白菜は一年中スーパーなどで購入できる野菜ですが、白菜の旬はいつなのかご存知でしょうか。本記事では白菜の旬について詳しく解説します。
一般的に言われる「旬」とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。
白菜には3月〜5月にかけて収穫される春白菜と、6月〜10月にかけて収穫される夏白菜、11月〜2月に収穫される秋冬白菜があるため1年中スーパーで購入することができる野菜ですが、旬は冬です。
白菜は水分量が多いため夏などの高温多湿の環境下よりも冬の方が育てやすく、冬に最も市場に出回るようになるため、春野菜や夏白菜と比較して価格も安くなります。
冬に旬を迎える白菜は、生育中に凍ってしまわないようにたっぷりと糖分を蓄えています。そのため冬の白菜のほうが甘味が増しおいしくなります。ちなみにこの現象は大根などにも起こり、大根も冬に最も甘味が増します。
一方、春に収穫される春白菜は、葉が柔らかくみずみずしいという特徴があります。夏白菜は最も生育が難しいため秋冬白菜と比較して小ぶりのものが多く、甘味が少ないのが特徴です。
白菜の主な生産地は茨城県、長野県、群馬県、埼玉県などです。令和3年度の地域別の収穫量は下記の通りです。
茨城県(250,300トン)
長野県(228,000トン)
群馬県(29,500トン)
埼玉県(24,600トン)
白菜の旬である冬に出荷される秋冬白菜は、主に茨城県や長野県、埼玉県などで生産されています。春白菜や夏白菜は涼しい地域の長野県や群馬県の収穫量が増えます。
令和3年度の秋冬白菜の収穫量は下記の通りです。
茨城県(198,500トン)
長野県(62,900トン)
埼玉県(23,800トン)
出典:令和3年産指定野菜(秋冬野菜等)及び指定野菜に準ずる野菜の作付面積、収穫量及び出荷量(農林水産省)
新鮮でおいしい白菜は外葉がきれいな緑色をしています。
外側の葉が茶色や灰色など変色しているものは、病気にかかっていたり腐敗していることがあります。葉の一部が変色していても変色した箇所を取り除けば食べることができることも多いですが、鮮度が落ちている状態ですので、できるだけ鮮やかな緑色をしていてみずみずしいものを選ぶようにしましょう。
カットされた白菜の場合は、カットされた断面を見ます。カットされた白菜は、芯に近い中心の葉が黄色い色のものが新鮮です。
中の黄色い色の葉は甘味がありますが、時間がたつと緑色になっていきます。カットされた白菜の断面が緑色の場合は鮮度が落ちていますので、黄色いものを選ぶようにすると良いです。
外側の葉っぱの葉脈が左右対称できれいなものを選びましょう。白い芯の部分は部分は二等辺三角形で、こちらもきれいな左右対称のものを選ぶと良いです。
葉脈が左右対称で、芯が二等辺三角形で左右対称なのは、成長に偏りがないことを表しています。
カットされた白菜の場合は葉一枚をすべて見るのが難しいので、確認できない場合は他の箇所で鮮度を確認して購入するようにしましょう。
白菜は水分量の多い野菜ですので、新鮮で美味しい白菜は葉にみずみずしさがあります。
葉がみずみずしさがないものは鮮度が落ちている可能性が高いです。鮮度が落ちてしまうと味が落ちてしまうので、みずみずしく鮮度の良いものを選ぶようにしましょう。
カットされた白菜の場合も切り口がみずみずしいものを選んだ方が良いです。
白菜の頭の部分を押してみて適度な弾力を感じる場合は、葉がしっかりと巻かれている状態の良いサインです。
ふかふかとしている場合は、収穫が早いことなどが原因で葉が十分に詰まっていない状態であることが多いです。反対にカチカチとして固く感じるものは、収穫が遅れて鮮度が落ちていることが多いです。育ちすぎても栄養価が落ちてしまいますし、傷みやすいので、適度に弾力のあるものを選ぶと良いです。
白菜はずっしりと重みがあるものを選びましょう。白菜は重い方がみずみずしく糖度も高いといわれています。
持ったときに軽いものは水分が飛んでしまい鮮度が落ちている可能性が高いです。外側の葉がしっかりと巻かれていることを確認したら手に持って重みがあるか確認してみましょう。
カットされている白菜の場合も、断面に隙間がある状態のものよりはギュっと詰まっていて重みがあるものを選ぶと良いです。
白菜のおしりにある芯の部分が白くてみずみずしいものは新鮮です。
上述したように白菜は空気に触れて酸化すると茶色く変色していきます。芯の部分が茶色くなっていたり黒っぽく変色しているものは鮮度が落ちています。また、芯腐れ病になっていてカットしたら中心が茶色くなっているということもありますので、白いものを選ぶようにしましょう。
カットされたものを購入する場合も芯が変色しているものは避けるべきです。
カットされた白菜は、切り口が平らなものを選びましょう。
白菜の中心には成長点があります。この成長点に向かって白菜の栄養素や旨みが集まり、収穫後も生長を続けようとします。成長してくると白菜の中心部が盛り上がってきます。
中心部が盛り上がってきても腐敗しているわけではないので食べることができますが、外側の栄養や旨味が中心部にとられてしまっている状態ですので、カットした白菜を購入するときは中心部が盛り上がっていない平らなものを選んだ方が良いです。
白菜は大別すると、結球、半結球、不結球の3つに分けることができます。ここでは、様々な白菜の品種についてご紹介します。
結球タイプはどっしりした円筒形をしていて、頭部の葉がぎゅっと重なり、芯の部分が広く肉厚なのが特徴です。春と秋冬の年に2回収穫できる露地栽培が一般的で、白菜といえば結球タイプを指します。
現在スーパーなどで一般的に販売されているの「黄芯白菜(おうしんはくさい)」と呼ばれるもので、その名の通り中心が黄色いのが特徴です。結球タイプの白菜の中には、オレンジ白菜やパプール白菜といったカラフルなものの他、ミニ白菜という一般的な白菜よりも小さなサイズの白菜もあります。
結球タイプの旬は、先述した通り冬です。
結球タイプの白菜は水分を多く含み柔らかく、癖のない味なので鍋料理や漬物、スープや和え物など幅広い用途があります。
半結球タイプは、胴の部分は結球タイプと同じようにしっかり締まっていますが、頭部が開いているのが特徴です。
半結球タイプの白菜の品種には、山東菜や花心白菜、長崎白菜などがあります。花心白菜と長崎白菜の旬は結球タイプと同じく冬で、山東菜の旬は春です。
半結球タイプの白菜は主に関東で多く栽培されていますが、生産地も生産量も少ないため一般的なスーパーで販売されていることはあまりありません。
長く漬けても酸味が出にくいことから、漬物用として利用されることが多いです。
不結球タイプは、その名の通りまったく結球せずに葉先から下部にかけて密着していない白菜です。見た目は青梗菜(ちんげんさい)に似ているため、白菜に見えませんが白菜に分類される野菜です。一般的な白菜とは異なり、耐暑性が強く生育が早いという特徴があります。
不結球タイプの白菜の品種には、広島菜やてごろ菜、たばね白菜などがあります。広島菜の旬は結球タイプと同じく冬で、てごろ菜の旬は夏です。たばね白菜は栽培期間が短いため、寒い地域以外では1年中収穫されて出荷されています。
不結球タイプも葉が柔らかいため漬物などに使われることが多いです。甘味があるものも多いため炒めたり、汁物の具材にするなど幅広い用途があります。
白菜の可食部100gあたりに含まれる三大栄養素は下記の通りです。
エネルギー...13kcal
水分...95.2g
たんぱく質...0.8g
炭水化物...3.2g
脂質...0.1g
食物繊維...1.3g
糖質は1.9gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。
出典:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(文部科学省)
三大栄養素の他にも、様々なビタミン・ミネラルが含まれます。また、様々な生理機能を保つ機能性成分も含まれています。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
ビタミンKは血液を凝固させる成分を合成する働きがあり、出血を止める役割があります。月経過多の症状を軽減する効果も期待できます。また、出血を止めるだけでなく、血流が悪くならないよう凝固の抑制にも働きかけます。
さらにビタミンKは、骨から血液中にカルシウムが放出されるのを抑え、骨にカルシウムが沈着するのを助けてくれます。ビタミンDと並び、健康な歯や骨を作るのに欠かせないビタミンです。
葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球を作るのに必要な栄養素で造血ビタミンとも言われています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。
葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるため、葉酸を摂取したい場合は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースがおすすめです。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
アリルイソチオシアネートは、辛み成分のひとつであるイソチオシアネートの一種です。アリルイソチオシアネートは大根やキャベツなどのアブラナ科の野菜に含まれています。また、苦味の原因にもなりますが、有害なわけではありません。
アブラナ科の野菜に多く含まれており、ツンとすることが多いです。アリルイソチオシアネートには、抗酸化作用があります。抗アレルギー効果もあると言われているので、花粉症予防の効果も期待できます。さらに、胃液の分泌を促し、腸の働きを助けます。
GABA(ギャバ)もアミノ酸の一種です。野菜や果物に多いですが、明確な含有量は分かっていません。
GABAの代表的な働きはリラックス効果です。ストレスを感じたり運動をして興奮状態になると、脳内で活発にアドレナリンが分泌されますが、GABAはアドレナリンの分泌を抑制します。アドレナリン分泌が抑制されることで血圧を正常にし、酸素の供給を助けるとされています。
寒い季節は常温での保存が可能です。常温で保存する場合は、直射日光が当たらない冷暗所で保存します。常温で保存すれば約1ヶ月前後日持ちします。
白菜を新聞紙に包みます。白菜が大きい場合は、新聞紙を数枚使用して全体を覆うように包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーや梱包材の紙を使用してもOKです。
段ボールなどに入れて立てて保存します。立てて保存することで、余計なストレスがかからず鮮度を保って保存することが可能です。横に倒して保存してしまうと、白菜の重みで葉が傷んでしまうことも。
白菜は冷えると甘みが増すといわれています。鮮度を保つためにも、室温が上がりにくい冷暗所での保存を行いましょう。冬場で暖房器具を使用する場合は、室温が高くなってしまうので、常温以外の保存がおすすめです。
なお、カットした白菜は常に常温以外の方法で保存するようにしましょう。
冬場でも長く保存したい場合や、カットした白菜を保存する場合は、冷蔵保存がおすすめです。白菜は冷蔵で保存することで2ヶ月(丸ごと冷蔵する場合)日持ちします。
丸ごと保存する場合は、白菜全体を新聞紙で包みます。新聞紙がない場合はキッチンペーパーなどでも代用可能です。野菜室で保存します。高さが問題なければ立てて保存するのがベストです。
カットした白菜を保存する場合は、白菜の生長を止めるために芯を切り落とします。カットした断面を濡れたキッチンペーパーで覆い、全体をラップで包みます。切り口を下にして野菜室で保存します。
カットした白菜は切り口から傷みやすいので1週間を目安に使い切るようにしましょう。
カットして冷蔵保存することも可能です。
細切りやざく切りなど料理に合わせてカットし、冷蔵用保存袋に入れて密封し冷蔵庫で保存します。
カットした白菜は乾燥しやすく傷みやすいので、3〜4日を目安に食べきるようにしましょう。
カットして茹でてから冷蔵保存しておけば、調理時間が短縮できます。
ざく切りや細切りなど料理に合わせてカットした白菜をさっと茹でます。粗熱が取れたら水けを拭き取り、冷蔵用保存袋に入れて冷蔵庫へ。
ただし冷蔵方法の中では1番傷みが早いので、2〜3日以内に使い切るようにしましょう。
白菜は大きい野菜なので、すぐに使い切れない場合は冷凍保存を。冷凍すれば約1ヶ月ほど保存することができます。
ざく切りなど使いやすい大きさにカットして冷凍用保存袋に入れ冷凍庫へ。冷蔵庫の急速冷凍機能を使えば、旨みをぎゅっと閉じ込めて冷凍することができます。急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
凍ったまま調理に使用することができます。全解凍してしまうと、白菜の水分が流れ出てしまい、食感や味、栄養が落ちてしまいます。
塩もみをして冷凍すれば、色や食感がキープしやすく、また白菜の水分が抜け長持ちします。
生のまま細切りにした白菜を塩(適量)でもみ、水けを絞ります。小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。なるべく薄く、平らに包むことで、短時間で凍らせることができます。
食べる際は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍がおすすめです。塩の味がついているので、そのまま和え物などに使用したり、スープやチャーハンなどの具材にも使用できます。凍ったまま使ってもOKです。
冷凍する前に茹でることを「ブランチング」といいます。ブランチングすることで変色しづらく、食感も悪くなりづらいというメリットがあります。
ざく切りや細切りなど、お好みの大きさにカットし固めに茹でます。粗熱が取れたら水けを絞り、小分けにしてラップで包み冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。
前日(または半日前)に冷蔵庫に移して自然解凍し、おひたしや和え物などに使用できます。凍ったままの状態でスープや炒めものの具材として調理するのも◎。
下味をつけてから冷凍することもできます。
白菜をざく切りにして熱したオリーブオイルでさっと炒め、塩こしょうで味付けをします(醤油、酒、砂糖の味付けでも可)。粗熱が取れたら小分けにしラップで包んで冷凍用保存袋に入れ冷凍庫へ。
凍ったままの状態で野菜炒めなどに使用したり、鍋の具材として使うのが◎。蒸した鶏や豚肉などを加えるだけで簡単に一品料理も作れます。
多くの人が、白菜は外側から食べ始めると思います。しかし実は、白菜は葉の中心部分、つまり芯の部分から食べる方が栄養素的には◎なのです。
上述した通り白菜の中心には成長点があり、白菜の栄養や甘みは外側の葉で作られ中心部に送られます。内側の葉から先に食べることで、栄養や甘みがそのまま外の葉に蓄積されて美味しさが増します。
【黒いぶつぶつは食べられる?】
白菜の葉をよく見ると、黒い斑点が付いていることがあります。これは白菜に含まれるポリフェノールが黒く変色したものです。ストレスなどが原因で現れます。腐っていたり病気にかかっているわけではなく、成分的には問題ないのでそのまま食べてもOKです。
低温で食材を蒸す調理法は、水分や栄養のロスが少ない調理法として知られていますが、野菜のアミノ酸の量や性質を変化させるという効果もあり。白菜の場合、一部のアミノ酸量が変化しますが、中でも疲労回復やストレス軽減に効果的なアミノ酸・GABAが8倍に増えるだけでなく、糖をエネルギーに変えるアラニンまでもが2倍にアップ!ほかにも低温蒸しなら、加熱に弱いビタミンCがほぼ100%残るなどのメリットもあります。
白菜のGABA、アラニンをアップさせるには、55〜60℃で5〜20分程度低温蒸しをするのがおすすめです。
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