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さつまいもをレンジ加熱したら変色...食べられる?原因と対処法を解説

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さつまいもをレンジ加熱したら変色...食べられる?原因と対処法を解説

さつまいもはレンジで加熱すると時短になりますが、色が変わってしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。本記事ではさつまいもをレンジで加熱すると色が変わってしまう原因や、変色させずにレンジで加熱するポイントなどを紹介します。

レンジで加熱したさつまいもの色が変わる原因

レンジで加熱したさつまいもの色が変わる原因は下記の通りです。

ヤラピン・ポリフェノールの酸化

さつまいもをレンジで加熱したときに変色してしまう原因の一つとして考えられるのは、さつまいもに含まれているヤラピンやポリフェノールの酸化です。

ヤラピンはさつまいも特有の成分で、カットしたときに断面から出てくる白い乳液のような物質の正体です。本来白色をしていますが、空気中の酸素に触れて酸化してしまうことで黒っぽく変色してしまいます。

ポリフェノールは植物が持つ苦味・えぐみを感じさせる成分の総称です。ポリフェノールには構造の違いによって様々な種類があり、さつまいもにはアントシアニンやクロロゲン酸、タンニンなどが含まれています。ポリフェノールも空気中の酸素に触れて酸化すると茶色→黒と変色していく性質があります。

クロロゲン酸の化学反応

さつまいもに含まれているポリフェノールの一種、クロロゲン酸はアルカリ性の物質に反応すると青や緑色に変色する性質があります。例えば、天ぷらにするときには天ぷら粉にベーキングパウダーなどのアルカリ性の物質が含まれていることが多いので、青や緑に変色してしまうことがよくあります。

レンジで加熱する際に塩をかけると甘みが増しますが、普段家庭で使われる事が多い食卓塩も弱アルカリ性であるため、まれに反応して変色してしまうことがあるようです。

焦げている

さつまいもなどの水分量が少ない野菜は、電子レンジで加熱すると一気に水分が蒸発してしまい、パサパサになってしまったり焦げて黒く変色してしまうこともあります。

電子レンジはマイクロ波が食材がもつ水分子が熱を持つように働きかけることで食材を温めます。そのため、さつまいもに水分量の少ない食材は水分が多く含まれている食材と比較して温まりにくく、長時間加熱してしまいがちです。

しかし、長時間加熱するとどんどん水分が蒸発してしまうため、焦げる原因となってしまいます。

レンジ加熱で変色したさつまいもは食べられる?

レンジで加熱したさつまいもの色が変わってしまう原因はおわかりいただけましたか?加熱して色が変わってしまうと食べられないのではないかと心配になる方も多いでしょう。レンジで加熱して色が変わってしまったさつまいもは食べられるのか解説します。

基本的に食べて問題ない

さつまいもをレンジで加熱したときに変色してしまう原因は、上記で紹介した通り、ヤラピンやクロロゲン酸などのポリフェノールです。

ヤラピンには胃の粘膜を保護したり、便を柔らかくし便秘を予防・改善する効果があります。また、ポリフェノールにも抗酸化作用などがあり、人体に害を及ぼす成分ではありません。

そのため、変色してしまってもそのまま食べることができます。

気になる場合はカット

レンジで加熱して変色してしまったさつまいもは、問題なく食べられるとはいっても見た目が悪くなってしまいます。また、ヤラピンとポリフェノールはどちらも苦味・えぐみを感じさせる成分であるため、食べたときに苦味が気になる場合もあります。

しかし、一度変色してしまったさつまいもの色は残念ながら元に戻すことはできません。そのため、気になる場合は変色している部分をカットして食べることをおすすめします。

さつまいもを変色させずにレンジ加熱するポイント

さつまいもをレンジで加熱すると必ずしも変色してしまうわけではありません。しっかりと下処理をすれば変色を防ぐことができます。

丸ごと加熱する

さつまいもをレンジで加熱したときの変色を防ぎたい場合は、カットしてからよりも丸ごとをおすすめします。カットしてしまうとどうしても断面が空気中の酸素に触れてしまい、ヤラピンやポリフェノールが酸化し変色してしまいます。

そのため、丸ごと加熱するなどなるべく空気中の酸素に触れないようにして酸化を防ぐのが良いでしょう。

カットする場合は水にさらす

カットしてから加熱したい場合は、カットしたら水にさらしましょう。

変色の原因となっているヤラピンやポリフェノールは水溶性であるため、水にさらすことで落とすことができます。落としておけばカットしてからレンジ加熱しても酸化して変色してしまうリスクを減らせます。

水にさらすことでヤラピンやポリフェノールが落とせれば、さつまいもの苦味・えぐみも軽減できます。

ただし、長時間水にさらしすぎてしまうとビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も流出してしまいます。栄養を無駄にしないためにも5分〜10分程度に留めましょう。

皮を厚めに剥いても

さつまいもの皮にも食物繊維など栄養素がたっぷり含まれているので皮ごと調理をして食べるのが栄養面的には望ましいです。しかし、皮付近には変色の原因となるヤラピンやポリフェノールが多く含まれているため、色をよく仕上げたい場合は皮を厚めに剥いてからレンジ加熱するのも一つの手です。

皮を剥いてレンジ加熱する場合は、皮は別で調理をして食べると良いでしょう。

水分を保持する

上述したように、マイクロ波が食材が持つ水分子が熱を持つように働きかけることで食材を温めます。水分がなくなってしまうと焦げてしまう原因になるので、濡らしたキッチンペーパーで包み、さらにラップをするなどの工夫をしましょう。

水分が飛んでしまうと焦げなかったとしても、固くなってしまったりパサパサの状態に仕上がってしまいます。しっとりねっとり系の品種のさつまいも(安納芋)などは、特に本来の食感を失ってしまうので美味しく食べるためにも水分の保持は重要です。

ゆっくり加熱する

さつまいもを加熱するときは、低いワット数でゆっくり加熱していくのが望ましいです。ゆっくり加熱することで水分が一気に蒸発してなくなってしまうことを防げるので、焦げてしまうのを防ぐことができます。

また、ゆっくり加熱することでさつまいもの甘味も最大限に引き出されます。

さつまいもが甘くなるのは、β-アミラーゼという酵素がでんぷんを麦芽糖に変えるからです。甘くなる前に火が通ってしまうと甘くなりません。そのためレンジは時短になるメリットがある一方で、一気に加熱してしまうと甘みが出ないデメリットがあるのです。

レンジだと一般的に500W〜600Wで加熱することが多いですが、150W程度の低温でじっくりと加熱するのが望ましいです。

低温に対応していない場合は、解凍モードを活用しましょう。解凍モードは基本的に100W〜200Wに設定されていることが多いので低温でじっくりと加熱することができます。

加熱しすぎない

さつまいものように固い野菜はついつい加熱時間を長くしすぎてしまう傾向がありますが、加熱のしすぎも焦げてしまう原因になります。

加熱時間の目安は、さつまいもの大きさやレンジのワット数によっても異なります。

200gのさつまいもを一般的なレンジのワット数500W〜600Wで加熱する場合は、500Wで4分50秒、600Wで4分が目安です。

低いワット数でじっくり加熱する場合の目安は下記の通りです。

  • 100W:24分

  • 150W:16分

  • 200W:12分

おかずにする場合のさつまいもを加熱するときは、500W〜600Wで加熱し、スイーツを作りたいときなど甘みを最大限に引き出したいときには低温でじっくり加熱するのがおすすめです。

さつまいもをレンジ加熱する方法【丸ごと】

さつまいもの変色を防ぎ、レンジで加熱する方法は下記の通りです。

濡れたキッチンペーパーでさつまいもを包み、ラップで包む

濡れたキッチンペーパーでさつまいもを包む

レンジを使ってさつまいもを丸ごと加熱する場合は、まず濡れたキッチンペーパーでさつまいもを包みます。(濡らした新聞紙でもOK)

キッチンペーパーにさつまいもを包んだら、ラップでしっかりと包みます。

600Wで1分半〜2分加熱

電子レンジ600Wで1分半〜2分加熱する

さつまいもをラップで包んだら、レンジに入れて加熱します。

加熱時間はレンジのワット数やさつまいもの大きさによっても異なりますが、目安は600Wで1分半〜2分程です。

200Wに設定して8分〜10分

200Wで8〜10分加熱する

600Wで加熱したら、200Wに設定しさらに8分〜10分ほどじっくり加熱します。

200Wに設定できないレンジであれば解凍モードにしましょう。

さつまいもを竹串などで刺してみてスッと通れば完了です。

ラップに包んだまま粗熱を取る

火が通ったらラップをしたまま粗熱を取る

加熱をしたら、カットして加熱したときと同様にラップに包んだまま粗熱を取ります。

さつまいもをレンジで柔らかくする方法【カット】

さつまいもを輪切りにする

さつまいもを輪切りにする

さつまいもを綺麗に洗ったら、輪切りにします。

乱切りなどでも良いのですが、角張った部分があるとマイクロ波がそこだけに集中して当たってしまい、焦げたり加熱ムラができてしまいやすいので、輪切りがおすすめです。

水にさらす

さつまいもを水にさらす

水に5分〜10分さらして変色の原因となるヤラピンやポリフェノールを落とします。

キッチンペーパーで包んで水で濡らしラップで包む

さつまいもをキッチンペーパーで包んで水で濡らしラップで包む

カットしたら、丸ごと加熱するのと同様にキッチンペーパーで包みます。キッチンペーパーで包んだら、一度水に濡らしてラップに包みます。

加熱する

さつまいもを加熱する

加熱時間の目安は上記で紹介した通りです。

200g程度のさつまいもをじっくりと加熱したい場合は150Wで16分ほど加熱するのがおすすめです。

短時間で加熱したい場合は600Wで4分程加熱しましょう。

粗熱を取る

電子レンジで加熱したらラップに包んだまま粗熱を取る

竹串がすっと通るぐらい柔らかくなったら、ラップに包んだまま粗熱をとります。

ラップをつけたまま粗熱を取ることで、さつまいもから発生する蒸気が保持されます。この蒸気は食材内部の水分を保ち、乾燥を防ぐために役立ちます。乾燥することなく水分を保つことで、さつまいもの食感や風味を損なうことなく柔らかさをキープすることができます。

レンジで加熱したさつまいもの保存方法

レンジで加熱したさつまいもをすぐに食べない場合は、正しく保存しておかないと変色してしまいます。冷蔵保存も可能ですが、2日〜3日しかもたないので長持ちさせたい場合は冷凍保存がおすすです。

そのまま保存袋に入れて冷凍

輪切りにしたさつまいもを火を通してから冷凍する方法も

さつまいもは、竹串などを刺して火が通っていることを確認したら、粗熱を取って冷凍用保存袋に重ならないように平らに入れ、空気を抜いて密封し冷凍室で保存します。

凍ったまま調理に使用したり、電子レンジなどで解凍しそのまま食べることもできます。

マッシュにしてから冷凍

茹でたさつまいもを潰して冷凍保存することもできる

マッシュ状(ペースト状)にして冷凍しておくのもおすすめです。

さつまいもが熱いうちにマッシャーなどを使ってつぶします。粗熱が取れたら冷凍用保存袋に平らになるように入れ、空気を抜いて密封し、冷凍室で保存します。

冷凍したマッシュ状(ペースト状)のさつまいもは、前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、もしくは電子レンジで解凍します。

サラダやスープ、スイートポテトなどにおすすめです。