ほうれん草を調理するときに青臭さや泥臭さなどが気になったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではほうれん草の臭いの種類と原因、ほうれん草の臭みを消す方法などを詳しく解説します。
ほうれん草は、元々青臭さがある野菜です。
ほうれん草の青臭さは、3-ヘキセノールと呼ばれる成分によるものです。3-ヘキセノールは不快臭に分類される成分で「青葉アルコール」とも言われます。ほうれん草に限らずトマトなど多くの野菜がもつ成分です。
細胞が傷つくと特に臭いがきつくなるため、ほうれん草を噛んだときに青臭さを強く感じやすいです。これは草刈りをしたときに、青臭さを強く感じるのと同じ現象です。
出典:植物が発するにおいの役割(J-Stage)
ほうれん草は茎に実がなるトマトなどの野菜とは異なり、根本が土に埋まっている状態で育って収穫されます。鮮度を保つため、軽く泥汚れを落とすことはあっても綺麗に洗ってから出荷されたりスーパーなどで販売されていることはあまりないため、根本などに砂がついていることも多く、泥臭さを感じることがあります。
ほうれん草は腐敗が進むと、ツンと鼻をつくような酸っぱい臭いがすることがあります。
ほうれん草に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がしたりします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」と呼ばれます。
ほうれん草には白カビや黒カビが生えることがあります。表面に白いふわふわとしたホコリのようなものがつくのが白カビ、黒く変色するのが黒カビです。白カビや黒カビなどのカビの胞子は目に見えないほど小さいので、カビが生えていないように見えてもカビの胞子が入り込んでいてカビの臭いがすることがあります。
カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。
ほうれん草に限りませんが、食品を冷凍すると特有の臭いをおびることがあります。
食品を冷凍したときに感じる特有の臭いの原因は、冷凍庫内についてしまっているその他の食材の臭いや冷凍庫内の雑菌の臭いなどです。ほうれん草などの葉物野菜は特に臭い移りしやすいので、冷凍する際は冷凍庫内を清潔に保つのはもちろんのこと、小分けにしてラップに空気を出来るだけ抜きジップロックなどの密閉できる袋に入れるなどの対策をすると良いです。
ほうれん草にはシュウ酸と呼ばれる成分が多く含まれていることで知られています。
シュウ酸は栄養素というよりも老廃物です。無臭ですが、エグみの原因となり、料理の味を損ねるいわゆるアク(灰汁)となる成分です。たけのこや里芋などにも含まれていることで知られています。
シュウ酸は、歯のカルシウムと結合することでシュウ酸カルシウムとなり、歯が微妙にキシむような感触やザラザラとした舌触りとなり苦味を口の中に残します。
青臭さの原因である3-ヘキセノールは揮発性のある成分で、加熱をして蒸発させることで青臭さが軽減されることがわかっています。そのため、しっかりと加熱をすることである程度青臭さを軽減することができます。
特におすすめの料理法は、炒めものにすることです。炒めることで青臭さの原因となる成分が蒸発するだけではなく、オリーブオイルや油、バターなどで炒めることによりほうれん草がコーティングされるため、より青臭さが気になりにくくなります。
泥臭さを強く感じる場合は、よく洗って汚れを落としてから調理をすることで気になりにくくなります。サラダほうれん草の場合は、メーカーによっては「水洗い不要」の記載があることがありますが、特に記載がない場合は一般的なほうれん草と同じく砂や虫がついていて泥臭さを感じる原因になることがあるので、しっかりと洗ってから食べましょう。
ほうれん草は根の部分に最も砂や土がついています。そのため、根に十字の切り込みを入れて洗うことで根についている汚れを綺麗に落とすことができます。また、根は葉と比べて火が通りにくいですが、切り込みを入れておくことで火の通りが早くなるメリットもあります。
ほうれん草の根本と葉はどちらもボウルにためた水につけながら流水で振り洗いすると、汚れを綺麗に落とすことができます。根本の部分は開きながら指を使って汚れを落としましょう。
酸っぱい臭いがする場合やカビの臭いがする場合は、残念ですが腐敗してしまっているので破棄しましょう。
酸っぱい臭いがするほうれん草は、上述したように微生物が増殖してほうれん草本来の味や香りが損なわれている状態です。美味しく食べるのは難しいですし、微生物の中には吐き気や腹痛などの症状を起こす種類もいます。そのため、酸っぱい臭いがするほうれん草は食べない方が安全です。
カビ臭いほうれん草に関しても、カビが生えているのが目視で確認できる場合のみならずカビが生えていないように見えても見えない部分で繁殖している可能性があるので破棄した方が良いです。カビはカビ毒を発生させて腹痛や下痢といった中毒症状を引き起こす可能性があります。カビの菌は加熱をしても死滅しない種類もいますし、カビ毒は加熱をしても残るので加熱をすれば安全に食べられるというわけではありません。
出典:カビとカビ毒についての基礎的な情報(農林水産省)
ほうれん草の苦味やエグみの元になるシュウ酸は、水溶性なので茹でたり水につけるなどのアク抜きをしっかり行うことで取り除くことができます。
しかし、水溶性のシュウ酸を取り除くということは同じく水溶性の栄養素も流出してしまいやすいということです。ほうれん草に含まれている水溶性の栄養素には、ビタミンCやビタミンB1、B2、カリウムなどがあります。これらの栄養素まで一緒に流出してしまっては非常にもったいないですよね。ビタミンCなどの栄養素を最小限に抑えるために、茹でたり水につけてアク抜きをする際は短時間で済ませることや、カットせずに丸ごと行うなどの工夫をすることが大切です。
ちなみに、茹で時間によるビタミンCの残存率は、生鮮ほうれん草を100%とすると、1分で74%、2分で61%、3分で48%となります。
臭い以外にも注意したい腐ったほうれん草の特徴を紹介します。
腐ったほうれん草の見た目の特徴は下記の通りです。
全体的に茶色く変色している
カビが生えている
葉が溶けている
汁が出ている
新鮮なほうれん草は緑色をしていますが、鮮度が落ちてくるとだんだん黄色く変色していき、最終的には茶色く変色していきます。一部が変色してしまっている場合は変色している部分を取り除けば食べることができますが、全体的に茶色い場合は腐敗がかなり進んでいる状態ですので残念ですが破棄しましょう。腐敗しているほうれん草は葉が溶け出していたり、茶色っぽい汁が出ていることもあります。
また、上述したようにほうれん草に白いふわふわとしたホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点があり黒く変色しているように見える場合は黒カビが生えています。葉にカビが生えてしまっている場合も残念ですが破棄しましょう。
腐ったほうれん草の特徴は下記の通りです。
ぬるぬるしている
粘りがある
ハリがない
腐ったほうれん草はぬるぬるしていたり、粘りが出てきます。これは、新鮮なほうれん草には見られない症状ですので、触ったときにぬめりや粘りがある場合は破棄しましょう。
また、新鮮なほうれん草はハリがあります。鮮度が落ちてくると次第に水分が抜けてしなしなになっていきます。水分が抜けているのに加えて変色していたりする場合は、腐敗が進んでしまっている状態なので食べることはできません。
ほうれん草は正しく保存することで、腐敗による酸っぱい臭いやカビ臭を防ぐことができます。購入したほうれん草の鮮度を保ち、少しでも長く美味しく食べられるよう正しく保存することが大切です。
ほうれん草は、温度が高い環境や乾燥に弱い葉物野菜なので、常温保存はNGです。ほうれん草を常温で保存することにより、ビタミンCが1日で60%も減ってしまうことも、、、。すぐに使う場合でも、一度冷蔵庫で保存しておくことをおすすめします。
すぐに食べる場合は冷蔵保存がおすすめです。冷蔵したほうれん草は1週間ほど日持ちしますが、できるだけ早く食べるようにしましょう。
ほうれん草は生のまま冷蔵保存するのがおすすめです。
傷んでいる葉があれば取り除き、水を張ったボウルでしっかり洗います。特に根元部分には土が溜まりやすいので、十字に切り込みを入れ振り洗いをします。爪楊枝や竹串などを使って詰まっている土を取り除くのも◎。
水洗いしたほうれん草の水けを、キッチンペーパーなどを使って取ります。水分が残っていると傷みやすくなるので、しっかりと拭き取るようにしてください。
キッチンペーパーでほうれん草を包み、根元を下にしてポリ袋へ。ポリ袋の口を軽く閉じたら、グラスやペットボトルなどに入れて立てて冷蔵庫へ。ドアポケットに立てるのも◎。横にした状態で保存すると、ストレスがかかってしまい鮮度が落ちやすくなってしまいます。
茹でてから冷蔵保存する方法もありますがあまり日持ちしません。4日を目安に食べるようにしましょう。
ほうれん草を冷蔵保存すると、9日間で70%ものビタミンCが失われてしまうというデメリットも。栄養をキープしたいなら冷凍保存がおすすめです。冷凍保存方法は次に詳しく解説します。
長く保存したいなら冷凍保存がおすすめです。1ヶ月程度日持ちします。
一番手軽に冷凍できる方法は、生のまま丸ごと冷凍する方法です。
ほうれん草を水洗いし、キッチンペーパーでしっかり水けを拭き取ってから冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いて密封し冷凍庫へ。
生のまま冷凍したほうれん草は、沸騰したお湯で30秒ほど茹で流水にさらし、水けを絞ってから調理に使用します。炒め物や和え物、汁物など幅広い料理に使うことができます。
生のままカットして冷凍する方法も。しっかりと水洗いし水けを取ったほうれん草を食べやすい大きさにカットし、冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。小分けにしてラップに包んでから入れるのもOK。
ほうれん草の葉は、冷凍することでボロボロと砕けやすくなるので注意が必要です。解凍時は、ザルの上に冷凍ほうれん草をのせ、上から熱湯をかけ流水にとり、水けを絞って調理に使用します。
生のまま冷凍する方法は手軽な反面、ほうれん草の色が黒っぽくなったり食感が若干悪くなるというデメリットもあります。見た目や食感を活かしたい場合は、多少手間でも茹でてから冷凍するのがおすすめです。次で詳しくご紹介していきます。
茹でてから冷凍すると、鮮やかな緑色をキープすることができ、火が通っているので調理時間が短く済みます。
しっかりと水洗いしたほうれん草を、固めに塩ゆで(水1リットルに対して小さじ1が目安)します。茹ですぎると、解凍後の食感が柔らかくなりすぎてしまうので、さっと茹でる程度でOKです。
茹でたほうれん草を冷水につけ、水けを絞って食べやすい大きさにカットします。小分けにしラップで包み、冷凍用保存袋にまとめて入れ冷凍庫へ。
茹でてから冷凍したほうれん草は、料理に応じて凍ったまま使ったり、自然解凍して使用します。スープや味噌汁などの汁物、炒め物などには凍ったままの状態で入れてOKです。おひたしを作る場合は、前日に冷凍庫に移して自然解凍してから使用しましょう。急いで使用する際は流水解凍を行いましょう。
冷蔵保存や冷凍保存の他にも天日干しやオーブン、レンジなどで加熱して水分を飛ばして乾燥させて保存する方法もあります。乾燥させることで約1ヶ月保存が可能です。常温や冷蔵と比較して保存期間が伸びるだけではなく、栄養価が高まる、甘みが増す、かさが減るのでたくさん食べられる(その分栄養が取れる)などのメリットがあります。
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