ほうれん草の根本が赤いとカビが生えているのではと心配になる方が多いようですが、根本が赤くなるのはカビや腐敗が原因ではありません。本記事ではほうれん草の根本が赤い理由などを詳しく解説します。
ほうれん草の根本が赤くなるのは、ベタシアニンと呼ばれるピンク色の色素になる成分が含まれているためです。ベタシアニンはポリフェノールの一種です。
ポリフェノールとは、植物の渋みや苦味の成分となる化合物の総称で、構造の違いによって多くの種類があります。ほうれん草の根元に含まれているベタシアニンは赤色〜紫色の色素をもつため赤く見えます。
上述したようにポリフェノールの含有量によるものであるため、「新鮮でないと赤くなる」ということでも「赤い部分があるから新鮮」というわけでもありません。
基本的に寒い季節に栽培されたほうれん草は、凍結してしまわないよう糖分などの栄養素を蓄えるため根本の赤みが増します。そのため、赤みが強いほうれん草は甘味が強いといわれています。
ほうれん草には大別して東洋種と西洋種の2種類あります。
東洋種の見た目は葉先がとんがって深い切れ込みがあり葉肉が薄く根本が赤いのが特徴で、一方の西洋種の見た目は葉が大きく丸みがあり葉肉が厚く根本の赤みは東洋種と比較して薄いのが特徴です。
近年では根本が赤い東洋種はほとんど出回っていません。近年市場に出回っているのは東洋種と西洋種の間の一代雑種です。そのため一般的にスーパーで販売されているほうれん草は根本がそれほど赤くないものが多いです。
上述したようにほうれん草の赤みは新鮮さとは関係がないので、葉にハリがあるなどその他の新鮮なサインをチェックして購入するようにしましょう。
茎全体が赤い「赤軸ほうれん草」とよばれる品種もあります。葉自体は一般的なほうれん草と同じく緑色をしていますが、柄の部分から葉脈までが赤いのが大きな特徴です。
赤軸ほうれん草は一般的に販売されているほうれん草よりもシュウ酸の含有量が少ないためアク抜きをしなくても食べることができます。
シュウ酸は栄養素というよりも老廃物で、えぐみや苦味を感じさせ料理の味を損ねるいわゆるアク(灰汁)となる成分です。たけのこや里芋などにも含まれていることで知られています。シュウ酸のデメリットは苦味やエグミを感じさせて料理の味を損ねるだけではありません。シュウ酸は大量に摂取することで結石を作る原因になるといわれています。シュウ酸は水溶性であるため一般的なほうれん草は茹でこぼしや水に浸すといった方法でアク抜きをして食べます。
赤軸ほうれん草の場合は、シュウ酸の含有量が少ないためアク抜きをしなくても苦味やエグみを感じにくいですし、アク抜きをすることでビタミンCなどの栄養素も流出してしまい栄養価が下がってしまうためそのまま食べるか軽く水にさらして食べるのがおすすめです。
ほうれん草の根本が赤いとカビが生えたのではないか、毒素が含まれているのではないかといったことから切り落としてしまう方も多くいますが、上述したように根本が赤いのはポリフェノールによるものなので食べても問題ありません。
また、ほうれん草の根本にはポリフェノール以外にも、マンガンなどのミネラル類が豊富です。さらに鉄分も葉と比較して根の方が多く含まれているといわれており、甘味も強いため切り落として調理してしまうにはもったいないです。
根本も調理をして食べるようにしましょう。
ほうれん草の根は食べることができますが、土や砂、残留農薬などがついていることが多いため調理をする際は綺麗に洗って汚れを落とすことが大切です。
ほうれん草を洗う際は、まず根本に十字の切り込みを入れるのがポイントです。根に十字の切り込みを入れて洗うことで根についている汚れを綺麗に落とすことができます。また、根は葉と比べて火が通りにくいですが、切り込みを入れておくことで火の通りが早くなるメリットもあります。
根に切り込みを入れたら、ボウルに水をためてほうれん草を洗っていきます。根本の汚れは落としにくいため、水に浸けながら根本を開いて間に入り込んでいる土や砂を綺麗に落としましょう。
ちなみに葉や茎は、茎と葉を流水でふり洗いをします。
上述したようにほうれん草に苦味やエグみを感じさせるシュウ酸が含まれています。それは葉も根も同じで根本に特別シュウ酸が多いというわけではありません。
葉と根本がどちらもシュウ酸が含まれているため、調理をする際はアク抜きをしてから食べるようにしましょう。
根元が赤いほうれん草は食べて問題ありませんが、次に紹介する特徴をもつほうれん草は食べずに破棄するようにしましょう。
腐ったほうれん草の見た目の特徴は下記の通りです。
全体的に茶色く変色している
カビが生えている
葉が溶けている
汁が出ている
新鮮なほうれん草は緑色をしていますが、鮮度が落ちてくるとだんだん黄色く変色していき、最終的には茶色く変色していきます。一部が変色してしまっている場合は変色している部分を取り除けば食べることができますが、全体的に茶色い場合は腐敗がかなり進んでいる状態ですので残念ですが破棄しましょう。腐敗しているほうれん草は葉が溶け出していたり、茶色っぽい汁が出ていることもあります。
また、ほうれん草に白いふわふわとしたホコリのようなものがついているときは白カビが生えています。白カビなどのカビの菌はカビ毒を起こし吐き気や腹痛などの中毒症状を起こすことがあるので、葉にカビが生えてしまっている場合も残念ですが破棄しましょう、
腐ったほうれん草の匂いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
カビ臭い
舌がしびれるほどの苦味
ほうれん草は野菜特有の青臭さはあるものの、そこまで匂いのきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いやカビ臭さを感じる場合は注意しましょう。
ほうれん草に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。腐敗が進むと生ゴミのような臭いがすることもあります。あきらかに異臭がすると感じる場合は破棄しましょう。
カビが生えていないのにも関わらずカビ臭い場合は、カビの胞子が入り込み生育している可能性が高いため心配な方は破棄するのが無難です。
また、ほうれん草にはシュウ酸と呼ばれる苦味やえぐみを感じさせる成分が含まれていますが、そこまで苦味やえぐみを感じる野菜ではありません。食べた時に舌がしびれるほどの苦味を感じる場合は腐敗している可能性が高いので、飲み込まずに破棄したほうが良いです。
腐ったほうれん草の特徴は下記の通りです。
ぬるぬるしている
粘りがある
ハリがない
腐ったほうれん草はぬるぬるしていたり、粘りが出てきます。これは、新鮮なほうれん草には見られない症状ですので、触ったときにぬめりや粘りがある場合は破棄しましょう。
また、新鮮なほうれん草はハリがあります。鮮度が落ちてくると次第に水分が抜けてしなしなになっていきます。水分が抜けているのに加えて変色していたりする場合は、腐敗が進んでしまっている状態なので食べることはできません。
ほうれん草は、温度が高い環境や乾燥に弱い葉物野菜なので、常温保存はNGです。ほうれん草を常温で保存することにより、ビタミンCが1日で60%も減ってしまうことも、、、。すぐに使う場合でも、一度冷蔵庫で保存しておくことをおすすめします。
すぐに食べる場合は冷蔵保存がおすすめです。冷蔵したほうれん草は1週間ほど日持ちしますが、できるだけ早く食べるようにしましょう。
ほうれん草は生のまま冷蔵保存するのがおすすめです。
傷んでいる葉があれば取り除き、水を張ったボウルでしっかり洗います。特に根元部分には土が溜まりやすいので、十字に切り込みを入れ振り洗いをします。爪楊枝や竹串などを使って詰まっている土を取り除くのも◎。
水洗いしたほうれん草の水けを、キッチンペーパーなどを使って取ります。水分が残っていると傷みやすくなるので、しっかりと拭き取るようにしてください。
キッチンペーパーでほうれん草を包み、根元を下にしてポリ袋へ。ポリ袋の口を軽く閉じたら、グラスやペットボトルなどに入れて立てて冷蔵庫へ。ドアポケットに立てるのも◎。横にした状態で保存すると、ストレスがかかってしまい鮮度が落ちやすくなってしまいます。
茹でてから冷蔵保存する方法もありますがあまり日持ちしません。4日を目安に食べるようにしましょう。
ほうれん草を冷蔵保存すると、9日間で70%ものビタミンCが失われてしまうというデメリットも。栄養をキープしたいなら冷凍保存がおすすめです。冷凍保存方法は次に詳しく解説します。
長く保存したいなら冷凍保存がおすすめです。1ヶ月程度日持ちします。
一番手軽に冷凍できる方法は、生のまま丸ごと冷凍する方法です。
ほうれん草を水洗いし、キッチンペーパーでしっかり水けを拭き取ってから冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いて密封し冷凍庫へ。
生のまま冷凍したほうれん草は、沸騰したお湯で30秒ほど茹で流水にさらし、水けを絞ってから調理に使用します。炒め物や和え物、汁物など幅広い料理に使うことができます。
生のままカットして冷凍する方法も。しっかりと水洗いし水けを取ったほうれん草を食べやすい大きさにカットし、冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。小分けにしてラップに包んでから入れるのもOK。
ほうれん草の葉は、冷凍することでボロボロと砕けやすくなるので注意が必要です。解凍時は、ザルの上に冷凍ほうれん草をのせ、上から熱湯をかけ流水にとり、水けを絞って調理に使用します。
生のまま冷凍する方法は手軽な反面、ほうれん草の色が黒っぽくなったり食感が若干悪くなるというデメリットもあります。見た目や食感を活かしたい場合は、多少手間でも茹でてから冷凍するのがおすすめです。次で詳しくご紹介していきます。
茹でてから冷凍すると、鮮やかな緑色をキープすることができ、火が通っているので調理時間が短く済みます。
しっかりと水洗いしたほうれん草を、かために塩ゆで(水1リットルに対して小さじ1が目安)します。茹ですぎると、解凍後の食感がやわらかくなりすぎてしまうので、さっと茹でる程度でOKです。
茹でたほうれん草を冷水につけ、水けを絞って食べやすい大きさにカットします。小分けにしラップで包み、冷凍用保存袋にまとめて入れ冷凍庫へ。
茹でてから冷凍したほうれん草は、料理に応じて凍ったまま使ったり、自然解凍して使用します。スープや味噌汁などの汁物、炒め物などには凍ったままの状態で入れてOKです。おひたしを作る場合は、前日に冷凍庫に移して自然解凍してから使用しましょう。急いで使用する際は流水解凍を行いましょう。
冷蔵保存や冷凍保存の他にも天日干しやオーブン、レンジなどで加熱して水分を飛ばして乾燥させて保存する方法もあります。乾燥させることで約1ヶ月保存が可能です。常温や冷蔵と比較して保存期間がノビルだけではなく、栄養価が高まる、甘みが増す、かさが減るのでたくさん食べられる(その分栄養が取れる)などのメリットがあります。
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