里芋を調理する際に手が痒くなってしまったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事では里芋で手が痒くなる理由や、手が痒くなってしまったときの対処法、手が痒くならない里芋の下処理などを詳しく解説します。
里芋の皮をむいたりカットする際に手が痒くなった経験がある方は多いのではないでしょうか。里芋で手が痒くなる理由は、里芋に含まれている「シュウ酸」が原因です。
シュウ酸とはいわゆる「アク」とよばれる成分の一つで、栄養素というよりも老廃物です。シュウ酸はほうれん草やたけのこなどにも含まれています。ほうれん草などの場合、シュウ酸は水に溶けるカリウム塩やナトリウム塩の形で液胞という袋の中に閉じこめられていますが、植物によってはシュウ酸カルシウムの結晶となって液胞の中に含まれています。里芋はシュウ酸カルシウムが針状結晶となって含まれています。里芋で手がかゆくなるのはシュウ酸カルシウムの結晶が肌を刺激するためだといわれています。
長芋やキウイにもシュウ酸カルシウムが針状結晶となって含まれているため、かゆみを感じたり喉に刺さるように痛みを感じることがあります。
里芋には里芋特有のぬめりがあり、ぬめりが出ている状態で触ると痒くなりますが、厳密にはぬめり自体に痒くなる成分が含まれているのではなく、ぬめり成分にシュウ酸が混ざることで、痒みの原因になります。
ちなみに里芋のぬめりは「ガラクタン」などの成分によるものです。ガラクタンには免疫力向上作用が期待できます。ぬめり成分は体に良いものですが、シュウ酸カルシウムは痒みの原因となるだけではなく、結石を作る原因となったりカルシウムの吸収を阻害するといわれています。また苦味やエグみも強いです。そのため、ぬめりにシュウ酸が含まれている以上、ぬめり取りは基本的に実施すべしということになります。
里芋を触って手が痒くなってしまった場合は、掻きむしってしまうとさらに刺激を与えることにより痒みが悪化してしまいます。そのため、手が痒くなってしまったら掻きむしってしまう前に対処をすることが大切です。
里芋を触って手が痒くなってしまった場合は、単に水だけやハンドソープで洗うよりも、塩で洗うのが効果的です。
シュウ酸カルシウムは塩で融解することがわかっています。ただし、元々手が荒れていたりすると、塩が傷口に入ることによって染みたりすることがあります。その場合は、水で洗い流すだけでも大丈夫です。冷たい水に手をつけるだけでも炎症や痒みを軽減することができます。
上述したようにシュウ酸カルシウムはアルカリ性なので、酢や重曹、レモン汁などを使うと中和されて痒みを和らげることができます。痒みがそこまで強くない場合は、水で洗い流しておけば自然と痒みは収まりますが、痒みがひどい場合は酸性のものを使うと良いでしょう。
重曹には、食用と掃除などに使う非食用のものがあります。重曹を使う場合は食用の重曹を使うと良いです。
かゆみの原因となるシュウ酸カルシウムは、ぬめりの中に含まれています。そのため、ぬめり取りの処理をすることで手が痒くならなくなります。下記で紹介するぬめりを実施してから包丁で皮をむけばOKです。
里芋のぬめりは、里芋に塩をもみこむことで取ることができます。里芋のぬめりは糖とタンパク質の結合したものであるため、食塩で糖タンパクはある程度凝固し、ぬめりがなくなります。
簡単な方法はこちらです。
まず里芋を洗い泥汚れを落とします。泥汚れを落とした里芋をボウルに入れて塩を加えて揉み込みます。塩の量は里芋の5つに対して塩大さじ1〜2程度です。塩を揉み込んだらぬめりが出てくるので、水で洗い流します。
痒みの原因である里芋のシュウ酸カルシウムは不溶性であるため、水につけただけでは落とすことができませんが、上述したように酢水につけることでシュウ酸カルシウムが分解されるため痒みを和らげることができます。
酢水につける場合は、ボウルに里芋を入れたら1カップほど水を入れ、そこに酢を大さじ1〜2杯加えます。酢以外にも、レモン汁やクエン酸でも効果があります。
酸性の水につけておくことで、アク抜きにもなります。
シュウ酸カルシウムは熱に弱いという性質があるため、下茹でをしておくことで痒みを軽減することができます。5センチ程の里芋の場合の湯で時間の目安は15分程度です。
茹で時間は里芋の大きさによって異なるので、様子をみながら調節してください。茹でたらザルにあげてお湯を捨てて、水気を拭き取ってから皮をむいていきます。
皮を剥くときはあらかじめ手に塩や酢をつけて包丁で剥くと、手のかゆみを軽減することができます。痒くなってからではなく、痒くなる前に塩や酢をつけておくことで予防になるのでぜひ試してみてください。
触っている時間が長いと痒みが出てしまうため、短時間でさっとむくようにしましょう。
下茹でをしておくと痒みを抑えることができますが、レンジを使って加熱をするのも効果的です。
レンジで加熱をするときは泥汚れを落として綺麗にした後、ラップで包みレンジに入れて加熱します。レンジでの加熱は里芋の水分を蒸発させてパサパサになりやすいのですが、軽く濡らしておくことで、蒸されてホクホクとした食感に仕上げることができます。
加熱時間の目安は100g程の里芋2個の場合、600Wで2分程です。里芋の大きさやレンジのワット数によっても異なるので、様子をみながら調節してください。
レンジで加熱をしても、手で簡単に皮をむくことができます。ふんわりとラップをかけて加熱をしても良いのですが、ラップに包んでレンジで加熱すると、そのまま皮をむくと手がかゆくなりません。下茹で等も不要で一番簡単な方法です。
アルミホイルを使って皮をむく方法もあります。
アルミホイルを使って里芋の皮をむくときは、まず洗った里芋を鍋に入れてかぶるくらいの水を入れて加熱し、軽く茹でます。茹で時間は沸騰してから3分程です。
この方法は手でむくよりも加熱時間は少なくて済みますが、しっかりと火を通さないぶん皮がむきにくいというデメリットがあります。より早く綺麗にむきたい場合は、やはりレンジでしっかりと加熱したり茹でたほうが簡単かつ綺麗にむくことができるのでおすすめです。
里芋は皮付きのまま冷凍保存することが可能です。里芋を皮付きのまま冷凍しておくと、シュウ酸カルシウムの針が折れるため肌への刺激が少なくなり痒みを軽減することができます。また、加熱するのと同じようにするんと簡単にむくことができるため、時短にもなります。
里芋は常温保存や冷蔵保存する際は泥がついたまま保存することで、里芋を乾燥から守ることができるので鮮度を保つことができますが、冷凍する場合は泥汚れを落としてから冷凍します。
冷凍するときは、水洗いをして泥汚れを落としたらキッチンペーパーなどでしっかりと水気をとります。水気をとったら、一つずつラップでくるみ保存袋に入れて冷凍庫に入れます。
冷凍した里芋は、水に2〜3分ほどつけ、皮が柔らかくなったら手で皮をむきます。流水にあてれば簡単に皮がむけるようになります。電子レンジで解凍する場合は1個あたり2分(600W)を目安に加熱し、粗熱がとれたら手で皮をむきます。
里芋は、基本的に皮をむく前に泥汚れを綺麗に落とします。水に濡れるとぬめりがでやすいため、痒くなってしまいやすいのですが、泥汚れがついたまま皮をむいてしまうと料理が泥臭くなってしまうことがあります。そのため、皮を剥く前には泥汚れをしっかり落としましょう。
里芋のぬめりはぬれると出やすく、ぬめりが出ると痒くなってしまうので、洗ったらしっかりと水気を切って皮をむくだけでも痒みの軽減に繋がります。
キッチンペーパーなどで水気を拭き取るのも効果的ですが、時間があるようであればしばらく置いて乾燥させてから皮をむくとより良いです。
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