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白菜の虫の取り方。洗い方の工夫の方法。白菜に虫がつく理由も解説

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白菜の虫の取り方。洗い方の工夫の方法。白菜に虫がつく理由も解説

白菜を調理しようと思ったら虫がついていて驚いた経験がある方は多いのではないでしょうか。本記事では白菜につく虫や、白菜についた虫を取り除く方法などを解説します。

白菜に付く虫の種類

ハクサイダニ

ハクサイダニは、その名の通りダニの仲間です。成虫の体長は1ミリ程度で大きさはアブラムシと同じぐらいですが、体の色が黒褐色で蜘蛛のように赤く長い足が特徴です。

野菜は気温が高い季節に害虫の被害に遭いやすいですが、ハクサイダニの場合は夏などの気温が高い季節は土の中にいてちょうど白菜が旬を迎える11月〜2月の寒い季節に活動が盛んになります。

「ハクサイダニ」という名前がついていますが、キャベツや大根などのアブラナ科の野菜を好むことがわかっており、白菜だけが被害に遭うわけではないので注意が必要です。

コナガ

コナガはチョウ目に属する昆虫の一種で、幼虫が白菜に被害をもたらします。

コナガの幼虫は体長10㎜程度で、体色は淡黄色~淡緑色をしています。気温が上がって暖かくなる春頃から発生が始まるため春に収穫される春白菜についていることが多いですが、1年の間に世代交代を繰り返して複数回発生するため注意が必要です。葉を食べるだけではなく、幼虫が株の中心に潜りこんでいるということもあります。

コナガもアブラナ科の野菜を好む虫で、白菜以外の野菜についていることもあります。

アブラムシ

アブラムシはアブラムシ上科に属する昆虫の総称です。甘い排泄物を出すことでアリを味方につけ、外敵から身を守ってもらうことから別名「アリマキ」とも言います。

体長は2~4mm程で、緑〜黄緑色をしています。集団で移動する習性があり、身を隠すために葉の裏につきます。そのため葉を裏返してみるとアブラムシがびっちりついているという恐ろしい光景が・・・。白菜にかぎらず葉物野菜につきやすく、植物に口針を挿して栄養を吸いとってしまいます。また、口針からウイルスを媒介し、他の植物に口針を刺すことで次々とウイルスによる植物の病気の被害を広げてしまうという厄介物です。

アオムシ

「はらぺこあおむし」でおなじみのアオムシですが、白菜を始めとする葉物野菜にとっては害を及ぼす存在です。アオムシはチョウや蛾(が)の幼虫のうち、緑色で長い毛に覆われていない幼虫のことを言いますが、中でもシロチョウ科のアオムシが多いため、一般的に「アオムシ」と言えばモンシロチョウの幼虫を指しますす。

アオムシはハクサイやキャベツを始めとするアブラナ科の植物についていることが多く、発生する時期は4月〜6月と9月〜11月頃です。白菜が旬を迎える冬の寒い季節はサナギになって冬を越します。

ヨウトムシ

ヨウトムシは蛾の仲間の幼虫で、ヨトウガ(ヨトウムシ)、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウの3種類います。若齢幼虫の体色は緑色で、老齢幼虫になると体長4cmほどになり体色は緑色や褐色、黒色など様々です。

ヨウトムシは、白菜などのアブラナ科の植物以外にも、様々な野菜や花につきます。ヨウトムシの老齢幼虫は薬剤への抵抗が強いため、若齢幼虫の頃に駆除できていないとそのまま生き残ってしまうことが多いです。また、ヨウトムシは葉の裏に卵を産み付けるので、卵がついているということもあります。

ダイコンハムシ

ダイコンハムシはコガネムシやテントウムシの仲間で、ハムシ(葉虫)の一種です。成虫は体長4mm程度で、光沢のある濃紺~黒藍色をしていて、てんとう虫の姿に似ています。幼虫は淡褐色で黒い模様があります。

成虫・幼虫どちらもアブラナ科の植物を好み被害をもたらす厄介者です。成虫で越冬し、春と夏を眠り続けて9~12月に発生する寒さに強い虫ですので、冬に旬を迎える白菜についていることも多いです。

白菜に虫が付く理由

肥料過多

肥料を与えすぎると虫がつきやすいと言われています。

野菜類などの作物は窒素が不足すると生育不良を起こしてしまいます。そのため、窒素を含む肥料が欠かせません。しかし、窒素を含む肥料を与えすぎてしまうと、タンパク質を構成するアミノ酸やアミノ酸アミドを体内で多く作ります。害虫は体の主要成分であるタンパク質を得ることが主要な目的として野菜につくため、肥料過多は虫を引き寄せる原因の一つであると考えられています。

害虫の飛来を防げていない

防虫ネットなどを使うことにより、害虫の飛来を防いでいる農園もありますが、防虫ネットなどの対策をしていない場合は、害虫が飛来して産卵することにより害虫が発生してしまうということがあります。

害虫発生後の防除は困難であるため、一度発生してしまうと駆除しきれず虫がついたまま出荷されてしまうこともあります。

家庭菜園などで白菜を栽培する場合は、未然に防除するようにすると良いでしょう。

虫がついている白菜は新鮮?

スーパーなどで販売されている白菜に虫がついていると、やはり驚いてしまいますし「店頭に並べる前に綺麗に洗ってくれればいいのに」と思ったことがある方も多いのではないでしょうか。

白菜などの葉物野菜は水に弱いので、水で洗ってしまうと鮮度が落ちてしまいます。そのため、水を使わずある程度の泥汚れを落としてから店頭に並べることはあっても、十分に洗ってから店頭に並べることはあまりありません。鮮度を保つためには致し方ないことと言えます。

虫を取り除く白菜の洗い方

基本的な洗い方を実施するだけでも大半の虫は取り除くことができます。虫を取り除く白菜の洗い方を紹介します。

一枚ずつ洗うのが基本

白菜は1枚ずつ洗った方が中に入り込んでしまっている虫や泥汚れなどを綺麗に洗い落とすことができます。

1.根本を切り落としてバラす

白菜の根元を切り落とす

まず、白菜の根本を切り落として、芯から白菜を切り離して1枚1枚バラバラにします。白菜の根本を切り落とすことで、バラバラにすることができます。または、芯に沿って包丁を入れておくと簡単にバラすことができます。

2.流水で洗う

白菜の根元は流水で洗う

1枚1枚バラバラにしたら、根本を中心に両面を流水で汚れを洗い流していきます。流水の勢いだけで落ちない土汚れなどは指で軽くこすって落とします。

1枚1枚となると大変なので何枚か重ねて一気に洗いたくなってしまうと思いますが、何枚も重ねてしまってはバラした意味がありません。重ねたとしても2枚ずつ程度にしましょう。

3.葉先はため水で

白菜の葉先はため水で洗う

流水で根本付近の土汚れを落としたら、次に葉先を中心に洗っていきます。葉先は流水でも良いですが、水を入れたボウルなどに入れて、水の中で揺するようにすると葉についている虫や土が落ちやすいのでおすすめです。

1枚1枚しっかりと汚れが落ちているか確認しながら葉先もしっかりと洗っていきましょう。

1/4株を洗うことも

1/4下部は芯の間を広げて流水で洗う

白菜でミルフィーユ鍋を作るときなど、一枚一枚バラバラにしない方が調理をしやすい場合は、丸ごと洗うと、中にいる虫や土汚れが落ちない可能性があるので、4分の1のサイズにしてから洗うと良いです。

1/4株の場合は、葉と葉の間を広げながら虫や土汚れをしっかり落としましょう。流水では落としきれない土汚れもありますので、ある程度土汚れが落とせたら指を葉と葉の間に入れて軽くこするときれいに落とすことができます。

葉先は上述したように水を入れたボウルに入れて、揺するようにすると葉先についている土や虫を落とすことができます。

丸ごと水に浸ける方法も

白菜をボウルで丸ごと水に浸ける

葉を一枚一枚バラしたり、1/4カットにせずに白菜を丸ごと水に浸ける方法もあります。

丸ごと水に浸ける場合は、白菜が入る鍋やバケツなどに水を入れて、白菜を芯が上になるように逆さにして3時間ほど浸けておきます。虫も人間と同じように呼吸をしているため、水の中に長時間浸けておくことで息絶えて水面に浮かんできます。

ただし、これは時間がかかるのと、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が流出してしまうので注意が必要です。

洗う時のひと工夫で効果アップ

流水で洗い流したり水につけておくだけでも虫を取ることができますが、酢水に浸けておいたり酢水で洗うと効果がアップします。

お酢は高い殺菌効果があることで知られています。お酢に殺菌効果がある理由は、主成分酢酸のpH値の低さです。pHとは酸性とアルカリ性のレベルを表す水素イオン指数です。一般的に雑菌はpHが低い環境では死滅すると言われており、繁殖もできないことがわかっています。また、pHの極端な変化は雑菌だけではなく生物の組織に大きな損傷を引き起こし、生物に死をもたらす可能性があることがわかっています。

元々酢は虫が嫌う調味料であり、害虫を寄せ付けないために栽培中に酢水をスプレーで吹きかけることもあります。

出典:沖縄県科学技術大学院大学

重曹

科学的根拠はありませんが、重曹を溶かした水も効果的だと言われています。

重曹を溶かすことで水がアルカリ性になり、酢水と同じようにpHが極端に変化するため虫が死滅しやすくなるのだと考えられます。

重曹は膨らむ性質があるため、パンを焼くときなどにも使われます。また高い洗浄力があることから掃除をするときにもよく使われることも多いです。食品用の重曹と掃除用の重曹があるため、野菜を洗う目的で使う場合は食品用の重曹を購入しましょう。

50度洗い

50度のお湯で洗うと汚れや虫を落とせるだけではなくシャキシャキの食感に復活します。

これは「ヒートショック」と呼ばれるもので、白菜以外の野菜にも使える方法です。50度のお湯に浸けることで、閉じていた気孔が開き細胞が水分を吸いみずみずしさを取り戻します。

ただし、古くなり腐敗が始まっている白菜はお湯で洗っても復活しませんし、食べることができませんので破棄しましょう。異臭や変色など腐敗のサインが見られず、水分が飛んでしなびているだけの場合はお湯で洗うと良いです。

ただし、酢水とは異なり白菜を栽培している過程で50℃のお湯をかけるのは、虫を駆除することができても白菜がしなびて上手く育たなくなってしまいます。

出典:スチーミング調理技術研究会

虫や虫食いの白菜を食べてしまったら?

白菜に虫がついていることに気がつかずに食べてしまったり、虫に食べられて穴が空いてしまった白菜を食べてしまうと焦ってしまいますよね。

野菜についている多くの害虫は、人間にとっては無害と言われています。そのため、万が一ついていた虫を食べてしまっても下痢や嘔吐などの症状が出ていなければ、様子を見ましょう。下痢や嘔吐などの症状が出た場合は病院を受診してください。

虫に食べられて穴が空いてしまっている白菜も食べることができます。ただし、虫に食われている場合、食痕から腐敗してしまうことがあります。異臭がしたり茶色い汁が出ているといった場合は腐敗してしまっているので食べずに破棄しましょう。