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ほうれん草の茹で汁は体に悪い!掃除に使えるって知ってましたか?

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ほうれん草の茹で汁は体に悪い!掃除に使えるって知ってましたか?

ほうれん草はシュウ酸と呼ばれる苦味やエグみを感じさせる成分が含まれるため、調理をするときは基本的にアク抜きをします。ほうれん草を茹でてアク抜きをしたときの茹で汁を再利用できないかな?と考えたことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではほうれん草の茹で汁について詳しく解説します。

ほうれん草の茹で汁は再利用できる?

シュウ酸を多く含むので不可

ほうれん草の茹で汁にはシュウ酸が多く含まれているため、そのまま他の食材を茹でるなどの再利用はできません。パスタやゆで卵などはもちろん離乳食などで使うのも避けましょう。

シュウ酸は栄養素というよりも老廃物で、えぐみや苦味を感じさせ料理の味を損ねるいわゆるアク(灰汁)となる成分です。たけのこや里芋などにも含まれていることで知られています。シュウ酸は水溶性であるため茹で汁にはシュウ酸が溶け出している状態です。

シュウ酸のデメリットは苦味やエグミを感じさせて料理の味を損ねるだけではありません。シュウ酸は大量に摂取すると体内のカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムとなり、結石の原因や歯にこびりついて歯石になったりします。

ほうれん草を汁ごと食べるときは下茹でしてから

味噌汁やスープに入れるときも、予めほうれん草を下茹でしシュウ酸を取り除いてから加えましょう。

ほうれん草を下茹でせずに加えてしまうと苦味やエグみを感じるだけではなく、シュウ酸をそのまま摂取することになってしまいます。近年では品種改良によりシュウ酸の含有量が少ないほうれん草も多くなっていますが、シュウ酸は体に良い成分ではありませんのでひと手間かかりますが下茹でしてから加えたほうが良いです。

東洋種の方がアクが弱い

ほうれん草には大別して東洋種と西洋種、交雑種の3種類あります。

東洋種の見た目は葉先がとんがって深い切れ込みがあり葉肉が薄いです。シュウ酸の含有量が少ないため苦味やエグみを感じにくいという特徴があります。アク抜きをせずにビタミンなどの栄養素もしっかりと摂取したいという方は東洋種を選ぶと良いでしょう。東洋種は日照時間が長いと花茎が伸びて(とう立ち)食用に適する時期をすぎてしまうのが早くなってしまうため、春撒きには適さず秋〜冬に栽培されます。

西洋種の見た目は葉が大きく丸みがあり葉肉が厚いです。シュウ酸の含有量が多いため苦味やエグミを感じやすく調理をするときはアク抜きが必要です。東洋種とは反対に、春播きして晩春〜初夏にかけて収穫されます。

交雑種は一代雑種と呼ばれ、東洋種と西洋種の間です。現在市場でよく出回っているほうれん草の多くは交雑種で、葉の形が東洋種に近いものと、西洋種に近いものがあります。基本的にはアクが強いのでアク抜きが必要になりますが、近年は品種改良によりアクがそれほど強くないものも増えてきています。

ほうれん草の茹で汁は掃除で使える!

実はシュウ酸には、汚れから酸素を奪うことで色素を分解する還元漂白作用があり、シュウ酸が溶け出しているほうれん草の茹で汁は掃除をするときなどに利用することができます。

シミ抜き

シュウ酸はクリーニング店などでもシミ抜きに使われている成分で、シュウ酸が含まれているほうれん草の茹で汁を使えば洋服やカーペットなどに付いてしまったシミ汚れを落とすことができます。

ただし、効果があるのは醤油やコーヒー、果汁といった水溶性のシミのみです。チョコレートや口紅といった油溶性のシミや泥やサビなどの不溶性のシミ、マヨネーズやドレッシングなどの混合性のシミは落とすことができないので注意してください。クリーニング店などで使われているシュウ酸は強力なので不溶性などのシミも落とすことができますが、ほうれん草の茹で汁はそこまで強力ではありません。

シミ抜きをするときは、まずほうれん草のゆで汁をしみ付いた場所に染み込ませます。汚れが浮き上がってきたらタオルやキッチンペーパーなどで吸いとります。この作業を数回繰り返すとだんだんとしみが薄くなります。

床や窓の拭き掃除

シュウ酸にはワックスの効果もあり、ほうれん草の茹で汁を使って床や窓の拭き掃除をするとツヤツヤになります。

床や窓の拭き掃除をするときはそのままタオルなどに茹で汁を含ませても良いですし、スプレーボトルに入れて吹きかけてから拭いても良いです。

薬剤を使って拭き掃除をすると手荒れをしてしまうという方でも、安心して拭き掃除を行うことができます。食材を茹で汁を使って床や窓を拭いてベタベタにならないか心配になる方も多いと思いますが、ベタベタになることはありません。

排水溝のヌメリとり

シュウ酸を含むほうれん草の茹で汁は、台所周りの掃除にも役立ちます。

ほうれん草を下茹でするときは、茹でたあと熱いうちに火傷をしないよう排水溝に流し、歯ブラシなどでこするとヌメリや黒ずみを綺麗に落とすことができます。下茹でをするついでにさっと排水溝の汚れを落とせば一石二鳥ですね。

木製品の漂白

ほうれん草の茹で汁を使って、木製のまな板などの漂白をすることもできます。

まな板は使った後に洗っていても、包丁で切るときについてしまった傷の間にどうしても汚れが入り込んでしまい黒ずんできてしまいますよね。そんなときは、ほうれん草の茹で汁をスポンジなどに含ませてこすると、シュウ酸が汚れを綺麗に落としてくれます。

ほうれん草の正しいアク抜き方法

ほうれん草はシュウ酸を取り除くためアク抜きをしてから調理をしたほうが良いということはおわかりいただけたかと思いますが、ほうれん草の正しいアク抜き方法をご存知でしょうか。ここではほうれん草の正しいアク抜き方法を紹介します。

茹でる

ほうれん草を茹でる

まず、ほうれん草の汚れを落とします。汚れを落としたら鍋にたっぷりの湯を沸かして塩を加えます。塩の量の目安はお湯1リットルにつき小さじ1です。

塩を入れる理由は、変色を防ぐためです。ほうれん草の鮮やかな緑色は「クロロフィル」と呼ばれる色素によるものです。クロロフィルは熱に弱い成分であるため、茹でることで変色してしまうことがありますが、塩を加えることで色素が安定するため変色を防ぐことができます。

お湯が沸いたら、数株手にとり葉の部分をもって茎の部分を鍋にいれそのまま30秒ほど茹でます。いっぺんにたくさんの量を入れてしまうとお湯の温度が下がり、再沸騰するまでに時間がかかるのでムラができてしまうことがあります。あまりいっぺんにたくさんの量を茹ですぎないようにしましょう。

茎を30秒ほど茹でたら、全体をお湯に入れて葉にも火を通していきます。茹で時間の目安は20秒〜30秒ほどで、葉が鮮やかな緑色になったらOKです。上述したように、長く茹ですぎてしまうとビタミン類などの水溶性の栄養素も流出してしまうため注意しましょう。

ほうれん草を茹でたら、ザルなどにあげてお湯を捨て冷水にさらします。冷水にさらすことでさらにしっかりとシュウ酸を落とすことができますし、変色を防ぎきれいな色を保つことができます。

冷水にさらしたら、ほうれん草の根本を上にしても持ち、上から下へ握る位置をずらしながら水気を絞りましょう。食べやすい大きさ(4cm〜5cm)に切ってからさらに水気を絞ると、調味料が馴染みやすくなります。

水に浸ける

ほうれん草の根元を水に浸ける

下茹でせずに、簡単に水につけるだけの方法もあります。炒めものにするときなど食感を残したい場合は、こちらの方法がおすすめです。

上述したようにシュウ酸は水溶性なので水につけるだけでもある程度シュウ酸を取り除くことができます。近年販売されているほうれん草は、アクが弱いものも多いので水につけるだけでも苦味やエグみを感じにくくなります。

水につけてアク抜きする場合は、一本ずつバラバラにしてから下半分を約10分程度水につけておくと良いです。水につける時間が長いと水溶性の栄養素も流出してしまいやすいので長時間つけすぎないようにしましょう。

茹でるのと比較してしっかりと取り除けるというわけではありません。そのためカットすることで水に触れる面積を広げ、シュウ酸が溶け出しやすくなるようにするという方法もあります。ただし、カットしてしまうと切り口からビタミンCなどの水溶性の栄養素も溶け出してしまうというデメリットがあります。バラバラにして水につけるのが良いでしょう。

レンジで加熱

ほうれん草をラップで包む

近年販売されているほうれん草は、アクが弱いものが多いためレンジを使ってアク抜きをしても苦味やえぐみを感じにくくなります。茹でたり水にさらすよりも水溶性の栄養素を残すことができるため、栄養価を下げたくない方や食感を残したい方はレンジを使うと良いでしょう。

レンジを使う場合は、ほうれん草を綺麗に洗ったら、根本を揃えて丸ごとラップに包んでレンジに入れ加熱します。加熱時間はレンジのワット数にもよりますが600Wのレンジの場合、3分程です。

ラップに包む量は200gほどに抑えると良いです。あまり量が多いと加熱ムラができてしまうので注意しましょう。

ほうれん草を加熱したら菜箸やトングを使って取り出し、ラップに包んだままの状態で冷水にさらします。ある程度粗熱がとれたら、ラップを外してさらに冷水にさらします。冷水にさらすことで、ある程度シュウ酸を落とすことができます。長い時間水につけてしまうと水溶性の栄養素も流出してしまうので注意してください。