夫ですか(農林水産省)
黒い点の正体がポリフェノールなのであれば、黒い点が出ている小松菜の方が栄養価が高いのではないかと思うかもしれませんが、ゴマ症の小松菜のほうが栄養価が高いという科学的根拠は残念ながらありません。
問題なく食べることができても「状態が良い小松菜」というわけではありませんので、購入する際はできるだけ黒い点の出てない新鮮な小松菜を選んだほうが良いです。新鮮な小松菜の見分け方については後述しますのでそちらを参考にしてください。
ゴマ症を発祥する原因は様々あり、はっきりと解明できているわけではありませんが、最も多いのは肥料過多だといわれています。
小松菜に限らず多くの野菜の栽培には生育不良を防ぐために肥料が使われますが、肥料を与えすぎてしまうことにより、野菜の中の窒素が多くなりすぎてしまいます。窒素が増えてしまうと窒素濃度を下げるために多くの水分を吸収するため細胞が膨張してしまい、これがストレスとなってポリフェノールが多く生成され黒い点となって小松菜の茎に現れます。
ゴマ症は、密植栽培や天候不良など栽培時の環境によるストレスでも発症するといわれています。
小松菜を栽培するときは、しっかりと株間を空けましょう。株間が狭いと生長する過程でストレスを感じゴマ症を発祥してしまいます。また、小松菜は比較的冷涼な気候でよく育つ野菜です。夏などの暑い季節は遮光したり、冬はビニールトンネルなどで防寒をするなど生育環境を整えることも大切です。
さらに小松菜は乾燥に弱い野菜なので、水やりが不十分でもストレスとなります。小松菜を栽培するときは夜も乾燥させてしまわないように注意しましょう。
小松菜の茎に現れている黒い点=黒カビではないものの、黒カビが発生する可能性も0ではありません。
ゴマ症の場合は小さなゴマのような斑点が茎を中心にポツポツとできます。一方黒カビは一箇所にまとまり黒く変色しているように見え、茎だけではなく葉に現れることもあります。また、黒カビの場合はカビ臭がすることもあります。ゴマ症の場合は臭いがありません。
黒カビが生えてしまった場合は残念ですが食べることはできませんので破棄しましょう。黒カビが生えた小松菜を食べてしまうと吐き気や胃痛などの中毒症状が起こる可能性があります。一部だけの場合であってもカビの胞子が見えない部分で根をはっていることもありますので食べないほうが安全です。
万が一ゴマ症なのか黒カビなのか見分けがつかない場合は、黒カビであることを考え破棄したほうが無難です。
腐った小松菜の見た目の特徴は下記の通りです。
全体的に茶色く変色している
カビが生えている
葉が溶けている
汁が出ている
新鮮な小松菜は鮮やかな緑色をしていますが、鮮度が落ちてくるとだんだん黄色く変色していき、最終的には茶色く変色していきます。一部が変色してしまっている場合は変色している部分を取り除けば食べることができますが、全体的に茶色い場合は腐敗がかなり進んでいる状態ですので残念ですが破棄しましょう。腐敗が進んだ小松菜は葉が溶け出していたり、茶色っぽい汁が出ることもあります。
また、小松菜に白いふわふわとしたホコリのようなものがついているときは白カビが生えています。上述したようにカビの菌はカビ毒を起こし吐き気や腹痛などの中毒症状を起こすことがあるので、葉にカビが生えてしまっている場合も残念ですが食べることはできません。
腐った小松菜の臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
カビ臭い
舌がしびれるほどの苦味
小松菜は野菜特有の青臭さはあるものの、そこまで匂いのきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いやカビ臭さを感じる場合は注意しましょう。
小松菜に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。腐敗が進むと生ゴミのような臭いがすることもあります。あきらかに異臭がすると感じる場合は破棄しましょう。
カビが生えていないのにも関わらずカビ臭い場合は、カビの胞子が入り込み生育している可能性が高いため心配な方は破棄するのが無難です。
また、小松菜にはシュウ酸と呼ばれる苦味やえぐみを感じさせる成分が含まれていますが、同じくシュウ酸が含まれているほうれん草と比較すると含有量は少なく、アク抜きをしなくてもそこまで苦味やえぐみを感じる野菜ではありません。食べた時に舌がしびれるほどの苦味を感じる場合は腐敗している可能性が高いので、飲み込まずに破棄したほうが良いです。
腐った小松菜の特徴は下記の通りです。
ぬるぬるしている
粘りがある
ハリがない
腐った小松菜はぬるぬるしていたり、粘りが出てきます。これは、新鮮な小松菜には見られない症状ですので、触ったときにぬめりや粘りがある場合は破棄しましょう。
また、新鮮な小松菜はハリがあります。鮮度が落ちてくると次第に水分が抜けてしなしなになっていきます。鮮度が落ちて水分が抜けているだけであれば食べることができますが、水分が抜けているのに加えて変色していたりする場合は、腐敗が進んでしまっている状態なので食べることはできません。
茎に黒い点がある小松菜は腐敗しているわけではないものの、状態が良いとはいえません。購入するときはゴマ症になっていない新鮮な小松菜を選んだほうが良いです。
新鮮な小松菜の特徴は下記のとおりです。
葉に厚みがあり、緑色が濃く、みずみずしいもの
茎が短く太くピンとしたもの
根元の株が大きく張り出して、太いもの
葉脈がきれいに入っている
葉が黄色くなってしまっているものは避けましょう。また、茎が長いものは育ちすぎている可能性が高いので注意です。葉が大きいものは味が濃く、小ぶりなものは柔らかい特徴があります。
小松菜の保存最適温度は0度、湿度は90〜95%です。そのため、常温保存は適していません。常温保存するとどんどん鮮度が落ちて傷んでしまうので、常温保存は避けましょう。
小松菜を購入した後、すぐに食べる場合は冷蔵保存がおすすめです。冷蔵した小松菜は1週間ほど日持ちします。
根元を少し切って、水に4〜5分つけて吸収させ水揚げした小松菜の水けをキッチンペーパーなどでしっかりと拭き取り、湿らせたキッチンペーパーで包んで根元を下にしてポリ袋に入れます。ポリ袋の口を軽く閉じ、グラスやペットボトル(口部分をカットしたもの)などに入れて立てて野菜室へ。冷蔵庫のドアポケットに立てるのもおすすめです。横にした状態で保存すると、ストレスがかかり鮮度が落ちやすくなります。また、茎や葉の重さにより傷みやすくなってしまいます。
水につけたままの状態で冷蔵保存をすると、水溶性成分が流れ出てしまうのでNGです。
小松菜をより長く保存したいなら、冷凍保存がおすすめです。冷凍した小松菜は約1ヶ月ほど日持ちします。生のまま冷凍してもOKですし、茹でたり味をつけてから冷凍保存する方法もおすすめです。
小松菜は茹でてから冷凍するのが基本です。茹でてから冷凍すると、小松菜のシャキっとした食感が残りやすいです。
水揚げした小松菜をさっと塩ゆで(水1リットルに対して塩小さじ1が目安)し、冷水にさらします。水けを手でしっかり絞り、食べやすい大きさにカット。小分けにラップし冷凍用保存袋にまとめて入れます。金属トレイにのせることで急速冷凍ができます。
汁物などに使用する場合は、凍ったままの状態で調理してOKです。おひたしに使う場合は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍し、水けを絞って使いましょう。解凍時にお湯や水に浸けて解凍してしまうと、水溶性の栄養素が流れてしまうのでおすすめしません。
小松菜は生のまま冷凍することもできます。ほうれん草とは異なりアクが少ないため、茹でずに食べることも可能です。冷凍することで細胞壁が壊れて食感がやわらかくなります。
水揚げした小松菜の水けをキッチンペーパーなどでしっかりと拭き取り、食べやすい大きさにカットします。冷凍用保存袋に平らになるように入れ、空気を抜いて密封し冷凍庫へ。
アク抜きの必要はないので、凍ったまま調理に使用するか、冷蔵庫で自然解凍してから使用しましょう。
調理をして味をつけてから冷凍すると、解凍後の調理時間が短く済みます。
水揚げした小松菜をさっと塩ゆでし、水けを取って食べやすい大きさにカットします。オリーブオイル大さじ1をフライパンに入れ加熱し、小松菜を加えて炒めます。塩こしょうで味をつけたら粗熱を取り、小分けにラップに包んで冷凍用保存袋に入れます。
調理してから冷凍した小松菜も、凍ったまま調理に使用するか、冷蔵庫で自然解凍してから使用しましょう。
そのほかにも、天日干しして水分を飛ばして乾燥保存したり、醤油や味噌につけて漬け保存することもできます。小松菜の詳しい保存方法についてはこちらの記事で紹介していますのでぜひ参考にしてください。
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