里芋を調理する際には水にさらすことがよくありますよね。なぜ水にさらすのかご存知でしょうか。本記事では里芋を水にさらす理由や水にさらす方法などを解説します。
里芋にはじゃがいもやさつまいもにはないぬめりがあるのが特徴ですが、水にさらすことでぬめりを軽減することができます。
ぬめりを軽減することで、芋らしいホクホクとした食感が際立つようになるというメリットがあります。また、ぬめりをとったほうが火の通りが早くなりますし、煮物にするときは味も染み込みやすくなります。さらに、ぬめりによる吹きこぼれを防いだり煮汁が濁るのを防ぎ、料理の出来を良くすることができます。
里芋にはシュウ酸やホモゲンチジン酸などのアク(灰汁)となる成分が含まれています。アクとは、一般的に苦味やえぐみ、渋みなど味を損ねる成分の総称です。里芋を水にさらすことで苦味やえぐみを抑え料理の味が損なわれるのを防ぐことができます。
シュウ酸は栄養素というよりも老廃物で、ほうれん草やたけのこなどにも含まれています。苦味やえぐみを感じさせるだけではなく、結石を作る原因となったりカルシウムの吸収を阻害するといわれています。
シュウ酸やホモゲンチジン酸は水溶性の成分なので、水にさらすことである程度落とすことができます。
皮をむく前の里芋を水にさらすと、泥汚れをふやかすことができるためしっかりと落とすことができ、泥臭さを軽減することができます。
普段私達が食べている部分は、里芋の「塊茎」(茎の地下部)です。土の中で成長したものを掘り出して出荷しています。また、里芋は乾燥に弱いため、乾燥させないためにあえて洗わずに土がついた状態で出荷されたり、土がついたまま保管されることもあり、土臭さや泥臭さを感じやすいです。しっかりと泥汚れを落としてから皮をむかないと食べたときに泥臭さを感じてしまいます。
ただし、カビ臭さや腐敗した酸っぱい匂いは水にさらしてもとることができません。黒カビや白カビが表面に生えてしまっている場合はしっかりと取り除き、中までカビが侵食しているようであれば破棄してください。酸っぱい匂いがする場合は、腐敗している可能性が高いので残念ですが破棄しましょう。
里芋は皮をむいたりカットすると、空気にふれることで酸化がすすみ変色していってしまいます。水にさらして空気にふれないようにすることで、変色してしまうのをある程度防ぐことができます。
里芋にはアントシアニン(アントシアン)とよばれる成分が含まれています。アントシアニンはポリフェノールの一種で、主に植物の葉や花、果実などに含まれている成分で、元々紫色をしています。抗酸化作用があるといわれていて、人体に害がある成分ではありませんが、空気にふれて酸化すると赤→茶色→黒と変色してしまいます。酸化による変色を防ぐことで料理の見た目が損なわれてしまうのを防ぐことができます。
里芋のぬめりは「ガラクタン」などの成分によるものです。ガラクタンには免疫力向上作用が期待できます。また、里芋にはガラクタンの他にもビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養成分が含まれています。
そのため、里芋を水にさらすことで水溶性の成分が流出してしまうというデメリットがあります。
里芋を煮物にする場合など、里芋特有のぬめりでトロっとした食感に仕上がるのが好みという方も多いかと思います。水にさらすことで、ぬめりが取れるのでトロっとした食感が好みの方にとっては食感を損ねてしまうことになります。
まず、流水で里芋の表面についた泥汚れを綺麗に落とします。上述したように泥汚れがこびりついていて落としにくい場合は、皮がついた状態の里芋をボウルに入れてかぶるぐらいの水を入れ、しばらく置いておくと泥汚れがふやけて落としやすくなります。
泥汚れを落としたら水けをとります。里芋はぬれることでぬめりが出やすくなり、痒みを感じやすくなります。里芋のぬめり自体には痒みを感じさせる成分は含まれていませんが、ぬめりにシュウ酸が合わさることで痒みを感じさせます。シュウ酸は水に溶けるカリウム塩やナトリウム塩の形で液胞という袋の中に閉じこめられていますが、植物によってはシュウ酸カルシウムの結晶となって液胞の中に含まれています。里芋にはシュウ酸カルシウムが針状結晶となっています。里芋で手がかゆくなるのはシュウ酸カルシウムの結晶が肌を刺激するためだといわれています。
里芋が濡れたままだと痒みを感じやすいので、里芋の皮をむいたりカットする際は水気をしっかりとってから行ったほうが良いです。
里芋の表面を洗い、水気をとったら皮をむいていきます。シュウ酸カルシウムは里芋の皮下、5ミリあたりに多く含まれているといわれているので皮は厚めにむいておくと良いです。
包丁を使って皮をむく場合は、里芋の頭とお尻を切り落とします。頭とお尻を切り落としておくことで、皮がむきやすくなります。
里芋の頭とおしりを切り落としたら、里芋を横向きにもちます。包丁を寝かせた状態で里芋に刃を入れて、包丁を押すようにして皮をむいていきます。里芋を横向きに持って頭からお尻に向かって包丁を動かしていくことで、繊維にそってむくことができるので、力を入れなくても皮を剥くことができます。
ピーラーを使ってむいても良いです。ピーラーを使う場合は頭とお尻を切り落としたら、里芋を縦にもち、縦方向にピーラーを動かして皮をむいていきます。
皮をむいたら、ボウルに入れて里芋がかぶるくらいの水を入れて、置いておきます。しばらくするとぬめりが出て水が濁ってくるので、濁ってきたら水を取り替えて再びさらして置きます。2〜3回水を取り替えたら完了です。
水にさらしておくことでぬめりや水溶性のシュウ酸などのアクの原因物質をある程度取り除くことができます。ただし、上述したようにカリウムなどの栄養素も流出してしまうため長時間水にさらしてしまわないように注意しましょう。
里芋を水にさらすことでアクやぬめりをある程度とることができますが、皮を剥いた状態で塩もみをしたり茹でこぼすと、さらにしっかりと里芋のぬめりをとることができます。
里芋のぬめりは、里芋に塩をもみこむことで取ることができます。里芋のぬめりは糖とタンパク質の結合したものです。食塩で糖タンパクはある程度凝固し、ぬめりがなくなります。
簡単な方法はこちらです。
まず里芋を洗い泥汚れを落とし、皮をむきます。皮をむいたらボウルに入れて塩を加えて揉み込みます。塩の量は里芋の5つに対して塩大さじ1〜2程度です。塩を揉み込んだらぬめりが出てくるので、水で洗い流します。
塩でもむ方法は芋がしまって味が入りにくくなるというデメリットがありますが、お味噌汁や煮っころがしなどに使う場合は、こちらの方法がおすすめです。
茹でこぼしてぬめりを取るときは、鍋に皮を剥いた里芋を入れてかぶるぐらいの水を入れたら、里芋に竹串などがスッと通るようになるまで茹でます。大きさや個数にもよりますが、だいたい15分程です。様子をみながら調節してください。茹でたら、ザルなどにあげてお湯を捨てます。
1%の食塩水で下茹ですれば、さらにしっかりぬめりが取れます。しかし、食塩を入れすぎると味付けしにくくなるので注意しましょう。
酢水で茹でる方法もあります。お酢を入れることによって、里芋のぬめり成分である糖たんぱく質が沈殿するため、ぬめりをしっかりと取ることができます。分量は2Lのお湯に対してお酢大さじ2程です。酢水を使う場合はだいたい4〜5分里芋を湯がいたあと、水にさらします。
ちなみに、糖タンパクは起泡性があるので、煮るときに泡がたちます。吹きこぼれてしまいそうであればお玉などで出てきた泡を取るようにしましょう。
下茹では水に溶けにくいシュウ酸カルシウムも落とすことができるため、塩もみより面倒ですが、こちらの方法がおすすめです。塩もみ→水さらし→下茹での順ですべて行うことでよりしっかりとぬめりを取ることができます。煮物など煮汁が濁るのを防ぎたい場合はしっかりとぬめりをとっておくのが良いでしょう。上述したように塩もみをすると里芋がしまって味が入りにくくなりますが、煮崩れしにくくなるというメリットもあります。
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