里芋といえばぬめりがあるのが特徴ですよね。調理をする際はぬめりを取ってから使うことが多いですが、なぜぬめりを取るのかご存知でしょうか。本記事では里芋のぬめりを取るメリットやぬめりを取る方法などを詳しく解説します。
里芋にはじゃがいもなどのイモ類とは異なる強いぬめりがあるのが特徴です。調理をする際は下処理としてぬめりを取ることが推奨されています。
里芋を調理する際ににぬめりを取るメリットとしては、まずぬめりを取ることで味が染み込みやすくなることが挙げられます。
里芋のぬめりは、調味料の浸透を妨げます。そのため、ぬめりがあると味が染み込むまでに時間がかかってしまい、味が染み込むまでに煮崩れしてしまうこともあります。
里芋の粘度(ねっとり感)はぬめりと同じもので、ぬめりが多いと熱が伝わりづらく火が通るのに時間がかかってしまいます。そのため、ぬめりをとっておくことで早く火が通り、ホクホクとした食感に仕上げることができます。
里芋のぬめりを取らずに茹でると、ぬめりによってお湯が吹きこぼれてしまいやすいです。
ぬめりによって吹きこぼれやすくなるのは、ぬめりが湯面に膜を張り、加熱することで膜の下にたまった気泡が蒸発できずにたまり、湯面を押し上げてしまうためです。特に煮物にする場合は吹きこぼれてしまうと煮汁が減ってしまいますし、コンロの故障にも繋がります。
里芋のぬめりをとって茹でることで、吹きこぼれを防止することができるだけではなく煮汁が濁らないというメリットもあります。料理の見た目をよくするためにもぬめりはとっておいた方が良いでしょう。
里芋の調理をする際に手が痒くなった経験がある方は多いのではないでしょうか。手が痒くなる原因となっているのが里芋のぬめりです。上述した3つは料理の出来をよくするメリットですが、皮を剥く前にぬめり取りを実施することで手が痒くなるのを防ぐことができます。
里芋のぬめりのもとである粘物質はガラクタン(ガラクトースの重合体)が主体です。これ自体に痒み成分は含まれていません。このぬめりに、シュウ酸が混ざることで、痒みの原因になります。
シュウ酸とはいわゆる「アク」と呼ばれる成分で、栄養素というよりも老廃物です。シュウ酸はほうれん草やたけのこなどにも含まれています。ほうれん草などの場合、シュウ酸は水に溶けるカリウム塩やナトリウム塩の形で液胞という袋の中に閉じ込められていますが、植物によってはシュウ酸カルシウムの結晶となって液胞の中に含まれています。里芋にはシュウ酸カルシウムが針状結晶となっています。里芋の皮を剥くと手がかゆくなるのはシュウ酸カルシウムの結晶が肌に刺さるためであると言われています。
ぬめりの主成分はガラクタンです。ガラクタンには免疫力向上作用があるとされます。
ぬめりを取ることで、これらの機能性成分を失うことになってしまいます。また、後述するぬめり取りでは、里芋自体に比較的豊富に含まれる水溶性成分であるカリウムなども流出してしまいます。
ぬめりを取らずに調理をした方が料理がとろとろになって好きという方もいますが、ぬめりに含まれているシュウ酸は結石を作る原因となったりカルシウムの吸収を阻害すると言われています。また苦味やエグみも強いです。そのため、ぬめりにシュウ酸が含まれている以上、ぬめり取りは基本的に実施すべしということになります。
皮を剥いたあとにぬめりをとる方法を解説します。目的は、調理の出来をよくすることで、具体的には煮物を作るときなどに行われることが多いです。
里芋のぬめりは、里芋に塩をもみこむことで取ることができます。里芋のぬめりは糖とタンパク質の結合したものです。食塩で糖タンパクはある程度凝固し、ぬめりがなくなります。
簡単な方法はこちらです。
まず里芋を洗い泥汚れを落とし、皮を剥きます。皮を剥いたらボウルに入れて塩を加えて揉み込みます。塩の量は里芋の5つに対して塩大さじ1〜2程度です。塩を揉み込んだらぬめりが出てくるので、水で洗い流します。
塩でもむ方法は芋がしまって味が入りにくくなりますが、お味噌汁や煮っころがしなどに使う場合は、こちらの方法がおすすめです。
里芋のぬめりは、水に濡れると出てきます。そのため、水にさらしておくことでもぬめりをある程度落とすことができます。
水にさらす場合は、泥汚れを落とし皮を剥いた里芋をボウルに入れて里芋がかぶるぐらいの水を入れます。しばらく置いておくとぬめりが出て水が濁ってくるので、濁ってきたら水を取り替えて再びさらして置きます。2〜3回水を取り替えたら完了です。
水にさらしておくことで水溶性のシュウ酸などのアクの原因物質をある程度取り除くことができます。ただし、上述したようにカリウムなどの栄養素も流出してしまうため長時間水にさらしてしまわないように注意しましょう。
下茹でする方法もあります。
下茹でをしてぬめりを取るときは、鍋に皮を剥いた里芋を入れてかぶるぐらいの水を入れたら、里芋に竹串などがスッと通るようになるまで茹でます。大きさや個数にもよりますが、だいたい15分程です。様子を見ながら調節してください。
1%の食塩水で下茹ですれば、さらにしっかりぬめりが取れます。しかし、食塩を入れすぎると味付けしにくくなるので注意しましょう。
酢水で茹でる方法もあります。お酢を入れることによって、里芋のぬめり成分である糖たんぱく質が沈殿するため、ぬめりをしっかりと取ることができます。分量は2Lのお湯に対してお酢大さじ2程です。酢水を使う場合はだいたい4〜5分里芋を湯がいたあと、水にさらします。
ちなみに、糖タンパクは起泡性があるので、煮るときに泡が立ちます。吹きこぼれてしまいそうであればお玉などで出てきた泡を取るようにしましょう。
下茹ではアク抜きにもなるので、塩もみより面倒ですが、こちらの方法がおすすめです。塩もみ→水さらし→下茹での順ですべて行うことでよりしっかりとぬめりを取ることができます。煮物など煮汁が濁るのを防ぎたい場合はしっかりとぬめりをとっておくのが良いでしょう。上述したように塩もみをすると里芋がしまって味が入りにくくなりますが、煮崩れしにくくなるというメリットがあります。
出典:里芋の調理に関する研究(J-Stage)
里芋のぬめりはぬるぬるして包丁を入れにくくなったり、上述したようにシュウ酸カルシウムによる刺激で手が痒くなったり、調理がしにくくなる原因にもなります。
上述したように里芋は水に濡れることでぬめりが強くなります。そのため、乾いた状態で皮を剥いた方が手が痒くなったりぬめりが出て包丁が入れにくくなるのを防ぐことができます。
里芋を洗う前に皮を剥くというのも一つの手ですが、里芋の皮には泥汚れがついており、汚れを落とさずに皮を剥くと里芋料理が土臭くなってしまう原因となります。そのため、皮を剥く前に泥汚れをきちんと落とし、洗い終わったらしっかりと水けをきっておくようにしましょう。
時間がある場合はしばらく置いて乾燥させておくとよりよいです。
里芋は包丁を使わずとも電子レンジを使えば、手で簡単に皮剥きができます。
レンジを使う場合は、里芋の皮に浅めの切り込みを一周入れ、耐熱皿に並べます。水を一回しかけ、ふんわりとラップをします。里芋5個で電子レンジ(600W)4〜5分を目安に加熱します。火が通ったらキッチンペーパーなどに持ち、手で皮を剥きます。シュウ酸カルシウムは熱に弱いため、加熱することで手がかゆくなることもなく、簡単に皮を剥くことができます。
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